正義実現委員会の閻魔様   作:光からの使者

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対策委員会編3章の新シナリオを読んだ感想。
 あ~ホシノ‥‥。俺、(怒涛の展開で)涙が出そうだよ‥‥。

 ほんとにブルアカには驚かされるばかりだと思います。
ここまでえぐいストーリーだされるとは、思ってもいなかった。やっぱり、曇らせは公式が最大手か。
というか、あんなん予想できないって。

 仮死状態とはいえ、ユメ先輩をこれからのシナリオに組み込むか…難しいところ。

 ただ書きたいネタはあるので、いつかそこまで届いたらいいなあと思います。


エピローグ:あたしは――――

 

 「”そういえば、黒狐って学校はどうしてるの?”」

 

 ゲーム開発部の1件から何日か経ったある日、ふと先生は黒狐に尋ねた。

 

 シャーレの奪還に協力し、アビドス廃校対策委員会への助力、そしてゲーム開発部の助っ人と事あるごとに黒狐は力を貸してくれた。キヴォトスに就任し、日が浅い先生にとって力を貸してくれる彼女の存在はとても有難かった。

 

 しかし黒狐についてほとんど知らない。

 

 彼女の本当の名前

 どこの学園の所属なのか。

 何故、自分に力を貸してくれるのか。

 

 尋ねてたいことは山ほどあるのだけれど、本人は素性を探られるのを良しとは思っていない。

 彼女にだって何か事情がある筈。深く追及するわけにはいかないが、些細なことでも彼女のことを知りたかった。

 

 「‥‥実はあたし、学校行ってないんですよね」

 

 「”そうなの!?”」

 

 キヴォトスにおいて多くの生徒は何かしらの学園の生徒として所属している。

 むしろ学園に所属していない生徒もいるにはいるが、割合的にはそこまで多いわけじゃない。だからこそ黒狐が学校に通っていないという事実に驚いているのである。

 

 ただ、神出鬼没さや助っ人に来てくれる頻度から見て、彼女の話が本当なのには違いない。

 

 黒狐ははにかみながらも話を続ける。

 

 「その‥‥なんと言いますか…分け合って2年前から行けてないと言いますか…

  むしろ、半ば退学状態だと思うんですよね‥‥」

 

 「”シャーレに来る前はどうしてたの?”」

 

 「ブラックマーケットや色々な自治区で犯罪者を捕まえていました。

  寝泊りもブラックマーケットでしてましたね」

 

 どうやら、彼女には相当な事情があるようだ。素顔を詮索するわけにはいかないとはいえ、先生として彼女の現状を放っておくわけにはいかない。彼女だって私の生徒であることには変わりないのだから。

 

 「”よかったら、ちょっとしたテストを受けてみない?”」

 

 「テストですか?」

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 シャーレオフィスの一角にある教室にて、先生は黒狐にいくつかのテストを用意した。

 

 「”近々トリニティ総合学園で勉強を教えることになっていてね。

  確認用のテストを作ってみたんだ。よかったらやってみて欲しい”」

 

 「わ、わかりました」

 

 先生の勧めもあり、黒狐はさっそくテストに挑戦することになった。

 国語、数学、歴史学等‥‥専門的な要素は少なく基礎知識があれば解ける問題ばかりである。

 幸い、黒狐ことサバキはこれでも地頭は良い方であった。2年という時間のハンデは追いながらも、問題を解いていった。

 

 

 

 

 それから数時間が経った頃、全科目のテストが終了した。

 ほっと、息を吐きだし全身の力を抜く。

 

 「”お疲れ様、どうだったかな”」

 

 「人並みには‥‥できたと思います。少し不安ですが…」

 

 正直問題は解けたものの、当たっているかは別の話。元正義実現委員会の委員長たる自分が赤点を取るなんて醜態は晒したくはない‥‥

 少し震えながらも、別室にて先生の採点結果を待つこととなった。

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「”出来たよ”」

 

 先生から採点が終わった答案用紙を返却された。結果は‥‥‥

 

 黒狐‥‥85点。合格ラインを優に越している。

 

 よかったあああああ!勉強が身に沁みついていて本当よかった!!伊達に昔、15連勤の隙間時間に勉強したかいがあってよかった!!!

 

 「”基礎的な問題が多かったとはいえ、よく頑張ったね”」

 

 ええ、そうでしょう!そうでしょう!!努力は惜しまなかったので!!

 

 「”これなら、勉強を教えるのもできそう”」

 

 任せてください!この黒狐、勉強だってなんだって教え‥‥へ?

 

 「先生、勉強を教えるというのは…?」

 

 「”うん?ああ、さっき言った通り近々トリニティで勉強を教えることになってね”」

 

 「はぁ…」

 

 「”よかったら黒狐もどう?学校見学にもなると思うよ”」

 

 oh‥‥まさか昔の故郷に戻ることになろうとは‥‥正直あそこに戻るのは気が引けるが‥‥あの魔窟に先生を1人にするわけにもいかないし‥‥行くしかないか。

 

 

 「ええ!ぜひご一緒させてください!」

 

 「”よかった!それじゃあ早速、トリニティ総合学園の方にも伝えるとするよ”」

 

 「ちなみにその提案をした方は?」

 

 「”ん?確かティーパーティーって言ってたような…”」

 

 はあ~~~、絶対ろくな事にならなさそうだ。

  

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 「―――ちゃん、サバキちゃん!」

 

 「ん‥‥」

 誰かがあたしを呼ぶ声をした。声に耳を傾け、目を開けるとそこにはユメさんが立っていた。

 どうやらあたしは木陰で眠っていたらしい。

 

 

 「あ!起きた起きた!」

 

 「あれ、ユメさん?どうしてここに‥‥?」

 

 ユメさんは目をぱちくりさせながら、あたしに近づく。

 

 「もう~サバキちゃんたら、急に寝ちゃうんだから」

 

 「あはは…すみません」

 

 「ほら、行こう!砂祭り!」

 

 「はい!」

 

 

 ユメさんに腕を引かれ、あたしは砂祭りの会場を巡っていく。

 たくさん出揃った屋台に、大量の砂を固めて使った彫像展、目玉であるオアシスでの水遊び。

 とても楽しくって、まさに青春って感じがした。

 

 (これが砂祭り‥‥すごいなあ、それりゃあユメさんやホシノちゃんが復活させたいっていうもんだ)

 

 あれ…?そういえばホシノちゃんは?いつもユメさんと一緒なのに‥‥

 それに、アビドスにオアシスなんて残ってたか…?

 

 何かを忘れているような違和感。そして気持ちの悪さ。

 思い出そうにも、靄がかかって、思い出せない。

 

 「ねぇ、サバキちゃん」

 

 違和感に頭を悩ませていると、ユメさんがにこやかに笑っていた。

 けれど、次の光景にあたしは絶句する

 

 

 

 ―――なんであなたが生きてるの?

 

 開いたユメさんの瞳には一切の光が宿っていなかった。生気を一切感じない眼。あれだけ温かそうに微笑んでいた表情もどこか、張り付いた笑顔のようで恐ろしく感じた。

 

 それにあれだけ賑わっていた砂祭りの会場には、人が誰もいない。

 豊かな水を蓄えていたオアシスも、枯れ果て乾ききっている。

 

 「ゆ、ユメさん‥‥?」

 

 あまりの変わりように思わず後ずさるあたし。

 しかし、続けざまにユメさんが発する。

 

 「なんで私じゃなくてあなたが五体満足で生きてるの?

  私だってホシノちゃんといっぱい居たかったんだよ?それなのになんで私じゃなくてあなたなの?

 

 ねえ、返してよ。私の時間、青春の全てを。

 

 「ごめんなさい…あたしの…私のせいで‥‥」

 

 返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ返せ

 

 

 

 

 「ごめんなさい‥‥許してください‥‥私なんかが生きてごめんなさい‥‥」

 

 

 ―――そうやって、私も踏み台にするんだね。あの人たちみたいに。

 

 

 

 

 

 

 

信じてたのに

 

 

 「あたしは‥‥あたしは…‥」

 

 

 

 そうだ、そうなんだ。あたしはきっと‥‥

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――生きてちゃ、いけなかったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 「一体、何をしているのですか!!」

 

 けたたましい声であたしは、意識を取り戻した。

 側にはワカモが目を見開きながら、あたしの右腕を掴んでいる。そのあたしの手には『地獄』が握られていた。 

 銃口を自らに向けて。

 

 「ワ‥‥カモ‥‥?」

 

 「呻き声が聞こえると思い来てみれば、あなたとあろうものが何をしているんです。

  私が止めねばどうなっていたことか‥‥」

 

 キヴォトスに住む生徒は皆、身体は丈夫にできている。しかし、絶対に傷がつかないわけじゃない。当たりどころが悪ければ、最悪の可能性もあり得る。

 

 悪夢を見ていたあたしは、銃で自らの身体を傷つけようとしていたらしい。

 

 あたしが血迷った結果、下手をしたら先生の心に深い傷を作るところであった。

 ワカモには感謝しかない。

 

 「止めてくれてありがとう」

 

 「いえ、偶然ですからお気になさらず。お水です、お飲みなさいな」

 

 差し出されたコップの水を飲み干し、ようやく落ち着くことができた。

 

 「‥‥そういえば、素顔を見るのは初めてでしたね」

 

 「へっ?」

 

 ワカモの指摘にふとサバキはわれに返った。

 そう普段からならしている狐面を今はつけていない。寝ている時は外しているのだ。

 

 「あっ!あわわわ!み、見るな!」

 

 慌てて、布団で顔を隠そうとするが、ワカモは腕づくで布団を剥ぎ、微笑んでいた。

 

 「うふふ‥‥私の前に敢然と立ちふさがったあなたがこんな姿を見せるとは

  ですが、その素顔も中々お可愛いこと」

 

 「うぅ‥‥」

 

 「ですが、そちらだけ素顔を晒すというのは不公平というもの」

 

 そういうとワカモは自らの狐のお面を外す。

 露わになった素顔は、狐面とは異なり、穏やかで優しい顔つきだった。

 

 「優しそうなお顔なのね」

 

 「あらあら、そう言われたのは久しぶりですね。

  最も素顔を晒すのは、あのお方にだけと決めているのですが‥‥今回は特別です」

 

 普段仮面をつけて過ごしている者同士、素顔で向き合ってみるとまた違った発見がある。まさか、素顔を見らえるとは思ってもいなかったが、ワカモの素顔を見れたのも予想外の出来事だ。

 こうしてみると、あの時のような暴れぶりが嘘のように思える程、今のワカモの所作はきちんとしていた。もしかしたら、名家の娘ではないだろうか。

 

 「‥‥ワカモ」

 

 「何です?」

 

 「本当にありがとう、あたしを踏みとどまらせてくれて」

 

 「言ったでありましょう。偶然だと。

  それに、あなたは私と違い先生の側近でもあるのです。

  あなたがしっかりしなくては先生の品位が損なわれるというもの。であれば、私自らの手で‥‥」

 

 「‥‥はは、おっしゃる通りね。流石ワカモ、わかってるじゃん」

 

 そうこうしている内に、だんだんと夜が明けていく。

 

 「おや、もうこんな時間でしたか。本日はこれでお暇致します」

 

 「うん。ありがとう」

 

 お礼を言うとワカモは狐面を付けなおし、開いている窓からは去ろうとする。そんな彼女にサバキは告げる。

 

 「もしかしたら、先生のためにあなたの力を借りるかもしれない。その時は‥‥」

 

 「皆まで言わずとも伝わります。あの方のためなら、たとえ火の中、水の中。

  このワカモ、必ずや助太刀に参りますので。では」

 

 そういい、ワカモはシャーレから去っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 本当にどうして、五体満足で生き残ってしまったのだろう。

 あたしなんかより、ユメさんの方が生きるべきだったんだ。ホシノちゃんが過ごすべき青春を、未来をあたしが‥‥奪った。奪ってしまった。必ずホシノちゃんに合わせるって決めていたのに…

 

 「‥‥ああ、ああああああああ‥‥ああ」

 

 あの頃から、変われたと思っていた。でも全然変わっちゃいなかった。

 

 あたしは弱いまま。情けない、どうしようもない馬鹿だ。

 

 穴があったら入りたい‥‥

 

 ―――それでも、あたしはやらなきゃいけない。

 

 それが生き残った者(あたし)への責務なのだから。




余談:パヴァーヌ編を経て

 「そういえば先生、アリスちゃんを見つけたのがゲーム開発部でよかったですね」

 「”そうだね。万が一黒服みたいな大人に見つけられたら、どうなっていたことやら”」

 「最悪、取り返しのつかないことになっていたでしょうね」

 「”そう思うと、ほんとラッキーだったよ”」

 先生やサバキは知らない。ゲーム開発部がアリスを見つけられなかった場合もれなくキヴォトス滅亡ルート*1であったことを。

*1
ブルーアーカイブ4thPVより

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