僕はあの出会いを絶対に忘れないだろう。幼き僕が彼と出会った日の事を……。
「くっそ~! おれさまとした事がこんな星に不時着するなんて。何とかUFOを修理して、だ、駄目だ、腹が減って……」
それは何処から見ても人間じゃないのに言葉を話していて、巨大なトンカチを妙な物体に振り下ろしていたんだけれどお腹が鳴ってヘナヘナと崩れ落ちた。
「だ、大丈夫? リンゴだったらあるけれど……」
この特、お腹が減って苦しそうな彼を見捨てられずに僕は食べ物を差し出した。僕が憧れている英雄は強い悪を打ち倒して女の子を助ける人だけれど、こんな風に困っている相手を助けるのも英雄だと思うから。
強さだけじゃない、愛と献身も英雄に必要な物なんだ。
「お前、英雄なんかになりたいのか? ふっんだー! あのおっ邪魔虫みたいになりたいとか趣味悪いなー! そんなのよりも悪人の方が強いし凄いし格好良いんだぞ!」
「おれさまにメカ作りを教えて欲しい? おれさまが凄いから? ふ、ふーん。まあ、UFOの燃料が中々手に入らないし、暇潰しに教えてやってもいいぞ」
「よーし! これで帰れるぞ。ふっふっふ~! おれさまが居なくて安心している連中を驚かしててやるぞー」
「じゃあ、これでお前ともお別れだな。おれさまのメカの設計図と機材はくれてやるから今後は自分で頑張るんだぞ、ベル。まあ、気が向いたら会いに来てやっても……え? お前がおれさまに会いに来る? へ、へぇ。お前には無理だと思うけれど頑張ってみろよ」
彼と過ごしたのは数年だけれど、本当に楽しい日々だった。オラリオから流れて来る魔石製品とは違ったメカに僕は目を輝かせて一生懸命メカの作り方を習ったんだ。
彼が別の星に帰るって空の彼方に飛び立ってからも故郷でメカを作り続け、彼のメカには程遠いけれど何とか物になっている。
そして十四歳になった日、僕は世界の中心であるオラリオへと故郷から文字通りに飛び出した。
より凄いメカを作る為、何時か宇宙へと旅立つ為に多くの技術を自分の物にする為に。
「行こう!」
乗り込むのはお祖父ちゃんを襲ったモンスターを追い払った彼のメカ……を設計図を元にドリル(って彼が呼んでいた)と爪以外の表部分は木製にして僕が作ったメカ。
彼が作り方を教えてくれた光線銃で倒したモンスターの小さな魔石の欠片を燃料にして、レバーを引けば動き出す。
「もぐりん発進!」
遠い星の彼方に帰っていった友達の名前は"ばいきんまん"。僕はお祖父ちゃんの話に登場するような英雄になりたい、女の子と知り合いたいし……何よりも大きな目的がある。
「僕にも見つかるかな、ばいきんまん? 君みたいに生まれた理由や生きる目的がさ」
多分面と向かって聞いても意地悪な彼の事だし、お前みたいな臆病のヘナチョコに見つかるもんか、とか言いそうだけれどね。
背中に付けたジェット噴射で地上を進むもぐりんは馬よりもずっと速く進んで行く。今は木製で地上のモンスターを倒すのがやっとだろうけれど、オラリオの技術を僕の物にして、珍しい材料を使えば今よりずっと凄いのが作れるだろう。
それこそ何時の日か……。
「絶対に宇宙船を作って君に会いに行くからね。君がアンパンマンを倒すのが先か僕が会いに行くのが先か競争だ」
彼の話に出て来るお邪魔虫ことアンパンマン、愛と献身で人を救い続ける英雄らしい。ちょっとだけ会ってみたいけれど、多分ばいきんまんはそんなの言ったら怒りそうだなあ……。
そんな決意をしてから数日後、徒歩や馬車よりも速くオラリオの付近まで僕は辿り着いて……怖い人達に囲まれていた。
「へぇ。これって空も飛べるのね、興味深いわ」
「は、はい。そこまでの高度は無理ですし燃料も消耗しちゃいますけれど一応は……」
魔石からのエネルギー効率が良いから出力は上がったけれど、本来なら地中を進むメカだからそこまで向いてる訳じゃない。
宇宙船にはその辺の過大をどうにかしないと……。
「フレイヤ様、何があるか分からない以上は危険です」
ばいきんまんにトレーニング器具を作ってもらって鍛えているからこそ分かる、この人達は格が違う。
多分一度映像で見せてもらったスーパーもぐりんかズダダンダンでも使わないと勝負にならない程に強そうな彼等が誰かって言ったら、多分有名なあの人達だよね。
オラリオに君臨する最大ファミリアの一角であるフレイヤ・ファミリア。実際、フレイヤ様って呼ばれていたし。
もう直ぐオラリオが見えて来るって時にそんな人達に囲まれてもぐりんから降りたんだけれど、フレイヤ様は興味深そうにもぐりんの内部を覗き込みながら僕の説明を受け、眷属らしい人達は警戒していた。
「所でベルだったかしら? 貴方、ファミリアは決まっているの?」
「い、いえ。工業系かヘルメス・ファミリアに入りたいなって思っていますけれど……」
本命は後者、万能者の二つ名を持つ人が団長で、様々なアイテムを作れるって聞いている。
工業系で基本的な技術を学ぶのも良いけれど、僕の技術でばいきんまんは星まで向かうには別のアプローチも必要だろうから。
ただ、普通に入れてくれるかどうかが問題なんだ……。
「もぐりんってオラリオの中に入れてもらえるんでしょうか? 今更ながら武装してますし……」
「そう、だったら珍しい物を見せてもらったお礼に紹介状を書いてあげる。それで中に入れてくれる筈だわ」
「本当ですか! ありがとうございます、フレイヤ様!」
「ええ、その代わりに面白い物が完成したら見せてもらうわね」
「所でどんな物が他にあるのかしら?」
フレイヤ様の質問に僕は幾つかの作品をもぐりんの後部を開けて取り出す。
ばいきんまんが残した設計図を元にした自慢の一品、此処で評価を上げれば紹介状に良い風に書いてもらえるかも知れないや。
「先ずはこのカメラ! こんな風に精密な絵を作れます! 作り方を教えてくれた友達は写真ってよんでましたけれど」
「まあ、素敵。皆、ちょっと並んだ所をやってみないかしら?」
「次はこっちの監視用ドローン。こっちの前の光景がこっちに映し出されるんです」
「え? あらあら、これって魔法も神の力も無しなのよね? えぇ……」
」
「最後はこのパワードスーツ! 一度会ったLv.4の人と同じ位動けます」
「……ふぅ。もう何でもありね」
こうして幸運に恵まれた僕は難なくファミリアに入る事が出来た。もぐりんが珍しかったのか乗って来た僕を勧誘する神様だって居たけれど、道案内をしてくれたアレンさん(凄く怖い)が睨みを効かせて追い払ってくれて助かったかも。
あの後でもぐりんの砲口を覗き込んで弄っていたアレンさんがかびるんるんになっちゃった時は焦ったよ。戻って良かったぁ。
それからヘルメス様と団長が少し前に僕のメカの噂を聞いてやって来たっていう怪しい二人だったって驚いたり、現場での性能テストだってダンジョンに行ったら大量のミノタウロスを光線銃で倒す事になってロキ…ファミリアに目を付けられたり、先輩の手伝いで向かった先で大量の人食い花や死んだ筈らしい悪人を撃ち抜いたりと慌ただしい日々、まるでばいきんまんが居てくれた時みたいだ。
それともぐりんでの工事中に人工迷宮に迷い込んで大規模に壊しちゃったりしたっけ。
そんなある日、僕達は存亡を賭けて黒龍に立ち向かう事になった。オラリオ随一の冒険者達や言葉を話すモンスターの共闘、僕だって人工迷宮から分けて貰ったアダマンタイトとオリハルコン製のスーパーだだんだんをオラリオの職人達と共同で作成して立ち向かうけれど、追い詰めたと思った瞬間に復活したリヴァイアサンとベヒモスによって追い詰められた……その時だった。
懐かしい声が聞こえたのは。
「なーにやってんだ、ベル! お陰で借りたくもない手を借りる事になっちまったぞ!!」
見上げた先には不機嫌そうな友達と、その宿敵の姿があった。
最近配信で映画を飛ばし見してね
一度死んでからのテーマ曲の特別バージョン良い
逆転に繋がる時のテーマ曲が
バイキンマン以外で好きな訳はフリーザ様とマユリと天邪鬼