コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです!   作:ペンギン3

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RE エピローグ

 そこは空とも言えて、海とも呼べる場所。

 意識の奥底、無意識の深淵。

 

 そんな場所で、一つの哄笑が響き渡っていた。

 

「ふふ、ふふふっ、ふははははっ!」

 

 薄暗く、ランプの灯りのみを頼りとした部屋。

 幾つもの本と記録が並ぶ、静謐なる知識の間。

 

 ──いつかの書斎、無意識(イド)の奥に沈んだ場所。

 

 そこに立っているのは、一人の黒い男。

 彼は、一つの顛末が記された手記を読み、心の底から可笑しさを感じていたのだ。

 

「あぁ、フランシス! 貴方がこれ程、エンターテイメントを愛していたとは、私にとっても慮外の話でしたよ」

 

 含み笑いの中に混じるのは、僅かながらの嘲笑と──愉悦。

 

「あなたは失敗したと思ったことでしょう、フランシス。偉大なる崇高への道筋をつける機会をイマジナリーお姉ちゃん棒に与えたにも関わらず、結果は海上汚染を引き起こす射精を複数回に渡り促しただけに終わった、と」

 

 愉快、そう愉快であった。

 心の底から、この様に笑えたのはいつぶり程か、そう彼が本気で思案するくらいに。

 

「──ですが、その顛末には続きがあった。最後の射精こそは、天蓋(テクスチャ)を穿ち、亀裂を入れ、裏側への道を作った」

 

 未だ、愉悦の虫が腹の内で鳴き止まぬ中で、彼──ゴルコンダはふと思い出した。

 

「テクスチャの内側、アレは私が求める大いなりし崇高とは、また毛色が違いますが……」

 

 以前これほど笑ったのも、春風メブキという少女がきっかけであったことを。

 

「至ったという点では一つの結末、崇高でもあります。あえて形容するのならば──涅槃でしょうか」

 

 それに気がついた時、ゴルコンダは思ったのだ。

 ──やはり、彼女は面白い、と。

 

「あそここそが、この世界の終点。本来ならば、立ち入ることが出来ない特異点。そこへ潜り、メブキさんは一人の……貴方が端役と呼び、先生の邪魔にならない様にと次元と空間の狭間に落とした彼女を、連れて帰った」

 

 恐らく、春風メブキという少女は、生涯を通しても何ら崇高とは関わりがない少女として過ごすだろう。

 

 客観的な事実で、本人にもその素質がないのだ。

 当然の帰結と言える。

 

「相も変わらず、メブキさんは何をしでかすか分からない」

 

 だが、入滅するに至らぬ魂とはいえ、メブキは天界とも形容できる場所から、一人を地上に連れ帰った。

 

「フランシス、貴方は今回の公演の主役を先生にと、そう考えていたのでしょう」

 

 それは──条件が揃っていたとはいえ、結果だけを見ると奇跡の類である。

 

「ですが、先生にはもっと素晴らしい舞台があるのです。もっと言えば演者も、既に救われている生徒ではなく、もはや救われる余地の無い、救いようの無い、そんな生徒に相対していただくのが望ましい。より、文学的な味わいのためにも」

 

 ならば、とゴルコンダは思った。

 今回の舞台の主役は、間違いなく……。

 

「どの舞台でも、先生が一番に輝くと思うのは誤りですよ。喜劇ならば、先生よりもメブキさんの独壇場。幾ら先生といえども、相応のジャンルに立たねば一番にはなれません」

 

 メブキこそが、この公演の主役だったのだ、と。

 

「フランシス、貴方は──解釈が、甘いのです」

 

 より、自身の方が先生について分かっている。

 確信して、ゴルコンダの口元は、淡く弧を描いた。

 

 浮かんでいる笑みは──嘲笑。

 

 

 それに対する反応はない。

 ここは無意識、井戸の底側。

 暗がりの中の一室。

 

 表に思考は、届かない。

 

 そんな中で一人、ゴルコンダは笑い続けた。

 滑稽かな! 滑稽かな! と。

 

 彼には、そうすることしかできないから。

 今も書斎に、囚われているが故に。

 

 ──先生はともかく、もうメブキにゴルコンダとして会うことはないだろう、と。そのことに、僅かながらの寂寥感をその身に纏って。

 

 彼は今も、深き底に揺蕩っていた。

 

 


 

 

 長い長い冒険の果てに、私はついに手に入れたの!

 

「念願のエロゲーを手に入れたよ!」

 

「ころしてでも、うばいとる」

 

「何するのお兄ちゃん!?」

 

「それはディスクに試し焼したやつで、本体はまだ未完成だって言ってんだろうが」

 

 旅路の果てに、お兄ちゃんを取り戻した数日後。私は、ミレニアムの地下ダンジョン内にあった、美少女力学同好会さんの部室に来てたの。

 

 そこで念願のエロゲー、昔ながらのドット絵のそれは、90年代の名作みたいな雰囲気をキラキラ醸し出していた。

 

 だからね、早速プレイしなきゃって手にしたところで、お兄ちゃんに悪逆を働かれちゃった。酷いね?

 

「お兄ちゃん、妹の大切なものを奪っちゃダメなんだよ?」

 

「まだ出来てないっつってんだろ。あんま舐めた口聞いてると、ハッピーエンドだけ削除した鬱ゲーにしてマスターアップするぞ」

 

「っ、お兄ちゃんにはエロゲーマーとしてのプライドがないの!?」

 

「あるから未完成品出荷を嫌がってんだろ、メブガキがよ」

 

 お兄ちゃんは、最悪サイテーな脅迫をしてきて、しっしってやって来たの。

 

 まるで犬さんを追い払うかの様な動作。

 ……自分が猫耳族だからって、調子に乗ってるんだよね?

 

「わ、私の方が猫さんなんだからっ、お兄ちゃんのケモ耳なんかに絶対屈しないよ!」

 

「……撫でるか?」

 

「にゃーん!」

 

 そうして、私は敗北しちゃった。

 ロリお兄ちゃんの頭を、猫耳さんを、ナデナデってしちゃったの。

 

 あっ、ぴこぴこってしてて可愛い。

 なんか、癒しがあるね……。

 

 ……か、勘違いしちゃダメだよ!

 私が堕ちちゃったのは身体だけで、心まで堕ちた訳じゃないんだからね!!

 

 でも、久しぶりのお兄ちゃんだね。

 なんか、ロリの匂いなのに落ち着いちゃう。

 

 そんなロリお兄ちゃんで落ち着いてる中で、ガチャって部屋の扉が開いたの。

 

「ナゴリー、久しぶり! 外で仏頂面のケイちゃん拾ったけど、何して……」

 

 部屋に入ってきたのはマキちゃんと、マキちゃんに背を押されてるケツちゃんだった。

 

 なんか、入ってきた二人から、まじまじって見られちゃってる。

 私、モテ期に突入しちゃったりしたかな?

 

「……ナゴリ、メブキちゃんみたいな小さい子を拐かしたら、もう一回収監されるよ?」

 

「マキ、おひさー。目は大丈夫か? それから、収監って何のことだよ」

 

「えっ、だってリオ会長が、"彼女は囚われてるの、私でも手の届かないところに……"って言ってから。アズカバンに送られてたんだよね?」

 

「ねーよ、キヴォトスにアズカバン。もっと友達のこと信じろよ」

 

 お兄ちゃんは、どうしてかマキちゃんから性犯罪で護送されたと思われちゃってた。

 

 エロゲー作りは、キヴォトスでは犯罪だったりするのかな? もしそうだったら、法律の方が狂っちゃってるから、お兄ちゃんは悪くないよ!

 

「ふーん、てっきり鈍すぎてヴァルキューレ送りにされたんだと思ってたや。はい、こちらケイちゃんになります」

 

「マキ、余計なことは言わなくていいです!」

 

 そっと差し出されたケツちゃんは、ロリお兄ちゃんと私を交互に見ながら、何か困った顔をしちゃってたの。

 

 ──ケツちゃんはね、あの列車から戻ってきた時に、何でかデータじゃなくなって実体化しちゃってたの。

 

 みんなでビックリしたけど、最後にケツちゃんはお兄ちゃん共々揉みくちゃにされて、おかえりって歓迎されてたんだよ!

 

 そんなケツちゃんだけど、いつもお兄ちゃんと一緒。仲良しさんとして、ミレニアム中で噂になっちゃう日も、きっと近いね?

 

 けど、お兄ちゃんと仲良しなケツちゃんは、私たちの方を見て、なんかソワソワしてたの。

 

 ……ふむ、ふむふむ、ふむふむふむ。

 

 なるほど、分かっちゃった!

 名探偵メブキの灰色の海綿体が、ピクンっておっきしたよ!

 

「ケツちゃん、交代しよ!」

 

 つまり、ケツちゃんも、お兄ちゃんをモフモフしたいってことを!

 

「なっ、べっ、別にそんなつもりはありませんけど!」

 

「違うの、ケツちゃん。ケツちゃんがお兄ちゃんをモフモフして、私はケツちゃんの頭でモフモフして、マキちゃんは私の頭でモフモフする。無限モフモフ永久機関を完成させる時が来たんだよ!」

 

「貴方は何を言っているのですか!?」

 

「これが、みんな満足する正解なんだよ!」

 

「私もするんだね、それ」

 

「うん!」

 

 一旦お兄ちゃんから離れて、グズってるケツちゃんをお兄ちゃんの後頭部に埋めさせたの。

 

 口でなんか色々言ってたけど、ケツちゃんは特に抵抗しなかった。身体は正直さんだね?

 

 それで、おとなしいケツちゃんの頭に私もスリスリーって頭を埋めて。ピクってしたけど、ケツちゃんは私も退かすことはなかったの。

 

 んー、ロリお兄ちゃんと一緒のシャンプーの匂いがするね?

 

 それでね、チラッチラってマキちゃんに目を向けたら、マキちゃんも私の頭に髪の毛にぱふーってしてくれたの!

 

 よし、完璧なハッピー永久機関の完成だね!

 って、ところで、またまた扉が開いたの。

 

「……貴方たち、何をしているの?」

 

「大方、ウチの妹がおかしな教唆をしたのだろう」

 

 入ってきたのは、ミレニアムの偉い人なリオさんとセイアお姉ちゃん。いつの間にかお友達さんになってた二人組!

 

 ……やっぱり、偉い人同士、えっちな話で盛り上がって仲良くなったのかな?

 

「二人も女子高生無限列車、おしりかじり虫なヘビさんごっこ、しよ?」

 

「彼女は何を言っているのかしら」

 

「恐らくはウロボロスの蛇、みんなで輪になってくっ付き合おうと言っているんだ」

 

「……それに、何の意味が?」

 

「甘えたがりだからね、みんなで仲良しごっこをしたいのさ」

 

「ごっこじゃなくね、仲良しの輪なんだよ!」

 

「比喩じゃなくて、物理的にそうなるのは違うくないかい?」

 

「違くないよ!」

 

 頭が良すぎるエロい人の二人は、自分たちがムラムラしないか自信がなくて、中々輪に入ってきてくれなかったの。

 

 でもね、そんなの元男の子のお兄ちゃんが話に混ざっちゃってる時点で、全然関係ない話なんだよ?

 

「二人も一緒、しよ!」

 

「私は……」

 

 迷ってる感じのリオさんの袖を、セイアお姉ちゃんがそっと引いたの。

 

 

「……セイア?」

 

「無意味なことだとは思うが、偶にはこういうものも良いものさ。意味のないことで、みんなとはしゃげる。バカみたいだが、バカすることは案外楽しい」

 

 そのまま、リオさんを連れて、セイアお姉ちゃん自身もそっとマキちゃんの頭を顔を埋めたの。

 

「わっ!?」

 

「少し失礼するよ……。オレンジの香りのシャンプーを使っているんだね、キミは」

 

「な、何だか恥ずかしいなぁ」

 

 お姉ちゃんのえっちな波動を感じちゃったマキちゃんは、テレテレしながらモジモジしてたの。

 

 でも、モゾモゾしながらも受け入れられてたから、マキちゃんはきっとえっちなお姉ちゃんに強いタイプの女の子だったんだよ!

 

「ほらリオ、キミもだ」

 

 お姉ちゃんに促されて、リオさんはおしっこ出ちゃう時みたいな顔をしながら、お姉ちゃんの頭に顔をそっとくっ付けてた。

 

 よし、これでみんな仲良しさんだね!

 

「おう、邪魔するぞー。お前ら……何やってんだ?」

 

 けど、まだお客さんは途切れなくて、今度はネルさんって人が現れたの。

 

 アリスちゃん曰く、チビだけど強いって紹介してくれた人だよ! エロゲーの傾向的には、お尻が弱いタイプのロリ……この人ちっちゃいけど、ロリって感じしないね、何でだろうね?

 

「……分からないわ」

 

「リオ、照れなくて良い。見てわかる通り、みんなと仲良くしているだけだよ」

 

「いや、分かんねーよ」

 

「確かに滑稽に見えるかもしれないが、仲良い以外に何に見えるんだい?」

 

「あー、何だったかな。この前見たB級映画の……。あー、そうだそうだ」

 

 頭をガシガシ掻いて、ミニマム番長さんなネルさんは、何かを思い出したみたいに手をポンと叩いたの。

 

「ムカデ人間っぽく見えてるぞ、お前ら」

 

 そんなネルさんの無遠慮な一言で、なんか皆んなは嫌な顔して、仲良し女子高校生列車は解体されることとなっちゃったの。

 

 ……ムカデ人間って何だろうね。

 スマホで調べたら、何かわかるかな?

 

 

 

「ナゴリが近くにいると周りのがバカになる光景、久しぶりに見たな」

 

「……教育上不適切な存在ね」

 

「待て、今回は俺じゃなくてメブガキが原因だ」

 

「? お兄ちゃんのIQは、定期的に2になるよね?」

 

「もう生えてねえよ」

 

「お兄ちゃん、かわいそう……」

 

 お兄ちゃんのおにんにんは、もう戻ってこない。

 何となくだけど、そんな気がするの。可哀想だね?

 

 だからね、清い身体のお兄ちゃんが貞操を捨てるには、もう先生に姦通してもらうしかないんだよ?

 

「可哀想じゃないし、まあ楽しんでるさ」

 

「……そうみたいだね!」

 

 けど、おにんにんを失っても、お兄ちゃんはお兄ちゃんだった。

 

 周りを見ると、お兄ちゃんの友達がいっばい。

 きっと、ミレニアムで楽しい学校生活を送れてるんだね。

 

 そっか、それなら……。

 うん、仕方ないね。

 

「お兄ちゃん、たまにはトリニティに遊びに来てね!」

 

「メブキこそ、いつでもミレニアムに来いよ」

 

 少しお話してた、お兄ちゃんと一緒に暮らすこと。

 それはちょっと、難しそうだった。

 

 私もお兄ちゃんも、それぞれの学校が大好きみたいだから。

 

 でも、ちょっと安心しちゃった。

 お兄ちゃん、ここのみんなが居ると楽しそうだし。

 

 ちゃんと、幸せな形があるって、伝わってくるもんね。

 

「今度は私の友達たちを、たくさん紹介するね?」

 

「おー、楽しみにしてるな」

 

 そんな会話をしている中で、密かに響いていたカタカタカタってタイピング音が、急に止まったの。

 

 思わず、音のしてた方を見ちゃう。

 すると、そこにはパソコンに向き合っていたリオさんが、おもむろに顔を上げてて。

 

「プログラミングは完成、デバッグも終了よ」

 

「つ、つまりは?」

 

「──完成、したわ」

 

 リオさんの言葉に、美少女力学同好会の部室は、わーって沸いたの。

 

 それは、エロゲーのプログラミング、最終工程を担当していたリオさんからの、やり遂げたって報告だったから。

 

 心が何だかワクワクしてきちゃうね!

 

「今、ディスクに焼き付けたわ。……これよ」

 

 そっと差し出されたCDを、お兄ちゃんは受け取って。しげしげと眺めた後、満足げに頷いてから、それを私の方に差し出したの。

 

「ほら、約束のエロゲーだ」

 

「……最初のなのに、いいの?」

 

「お前のために作ってたんだ、良いに決まってる」

 

 お兄ちゃんの言葉に、私は頷いて。

 箱に入れられたCDを、そっと受け取った。

 

 それを、お胸で抱きしめる。

 とってもとっても、気持ちが込められてるものだから。

 

「今から楽しみにしてるね」

 

「おう、存分に楽しんでくれ。……あっ、感想を直に言われると恥ずかしいから、エロゲー批評空間にでも書いといてくれ」

 

「お兄ちゃん……キヴォトスにはエロゲーが無いのとおんなじで、エロゲー批評空間ってサイトも存在しないんだよ」

 

「…………マジで!?」

 

 

 今日は、懐かしい大切な人に、大切なものを贈ってもらった日。だから、何だか特別な気分になっちゃう。

 

 愛を、形にして貰った気がしたから。

 

 

 お兄ちゃん、それに美少女力学同好会の皆さん!

 ありがとう、なんだよ!!

 

 


 

 

 ガタンゴトンって揺られてた。

 私たちは今、帰りの電車に乗ってたから。

 

「メブキ、何でセイアはいないの?」

 

「なんかね、イマジナリーお姉ちゃん棒について、ヘルメット団の人たちと裁判してるんだって*1

 

 4人席に私と先生、コハルちゃんにハナコちゃんって組み合わせで座ってたの。

 

 因みに、お子ちゃまなコハルちゃんは、一生懸命にあちこちを巡って疲れ果てちゃって、ぐっすりスヤスヤ中なんだよ。お子ちゃまだね?*2

 

 でも、色々あったらか、気持ちは分かっちゃう。

 

 腕時計を返しにゲーム開発部に行ったり、ヒマリさんと会えたり、他にもヴェリタスとかお世話になったところに、ご挨拶に回ったり。EXPOの見てないところを、最後に駆け込みで見に行ったりもしたし。

 

 終わってから、全部楽しかったって振り替えれるように、みんなで一生懸命頑張ったんだよ!

 

「むにゃ、むにゃ……はな、こ、めぶ、き……つぎ、こっち……」

 

「ふふ、楽しかったですね、コハルちゃん」

 

 ……べ、別に、ハナコちゃんに頭なでなでされながら寝てるコハルちゃんが羨ましくて、僻んでたりはしてないからね?*3

 

「でも、どこか既視感があるなって思っていたけど、ナゴリとメブキが姉妹だったなんて、正直びっくりしたよ」

 

「……先生は、お兄ちゃんのこと、知ってたの?」

 

 けど、このまま仲良しな二人を見てると、どうしてか私の内なるNTR力が発露されちゃいそうだから、そっと視線を外して先生と会話し始めたの。

 

 お兄ちゃんのこと、先生はどう思ってるのか、気にもなってたし!*4

 

「メブキのお兄さんだったってことは知らなかったけど、花風ナゴリって女の子のことは知ってたよ」

 

「エロゲー作ってることも?」

 

「……危うく、声優デビューさせられそうになったからね*5

 

「!?」

 

 やっぱりお兄ちゃんは、目の付け所が素晴らしかった。私も、先生の癒しイヤラし優しみボイスは、全世界の女の子に通用するって思ってたもん!*6

 

「男の子役か女の子役か、どっちだったの!」

 

「受けなかったよ、その依頼は」

 

「にゃんで!?」

 

「流石に18禁のコンテンツに出演するのは、先生的にはちょっと……」

 

「にゃーん……」

 

 でも、残念なことに、先生は自分の才能を開花させることなく、自分のお嫁さんのために取っておく事に決めてたみたい*7

 

 ……ちょっと残念、先生の18禁ボイスが聞けるようになるのは、卒業後になっちゃいそうだね*8

 

「でも、言われてみれば似てるね」

 

「猫さんなところが?」

 

「そっちじゃなくて……」

 

 優しいお顔を浮かべてた先生に、そっと頭を差し出す。すると、やっぱり先生は優しい手つきでなでなでしてくれたの!

 

 えへへ、いっぱい落ち着けて、気持ちいい手。

 やっぱり、先生はナデポ真拳の伝承者だったんだね!*9

 

「えっちだけど優しくて、色々なことに一生懸命で、みんなのことが大好きで、みんなに好かれているところ」

 

 そうして、ナデポしながら先生は、私とお兄ちゃんのことを褒めちぎり始めたの。確実に私を妊娠させにきちゃってるみたいな気持ち良さが、私を襲っちゃう*10

 

 ……普通に照れちゃうから、そこまでするのは反則なんだよ?

 

「先生、それ以上優しくされたら、もう私は先生のお嫁さんになるしかなくなっちゃうんだよ?」

 

「生徒とは結婚できないんだ、ごめんね*11

 

 ルート分岐の時間だなって思って、妹メブキからお嫁ブキに転職しようとしたんだけど、どうしてか先生はナデポをやめちゃって、何でかごめんなさいをしたの。

 

 ……照れ屋さんなのかな?*12

 

「今は赤ちゃん産むと危ないから、もうちょっと大きくなってからってことだね?」

 

「メブキ、エッチなのはダメだよ」

 

「しけぇ……」

 

 どうしてか、先生の言葉に反応して、コハルちゃんが寝言で先生とのエ駄死コンボを決めてきちゃったの。私よりも、自分の方が先生のお嫁さんにふさわしいとでも言うみたいに。

 

 ふ、ふへへ、流石はコハルちゃん。

 予想外のところからの一撃なんて、NTRの素質がありまくりだね?*13

 

「メブキも日々成長してるけど、またまだ成長できる余地はあるね」

 

「……身体の話?」

 

「心の方が主眼かな」

 

 先生は、私の身体よりも心の方を欲しがってるみたいだった。

 

 ……てっきり、私の身体がお目当てなんだって思ってたから、何だか意外だね*14

 

「じゃあね、いつかハナコちゃんみたいに、身体も心も素敵な女の子になるから、その時にもう一回言うね!」

 

「生徒とは結婚できないんだ、ごめんね」

 

「未来の返事を、今しちゃ駄目なんだよ!」

 

 先生はせっかちの早漏さんだったから、間違って今のロリロリメブキを見て返事をしちゃったの。

 

 もう、本当に仕方のない先生なんだから!

 恋人さんになったら、一緒に早漏改善トレーニングしようね!!*15

 

 

 

 

 

 そうして、私はついに帰ってきたの。

 愛しの母校、トリニティ総合学園に!

 

 軽く深呼吸すると、紅茶とお花の匂いがする。

 帰ってきたんだなって、そんな気になれるよ!*16

 

 ミレニアムはとっても楽しかったけど……やっぱり、私はトリニティが一番落ち着く。

 

「よしっ、お家に帰らなきゃ!」

 

 けど、そんな感慨に耽っている暇なんか無くて。

 だって、お兄ちゃんに渡して貰ったものを、誰より早くプレイしなくちゃいけないから!

 

「二人とも、遠慮せずに上がってね!」

 

 お家の中は静かで、お姉ちゃんの姿はない。

 イマジナリーお姉ちゃん棒訴訟で、まだミレニアムに留まってるから*17

 

「はい、お邪魔しますね♡」

 

「お邪魔します」

 

 でも、代わりに親友の二人が居るから、寂しくなんてないの!

 

「ようこそだよ、コハルちゃんにハナコちゃん!*18

 

 みんなで、お靴を揃えて玄関を上がる。

 そのまま、手洗いうがいをしたら、すぐに私のお部屋にお誘いしたの。

 

 ……えっち目的で、二人をお部屋に連れ込んだとか、そういうのじゃないよ?

 

 えっちなものは、やる予定なんだけど!*19

 

 

「ふふ、メブキちゃん。無事にお宝は手に入れられたのですね」

 

「いつの間にか手に入れてたわよね、それ」

 

「二人とも、ごめんね。エロゲーが隠されてた美少女力学同好会の部室は、リオさんって人の隠れ家でもあるらしくて、関係者以外はあまり立ち入らないでくださいって言われちゃってたの」

 

 そう、美少女力学同好会の部室は、意外と入場制限がされちゃっていた。きっと、えっちなものが沢山あるから、素人が入ったら大惨事になっちゃうのを危惧してのことなんだろうね*20

 

 だからね、私だけがお招きされて、コハルちゃんとハナコちゃんはパーティーから外されちゃってたんだ。

 

「別に良いけど……」

 

「そう言いながら、ずっと不満を言い続けていましたよね」

 

「ち、違うわよ! あれは、メブキがえっちな迷惑を掛けないか心配してただけだし!」

 

「清楚王メブキだから、そんな心配は必要ないんだよ!」

 

 でも、旅の最後で外されちゃったら、ムッてしちゃう気持ちも分かる。

 

 私も、エロゲーでトゥルーエンドがあるはずのゲームで、それが実装されてなかったら、とっても頭の痔が切れちゃいそうになるし*21

 

 だから、ごめんなさいって気持ちもあるから、今日は二人を私のお部屋に招待したの。

 

 せめて、手に入れた宝物は共有したいなって思ったから。

 

「でもね、最後まで一緒じゃ無くてごめんなさいってことでね……一緒にエロゲーをプレイして欲しいの!」

 

 せめてものお詫びにっていうのと、いつもえっち本を持ってきてくれるコハルちゃんやハナコちゃんに、エロゲーを布教したいって気持ち。

 

 両方合わさって、何かドキドキしちゃってたの。

 

 私が好きなもの、二人にも好きになって欲しくて。

 どうかな、どうかなーって、二人の方をチラチラしちゃう。

 

 するとね、コハルちゃんはしょうがないんだからって顔をしてて、ハナコちゃんもニコニコ笑顔で。

 

「元々そのつもりで部屋に来たんだから、今更追い出されても困るでしょ!」

 

「私たちは、お互いのエッチなモノを、共有し合う仲ですからね」

 

「そ、外でそんなこと言ったら、本当に許さないんだから!」

 

「私たちだけの、ナイショのパーティーですね♡」

 

「オープンスケベのハナコは死刑!!」

 

 でも、二人とも分かってくれてた。

 私の好きなモノ、共有されてくれる気なんだって。

 

 そう分かったら、胸の内がパーってなったの。

 嬉しくて、ワクワクで。

 

「にゃーん!」

 

「わっ、きゅ、急に抱きついてきたりして、何するのよ!」

 

「二人は私の親友で、大好きが止まらなくなっちゃっただけなんだよ!」

 

「あらあら、今日のメブキちゃんも可愛いですね」

 

「ハナコちゃんも、コハルちゃんも素敵だよ!」

 

「そ、そんなこと言って褒めても、絶対にえっちな行為はしないんだから!」

 

 コハルちゃんもハナコちゃんも、以心伝心おまんまんで繋がってる、大切な親友だって、二人は何度でも教えてくれる。

 

 二人にわからせられちゃう度に、私の心はダブルピースしちゃう。嬉しくて、えへ顔ビデオレターを撮影したくなっちゃうの。お姉ちゃんに送ってあげるね?*22

 

 だからね、本当にこの二人と、親友さんになれてよかったって、心の底から思っちゃうのです。

 

 

「そういう訳だから、パソコン、起動しちゃうね?」

 

「……す、すればいいじゃないっ」

 

「ふふ、今から楽しみです」

 

 だから、私の大切なモノを一緒できるように、プルプルする指先で、私はパソコンを起動させたの。ドライブに、お兄ちゃんから貰ったディスクを挿入して。

 

 

 それで、それでね?

 私たちは、一つの世界に飛び込んだの。

 

 起動したエロゲーは、90年代なグラフィックで、何だか選択肢が難解で、ちゃんとフラグを踏まないと、女の子は不幸になっちゃうゲーム。

 

 不自由で、大変で、不親切なゲームだった。

 ……でもね、何だか懐かしい。

 

 作ってる人の熱い心が伝わってくる、そんな情熱の籠ったゲーム。

 

 女の子が可愛くて、ストーリーにドキドキして、何だかんだでえっちくて。

 

 泣いて笑って、最後はちゃんとハッピーエンド。

 寝ずにみんなでプレイして、終わった後に抱いたのは──旅を終えた達成感と楽しかったって沢山の気持ち!

 

 久しぶりに、エロゲーマーの私がウズウズしちゃう、そんなゲームだったの。エロゲーって、やっぱり素敵だねって!

 

 お兄ちゃん、それから、このエロゲーを作るのに協力してくれた皆さん、とってもとっても楽しかったです。

 

 本当に、ありがとうございました!*23

 

 

 

 

 

 ……こんなゲームした後だと、なんかムズムズしちゃうね。

 

 えっちな意味じゃなくて、私も何か作りたいなって、そう思っちゃうの。

 

「ね、コハルちゃんにハナコちゃん」

 

「なに、よぉ……」

 

「メブキちゃん、一旦眠りませんか?」

 

 徹夜でエロゲーを完走した二人は、とっても眠そうに目をショボショボさせてた。

 

 うん、付き合ってくれて、ありがとーだよ。

 でも、もうちょっとだけ、付き合って欲しいな。

 

「ごめんね。でも、先っぽだけでも聞いて欲しくて」

 

「早く……言いなさいよぉ……」

 

 うつらうつらしてるコハルちゃんのためにも、私はささって、思ったことを話したの。

 

「──私もね、なんかこういうの作りたいなって!」

 

 ドキドキってしながら、自分のしたいって気持ちを出したの。

 

「こづくりの、こと? しけぇよ……」

 

「多分、ゲームのことです」

 

「ゲームの方だよ!」

 

 コハルちゃんは、さっきやったゲームのエンディングが染みてるみたいで、私が子作りしようと画策してるって勘違いしちゃってた。

 

 でも、ハナコちゃんが軌道修正してくれたおかげで、何とか気持ちを伝えられそう!

 

「私もね、みんなを楽しませてあげられるような、そんな物語が書きたくなったの!」

 

「かけば、いいでしょ……」

 

「えっとね、その……。さっきみたいなゲームは、私だけじゃ作れなくて……」

 

 なんて言えば、うんって頷いてくれるかなって考え始めたら、何だかモジモジが止まらなくなっちゃう。

 

 ヤダって言われたら、悲しみの雌叫びが出てきちゃいそう。けど、そんな私に、ハナコちゃんはそっと頭を撫でてくれて。

 

「メブキちゃんは、私たちとも一緒につくりたいんですね」

 

「そうなの!」

 

 優しく導かれちゃうみたいに、ハナコちゃんの言葉に頷いた。まさにその通りで、私もみんなと、こんな素敵なモノを作りたいって思ったから!

 

「だからね、もし良ければなんだけど……。私と、えっち本を共有する仲だけじゃなくて、エロゲーを製作する仲にもなって欲しいの!」

 

 今回の冒険は、色んなことが沢山あったの。

 その中でね、特にそうだって思ったのは……仲間がいなきゃ、始まらないってこと!

 

 私もお兄ちゃんも、きっとそう。

 誰かの手を取らなきゃ、走り始められないの。

 

 でも、手を繋げられたら、どこまでだって行ける。

 それが、コハルちゃんやハナコちゃんなら特に!

 

 だから、一番大切な親友2人に話したの。

 胸のウズウズが止まらなくて、居ても立っても居られなかったから!

 

 そんな私に、眠そうな目だけど、コハルちゃんもハナコちゃんもお返事をしてくれた。

 

「……止めても聞かないじゃない、あんたは」

 

「メブキちゃんとなら、それもきっと、楽しいでしょうね」

 

「〜っ、2人とも、ありがとうだよ!!!」

 

 そのお返事を聞いて、ガバッ(おまんまんが破ける音じゃないよ!)*24て、2人を抱きしめちゃってた。

 

 嬉しくて、ワクワクで、ドキドキってする。

 昨日までも、今も、明日からも、きっと楽しい。

 そんな気持ちで、胸がいっぱいだから。

 

「……もういいでしょ。ねるから、ね」

 

「うん! 狭いけど、両手に花さんしたいから、3人一緒にすやすやしよ!」

 

「メブキちゃんの頼みなら、断れませんね」

 

 そうして、3人でぎゅーぎゅーになりながら、ベットの中に潜ったの。狭いけど、そんなことすら楽しくて、嬉しくて!

 

 えへへ、何だか幸せいっぱいだね?

 

 

 

「ところで、なんですが」

 

「……うにゃ?」

 

 そうして、コハルちゃんはあっという間にぐーぐーしちゃって。私もウトウトしてたところで、ハナコちゃんにあのねって話しかけられたの。

 

 ぼんやり頭で、耳を傾ける。

 すると、眠くても頭に入ってくるお姉様ボイスで、ハナコちゃんは質問してくれたの。

 

「メブキちゃんは、どんな物語を作りたいんですか?」

 

 ハナコちゃんの問いかけに答えるために、胸のワクワクを探ってみる。

 

 私が作りたいものって、どんなのだろうって。

 するとね、答えは簡単に見つかったの。

 

 お兄ちゃんが物語で形にしてたものが、ハッキリしてたから。私も、そんなモノを形にしたいって思った。

 

「自分の好きを、形にしたいなって思ってるの」

 

「好き、ですか?」

 

 コクコクって頷く。

 私がワクワクドキドキしたのは、好きが伝わってきたから。

 

 好きには、本当に色々な形がある。

 色んなところに、色んな人の好きが広がってる。

 

 これって素敵って、みんなが案外表現してるの。

 世界はね、実は愛で満ち溢れてる*25

 

 このエロゲーにだって、そんなカケラを詰め合わせてる。そんな形が良いなって、思っちゃったのです。

 

「好きを正しく伝えるのって、素敵だから!」

 

 結構、それって難しいことだと思うから。

 その好きで、他の人を楽しくさせちゃうなんてことは、もっと難しいって思う。

 

「だから、格好いいなって思ったの!」

 

 私の言葉に、ハナコちゃんはクスクスしながら頭をなでなでしてくれた。お姉様なハナコちゃんに沢山撫でられてる私は、世界一幸せな妹だね?*26

 

「ええ、確かに。それは格好いいことですね」

 

「うん!」

 

 見解の一致、音楽性の違いみたいな理由で解散することのない。そんな絆が、育まれてくのを感じて、ニコニコしちゃう。

 

 そんな私に、ハナコちゃんは尋ねたの。

 

「……でしたら、メブキちゃんの好きな形は、どんなものになるのですか?」

 

 尋ねられたことに、私はえっへんと答えることができたの。だってそれは、考えるまでもないことだから。

 

 私が一番好きで、形にしたいこと。

 それは──。

 

「私はね、大好きなみんなのこと、物語にしたいよ!」

 

 それが、私の好きの形だから。

 一番の好きを、形にしたいから。

 

「だからね、題名をつけちゃうんだったら、それは……」

 

 色々な思い出が、頭の中を駆け巡ってくる。

 色んなことが、懐かしく感じる。

 

 その中で、私が掬い上げたのは……。

 

「──コハルちゃんとは、えっち本を共有する仲なんです!*27

 

 最初の、私に手を伸ばしてくれたコハルちゃんのこと。

 

 後にも先にも、あれが運命って思ってる。

 キヴォトスで私の何かが始まったのなら、あの時以外にない筈だから。

 

 だからね、隣でくーくー寝ちゃってるコハルちゃんをギュッとしたの。

 

 やっぱり、コハルちゃんが私をあの屋上から、連れ出してくれたんだって思って。

 

「……素敵な題名だと思います」

 

 ハナコちゃんは、コハルちゃんごと私をギュッとしたの。いつもみたいに、お姉様な感じで。

 

 ……でもね、そのギュッには、なんか寂しさがあるような気がしたから。

 

「絶対、ハナコちゃんもヒロインにしちゃうから!」

 

 究極お姉様なハナコちゃん相手に自惚れちゃってるけど、仲間はずれで寂しいって思っちゃったのかもって感じたから。

 

 大胆不敵にそう告げると、ハナコちゃんのギュッが少しだけ柔らかくなった気がした。

 

「……メブキちゃんには、敵いませんね」

 

「えへへ、そんなことないからね!」

 

「うる、さいわよぉ……。ばかばか、めぶき……」

 

 テレテレしそうになったところで、おねぼけコハルちゃんのうにゅうにゅ声が聞こえたの。

 

 私のことをギュッてしながら、コアラみたいな格好でそんなことを言ってるコハルちゃん。

 

 そんな、ねむねむでうにゅうにゅしてるコハルちゃんが可愛くて、私とハナコちゃんは2人揃ってニッコリ笑顔になっちゃってた。

 

 また一つ、好きを見つけちゃったね。

 寝てるコハルちゃんは、とってもロリ可愛いって好きを!*28

 

 

 

 毎日、少しずつ好きが増えていくの。

 勿論、好きだけじゃなくて他にも色々。

 

 それが、どんなことでも、ちょっとずつ自分の世界を塗り替えていく。良いことも悪いことも、全部が私になってくの。

 

 昨日の自分は今の私と変わらない。そんな気がするけど、1ヶ月前の自分とはちょっとだけ違って見える。

 

 何だか不思議だけど、それが成長ってことなのかもしれないね。

 

 ……実はね、ちょっとだけそれが怖かったの。

 良いことも悪いことも、全部が私になっちゃうから。

 

 明日の私は、良い子な私でいられるのかなって。

 突然、イマジナリーお姉ちゃん棒みたいに、グレちゃう私もいたりするんじゃなかなって。

 

 ──けどね、お兄ちゃんのエロゲーをやったら、なんか吹っ切れちゃった。

 

 そんなのが怖いなら、自分の中を良いことで沢山にしちゃえば良いんだって分かったから!

 

 それでね、胸から溢れた好きは、他の人にお裾分けするの!

 

 そしたら、悪いことがあったとしても、周りにそれより大きな好きがあるもんね。きっと、その好きが悪いことを、ちょっと和らげてくれるの。

 

 そういう好きが、最後には愛になって、何かを残すんだって。

 

 だから、まずは好きを語るの。

 形にして、残しておきたい。

 

 私の愛は、ここにあったんだよって!

 

 振り返った時に、懐かしいって思える。

 そんな積み重ねに、憧れがあったから。

 

 

 だから、あの時私は皆んなが大好きだったって、未来でみんなでまた振り返ろうね。それは、ずっとずっと一緒だよっておまじないでもあるから!

 

 だから、約束だよ、みんな!

 もっともっと、幸せになろうね!

 

 


 

 

 拝啓 未来の私へ

 

 今の私は元気ですが、未来の私はどうでしょうか? みんなで先生と結婚できたり、エロゲー開発者として名を上げることはできましたか? 元気が無くなって、乳首がシナシナになってたり、おまんまんが黒ずんでいないか心配です。

 

 ですが、そんなことになっちゃってる私がいたら、時々でいいです。自分の語った好きを、愛を見返してみてください。きっと恥ずかしいと思うけど、そこには今の私の好きと本気を、沢山こめちゃいましたから。

 

 そしたら、分かっちゃう筈です。1人っきりじゃなくて、誰かと一緒できていたら、私は私でいられて、悪いものだってやっつけられるんだって。無敵じゃなくても、大切な人といられたら負けないんだってことを。

 

 私とみんなの幸せが、もっと大きくなっていますように。

 

 かしこ ピカピカ処女の私より

*1
EXPO関連でリオの手伝いをしていたら、予定よりも訴訟がズレ込んでしまってね。……結局、ずっと先生に引率を任せてしまったね。本当にすまない、次の機会にでも労わせてほしい

*2
キミだって、手に入れたゲームが楽しみすぎて、アドレナリンが多量分泌されているだけじゃないか

*3
私が帰ったら、幾らでも相手をする。だから、いい加減少しはハナコ離れをしたらどうだい?

*4
……まぁ、気にならないといえば、嘘になるからね

*5
は?

*6
そんなもの、全世界に発信する必要性がない。わざわざライバルを増やす必要性は、全くと言っていいほどないんだ!

*7
至極当たり前だよ

*8
なんでキミが、お嫁さんになること前提なんだ。流石にキミと言えど、その席は譲れない

*9
そこまで露骨な懇願を無視できるほど、先生は無神経じゃないからね

*10
想像妊娠だとしても、学校中で噂が絶えなくなる。絶対に許されない受胎なんだ

*11
やはり、いま仕掛けるのは不味いようだね……

*12
現実を見た方が良い、ちゃんと振られているんだ

*13
流れ弾で、勝手にダメージを受けるんじゃない

*14
先生が、私より薄いキミの身体に強い興味を抱いているのならば、そちらの方がよほど問題だからね

*15
勝手に先生を早いと断定しないでくれ。……もし早かったとしても、私は気にしないよ

*16
しばらく離れていると、余計に濃く香る気はある

*17
早く決着を付けて、私も帰りたいんだ

*18
済まないが二人共、私が留守の間メブキを頼む

*19
……キミにとっては大事なものだろうからね、止めはしないさ

*20
リオは秘密主義だから、キミを招いてくれただけでも大いなる譲歩だったよ

*21
結局、キミは最後までケイの名前をケツと勘違いしたままだったね。もう臀部に囚われるのは止めてほしい

*22
いらないんだ

*23
……楽しめていたのなら、きっとナゴリも喜ぶだろうね

*24
知っているよ

*25
キミの目が、それを見つけられる良い目をしているからでもある

*26
姉は私だけだと、何度も言っているじゃないか。帰ったら、キミの頭をたくさん撫でるよ

*27
キミの中での、とっておきだね

*28
これからも、新たな好きを探して生きようか。私も、一緒に探そう。キミとなら、そんな生き方が出来る……そんな気がするからね












 追記

 もし、間違って私以外の誰かに、この嬉し恥ずかし妹日記を見られちゃってたら、そっとしまって置いてくれると助かる妹がいたりいなかったりします!(十中八九、お姉ちゃんだと思いますが)

 でも、もし最後の、こんなところまで私の文章を読んでくれてる人がいたのなら、最後に一言だけ。これを書いてる時の私は幸せだから、お裾分けのおまじないです。

 ──どうか、あなたも幸せでありますように!

 優しいあなたへ、エールを込めて
 春風メブキより
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