正義実現委員会の閻魔様   作:光からの使者

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11話、17話、19話
湯たんぽぉ様

23話
「とまと」様
誤字報告ありがとうございます。

湯たんぽぉ様、伝説の超三毛猫様
感想、ありがとうございます。


退勤:エピローグ

 

 カイザーPMCとの一大決戦から幾夜明けた某日。

 先生からモモトークで事の顛末を知らされた。

 

 まず、アビドス高等学校について。

 アビドス廃校対策委員会は、先生が専属顧問を受け持つことになり、連邦生徒会からも正式な部活動として承認されたようだ。

 問題の借金については未だ変わらないようだが、毎月の利子返済は、前よりも良くなったらしく、借金返済も少しづつ済ませていくつもりらしい。

 

 次にカイザーについて。

 アビドスと取引をしていたカイザー・ローンは不正金融取引をしてたことが露呈し、連邦生徒会の捜査が入ることとなったようだ。それとあの理事は、生徒誘拐事件の容疑者として指名手配されているらしい。カイザーコーポレーションからも事件の関与を否定するために即刻解雇処分を行ったという。まぁ、連中からしてみれば火の粉が及ぶ前に尻尾を切るのは当然のことだろう。大人の世界であっても、そこは変わらないらしい。

 

 ざまぁ、ないぜ。

 

 とりあえずあたしも肩の荷が少しは降りたような気がする。

 あたしたちが居なくても、ホシノちゃんたち対策委員会はやっていけるだろう。ピンチになったら必ず助けには行くけどね。

 

 そして最後に黒服の動向について。

 結局、黒服の存在は捜査線上に上がらなかったようだ。情報もこれといって出てこなかったようで、アイツの行ったことも全て理事に被せられうやむやになってしまったという。どうやら、得体のしれなさは昔から変わっていないらしい。あたしやユメさんを助けたことといい、ホシノちゃんの居場所を先生に教えたことといい、黒服、いやゲマトリアの行動原理が未だ理解できない。

 

 

 でもまぁ、今は万事解決しているのだ。面倒なことは後に回そう。

 

 

 それと紫関ラーメンの大将は引退せず営業を続けるようだ。

屋台という形にはなったもののラーメンの味は以前よりもおいしくなったと先生から聞かされた。きっとカイザーによる退去申請も取り消され大将のモヤモヤが解消されたのが理由だと思っている。

 

 今度久しぶりに食べに行ってこようと思う。

 

 ホシノちゃんの救出作戦に来てくれた便利屋も別の自治区に事務所を構えているらしい。

 風紀委員会に目を付けられている以上、ゲヘナ以外に構えるのは仕方ないことだろう。ただ、あの子たち、予算大丈夫なのかな?でも楽しくやっていそうだし、問題ないか。

 

 

 

 一方あたしはと言うと今後の指針としてある人物の下を訪れることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 「失礼します。先生」

 

 「”いらっしゃい。待ってたよ”」

 

 夜分遅くあたしが訪れたのは先生のいるシャーレである。

 連邦生徒会直属の組織である連邦生徒会捜査部【シャーレ】

 今後の生活について打診するため、ここにやってきた。

 

 夜遅くに来たのは当番の生徒と鉢合わせる可能性を避けるため。

 特段悪いことはしていないが、各自治区から警戒されている身でもあるため余計な混乱は極力避けたい。

 先生はこの申し出を快く受け入れてくれた。本当にありがとうございます。

 

 「先日はありがとうございました。おかげでホシノちゃんを助ける

  ことができました」

 

 「”こちらこそお礼を言うよ。君の協力が無かったら達成できなかったかもしれない」

 

 「それで本題なのですが‥‥」

 

 「確かシャーレに入りたいんだよね?」

 

 「はい」

 

 「それじゃあ、この入部届に必要事項を記入後、確認欄にサインを

  お願いね」

 

 話がとんとん拍子に進んでいくのであたしは思わず戸惑ってしまった。

 一緒に戦ったとはいえ素性もわからない相手をこうも信用するのかと。

 先生が生徒を第一に思う優しい大人というのは理解している。だがこれはあまりにも信用しすぎではないだろうか?

 

 「あ、あの‥‥先生」

 

 「”どうしたの?”」

 

 「あ、あたしのことあっさりと受け入れていいんですか?

  ほら、あたし素性も名前も、顔も訳あってはぐらかしていますし…

  自分でも言うのもあれですが怪しすぎると思うんですが‥‥」

 

 「”? それがどうかしたの?”」

 

 「あたしのことを疑わなくていいんですかと思ってしまって‥‥」

 

 ぎこちなく告げるあたしに先生は優しく微笑んだ。

 

 「”疑うなんてことしないよ。だって君は優しい生徒だもの。

   初めて会った時からなんとなく確信してた。それに君は

   必死に対策委員会のみんなやホシノを気にかけてくれてい

   し。ホシノを助けるときも二つ返事で承諾してくれた。

   そんな子を疑う理由なんてどこにもないよ”」

 

 ぐわーー!!

 先生の優しさと純粋さからくる笑顔が眩しい!!

 

 わかってはいたけどやっぱいい人やでほんま。

 荒み切ったあたしの心に、透き通るような優しさが染み渡るぅぅ

 

 「あ、ありがとう‥‥ございます…」

 

 ペンを走らせること数分。入部届に必要事項を全て記入し終え、先生に提出する。

 

 「”うん、特に問題ある所はないね。受理するよ。

  シャーレにようこそ!黒狐”         」

 

 「”そうそう。それとシャーレの空き部屋だけど好きに使ってもらって構わないよ”」

 

 え?いいんですか?

 それだと宿代が浮くから大助かりなんですけど。

 

 「”もちろん良いよ。私も寝泊りすることがあるから、

   ぜひ使って欲しい”」

 

 ありがたや‥‥ありがたや‥‥先生は聖人君主や……ッ!?

 

 どっかから視線を感じた。刺すような視線と殺気。間違いないあいつだな。

 

 いいよ相手になってあげる。

 

 「先生。少し買い出しに行ってきます」

 

 「”わかった。あまり遅すぎないようにね”」

 

 「はい」

 

 取り合えずここで戦うのは不味い。

 戦うべき場所ってもんがある。

 

 ひとまず先生には買い出しと言って外に出ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 D.U地区に掛かる大橋。

 昼は交通量が多い場所ではあるものの、夜である今なら交通もなく人気もない場所になっている。さらに辺りを街灯が照らしているため夜にも関わらず明るく視野が効きやすい。

 

 ここなら思う存分戦える。

 

 そうでしょう?【災厄の狐(狐坂ワカモ)

 

 「おや、気づいておりましたか?」

 

 透き通るような美声を発し物陰から現れたのは予想通りワカモであった。

 和風美人の出で立ちからは想像できない暴の化身。

 趣味が破壊と略奪で矯正局に収監のうえ停学処分を受けている人物。

 

 特徴的な狐面と耳、尻尾から【災厄の狐】と呼ばれている危険人物だ。

 

 「殺気が駄々洩れよ。先生ならともかくあたしなら気づく」

 

 「それはそれは。気づかないでいてくれた方が私としては良かったのですが‥‥

  仕方ありませんね」

 

 どうせ闇討ちする気満々だったろうに。

 

 「それであたしに何の用があんだ?」

 

 「それはもちろん‥‥これですわッ!!」

 

 あたしが尋ねると、ワカモは問答無用で手に持ったスナイパーライフルをぶっ放して来た。

 

 でしょうね!!最初に戦った時からわかってたけどこの子には躊躇というブレーキがない。ヤルと判断した相手には遠慮を知らず襲い掛かる。それが狐坂ワカモという女だ。

 

 「チィッ…!おらあッ!!」

 

 

 ライフルの一撃を瞬時に避け、反撃に『天極』と『地獄』をお見舞いする。

 

 「ふふふ…甘い!!」

 

 「うおっ!?」

 

 反撃の弾丸をいともたやすく回避し、ワカモは片手に銃剣を持ちあたしの懐へ迫る。

 

 「覚悟ッ!!」

 

 ワカモの凶刃が迫る。

 

 「くっ‥‥せいやあッ!」

 

 咄嗟の判断で、銃剣を真剣白刃取りで挟み、刃が胸元を貫く寸前で受け止める。

 

 「同じ轍は踏みませんでしてよ?はあっ!!」

 

 「ぐぅッ!」

 

 だがワカモにとって行動は想定内だったようで、サバキの胴にワカモのキックが入る。

 キックによって地面を転がるサバキに、攻撃を一切緩めることはない。

 

 「あのお方に近づく害虫は排除致しますわ!!」

 

 ワカモのライフルから赤く鋭い弾丸が次々と発射される。

 辺りを所かまわず貫きまくる弾丸。サバキは転がった勢いを利用し、何とか回避する。

 

 

 ああもう!!相変わらず滅茶苦茶な奴だ!!

 

 多分彼女の言動から察するにあたしが先生を狙った、もしくは恋敵にでも思われてるのかもしれない。

 それならとんだとばっちりだ。先生には恩があるし、寝泊りする場所を提供してくださったことは感謝してる。けどな。そこに恋愛感情が入る余地なんて一切ないんだ。

 

 そこの誤解は解いておかなければ。

 

 「泣いて許しを乞いなさい!」

 

 「誰がするが!」

 

 「ならば、容赦はいりませんわねっ!!

  徹底的に壊して差し上げますわ!!」

 

 さらに激しさを増すワカモの攻撃。赤い弾丸の嵐が降り注ぐ中、必死に脳内に考えを巡らせる。

 闘争本能が故だろうか、それとも正義実現委員会の委員長として数々の修羅場を乗り切ってきた経験による知恵だろうか。

 

 今取るべき行動がわかった気がする!!

 弾丸を避けるのではない。ワカモから隠れる必要もない。今すべきことは、アイツに一発叩き込む!!

 

 『ソウル・チャージ!!』

 

 熱く煮えたぎる闘志が全身を駆け巡る。

 失敗する可能性なんざ、はなから考慮してねえ!!臨界を超えてやる!!

 

 「雰囲気が変わった‥‥!?ですがその程度…!!」

 

 再び赤い弾丸の嵐を降らせるワカモ。

 けれどサバキは弾丸を避けようとはしない。むしろ弾丸の弾幕に突っ込んでいく。

 

 「そんなもん、あたしに効くかッ!!」

 

 「そんな…!!ハッ!?」

 

 ワカモが意識を奪われた一瞬にサバキは眼前に接近し、拳を構える。

 

 

 【閻魔裁き!!】

 

 「かはッ‥‥!?」

 

 

 燃え滾る拳が弾丸を吹き飛ばし、ワカモの身体に叩き込まれた。

 態勢を崩し大きく吹っ飛び、華奢な身体は地面に倒れ込んだ。

 

 

 あたしは倒れたワカモに近づく。

 一方、ワカモも受け身を取っていた為か辛うじて立ち上がる。

 

 「ワカモ。貴女は一つ誤解しているわ。

  私と先生は貴女が思っている関係ではないわ」

 

 「‥‥そんな筈はないですわ。あのお方と同じ屋根の下で暮らし、共に過ごす

  など私にとって許されざる暴挙。とんだ泥棒猫には躾が必要でしてよ」

 

 ワカモにとってシャーレに住むあたしは許せないらしい。

 反応から見るに彼女は先生に恋心を抱いている。まぁ片思いだろけど、感情の重さは尋常ではないくらい重い。それだけ大好きなのだろう。誤解も解きたいが、彼女ほどの純粋さをまっすぐに成長させてあげたいと思うのは私のエゴだろうか。

 

 それに歪んだままではいつか壊れてしまいそうで、見ていられない。

 

 「‥‥なら一緒にシャーレに来ない?」

 

 「‥‥‥へっ!?」

 

 あたしからの唐突な提案にワカモは思わずポカンとした後、目に見えて動揺し始める。

 

 「そ、そんな‥‥騙されんでしてよ!そんな小手先の嘘‥‥」

 

 「マジなんだよな、それが」

 

 今シャーレでは絶賛生徒募集中だし、ワカモ程の聡明で強い生徒は喜んで迎えるよ。

 それにどんな問題児でも先生は見捨てたりしないし。

 

 そうだよね、先生。そこにいるんでしょ?

 そう問いかけると物陰から先生が姿を見せる。

 

 「”流石にバレちゃったか”」

 

 そりゃあもう。というよりあたしが買い出しに行くって言った時点で気づいてましたよね?

 

 「”まぁ、なんとなくね”」

 

 「あ、あなた様‥‥!!」

 

 先生の姿を見た途端、ワカモの態度が変わった。

 あれ程、殺気立っていたというのに今では見る影もない。

 狐面を外して露わになった素顔はとても端正で整った容姿でどこかあどけなさが残っている。

 

 

 「”ワカモ”」

 

 「は、はい!!あなた様にお会いできて私…私…!!

  あ、あぁ‥‥胸の高鳴りが…!抑えられそうにありません!!」

  

 

 めっちゃ饒舌に話すじゃん。

 さっきまで殺し合いしてたのが嘘みたいに態度変わるね君。

 頬まですっかり赤らめて、やっぱり恋する乙女じゃん。

 

 恍惚とするワカモであったが、先生は彼女に対し話しかける。

 

 「”ワカモ。”」

 

 「は、はい!」

 

 「”会いに来てくれてありがとう。でもあんまり迷惑かけるような

   ことしちゃだめだよ?橋だってこんなに壊しちゃって”」

 

 「あっ…ぅぅ…」

 

 「”私のことを想ってくれているのは嬉しいけど、そこは

   頑張ってもらわないと”」

 

 先生がワカモを窘める始めると、彼女は恍惚とした表情から一変、明らかな動揺を始める。

 

 「き、嫌わないでください!!

  万が一にもあなた様に嫌われてしまうなんてことになってしまえば…!!

  ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい…どうか、どうか…

  私のことを嫌いにならないでください‥‥」

 

 まさかのギャン泣きである。

 ここまで泣かれるとは思いもしなかった為あたしも面食らってしまった。

 少し呆然としていると先生は再びワカモに話しかける。

 

 「”嫌いになんかならないよ。

   これから頑張っていけばいいんだから”」

 

 「は、はいぃぃッ!!」

 

 ほれぼれするほどの手腕。流石連邦生徒会長がスカウトしてくるだけはあるなぁ…

 

 あっ、そうだ!スカウトしなきゃ!!

 

 「あっ、えっとワカモちゃんだっけ。さっきの続きなんだけど、

  貴女が良ければシャーレにおいで。あたしのような素性不明でも

  受け入れてくれるから。なんならあたしの代わりに先生の護衛

  もお願いしたいくらい。とにかくまぁ、気が向いたらおいで

  入部届け渡しておくから」

 

 「黒狐さん…でしたか?お誘いありがとうございます。

  少しお時間いただきますが、いい返事になるよう検討させて

  いただきますわ。それでは先生、失礼致しました」

 

 そういうとワカモは入部届けを手に闇夜に消えていった‥‥

 

 「”私たちも帰ろうか”」

 

 「はい」

 

 先生と共にあたしはシャーレに戻り、夜を明かすのであった‥‥

 

 

 

 

 後日、シャーレのデスクにはワカモの名前が入った入部届けが置かれていたという。

 

 

 

 

 

 

リターンアビドス編 Fin.

 

 

 




余談:生徒紹介

 入手時の台詞
 「これからよろしくお願いします、先生。
  分け合って素顔を明かせませんが、
  この黒狐、必ずお役に立ちますので
  どうぞよろしくお願い致します。」


【黒狐】

初期レアリティ攻撃防御役割ポジションクラス武器種
☆☆☆爆発軽装備STRIKERFRONTアタッカーSMG


【武器】『天極&地獄:失彩』モデルMP5
 色褪せた2丁のサブマシンガン。
 

《生徒紹介》
 所属不明で全てが謎の生徒。
 素顔も狐面で隠されており、その神出鬼没さと7囚人のワカモと互角の強さを持つことから各自治区で警戒されている。
 一方で義理と情に厚く、悪事を働く者を退治してしているという噂も。
 一方で所持しているマシンガンがとある生徒の物に似ているという噂がまことしやかに囁かれている。

《EXスキル》『閻魔裁き』
 敵単体に対し大ダメージを与えるもの。この際、軽装備特攻も付与され、与えられるダメージが増加する。また、対象の防御力がダウンする。
 さらに自身の体力が半分以下であればさらに威力が上がる。

《ノーマルスキル》『ソウル・チャージ』
 20秒ごとに攻撃力を加算する

《パッシブスキル》『ジャッジメント!!』
 命中値と会心率が増加。
《サブスキル》『誇り、未だ消えず』
 攻撃時、敵の体力が減っている時、残り体力の10%分を追加ダメージとして与える。


《入手方法》
 ミッション報酬:対策委員会編第2章20話クリア報酬

《補足説明》
 この生徒の神命文字はメインストーリー各章クリア報酬になります。



 PV風台詞

 Yostar!
 次なる舞台は技術と科学の都、【ミレニアムサイエンススクール】
 廃部寸前のゲーム開発部を助けるべく、向かったのは…えっ!?廃墟!?
 それに先生!廃墟に謎の女の子がッ!!

 ブルーアーカイブ。時計じかけの花のパヴァーヌ編。
 ゲームなんてやるの久々だな~~




【次回、特別編】
 強くなりたいなら、大切な物を守りたいのなら、あたしが鍛えてあげる。
 
 お楽しみに!!
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