書いた内容が誤操作で全部消えるって怖いね(1敗)
場所は路地裏、人の膝ほどの高さの室外機の上で歩は考えにふけっていた。
「さて、武器をどうやって調達しようか…」
そう、今の
装備を手に入れる手段がほぼないという事である。
装備がない素体状態のエレクトリアの脆弱性は、プレイしていたが故に痛いほどわかっている。
「けどなぁ…ニーカ達みたいに強奪したりするのはなぁ…」
実際、本編でニーカ含む野良エレクトリアが乾と大量の無人エレクトリアに襲撃された原因はパーツの強奪にあった。
今の自分では無人エレクトリア1人相手に出来るかどうかも怪しい、
リスクは犯せないのが現状だ。
「となるとやっぱりアレしか無いなぁ…」
候補として浮かんだのはスクラップ系、俗に言う投棄された廃品である。
「とりあえず近接武器はこれだよな…」
自身の横に置かれた金属のスプーンを見る。
スプーンに自分の顔が反射している。
肩まで伸びた飲み込まれるような黒い髪、褐色とまではいかない程よく日焼けしたような肌、宝石のように綺麗な緑の瞳、自分でも惚れ惚れするような容姿である。
「あらヤダ今の俺彼女より美人かも…」
そんなふざけた事を零していると、不意に路地裏の奥で物音がした。
思わずスプーンを構える。
「おいおい勘弁してくれよ…野良猫に襲われて転生人生終了なんて笑えないぞ…」
そうして身構えていると奥から音の主が姿を現した。
その姿はエレクトリアコードをプレイした人間なら誰でも知っているものだった。
「ハムスターやないかい!」
そう、初心者がお世話になるアイツ、背中にヴァリュアブルポッドらしきものを背負い、ENのバーが振り切れているというインチキじみたステータスを持つ四足歩行のアイツ。
見た目はハムスターだがそのサイズはイエネコ級である。
ペットトイにしてもデカいとしか思えないソイツは、何故かよりにもよって今、自分の前にいる。
「あれ?なんか…ゲームよりデカくね?」
しかし、今自分の前にいるソイツは40cmに届く程のサイズだ、
その背中に小さいヴァリュアブルポッドがチョコんと乗っかっている。
「ゲームのあれ…もしかして小型化成功してアレだったのか?というか、博士は?」
周りを見渡すが、カナザワ博士はもちろん居ない。
「逃げられるのは、昔からだったのか…あの博士…」
目の前のハムスター(?)はおそらくかなり初期の方に開発されたものであると考えられる。ここから予想される事、それは。
「バッテリーの燃費が悪い可能性があるな。」
そう、小型化に成功したであろうゲームのハムスターがあのEN量、つまりはバッテリーの効率が改善されたという可能性、そこから逆算して考えられる可能性、それはあまりにも不確定事実であるが。
「照射レーザーを誘発したらバッテリー切れ起こせるかもな…」
これはほとんど賭けである。下手をすればミサイルの雨を浴び、照射レーザーをその身に受ける事になる。まさに命を懸けた賭け、これにはカイジもにっこりである。
「さぁ!こい、齧歯類!」
張り上げた声に気付いたのかハムスターの視線がこちらに向く、恐怖で逃げたくなるが何とか踏みとどまる。
膝の震えが止まらない。
汗をかかないハズなのに冷や汗をかく錯覚に陥る。
やがてヴァリュアブルポッドの砲身が此方を正面に捉える。
砲身内に光が満ち、そして。
ズズウウウゥゥン…
ハムスターが突然倒れ伏した。
「………………………ハァァァ…」
途端に体から力が抜け、その場に座り込む。
賭けに近かった予想は見事に的中、ハムスターのバッテリー消費が激しかったのか残量が少なかったのか、はたまた照射レーザーを発射するためにエネルギーを使い果たしたのか、とにかくバッテリー切れを起こしハムスターは機能を停止したのだ。
「さて…これどうするか…」
動かなくなったハムスターを見ながらそう呟く、その時とある考えが頭に浮かんだ。
「こいつのヴァリュアブルポッド使えるのか?」
思い立ったが吉日、早速ハムスターの背中に登り外せるか確かめる。
どうやら規格はエレクトリアと同じようだ。
「すまんなハムスターよ、コイツは俺が有効活用するよ。」
自分の背中にヴァリュアブルポッドを背負いながら動かないハムスターに向かって言う。
「とりあえず遠距離武器は照射レーザーとミサイルか、悪くないな、と言いたいところだが…手持ちの射撃武器も欲しいな…とりあえず路地裏から出るか」
今考えればかなりの収穫なのだが、やはりゲーム脳が抜けないのかそんな欲深い事を考えている歩を、離れたところから見つめる影があった。
まだまだ短めですが暖かい目で見守って頂けると幸いです。