その対決からさらに1週間が経った終業式
一ノ瀬は温泉旅行が待ち遠しくて浮かれていた
終業式が終わってすぐさまLHRが始まった
「君たちはこれが最後の夏休みになると思うが、この夏休みを有意義に過ごして最高の青春を作って欲しい、僕からの話は以上!」
いつにも珍しく手短に話を済ませる溝呂木先生
「おわったぁ~」
「最後の夏休みか~」
担任の話が終わったと同時に生徒の気が緩む
「夏休みか~今年は温泉旅行とか行くし充実しそうだな~」
気が抜けたかのように外を眺める智也
その智也を見て誰かに伝言を頼まれたのを思い出した溝呂木は智也に声をかけた
「おーい!大京!生徒会の首藤が君を読んでいるから早く行ったほうがいいんじゃないか?」
首藤に呼ぶように伝えられた事を思い出し伝える溝呂木
「あっ、そ、そうだった!今行きます!」
智也は生徒会室に急いで向かった
生徒会室にて
智也は首藤に呼ばれたとおりの時間になんとか生徒会室に滑り込めた
「よくきたの、智也、お前さんが来るのを待っておった」
初対面の割に慣れ慣れしく話しかける首藤
首藤の美麗な容姿に生唾をゴクリと飲み込む智也
「そ…それで、よ、要件は?」
デレデレしているのを隠せないでいる智也
その様子を生徒会室の近くの扉から犬飼と寒河江は盗み見ていた
それに勘づくこともなく、話を進めていた
「温泉旅行に招待する前にちょっとした余興に乗ってもらいたくての…」
「余興?」
余興と聞いて頭をかしげる智也
「そうだの、お主らっていつも夜な夜な峠で車を転がしてるのであろう?」
智也らが峠で走っていることを指摘する首藤
「そ、そうだが、それが余興と何の関係が?」
関係性を問う智也
首藤が答えようとした時、しびれを切らした犬飼は生徒会室に押し入った
「智也~なに、他の女と楽しそうに話ししているわけ?殺しちゃうよ?」
妖しい笑みを浮かべている犬飼
「伊介様~ちょっと無理矢理すぎるじゃない?」
犬飼を追うかのように生徒会室に入る寒河江
「こ、この者たちは?」
いきなり入ってきた二人に驚きを隠せていない首藤
「あー、紹介が遅れたな、俺の後ろで抱きついているのが犬飼伊介、それで俺の右隣にいるのが…」
「寒河江春紀ってんだ、よろしく~」
寒河江は自己紹介をした
紹介が終わると同時に首藤と同じく生徒会の神長が生徒会室にやってきた
「涼、すまない、遅れてしまった。で、こいつらは誰だ?ここは生徒会以外立ち入り禁止だ」
お堅い神長は生徒会でない智也、犬飼、寒河江が来ていることを少し邪険に見ている
「私が招待した客人での、そんなに邪険に扱わないでやってくれるかの」
「わ、分かりましたよ。」
いやいや納得するも、智也に睨みでプレッシャーをかける神長
「話がそれてスマンの、それで余興なのだが、このワシと香子のチームとレースを興じてくれぬか?」
レースの提案をする首藤
「ま、待て!涼!車があるお前はいいかもしれないが私は自分の車じゃないんだ!」
慌てるように車のことを指摘する神長
「だったら、お主の同居人のイレーナから車を借りればいいではないか」
同居人であるイレーナから借りるように言う首藤
「そ、そうだが…」
「じゃったら決まりだの、場所は今日の夜23時、秋名山のダウンヒル二連戦でどうじゃ?」
「いいだろう」
了承する智也
「私は帰る!」
神長は急いで自宅であるマンションに帰っていった
神長は急いでマンションに帰ると今は寝ているイレーナ先輩に車を貸してくれるように頼んだ
「イレーナ先輩!今日の夜、先輩のハチロクを貸してくれ!」
「ん…なに?」
寝ぼけているイレーナ
「だから、イレーナ先輩!今日の夜ハチロクをかしてほしい!」
もう一度ハチロクを貸して欲しいと伝える神長
「いいよ、使いなよ。今日は仕事仲間と飲みだし」
あっさり許可したイレーナ
その後、神長は嬉しそうにバイトに向かった
「コーコも走り屋の本質を見いだせそうだな、あいつのために車、買ってやるか」
イレーナは携帯を取り出すと知り合いの自動車ディーラーに電話を始めた
「あぁ、俺だ、なんだイレーナか。今日はどうかしたのか」
「ちょっと聞いてくれよ花島~あいつもさ本格的に走り屋になるらしくてなぁ、あいつのために走り屋用の車を用意してやりたいんだがな、何かいい車ないか?」
神長が走り屋になることを嬉しいようにディーラーの花島に報告するイレーナ
「へーあの堅物ちゃんがねえ、よし分かった!俺様頑張って最高のマシンを仕入れちゃうよ!」
「ありがとう、花島。駆動形式はFFか4WDで頼むよ」
「りょーかい!FFか4WDね、早速当たってみるよ」
そう言うと花島は通話を終了し、マシンを探し始めた
一ノ瀬のバイト先にて
一ノ瀬と首藤は神長がやけにハイテンションなことにある一種の恐怖を抱いていた
「きょ、今日の神長さん…や、やけに高気分ですね首藤さん…」
「そ、そうだのお。こ、これはなにか災いが起こりそうだのお」
何か悪いことが起こる前触れだと考える二人
「~~~~♪」
ものすごい笑顔で接客する神長
「晴ちゃ~ん、お客様からラブきゅんコールのオーダーがご指名で入ったよ~♪」
「あっ、はい、ただいま~」
一ノ瀬達は神長を少し不気味に思いながらバイトをこなした
時間は経ち夜23時、METEORのメンバーと首藤と神長は待ち合わせ通りに秋名の山頂付近に集っていた
「よぉ来たの、温泉旅行前の余興といこうではないか」
「涼、初戦は私に行かせてくれないか?」
神長が初戦に出たいとアピールする
「かまわんそ゛、それで智也達は誰を出すのかのぉ?」
首藤は神長を出すと宣言し、智也たちの方の選出を待っている
「誰が行くか?」
チームメンバーに誰が出るかを聞く智也
「どーする?伊介様?」
「アタシ?パス~」
「あの…晴が行ってもいいですか?」
一ノ瀬が出ると立候補する
「晴…あんた正気?」
「あのハチロクはバケモノみたいな性能なのよ、それでもってアンタのロードスターは殆んどノーマルの性能に近いじゃない。それで勝機はあるっていうの?」
一ノ瀬のロードスターがまだ初めて走った時のノーマル状態だとまだ思っている二人
「ノーマル?何昔のことを言っているのですか?あのあと、色々チューニングをしてもらってそれなりに速くなりましたよ?」
チューンアップしたことを口で説明する一ノ瀬
「じゃ、じゃあ、どれだけ速くなったか見せてもらおうじゃない!」
「そ、そうだな伊介様」
METEOR側の代表は一ノ瀬に決まった
「か、神長さん、よ、よろしくお願いします!」
「あぁ、互いにいいレースにしよう」
赤の86トレノと白のロードスターがスタートラインに並ぶ
「カウント5秒前!…3、2、1、GO!」
神長の86がスタートダッシュを成功させる
「や、やっぱり神長さんの86、相当いいチューニングしているのですね。でも私のカプチーノでなんとか出来そうです」
「あのロードスター、中々のマシンだな。イレーナ先輩が仕上げたハチロクに食いついているとは」
86が前の状態で第1セクションの急カーブに突入する
プシャア
ギャアアアアア
ゴアアアア
ブレーキとアクセルの轟音が鳴り響きドリフトを決める二人
この時、両者の車のタイヤの状態はほぼ同等かと思われたが神長の86の方は一ノ瀬のロードスターより少し消耗していたが神長はこれを知らないでこの消耗が勝負の大きな分岐点になることは神長は気づいていなかった
その後、神長が微妙にリードするもタイヤの消耗はほぼ現時点で少し危ないくらいになっていた
「神長さんの86のタイヤ、少し変ですね、この最後のストレートで大きく勝負を仕掛ければ勝てそうです」
一ノ瀬はストレートで勝負を仕掛けるためにタイヤをキープしている
そして運命のストレートに突入する
「一ノ瀬が追い上げてきている…なっ…お、追い抜いただと…まさかタイヤの状態を見抜かれていたというのか」
一ノ瀬に逆転され追いかけようとするもタイヤの状態が良くないせいか追いつけないで第1戦は一ノ瀬の勝利になった
「どうやら香子が負けたようじゃの、さて次はワシの出番と行くとするか」
「涼、こいつら侮っていたら負ける。」
「分かっておる、だからワシもこの時のために用意しておいた180SXで出るのじゃ」
首藤は180SXに乗り込みスタートラインに車を並べる
「伊介様、智也、ここは春紀に行かせて」
既に春紀はエボ3に乗っておりスタートラインに並べればいつでもスタートできる状態でいる
「負けたら今夜は寝かさないわよ♡、ねっ智也、一ノ瀬」
「お、おう(´Д` )」
「そうですね。負けたら覚悟してくださいね」
乗り気な一ノ瀬と犬飼、それに巻き込まれる智也
「(伊介様と智也の責めは耐えてるからいいけど一ノ瀬の責めは耐えられそうにないしなぁ負けられないよなぁ)じゃっ、行ってくる」
「春紀~頑張ってね~♡」
心ばかりの声援を送る犬飼
そして寒河江と首藤のレースは始まった
「一ノ瀬の責めは意外に怖いからなぁ最初からぶっちぎって行きますか」
序盤からハイペースでエボ3を走らせ首藤とかなり距離を取る
「始めからフルパワーとはやるようじゃのぉ。しかし、後半からボロがでそうだのお」
首藤はフルパワーで行く寒河江のエボ3に180SXで離されないように追跡していく
「食いついてきてるな首藤も、一ノ瀬の責めは噂に聞いてみれば冗談じゃないほどやばいらしいしなぁ一気にトドメを刺しに行くしかないか」
後半地点からペースを上げていき首藤にトドメを指す寒河江
「ワシでもかなわんかったか。でも楽しめたから良しとするかの」
トドメを刺された首藤は寒河江と13秒遅れでゴールした
レース終了後
「伊介様~勝ったよ~」
「えっ、負けると思って既に智也の家の部屋借りたのに♡」
「なんだかもったいないです。じゃあどっちみち責めは確定ですね♪」
「あーあ、見てらんね」
理不尽に寒河江が責められることが確定した
「智也、今日はいいレースができてよかったのじゃ、心ばかりの礼というべきか、同行メンバーの宿泊代金を4割引にしておいてやるからの」
「マジで!?いいのかよ!ラッキー。まぁ今日はいい勝負ができた、一ノ瀬も成長できたと思う。今日はありがとうな」
「あの様子では私もお礼を言えそうにないがお前の口からいい勝負だったと伝えておいてくれ」
伝達を頼む神長
「あぁ、伝えておくよ」
首藤と神長のふたりは帰路についた
その後智也たちも家に戻ったが帰宅後は寒河江がとんでもなくいやらしい責めを受けていたらしい
今回はイレーナと神長香子と首藤と花島について紹介します
首藤涼
愛車 日産 180SXTYPE2 (RPS13)
チーム インパクトノワール
ショートカットで昔を生きた人みたいな喋り方をする少女
高校は拓海たちと同じ高校で生徒会で会長職を務めている
香子をインパクトノワールに誘った
副会長である香子とは親友
親戚が旅館を経営している
バイト先は一ノ瀬、神長と同じメイド喫茶
神長香子
愛車 ダイハツ ストーリアX4
チーム インパクトノワール
ツインテールに眼鏡をかけた少女
高校での成績はトップクラスに近い
走り屋を始めたきっかけはイレーナ先輩の走りを近くで見ていて心を惹かれたから
インパクトノワールには首藤に勧誘されて入った
やるからにはなんでも徹底して取り組む真面目で自分の走りを全て記録して修正するべきところをノートにまとめている
バイトはメイド喫茶に勤務している
イレーナ
愛車 トヨタ スプリンタートレノ(AE86)※拓海とは別カラー 区別をつけるためGTウイングを取り付けている
チーム 入っていない
神長の中学生の頃の先輩であり、神長を走り屋の世界に引き入れた色黒の女性
中学を卒業すると神長とは別の高校に進学する
今はセミプロレーサーでそれなりに勝っており稼ぎはある
神長の家が県外なため自分のマンションに下宿させている
花島光輝
愛車 三菱 ランサーエボリューションⅣ (CN9A)
チーム 入ってない
花島チューンを自動車整備士の専門学校のメンバーたちと経営している
値段は結構張るがチューンアップの腕は一品もの
プロレーサーでは犬飼恵介の車をレースや峠で通用する車に仕上げている
最近のお得意さんはイレーナらしい
自分の愛車であるエボ4の仕上がり具合をテストするためによく赤城に出没する