本年度はできるだけ完結できるよう頑張りたい。
「あはは…き、来ちゃいましたね」
「来ちゃったな」
合宿所を飛び出し、あたしたちは夜の町を散策していた。
真夜中にも関わらずお店は賑わっており、買い物客の姿もちらほら見られた。さすが、トリニティと言ったところか。
「深夜の町はこんな感じなのか…思ったより活気がある」
そういいアズサちゃんが興味津々に周囲を眺めている。
にしても2年前より活気が増しているな。
「そうなんですよ、24時間営業のお店も多いですし。最近オープンしたもありますので」
教えてくれたハナコちゃんは見るからに活き活きしている。
水着パーティーの時もそうだったけど、もしかして年相応の遊びをしてみたかったのかな?ハナコちゃんが抱えているものはわからないけど、少しでも心の憂いが取れれば良いな。
「ここかあもう少し行くと、モモフレンズのグッズショップもあるんですよ。それだけではなく、限定グッズだけを取り扱う隠れたお店もありまして…」
「ヒフミちゃん、結構詳しいのね」
「あ、あはは……」
さてはヒフミちゃん、結構来てるな?
ペロロのためならブラックマーケットに来るくらいだ。真夜中の町も慣れてるんだろう。
「結局乗っちゃったけど、こんなところ万が一ハスミ先輩に見られたら、すっごい怒られそう…」
ハスミちゃんがそんな怒るとは思えないなぁ。自分に厳しく他人に優しいのが、ハスミちゃんだ。
「ハスミさんは後輩たちに優しい方だと聞いていましたが?」
「もちろん優しいわよ!文武両道、さいしょくけんび…?で品もあってすっごい先輩なんだから!で、でも起こる時は本当に怖くて…」
あたし、嬉しいよ。ハスミちゃんがこんなにも慕われてて。
それにしてもハスミちゃんって、そんなに 「”層えば、前にハスミが本気で怒るとすごかったって…”」
「”そう言えば、前にハスミが本気で怒るとすごかったって…”」
えっ、そうなの?
どうもコハルちゃんから聞く限りでは最近、ハスミちゃんが荒れているらしい。。
なんでもエデン条約の件でゲヘナの生徒会『
議長の羽沼マコトさんにツルギちゃんと勘違いされた挙句、体格や胸のデカさをいじられたそうな。ハスミちゃんも大きな身体や体重にコンプレックスを持っているようで、未だに頭から離れないみたいだ。それ以来、ダイエットを続けているためか気が荒くなっているという。
「それで、その会議自体になっちゃって…ハスミ先輩もあんまりご飯も食べないから心配で…」
うーん…そんな悩みを抱えていたのね。過剰なダイエットは体に毒っても言うし、あたしも心配だ。
「ハスミちゃ…ハスミさん、体調を崩してなければいいけど…」
「でもハスミ先輩はいろいろな意味で強いから大丈夫!ずっと自分との約束を守って頑張ってるんだから!」
そうか。ふっ、それもそうね。あの子の心の強さはあたしがよく知ってるもの。
心配するだけ野暮な話ね。
そんな話をしていたらスイーツを食べたい気分になってきた。
なんて思っていたらアズサちゃんがお店の看板を見つけた。
「みんな、ここにもスイーツ屋がある」
「せっかくですし、ここで何か食べましょうか?」
おっ、いいね!深夜のスイーツは背徳の味って感じでより美味しさが増す。
「ここの限定パフェすっごく美味しいんですよ!24時間やってるとは知りませんでした」
「パフェか‥‥うん、行こう!」
意見が固まったのでスイーツをいただくことにした。
――――
初めてのお店にあたしもみんなもわくわくしている。
「いらっしゃいませ。6名様でしょうか?ご注文をどうぞ」
「あの、限定パフェってまだありますか?」
「ああ、大変申し訳ございません…限定パフェはちょうど先ほど別のお客様が3つ購入されたのが最後でして…」
あらら、ギリギリ間に合わなかったか。
「こんな時間まで狙われているなんて、侮れないな」
確かに。やっぱり通なお客は見逃さないんだな
「‥‥あら?」
帰るのももったいなかった為、みんなで別のスイーツを注文しようとしていた時、聞き覚えのある声がした。
「せ、先生…?」
振り返ると、そこにはハスミちゃんの姿があった。
「"は、ハスミ!?」
「ハスミ先輩!?」
「あら、それが限定パフェですか?何やらたくさん…」
そういうハナコちゃんの示すテーブルの上には食べかけのパフェが1つと食べ終わったであろう2つのパフェグラスが置かれていた。
◇◇◇
ひとまず、みんなが食べたいスイーツを注文しハスミちゃんの近くの席に座る。
(き、気まずい…)
「あっ、えっと…これはですね‥‥」
ハスミちゃんもあたしたちとばったり出会うなんて思ってなかっただろうし、説明しようとしどろもどろになってる。あたしとコハルちゃんもなんていったらいいかわからなくなってる。
人のプライベートに踏み込むのも野暮だし、パフェを食べたい気持ちも良くわかる。でも、なんて声を掛ければいいかわからない。
すると状況を察したハナコちゃんは、微笑みながらハスミちゃんに囁く。
「真夜中の欲望に誘惑され、ここまで来てしまったんですよね?お気持ち、わかりますよ」
「”夜中ってお腹すくよね”」
図星を突かれ狼狽しかけるも、ハスミちゃんは何とか威厳を保とうと冷静さを取り繕う。
「せ、先生…その、自分のことを棚に上げるようで申し訳ありませんが、先生方補習授業部は外出禁止の筈ででは…」
それは、そう。まあ、こっちもたまには羽目を外したいよねってことで。
「‥‥ここはお互い、何も見なかったということにしましょう」
それが一番安牌だと思う。あっ、そうだ。一応ダイエットのアドバイスしておこう。
「それと無理に欲望を抑え付けるのは、悪手ですよ。過度な節食は暴飲暴食に繋がってしまいますから、小分けにするのが長続きしますから」
「はい…善処します」
ちょうど頼んだスイーツが届き、みんなで美味しくいただく。
パクパクと食べる中、コハルちゃんはハスミちゃんに視線が向いていた。それを察してか、ハスミちゃんはコハルちゃんに話しかけた。
「コハル、お勉強頑張っていますか?」
「あっ、えっとその‥‥」
憧れの先輩の前ではいつもの調子は出せず、はにかんでいるようだ。
そこで先生がコハルちゃんの代わりに答えた。
「”コハルはすっごく頑張ってるよ。成績もかなり上がってる”」
コハルちゃんは根っからのおバカではない。ちょっと背伸びしちゃっただけで、伸びしろは補習授業部の誰よりも秘めている。そう思うと当初のコハルちゃんは人見知りだったんだと思う。ハスミちゃんの期待に応えたい、慣れない環境で落ち着けない、これは原因だったのだろう。現に補習授業部で打ち解けてからはめきめきと頭角を現し始めている。
「そうなのですか?」
「はい!このままいけば十分合格できるくらい頑張っていて…」
ヒフミちゃんの後押しする。
「…なるほど。そうでしたか」
「うぅ…その…えっと…」
恥ずかしがっているコハルちゃんにハスミちゃんは微笑みながら話しかけた。
「やはり、思った通りでした。コハル、言ったではありませんか。やればできると」
尊敬する先輩に褒められたのがうれしかったのだろう。コハルちゃんは満面の笑みで浮かべていた。
「…えへへっ。は、ハスミ先輩の期待を裏切りたくないですから」
「はい、引き続き応援していますよ、コハル。正義実現委員会に戻って一緒に任務を遂行する時を心待ちにしていますから」
「はい!一生懸命、頑張ります!!」
「”良い話だ…”」
「尊い……!!(あなたたちがいるならトリニティも安泰ね)」
「副先生、本音が出ちゃってますよ~~」
おっと失礼、尊いと出てしまった。というかナチュラルに心読まなかった?
それにしてもこのパフェ美味しいな。ハスミちゃんももっと食べな?
「い、いえこれでもダイエット中なので、これ以上は‥‥」
今日くらいいいと思うよ。代金もあたしが受け持つし、日ごろのご褒美ってことで
「…あの黒狐さん」
「ん、なに?」
「おかしなことなのは承知なのですが、貴女とは初めて会った気がしないんです」
まぁ、中身はあなたの先輩ですからね。ばらす気はないけど
「そりゃあ、先生の赴任時会ってるからね」
「いえ、そうではなく。それよりも前に貴女と会っているような気がして」
「ふふ、世の中似た人は3人いるって言われてるくらいだしきっと他人の空似よ」
なんて、うまい具合にはぐらかしつつスイーツを食べているとアズサちゃんがあたしの狐面をじっと見ていた。
「プールの時から気になっていたが、副先生は素顔はどんな感じなんだ?」
「そうですね…食事の時も口元しか見えませんし」
残念だけど、見せる気はないからね?正体不明の黒狐。今のあたしはそういうキャラだから
って、痛てて!?アズサちゃん、お面を引っ張らないで!!
「んんん…取れない…紐や帯で結んでるわけじゃないのに」
「本当に不思議ですよね。そのお面、一体何でできているのでしょう?」
ってあれ?確かベルトで結ばれてた筈だけど。
「ヒフミちゃん、悪いんだけどあたしの頭の後ろ見てくれないかな?」
「はい、わかりました」
あたしの憶測が正しければベルトがあるはずなんだけど…
「仮面の後ろに何かくっついてない?」
「いえ…特に何もありませんよ」
まじか…ベルトのカモフラージュまでされてるのか。抜け目ないな。
「いつか先生の素顔を見て見せる!」
「なら、試験を合格することね」
なんて談笑をしているとハスミちゃんの携帯に着信が入る。
「‥‥こんな時間に?」
不思議そうに思いつつもハスミちゃんは通信に出る。
「イチカ?どうかしましたか?」
『夜分遅くにすみませんっす。ちょっと問題が発生しちゃいまして』
通話越しからイチカちゃんが状況を教えてくれた。
ゲヘナ学園の生徒が数名、突如としてトリニティ自治区に無断侵入。さらに展示していたアクアリウムからゴールドマグロを強奪し現在も逃走中だそうだ。
「それで侵入者の詳細は?」
『調べたところによると、ゲヘナのテロリスト集団 美食研究会みたいっす』
はぁー‥‥またあいつらか‥‥
「ちょっと変わってもらっても?」
「え、えぇ…」
通信機を借りハスミちゃんの代わりにイチカちゃんに話しかける。
「やっほ、イチカちゃん」
『あれ、黒狐さんじゃないっすか。どうしてハスミ先輩と一緒に?』
「それはしかのこのこ――」
『こしたんたんってことっすね。それでどうかしたっすか?』
美食研究会だけど、その内の1人にエプロンを着て縛られた子はいなかった?
あたしの予想が正しければ…
『あ――いるっすね。それらしき人物』
「やっぱりな。その子は被害者だから保護してあげて」
「もしかして知り合いですか?」
知り合いもなにも、悪人狩りやってた時に戦ったことがあってね。もう顔なじみレベルよ
美食研究会。会長の黒舘ハルナを始め美食家を名乗るグループ。そう一見聞こえはいいが、実体は自分たちのポリシーや拘りを詰め込むあまり、過激な行為を繰り返すテロリスト集団。自校のゲヘナでも指名手配を受ける程、彼女たちの危険度は折り紙付きだ。
アビドス行く前に何回か捕縛したんだが、懲りないな…
しかも奪ったゴールドマグロってヒフミちゃんが教えてくれた奴だよなきっと。
別にポリシーや信念は否定しないさ。目標を持ってるのはいいことさ。けど、周りへの影響を考えないのはどうかと思う。そのゴールドマグロだって自分たちが採ってきたものじゃないだろうに。美食家が強盗ってそれこそ食への冒涜やぞ。
なんにせよきっちりお灸をすえなくては。
『ああ、ツルギ先輩!そっちは壁っす―――』
大丈夫かな、イチカちゃん?
とりあえず、正義実現委員会も出撃したようだった。
通信を終えると同時に爆発音と振動がお店に伝わる。
「近いな。音からして1km以内とみた」
「‥‥みなさん。突然のことですが、どうかみなさんのお力を貸してください」
「エデン条約が近いんだ。ここでゲヘナ生と正義実現委員会の衝突ってなったら何かと不利だから第三者の手を借りたい。そういうことでしょう?」
「はい…その通りです。先生方、どうかお願いできますでしょうか?」
「”わかった。みんな、行けるかい?”」
「もちろん。先生の指示に従う」
「私もです」
「せ、戦闘ですか?が、頑張ります!」
「わ…私も…先生と…ハスミ先輩と一緒に…?」
そうだよ。ハスミちゃんと一緒に戦おう!
ドキドキしているコハルにハスミちゃんは優しく語り掛ける。
「いつかこうして肩を並べる日が来るとは思っていましたが…思っていたよりもずっと早かったですね、コハル」
「はい…!!私、頑張ります!!」
みんなの士気は上々!あたしも、後輩にカッコイイところ見せてやるぞ!!
生け簀も忘れずにね
「”それじゃあ、安全第一で‥‥行こう!”」
こうしてあたしたちは美食研究会を捕まえるべく、再び夜の市街地に飛び出したのだった。
余談
祝!ブルーアーカイブ4周年!
セイアにリオに、制服ネル、アスナ、カリン実装ってマジか…
全員限定だし、石足りなくなっちゃうよ…
けど無料100連で引けたらいいな