同棲して、暫く経った頃にちょっとしたボヤ騒ぎをしてしまう火は直ぐに消火できたが、彼はトラウマを思い出して動けないでいた。それを知らないタマモクロスは・・・
少女は慣れた手つきでタコ焼きを返していく。
葦毛の髪がタコ焼きに入らない様に纏めている。
「いつもありがとう。タマ。」
「気にせんといて、うちが好きでやっとることやから。」
少女-タマは素早く出来たタコ焼きを皿に綺麗に盛る。
それを彼が持って、座っている客人達のテーブルに置く。
「本当にありがとうね。タマちゃん」
「タマ美味しいぞ。」
葦毛の少女は美味しそうにお好み焼きを食べている。
「だめよ~オグリちゃん。トレーナーさんとタマちゃんの分残さないと。」
優しい口調で隣の少女に言う。
「ああ、そうだな。すまない。」
二人はタマモクロスのライバルであり、友人の葦毛の怪物オグリキャップと高速のステイヤースーパークリークである。
週1日は、トレーナーの自宅でタコ焼きかお好み焼きなどをしてパーティーすることになった。
毎週やっていたのではなく、タマがトレーナーの家に居候することになって、暫くしてからである。
お互いに賑やかなのが好きということを知り、彼が提案したのである。
彼女もその提案に賛成してやっているのである。
今はいないが、イナリワンもたまに来る。
「いや、良いよ。こっちが誘ってるから、皆が楽しくしてくれていると嬉しいから。」
彼は空いた皿を持って、洗いに行こうとした。
「私がやりますよ~」
「いや、客人だから・・・」
「良いですよ。」
クリークに両肩を掴まれて、テーブルに座らされる。
「ああ、ありがとう。クリーク」
クリークは彼が持っていた皿を持って洗いに行く。
オグリは立ち上がる。
「タマ手伝うぞ。」
オグリはタマの方に向かう。
「ええって、ゆっくりしぃや」
「タマちゃんまだ食べてないでしょう?トレーナーさんと一緒にね。」
クリークが言う。
「せやけど・・・」
「私もいるからね。」
「ああ、ゆっくりしてくれ」
オグリは自信満々に言う。
「わかった。後はお好み焼きを焼くだけやからよろしゅう。」
タマは言うと彼の元に行く。オグリは油をひく。
「トレーナー。タコ焼きどや?」
「うん。美味しいよ。」
彼は美味しそうに食べる。
「そやろ。」
彼女は目を細めて言う。
「タマも食べなよ。」
「いや、うちはええんだ。トレーナーが美味しく食べとるのを見とるだけで・・・」
タマは頬を赤くする。
「何を言ってるんだ。タマは頑張ってくれたんだ。ほら・・」
彼はタコ焼きを箸で掴んで、タマに食べさせようとする。
「恥ずかしいから・・・」
タマは口で言っていたが、彼に食べさせてもらった。
「タマは頑張り屋さんだからな。」
彼は笑顔で言う。
「そら、トレーナーの方・・・・「きゃあ!」え!」
二人は悲鳴のあった方に向く。
そこには、フライパンから火柱が立っていた。
「やばい、消さへんと!」
タマは素早く動く。
クリークとオグリはパニックになっていた。
彼女はガスを止めて、蓋を出してきて、フライパンに蓋をした。
「二人とも怪我はあれへん?」
「ええ、ありがとう。タマちゃん」
「ああ、すまない。」
タマは安堵する。
「・・・ち、違う・・・俺は・・・・」
「「「?」」」
三人は奥から声がしたので、見る。
そこには、頭を抱えて身を縮めている彼がいた。
「違う・・・見捨てたわけじゃあ・・・ごめんなさい・・・ごめん・・・ごめん・・・」
「トレーナー・・・」
タマは彼に近づく。
酷く怯えている姿を見て彼女は動揺する。
「・・・どうしたん?」
タマは迷いながら彼の肩を叩く。
彼はびっくする。
「・・・タマ・・・」
彼は目を見開く。
「トレーナー大丈夫か?」
彼は周りを見渡す。
いつもと変わらない自身の部屋。
タマは心配そうな表情で見ている。
奥の二人も心配そうな表情で見ている。
「ああ、ごめんね。皆心配させちゃって・・・」
彼は髪を掻きながら言う。
「あの、もしかして辛いことを・・・」
クリークは申し訳なさそうな表情になる。
「いや、ごめん。昔のことを思い出しちゃったんだ・・・もう昔のことをね」
彼は悲しそうな表情で言うのだった。
「美味しいな。これは」
オグリは美味しそうに頬張る。
「そうね。タマちゃんもトレーナーさんも」
クリークは届かない二人におかずを皿に入れて渡す。
「「ありがとう。」」
二人は同時に言う。
「「え?」」
彼とタマを二人はゆっくり首を動かし顔を見合わせ、顔を赤くする。
「ふふふ」
「何がおかしい!」
「いえ、まるで、新婚さんみたいで・・・」
タマと彼はさらに顔を真っ赤にする。
「いや・・・それは・・・」
彼は照れ笑いをする。
「そ、そんな馬鹿のこと・・・・ゲホゲホ」
タマは照れ隠しに焼きそばを食べるが急に咳き込みだす。
「急にがっつくからだよ。」
彼はタマの背中を叩く。
「ゲホゲホ・・・・ありがとうトレーナー。」
タマが落ち着いたのを確認すると、彼は背中を叩くのを止める。
ボヤ騒ぎから、一週間経った。
毎週皆で集まって、パーティーみたいなのは続けている。
ただし、ルールを設けた。
それは、皆揃ってから一緒に食べるというのが設けられた。
皆それを快く同意してくれた。
あの後、彼が怯えていたことをタマはじめ、皆聞けないでいた。
聞きたいが、彼が傷つくのは見たくないのが皆の意見だった。
そのため、その話は聞かないのが暗黙の了解になっていた。
「みんなで食べると美味しいな。」
オグリは目を輝かせる。
それを見ていた彼は目を細める。
「ああ、本当だ。」
「何しみじみしとんの?」
「いや、こうやって食べるのは楽しいからさ、嬉しくってな。」
「ウチもや。」
彼の顔を見て笑う。
彼もタマに笑顔で応える。
※
トレセン学園でタマたちは家庭科室で授業を受けている。
選手と言え、まだ彼女達は学生である。
学ぶことが多くある。
いつもと同じ光景だった。
「ちょっと!なんか匂わない!」
ある生徒が発した言葉で、変わった。
「本当なにこれ?」
多くの生徒が口々に話し出す。
「皆さん!直ぐにここから離れて」
教員も異常な匂いに気づき、生徒たちを避難させようとする。
生徒は教室から出て行き始める。
「窓を開けないと」
教員は窓を開けようとする。
「い!?」
鍵を外そうとした時に教員の指先に静電気が起きた。
その火花が一気に大きく燃え上がった。
※
「なんだ!」
大きな爆発音が響く。
彼は爆発した所に走っていった。
近くまで来ると、教員や生徒が対応をしていた。
「おい、消火器もってこい!」
「生徒は避難しなさい。」
「動ける生徒は動けない人を手伝って!」
「い、痛い!」
教員は消火器を持って走り、ガラスの破片で怪我した生徒を運ぶ生徒もいた。
混乱状態である。
「と、トレーナーさん!」
「クリーク!」
彼はクリークの方に向かう。
「大丈夫か?」
「はい、でもタマちゃんが・・・」
「タマが?」
「はい。家庭科室にいて」
「まさか・・・」
「家庭科室です・」
「タマ・・・」
彼は家庭科室に向かう。
近くでは教員達が消化活動をしている。
「まだ、駄目だ!」
気づいた教員が彼を止めようとする。
「タマ・・・行くからな・・・邪魔だ!」
彼は教員を払いのけると炎の中に飛び込む。
「タマ!どこだ!・・・ゲホゲホ」
彼は必死に探す。
家庭科室は熱く、視界が熱風で遮られ見えずらい。
「頼む!・・・返事してくれ・・・」
「ここだよ。兄さん」
「!?」
彼はびっくとする。
「兄さんの大切な人はここだよ。信じて」
彼は声のした方に向かう。
そこに、彼女と隣に教員が倒れていた。
「今助ける・・・」
彼は二人を抱えると走り出す。
「う!」
足に熱いを超えて痛く、喉も焼けたように痛み出す。
段々意識が薄らいでいく。
「・・・・もう・・・後悔しねえ!・・・」
彼は歯を食いしばって堪えて地獄になった家庭科室を出た。
出ると、教員が彼に近づき、火が付いている所を消す。
「おい、大丈夫か?」
「二人を・・・・」
二人を教員達に引き渡すと、彼の意識を失った。
※
『兄さん』
『和樹』
彼-和樹は目を覚ます。
そこは、真っ暗な空間だったが、薄っすらと人がいることが分かる。
和樹は目を良く凝らす。
「ああ・・・輝幸、母さん、父さん・・・」
彼の家族が前に立っていた。
『兄さんかっこよかったよ』
『ああ、お前は俺達の自慢の子だ。』
「でも・・・俺は・・・」
『私達は何にも恨んでいないわ』
『そうだよ。兄さんは悪くない!』
「ごめん。ありがとう。」
『もう、時間がないから、手短に言うぞ。お前は生きて、あの子と一緒に添い遂げなさい。』
「え、タマのこと」
『あの子は良い子だから、大丈夫』
「でも・・・生徒と・・・」
『何言ってんだよ。兄さん。好きなら関係ないだろう?』
『輝幸の言う通りだ。それに、彼女だってお前に気があるみたいだ。』
『子供が出来たら、私たちに見せに来なさいね。』
『楽しみにしてるぞ。じゃあな』
「え、待ってよ!まだ話したいことが・・・」
和樹は意識を失った。
※
「足立さん聞こえますか?」
彼は声のした方に向くと看護師が立っていた。
彼の名前は足立和樹である。
「今先生を呼びますから」
看護師はどこかへ行ってしまった。
「トレーナー・・・」
彼は声のした方に向くと、涙を貯めた和樹の担当のタマがいた。
「タマ・・・おっふ!」
急にタマは抱き着いた。
「このまま・・・アンタが死んでまうほなないかって思った・・・」
「タマ・・・」
「そうなったら・・・・ウチは嫌や!」
タマは深呼吸する。
「ウチはトレーナー・・・アンタのことが好きや!」
「・・・タマ・・・俺も好きだよ。」
「え、」
「だから、今度君の両親に挨拶をしに行こう。」
「トレーナー・・・」
タマは和樹に離れる。
「タマは笑顔の方が可愛い。だから、泣かないで」
彼はタマが泣いているのを見て言うと抱き着いた。
「うん・・・わかった。」
そこから、早かった。
タマの両親に挨拶をしに行ったら、快く承諾してくれた。
二人は正式に付き合い始めた。
付き合い始めて間もなく、学校内に噂が広がった。
オグリがウィニングチケットについ話してしまったことで広がってしまった。
でも、誰も咎める者はいなかった。
寧ろ祝福されるぐらいである。
それは、彼の過去を知っている者が多くいるからである。
彼の父がトレセン学園のトレーナーであった。
そのため、彼は幸せになるべきだという声が多く。
その大半が彼の父に教えてもらったトレーナー達である。
勿論理事長も秘書も同じ考えである。
タマの後輩達も彼女を祝福している。
卒業後派手に式を挙げた。
勿論トレセン学園である。
まず、大規模過ぎてどこの式場も入れないということで困っていたら、理事長が学園でやろうと提案されたのである。
タマの親戚達と、トレセン学園全員が参加して大規模に行った。
そんなことだから、マスコミまで来て、かなり騒ぎになったが、多くの人たち祝福された。
※
「タマ寝ようか。
「そうね。アンタ」
今は布団で二人抱き合って寝ることが日課になっている。
もう少しで、彼とタマの子供も出来る。
彼は墓参りで報告をしないと考えながら、タマの頭を撫でる。
終わり
今までのpixivで投稿していたのを出していきます。
何が良いのかを見ていきたいので、コメントして頂けますと助かります。
因みに、嫌われ薬は皆様どうですか?
いえ、題材にしたのを書いてみようと思っていまして、書いています。
ですので、ご意見を頂けますと助かります。