諏訪大戦の終結と別れ
洩矢諏訪子と、八坂神奈子の二人は力の限り戦い続けている。神人たちはフルボッコにした神奈子の部下を尻目にずっと観戦していた。ただ一人小裁を除いて。小裁はずっと神人の再生した右腕を見ていたのだ。なぜ本人から復元されたはずの腕に力が無いのか。それだけをずっと気にしていたのだ。
しばらくすると神奈子の放った御柱が諏訪子に直撃して諏訪子は落下して来た。それを神人が空中で掴んで降りてきた。どうやら再生した右腕は霊力や妖力は無くても生活には問題なさそうだ。しかし、妖力も無いのに妖怪と同じ位の腕力が未だに残っているとはどうゆうことなのだろうか。
「謎ね。」
「ん?何がだよ。」
「あんたの腕よ。」
その時神人が一瞬ビクッとしたことの理由を後で豊魅が聞いたところ、「生きたまま解剖されるかもと思った」らしい。どちらにせよ死なないじゃろ、と豊魅は口には出さなかったが思った。
数分後、神人たちは諏訪大戦が終わり、信仰とフルボッコにされた部下達をどうするか話し合っていた。
結果は神社を併合し名前を変えると、操られていた部下は自業自得ということになった。
その次の日。
「なぁ、小裁。お前の多重人格治してやろうか?」
「はぁ?何よいきなり。そりゃあ治したいけど月の科学で治らなかったのをどうやって……」
「こうやって。ちぇいさぁー!」
ゴッ!と鈍い音がした。神人が思い切り頭にチョップしたのだ。小裁は頭を抑えうずくまっている。
「よし治った。」
「治るかァ!」
ザクッ!今度は小裁が天羽々斬で頭をぶっ刺した。不死でも流石にこれは痛い。
「痛てぇ!」
「これでおあいこよ。」
「どこがだよ!」
「何言ってるの?私はか弱い女の子なのよ?」
「クソ強いババアの間違いだろ。」
無言で天羽々斬が振り下ろされる。しかし、間一髪でかわし一目散に神人は逃げた。実際神人の方が前世を合わせると小裁より年上だが、正直五十歩百歩もいいところである。
その時二人の喧嘩を見て、縁側でノアが「仲いいなぁ……」と呟いて豊魅が「どう見たらそうなるんじゃ!?」と酒を噴出しそうになったらしい。
更に数日経ったある日、諏訪子と神奈子の頼みで神社を掃除していると外に一通の手紙が落ちていた。豊魅宛の手紙で、どうやら生き残りと新しく誕生した妖怪とで作った集落のようなものに呼ばれたらしい。手紙の差出人は豊魅の姪。吉祥天の鬼灯
「神人、お主らとはここでお別れになるがまた一緒に酒でも飲もう!」
「おう!お前と酒飲んだ覚え無いけどな!」
「およ?そうだったかのぅ。まあ、またいつか会おう!」
神人もそろそろ旅を再開する準備を始めなくてはと思っていた。あまり諏訪子に世話になり過ぎると悪いからだ。
その日の夜、神人がその事を諏訪子に伝えた。しかし、引き止められた。
「えぇ?!また旅をするって!?」
「そうだ。そろそろ行かないといつまでも世話になるのは悪いしな」
「私は大丈夫だよ!もうちょっとここに居てよ!」
「すまないが、やる事が有ってな。明日にはもうここを出る。」
「……わかった。じゃあ最後に小さいけど宴会でもする?」
……その日の宴会で小裁の酒癖の悪さを痛感したのはこの際余談である。