一般儀式おじさんypが懐かしみながらアカデミアを過ごす 作:火壁
「船旅……歳食ってからは専ら飛行機だったなあ」
今俺はアカデミア行の宿泊船に乗っている。この世界に転生して数日が経過したが、俺は肉体に引っ張られて精神が少し幼くなった。とは言ってもカブトムシ見つけてはしゃぐくらいだから大差ないんだけどね。
「原作キャラは……いるけど話しかけるのアレだな」
なんか有名人に話しかけるの勇気いるよねって感じと似てる。有名人と出くわした事無いけど。
まあ友人がいる訳でもないし(涙)甲板で足をプラつかせてアカデミアまでの時間を過ごした。
「皆さん、入学おめでとうございます。この学園では、デュエルの腕とリスペクトの精神を培い、デュリストとしての成長を期待しています」
「おー!お前って翔の言ってた儀式使い!?」
「アニキ!いきなり失礼っすよ!」
……なぜだ?ここはデュエルフィールドとは反対方向、食堂と購買とトイレの場所を把握してさっさと行こうと思ってたんだけどな。
「悪いんだけど、お二人は?」
「おっと、俺は遊城十代!なあデュエルしようぜ!」
「ぼ、僕は丸藤翔ッス。ええと……名前ってたしか」
「天道戦真だ。それで、デュエルとは言うけど」
「あっちにデュエルフィールドがあったぜ!」
「アニキ、さっきのフィールドはブルー専用で、僕たちは使用できないって言ってたッスよ」
「まあデュエルする場所なんてどこでもいいだろ。野外でも出来るしな」
俺の提案に二人も乗っかる。そういえば歓迎会とかあった気がしたけど……まあいっか。
「ここならいいだろう」
「ああ!観客がいれば、もっと盛り上がったかもしれないけどな」
「観客ゼロがなんだよ。俺たちが楽しめばそれがタイトルマッチだ!」
「何言ってるか分かんないッス……」
「「デュエル!!」」
天道戦真VS遊城十代
「俺のターン!」
先攻とられちった。
「E・HEROフェザーマンを召喚!カードを1枚伏せてターンエンド」
この時代特有の攻撃表示1体と伏せカード1枚。懐かしいし俺もやってた記憶があるけど、今思えばよくこれで迎撃出来ると思ってたなとつくづく実感する。
「俺のターン。手札の
「ローガーディアン……来るか!」
「デビリチャル……?」
「このカードとデッキの同名以外の『魔神儀』を特殊召喚する。呼び出すのは魔神儀―キャンドールだ。そしてキャンドールの効果発動。デッキからの特殊召喚に成功した場合、デッキから儀式魔法を手札に加える。ローの祈りを手札に加えるぞ。そして発動!フィールドのペンシルベル、キャンドールを儀式の触媒として、儀式召喚!ローガーディアン!!」
翔が多少不思議そうに見ているが、この世界はカード把握が難しいらしい。アニオリカードもあるし仕方ないとはいえるが、今回は助かった……かな?
「装備魔法伝説の剣を発動。ローガーディアンに装備し、攻守を300アップさせる。魔法カード儀式の下準備を発動。デッキから儀式魔法を選び、そのテキストに記された儀式モンスターをデッキ・墓地から選ぶ。その2枚を手札に加える。破滅の儀式を選び、その儀式モンスターである破滅の魔王ガ-ランドルフと合わせて手札に加える」
「一気に2枚の儀式カードを手札に!?」
「これで、儀式素材となるモンスターがいれば」
「当然いる!破滅の儀式発動!手札のレベル7モンスターであるエビルナイト・ドラゴンを儀式の触媒として、破滅の魔王ガ-ランドルフを儀式召喚!!」
黒い毛の球体を縛り、祀る祭壇が吹き飛び、魔王が雄たけびを上げて降臨する。ある意味こいつもマイナーカードだよな。
「ガ-ランドルフの効果を発動。儀式召喚に成功した時、このカードの攻撃力2500以下の守備力を持つ、このカード以外のモンスターを全て破壊する!!」
「なんだって!?」
「でも自分のモンスターだって……あ!!」
「そう!ローガーディアンは伝説の剣によって2800!!よって破壊されない!フェザーマンは消滅!!そして破壊したモンスター1体につき100ポイントの攻撃力が上がる」
ガ-ランドルフ
ATK2500→2600
「バトルだ!ガ-ランドルフでダイレクトアタック!!」
「トラップ発動!!ヒーロー見参!!相手に俺の手札の内1枚を選ばせ、それがモンスターカードなら特殊召喚出来る。さあこの4枚から1枚を選ぶんだ!」
「じゃあ……左から二番目!」
俺の選択に十代の口角が上がる。やべえミスったか。
「お前が選んだのは、E・HEROエッジマンだ!攻撃力は2600!ガ-ランドルフと同じだぜ!」
「押し通る!ガ-ランドルフで相打ち!!」
ガ-ランドルフの拳とエッジマンのチョップがクロスカウンターのように交差し、互いを破壊する。フィールドにはローガーディアンだけが残った。
「ローガーディアンでダイレクトアタック!!」
「防ぐ手段は……無い!」
「アニキ!!」
十代LP4000→1650
「カードを1枚伏せてターンエンド。さあ逃がさねえぞ」
「逃げも隠れもしないさ。俺のターン!」
今度は俺の口角が上がる。でも十代も負けてないと言わんばかりにターンを宣言する。
「強欲な壺を発動!デッキから2枚ドロー!戦士の生還でフェザーマンを墓地から手札に戻す。そして融合発動!手札のフェザーマンとバーストレディを融合して、E・HEROフレイムウィングマンを特殊召喚だ!」
「フレイムウィングマン……クソカッコイイじゃねえか」
遊城十代のフェイバリットヒーロー。最初から最後まで使われ、クロノス教諭とのデュエルでのトドメには多くのデュエリストが今でも限界ファン必至のヒーローの代名詞。だが今は俺の目の前に敵として表れている。
「光栄な事だぜ」
「そして、俺はフィールド魔法、摩天楼-スカイスクレイパーを発動!バトル!フレイムウィングマンでローガーディアンを攻撃!ダメージ計算時、俺のHEROの方が相手モンスターよりも攻撃力が低ければ、その攻撃力を1000ポイントアップする。フレイムシュート!!!」
「すまん……ローガーディアン……ぐああっ!」
戦真
LP4000→3250
俺の象徴ともいえる騎士が破壊される。そして、このヒーローの底力はここからなんだ。
「フレイム・ウィングマンの効果!戦闘で破壊した相手モンスターの元々の攻撃力分のダメージを与えるぜ!」
LP3250→1200
「俺はカードを1枚伏せてターンエンド。ここからどう返してくるのか、楽しみだぜ!」
「なら俺はエンドフェイズ入る前にリバースカードを発動する」
「このタイミングで?」
「ああ
粛声なる威光を発動する」
「粛声なる……」
「威光……?」
これが前世で組んだ最後のデッキ。多少の混ぜ物もものともしないデッキパワー。GXでやっていい火力じゃねえよ馬鹿が。
「1ターンに1度、手札・墓地の儀式魔法あるいは戦士・ドラゴン族で光属性の儀式モンスターをデッキに戻してデッキの『粛声』モンスターを手札に加えるか、特殊召喚する。粛声の祈り手ローを守備表示で特殊召喚する」
「あれって、ローの祈りに描かれてた」
「ローってあの子だったんスか!?」
赤いローブを纏い、青紫の髪をなびかせる少女が現れる。小学生の頃、リサイクルショップで売ってたこのカードに一目ぼれしたんだよな。23年越しの新規ありがとうな!!
「ローの効果発動。召喚・特殊召喚に成功した場合、デッキから『粛声』永続魔法・永続罠を1枚、俺のフィールドに表側表示で置く。粛声なる結界を置くぞ」
「発動扱いじゃないのか」
「そう、置くだ」
翔も十代も眉を寄せて首をかしげる。まあこの世界のテキストには無いしな。
「俺のターン。ここで、俺のエースをご紹介しようか」
「エース!見たい見たい!!」
「ローガーディアンは、エースじゃない?」
「粛声なる結界の効果発動。1ターンに1度、デッキから『粛声』カードか、ローガーディアンを手札に加える。粛声なる祈りを手札に加え発動!フィールドのローガーディアンを儀式の触媒とする!」
「ローガーディアンを!?」
「新たなモンスターに!!」
「聖女の祈りに応え、新たな力もてここに降臨する!粛声なる守護者ローガーディアン!!」
新たな姿、力を得た聖騎士がフィールドに現れる。鎧に装飾が施され、背中には白い翼が広がる様は、カードイラストだけでは表現出来ない神々しさをありありと示していた。
「おお~~~~!!すっげえカッコイイ!!だけど攻撃力は変わらず2050、フレイムウィングマンの方……が……」
十代が言葉を切る。そう、ローガーディアンの傍で祈るローから溢れる光に気づいたのだ。
「粛声なる守護者ローガーディアンの効果。俺のフィールドか墓地に粛声の祈り手ローが存在する限り、自身の攻撃力を2050アップする。よってローガーディアンの攻撃力は」
ローガーディアン
ATK2050→4100
「よっ……」
「4100!?」
「バトルだ!ローガーディアンで、フレイムウィングマンを攻撃!」
「甘いぜ!トラップ発動!異次元トンネル-ミラーゲート-!E・HEROを攻撃対象にした相手モンスターと、攻撃対象になったE・HEROのコントロールを入れ替える!」
「上手い!これで2000ポイントの大ダメージ!!」
「ローガーディアンの効果!俺のフィールドに粛声の祈り手ローが存在する状態で相手が魔法・罠・モンスター効果を発動した時、それを無効にして破壊する!!」
「なんだって!!」
「攻撃力4100で無効効果持ち……なんて強力なモンスター……」
次元を歪ませ発生した鏡面を聖騎士が叩き切る。そのままの勢いでフレイムウィングマンを切り捨てる。
「フレイムウィングマン!!」
十代LP1650→0
「アニキ!!」
軽く飛んだ十代に翔が駆け寄る。しかし十代は笑って俺によって来た。
「すげえモンスターだぜ!!正に守る人のために進化するナイト!カッコイイよなー!!」
「良さが分かってくれるか。ローガーディアンは良いぞ」
腕組み後方彼氏面オタクという字面で表すと大分キモいが、それも十代は笑って同意してくれる。これが……オタクに優しい陽キャ……?
「アニキ全然ライフも削れなかった。クロノス先生にも勝ったのに」
「きっとクロノス先生とも戦ったら強いぜ!今度やってみてくれよ!」
「勘弁してくれ。オベリスクブルーに目付けられたくない」
ただでさえエリート思考が凝り固まった偏屈共の巣窟からゴキブリの如くわらわら出てこられても面倒だ。呼ばれでもしない限り出るつもりは無い。
「ちぇー」
「ん?あ、アニキ!寮の歓迎会もう時間無いよ!」
「マジか!すまん戦真!またデュエルしようなー!!」
「じゃーなー」
十代と翔を見送って、俺もラーイエロー寮へ歩く。歓迎会は恙なく終わり、俺はさっさと床に就いた。
生徒手帳に一通のメールが届いている事にも気づかず。
主人公は割とノリで生きてます。