その里を抜け出した東兎角
彼女の走りは相手を恐怖させるものであった
5年前
秋名山にて
兎角は空身の双子の妹でありラリーストである真呼と一緒に秋名山の山頂に来ていた
「どう、兎角ちゃん?この秋名山山頂から見る絶景は?」
「うん!すごききれいだよ!」
「お義母さんは兎角ちゃんを訓練して暗殺者にしたいみたいだけど、おばちゃんは兎角ちゃん自身の夢を叶えて欲しいの、ねぇ兎角ちゃん、兎角ちゃんの夢ってなに?」
「ゆめ…?」
「うん、夢…おばちゃんはラリーストになるのが夢でそれを叶えたの。だから兎角ちゃんにも自分の夢を叶えて欲しいの。家のことを継ぐこと以外でね」
「ゆめかぁ…よくわかんないや」
「あまり考えることはないのよ。ゆっくり考えればいいんだから、さっそろそろ時間だしご飯でも食べてホテルに戻りましょうか。」
「うん!」
真呼の愛車であるMR-Sに乗り込む兎角
「さぁ!行くよ兎角ちゃん!しっかり掴まっててね!」
峠を攻め始める真呼
兎角の目には峠を攻める真呼がすごく輝いて見えた
それから5年が経過し現在
5年の間に兎角の叔母であり母、空身の双子の妹である真呼は祖母の放った刺客によって殺された
殺されたときはMR-Sを運転している最中で祖母の放った刺客の車によって谷底に落とされたのが原因だった
無論MR-Sは廃車になった
それは真呼が兎角にモンテカルロブルー・パールカラーのNSXをプレゼントした1週間後の話だった
「叔母さん、母さん、私の夢は決まったよ。アズマの里を抜けてプロのレーサーになる。そう決めたんだ」
祖母が寝ている時に墓前で夢を誓うと兎角はNSXに乗り込んで赤城山に向かった
赤城山にて
「なぁ、アニキ、あの蒼髪の女のドライバーは本当に来るのか?」
「あぁ、アイツは今日みたいな満月の夜に峠に出没するみたいだからな。啓介、今日はお前は出るな。」
「な、なんでだよアニキ!レッドサンズのメンバーでもあのNSXに敵うのは俺ぐらいのものだろ!」
「そうだが、俺は今回のレースは剣持に任せようと思う。」
「正気かアニキ!?アイツは実力はあるが走ってはいない!それでもアイツに行かせるというのか!」
「そうだ、剣持、準備は出来ているか?」
「はい、涼介さん。いつでも行けます!」
剣持は兎角が来るのを待っていた
それから数分後、兎角は現れた
「高橋涼介、お前か、私を待っているという走り屋というのは」
いきなりがっついてくる兎角
「そう組み付くな。今回は俺ではなく、剣持がお前の相手をする」
「剣持しえなだ。」
「東…兎角…」
「よし、二人共スタートラインに車を並べてくれ」
啓介が車を並べるように促すと二人はそれぞれの車を並べた
「カウント行くぞォ!5秒前!4、3、2、1…GOォ!」
啓介がGOサインを出すとスタートダッシュに有利な駆動形式の車であるNSXが先行でスタートダッシュをする
「スタートダッシュはあっちが有利ってわけね!でも、FFやMRは消耗が激しい、後半から抜けば絶対に勝てる!」
前輪駆動の弱点を把握している剣持はわざと兎角を先行させる
「あの2000、様子を伺っているな、攻めてくる気配が全くない、こっちがバテるのを待っているのか?それとも戦う気がないのか?戦う気がないのなら全開でぶち抜く!」
剣持をぶっちぎり一気に終わらせようとする兎角
「でも、そうやってられるのも今のうちだよ兎角、アンタは飛ばしすぎた。それが敗因よ!」
「なにっ…タイヤのグリップが…」
第3セクションに突入したあたりから兎角のNSXのタイヤが不安定になり始める
そのあいだに剣持は50mあった差を一気に2mにまで縮めていた
そして第4セクションに突入する
「のぉ香子ちゃん、香子ちゃんはこのレース、どっちが勝つと思うかの?」
「青のNSXだ、タイヤのグリップがなくなってきているが最後に突っ切るだけの余力が残っていると見た。」
「そうかのぉ?ワシはしえなちゃんのS2000が勝つと思うのぉ」
「なぜだ?」
「香子ちゃんが思うほどグリップが残っておらん、それに、まだしえなちゃんは全開じゃないからのぉ」
「なんだと…」
「まぁ、見てみないとわからんの」
神長と首藤はレースの予想をしていた
そして問題の第4セクションの最後のコーナーにかかる
「行くよ!」
コーナーにかかる前に6速にあげ一気に突っ切る剣持のS2000
「まずい!」
アンダーが出てしまい抜かれる兎角
そして勝負は剣持の勝ちということで終わった
「東兎角といったかな…」
勝負後に涼介が近づいてくる
「あぁ、そうだ」
「剣持を全開走行まで追いやった腕前を買ってだが、レッドサンズに来ないか、お前のような原石は俺たちと一緒に活動して更なる高みを目指したほうがいいと俺は思う」
「その話ですが、お断りさせてください」
「なぜだ?」
「私には守るべき人間がいる、そいつも走り屋でチームに入っている、だから私はそこへ行かなくてはならない」
「そうか、そういう事情があるのなら無理は言わない、また戦えたら戦おう。」
「はい、その時は…」
そう言うと兎角は目的地へ向かうべく車を発進させた
そして、兎角と智也たちが合流するとき新しい戦いが幕を開けるのであった