上半身何も着ていない状態で神人がノアのところへ戻った。ノアがめちゃくちゃ心配していたが、特に何も無かったのでほっとしたようだ。ルーミアは……目を覚ましてはいない。神人カレーの威力は凄まじい。
「さて、鼻が良いのは分かったから人の居るとこまで行くか!」
「そうね。あ、でも服は?」
「後でどうにでもなるさ。能力使えば問題無し!」
「凄い無駄な使い道な気がする……」
「構わねぇだろ?俺の能力なんだからよ。」
神人とノアは歩き出した。毒牙は自身を蛇の姿に戻して後をつけている。だから神人もノアも気が付かない。
(何?あの女。まさか……だとしたら消さないと……)
「……?」
「ん?どうしたノア。何か居るのか?」
「いや、気の所為だった。行きましょ。」
焦って木の裏に隠れていなければ見つかって居るところだった。ノアの能力の内、『危険感知』能力は動物の特徴を体に発現させていなくとも発動している。彼女に気付かれずに攻撃するのは至難の業だ。
「都はあっちか……」
「うーん……なんか居るの?さっきから変な感じが……」
「毒を吸いすぎたんじゃねーか?だとしたら治療くらいはやってやるが……」
「ううん。違う。なんかつけられてるような……」
「ははは!気の所為だろ!」
笑い飛ばしたが実際つけられてるのは事実である。毒牙は蛇の姿のまま、都まで先回りをするため、迂回して先に進んだ。都まではもうすぐだ。
「おぉ、着いたな。しかし……尻尾を出したままじゃダメだし服がなぁ……」
「力が回復するまで待つ?」
「うーむ……どうするか……」
「なんなら私の服を……」///
「うん、サイズ以前の問題だからな。」
チッと舌打ちが聞こえた気がしたが、気にしないことにした。しばらく待つ事で服を創造する位なら出来る程回復したので新しく作り直し、青い帯を巻いて都に入った。ルーミアは米俵の様な入れ物に隠している。
「賑やかだなー。」
「お、あんたもかぐや姫様に求婚かい?」
「ん?かぐや姫?……かぐや……輝夜!?まさか!おい、あんたそこに案内してくれ!」
「え、あ、あぁ……おぅ。」
着いた場所は巨大な屋敷。しかも入口に退魔の札がべったべた貼ってある。これでは神人やルーミアは入れない。いや、神人は次元神力で誤魔化せるがルーミアはどうしようもない。門番も居るので剥がして入るわけにも行かない。
「うーむ……あ、そうだ。何も無理矢理入っちゃだめな訳じゃねーよな。」
「まさか……結界をぶっ壊すの!?」
「穴を開けて元に戻す。あ、でもルーミア入り米俵を突っ込むだけだからな。」
門番に神人が話しかける。その間にノアが空いている穴に米俵を放り込んだ。
「駄目だ、入れるわけには行かないな。」
「う……じゃあよ、今すぐ輝夜姫に伝えてくれ。研究員兼戦闘員朧蒼が参りましたってさ。」
「……わかった。」
しばらく待って居ると門番が焦りながら「早く入れ!姫様がお待ちだ!」と叫んだ。やはり神人の知っている輝夜本人だったようだ。ノアも連れとして、入れてもらった。
「お久しぶりです輝夜様。」
「あら、声変わった?……姿も違うじゃない。しかもなんでそんな喋り方してるのよ。」
「あ、やっぱ違和感あるか?じゃ、普通に。」
「びっくりした……神人が敬語とか気持ち悪い」
「神人?朧蒼じゃないの?」
「名前変わったのさ。ま、好きに呼べよ。」
輝夜は簾を上げて、立ち上がり神人とノアに歩み寄ると深呼吸をし、こう言った。
「知っていると思うけど、名乗らせて貰うわ。私が……蓬莱山輝夜よ。貴方達に頼みがあるの」
月明かりに照らされた部屋で輝夜の土下座だけが目立っていた。
輝夜は立ち位置的に朧蒼の上司にあたります