正義実現委員会の閻魔様   作:光からの使者

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序章:トリニティ&アビドス・パスト編
prologue 浄玻サバキここに在り


 

「♪~~♪♪~~~~」

 

学園都市キヴォトスきってのお嬢様学校、トリニティ総合学園の屋上では昼下がりからギターの音色が響き渡る。

誰もいないこの場でギターを弾いているのは黒セーラーの少女。いつもこの時間帯には決まって楽器を持ち込み演奏するのが日課である。演奏する楽器はギターだけではなく、トランペットや和太鼓も嗜んでおり日によって楽器を変えている。

 

「先輩!演奏中すいません!!」

 

悠悠自適に演奏を続けていると、屋上へ繋がる扉が勢いよく開かれた。

 

「どうした、バン?」

「実は、トリニティ自治区にてヘルメット団と不良たちによる縄張り抗争が起きたようで一部我が校の生徒が逃げ遅れたという通報が」

「巡回部隊は?」

「現在、交戦中ですが如何せん敵の数が多く苦戦を強いられている状況です」

「わかった、あたしが行こう」

 

 

 

 

 

―――トリニティ自治区

 

学園都市キヴォトスでは銃撃戦など日常茶飯事である。一見平和そうに見えて、銃弾や手榴弾が当たり前のように飛び交う。

それはお嬢様学校があるトリニティでも例外ではなく、今現在、武装不良生徒集団のスケバンたちとワチャワチャヘルメット団による縄張り抗争が繰り広げられていた。

 

「オラオラァ!ここいら一体ワチャワチャヘルメット団の縄張りだって言ってんだろぉ!」

「うるせぇ!もうここはうち等のもんだ!」

「正義実現委員会です!直ちに戦闘を止め投降してください!繰り返します!」

 

お互い周囲への被害を全く考えず重火器をぶっ放す両集団。

 

そんな彼女たちを止めるべく黒セーラー服の集団も戦いに参加しているもののヘルメット団とスケバンはそれなりに人数を揃えているようで苦戦を強いられていた。

 

「くっ‥‥数が‥‥」

「サバキ委員長が居てくれたらなぁ‥‥」

「泣き言言わないの!何としても持ちこたえるのよ!」

 

 

いつもの日課でもある周辺地域のパトロール。最近は不審者や騒ぎといった噂も耳にせず何事もなく終わると思った矢先にこの抗争である。

鍛錬を積んでいるとはいえ、自分たちは1年生。激しい戦いに対するメンタルや技術は完成されきっていない。ましてや先輩方のように強くもない。

 

 激化していく戦闘に正義実現委員会の委員たちの心は折れそうになる、そんな時だ。

 

「うぎゃあっ!?」

「ぐわあっ!?」

 

 乾いた銃音が響くと同時に小競り合いをしていた不良やヘルメット団たちが次々に倒れていく。

 

「な、なんだ?何が起こった?」

「は…?うちの後衛部隊がぜんめ「オラーーッ!!」

 

 突然の事態に驚く暇もなく、ヘルメット団のリーダー目である赤ヘルメットに見事なまでのキックが炸裂。トレードマークでもあるヘルメットのガラスを綺麗に叩き割った。完全に気を失ったヘルメット団のリーダーを踏みつつ、乱入者はSMGサブマシンガンを構えその姿を現した。

 

「よく持ちこたえてくれた、後はあたしに任せなッ!!」

 

 乱入者の姿を見た不良たちの身体がたちまち震え始める。さっきまでの威勢はどこへやら、銃を持つその手も痙攣し始めたのだ。

 

 生物的な本能が危機だと知らせている。乱入者が自分たちの命を脅かすと。

 

「え、えっ‥‥閻魔だ‥‥閻魔が出たぞ――!!」

「てっ‥‥撤退ッ!!」

 

 蜘蛛の子散らすように逃げ出す不良たち。けれども閻魔の目はそれを逃がさない。

 

「貴様たちに判決を下す!!」

「ひっ‥‥ひぃぃ‥‥」

「判決!!有罪、拘束した上でヴァルキューレに引き渡す!!」

 

 腰のホルダーからもう一丁のサブマシンガンを取り出し、不良たちに突き出す。

 

 これより始まるは一方的な蹂躙劇場。

 

 

 

 

 

 

 主演を演じるは正義実現委員会の委員長 浄玻サバキである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「サバキ委員長、ティーパーティーより先の件に関する書類が届いています」

「シスターフッドから重要物資輸送任務についてお話が―――」

「先輩、今度は傭兵団が騒ぎを起こして‥‥」

 

 

 正義実現委員会の委員長であるサバキの毎日は忙しい。

 

 学園や郊外で発生する違反行為の取り締まりや他の組織からの依頼を任されたりとやらなくてはいけない仕事が多いからである。

 また、サバキ自身が戦闘任務に書類仕事、後輩のヘルプに入るなどマルチタスクをこなせることから、トリニティ各所から呼び出されることも高い。委員会で使用している一室。そこに置いてあるホワイトボードには委員会のシフト表が掲示されているのだが、サバキの欄にはびっしりと〇が並んでいることから彼女の激務が窺える。

 

しかし、当の本人にとっては激務などどこ吹く風。課せられたタスクを次から次へとこなしていく。

 

サバキがここまで業務をこなせるのか、それは可愛い後輩たちの存在がいるからに他ならない。現時点において正義実現委員会の3年生はサバキしかいない。正確にはかつて同期が居たのだが、委員会から抜けざるを得なかったというのが正しいだろう。そのため、サバキは後輩たちを大切に想い可愛がっている。彼女らの身に危機が迫ろうものなら、全てを投げ捨てでも駆けつける。かつて先輩たちに愛されたように今度は後輩たちも愛し守る。それが浄玻サバキの誓いである。

 

 

 

 

 

 

 

「よし!本日の業務、終わり!」

 

最後に残った巡回パトロールの報告書をチェックし終え、一人室内の清掃を始める。思い返してみれば、日を追うごとに後輩たちの成長が目まぐるしいと感じる。2年で副委員長のバンはあたしの右腕として申し分ないし何より頼りになる子だ。あの子には時折、働きすぎだと言われるがあたしが卒業した後のことを考えるならあたしがいくらか負担を減らしてあげる方が良い。それに、今年入ってきた新入りの子たちも粒ぞろいだ。特に注目株はツルギちゃんとハスミちゃん。ツルギちゃんは一年ながらかなりの戦闘力を有している。有事の際、奇声を挙げたり凶暴性が見られ周囲から畏怖されいるものの彼女の本質に凶暴性はないことは理解しているつもりだ。それに状況判断能力も長けているし。

そしてハスミちゃん。一年の中では小柄ではあるものの事務能力が高いかつ先述のツルギちゃんの良き理解者である。本人は体格が小柄なことを気にしているみたいだが、よく食べてよく動いてよく寝れば育つもの。彼女ならきっとあたしの身長も越すだろうし、将来が楽しみだ。ただ、ゲヘナ嫌いな点がたまに傷だけどね。

 

2人とも見込みがあるし、今の内に委員長、副委員長の推薦リストに名前を入れておくことにしよう。バンにも後で話してみようかな。

 

「さぁてと‥‥帰るか」

 

清掃を終え、学園から自宅に帰る頃にはすっかり夜になっていた。今晩の献立を考えながら歩くこと10分。

コンビニに差し掛かった寸前の路地裏から怒鳴るような声が響いた。流石にスルーするわけにはいかないので、壁からこっそりと周囲の状況を伺う。

 

夜だからか、少し視界が暗い物のなんとか現場の様子が明らかになっていく。

 

見かけない制服を着用したロングヘアーの子が3人のヘルメット団員に絡まれていた。壁際で取り囲まれており、また銃を突きつけられている為身動きが取れない。そんな状況だ。

 

「昼間はよくもやってくれたなぁ‥‥」

「ボス、コイツの服ひん剥いた写真撮ってあのチビに送り付けてやりましょうよ」

「そうだな、それがいい。助け呼ぼうなんて思わねぇ方がいいぞ。こんな時間にここを通る奴なんて―――」

 

(いるんだなぁ‥‥これが)

 

付近にあった三角コーンを片手に連中に気づかれないよう背後から接近する。そして勢いよく振り下ろす。

 

 

「うげッ?!」

「あばッ?!」

「あだッ?!」

 

モグラたたきの要領で叩かれたヘルメットは軽快な音をたてた。ヘルメット団員たちはそのままのびてしまった。

 

「早くこちらへ」

「う、うん‥‥ありがとう」

 

絡まれていた子の手を引きあたしたちは現場から立ち去った。幸い何処も怪我は見られず、ほっとする。

 

「助けてくれて、ありがとう」

「いえ、助けることができたのは偶然ですから礼には及びません」

 

「その制服、貴女もしかしてトリニティの生徒?」

「はい、あたしはトリニティ総合学園正義実現委員会所属、浄玻サバキと言います」

「私はユメ。アビドス高等学校の生徒会長なんだ~」

 

アビドス高等学校‥‥?確か、大規模砂嵐の影響で存続が危ぶまれていると小耳にはさんだ覚えがある。

 

「その生徒会長が何故トリニティ自治区に?」

「ちょっと買い物にね」

 

彼女曰はく彼女の母校アビドス高等学校は度々ヘルメット団の襲撃を受けているらしい。今日も撃退したはいいものの、物資が少なくなってきたためトリニティへ買い物に行っていた所、帰り道を狙われたとのことだった。

 

「おかけで助かったよ、私一人じゃどうしようもなかったから」

「どういたしまして。良かったら駅まで付き添いますよ。また奴らに襲われては大変ですから」

「ん~~それもそうだね。お願いしちゃおうかな?」

「お任せを」

 

談笑を挟みながらあたしとユメはトリニティの駅にまでたどり着いた。

 

「ありがとうね、サバキちゃん」

「こちらこそ楽しかったです、ユメさん」

「あっそうだ!はい、これ」

 

そういうとユメさんはスマホを取り出しモモトークの画面を見せる。

 

「もしアビドスに来ることがあったら連絡してね。歓迎するよ」

「ありがとうございます。でしたらユメさんも何かあれば連絡をすぐに向かいますので」

 

「じゃあね、サバキちゃん!!」

「ええ、お元気で!!」

 

駅の改札までユメさんを見送りあたしは再度帰路についた。

帰宅後、冷蔵庫にあるもので夕飯を作り平らげる。シャワーを浴びて、録画しておいた番組を楽しんだ後ベットに潜る。

 

明日も素敵な一日を送れるよう願いながら熟睡するのであった

 




生徒紹介

名前:浄玻サバキ
プロフィール
学園 トリニティ総合学園
部活 正義実現委員会 委員長
学年 3
年齢 17
誕生日 4月9日
身長 167cm
趣味 ギター、トランペット、和太鼓
武器:天極と地獄 MP5(SMG)

トリニティ総合学園所属の3年生。正義実現委員会の委員長。
正義実現委員会では不良やテロリストの鎮圧を担当している。顔が広く他学園の関係とも仲が良い。
ただし身内が危険な目に遭った際は閻魔の如く相手を断罪する。
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