正義実現委員会の閻魔様   作:光からの使者

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おまたせしました。
ブルアカをプレイしている人なら誰もが通る道、はっじまーるよーー
これも宿命だ、諦めてくれナギサ。













14限目:暴かれた秘密

 

 あたしとアズサちゃん、ハナコちゃんはナギサさんの身柄を保護すべく行動を起こしていた。

 

 だだっ広いトリニティ総合学園の中でも極めて目立たず、それにも気づかれないであろう秘密の小屋。

 そこにナギサさんがいるのだという。

 

 道中、小屋を守っていた子たちは静かに制圧しナギサさんのいる部屋をノックする。

 

 「‥‥紅茶でしたら、もう結構です」

 

 声が微かに震えているのがわかる。

 不安と恐怖を何とか押し殺し気丈に振舞っているのだろう。

 

 ナギサさんの声を無視し、あたしとハナコちゃんはナギサさんと対面する。

 

 「可愛そうに、眠れないのですね。それもそのはずですもの。正義実現委員会がほとんど傍に居ない状態。不安にもなるますよね、ナギサさん」

 

 あたしたちの姿を見たナギサさんは呆気に取られていた。

 

 

 「う、浦和ハナコさん…!?それに黒狐っ!どうして貴女方がここに‥‥!」

 

 

 「それはこのセーフハウスをどうやって知ったのかという意味ですか?それはもちろん、全て把握しているからですよ。合計87個のセーフハウス…そのローテーションまで……ふふっ♡」

 

 「………!?」

 

 「変則的な運用もおおよそ把握しています。例えば、心から不安な時はこの秘密の屋根裏部屋に隠れるという事も♡」

 

 改めて聞くとハナコの凄さを実感させられる。

 あたしや先生でさえ把握できなかった事実からナギサさんの居場所や行動パターンを彼女は全て覚え、正確に伝えた。

 

 一抹の末恐ろしささえ覚えたほどに。

 

 「そんな‥‥」

 

 「動くな」

 

 動揺するナギサさんの背後にアズサちゃんが銃を突きつける。

 

 「もちろん、ここまでの間に警護の皆さんは片付けさせていただきました。だからこそ、こうして堂々と入ってきたのですが」

 

 「白洲アズサさん、浦和ハナコさん、それに黒狐‥‥まさか、『裏切者』は1人ではなく‥‥」

 

 動揺するナギサさんにハナコちゃんは微笑む。

 

 「単純な思考回路ですねぇ、私たちは単なる駒にすぎませんよ」

 

 ハナコちゃんが打ち明けたことに再び衝撃を受けるナギサさんであったが、目を絞りあたしを睨みつけた。

 

 「そうでしたか…ですがその翼は‥‥やはり、貴女が‥‥!」

 

 何故、あたしを睨む?

 あたしはナギサさんに対し恨むことなんてないし、した覚えもないぞ。

 それに2年前のことだってあなた方(ティーパーティー)のことを憎んだこともありませんから

 

 「副先生だって駒の1人にすぎません。矛先を向けるのは筋違いというものですよ。それよりも、ここまでする必要はありましたか?ナギサさんの心労についてはよく理解しているつもりです。ですが『シャーレ』まで動員してまでやる必要はありましたか?」

 

 「それは‥‥」

 

 「私やアズサちゃん、副先生。最初から怪しかった人たちならわかります。ですが、コハルちゃんやヒフミちゃんに対してはあんまりな仕打ちだと思わなったのですか?。特にヒフミちゃんはナギサさんと仲が良かったはずです。ヒフミちゃんがどれほど傷ついたか、わからないナギサさんではない筈です。それにコハルちゃんだって元は正義実現委員会、ハスミさんへの牽制だったのでしょう。ですが疑惑の真意を確かめることだってできた筈です。真実を探るのを恐れたのではありませんか?憧れの先輩と引き離されるコハルちゃんの気持ち、コハルちゃんを思うハスミさんの気持ちを知らなかったとは済ませませんよ」

 

 相当腹に据えかねていたのだろう。冷静なようでいて激情的になっている

 ハナコちゃんの言葉の節々には確かな怒りが込められているのが伝わる。

 

 「…っ、そうですね。ヒフミさんたちには悪い事をしたかもしれません。‥‥ですが、後悔はしていません。全ては大義のため。確かにヒフミさんとの間柄だけは守れればと思っていましたが…私は…」

 

 そうか、ナギサさん。

 貴女の決断は友ではなく大義を選んだのか。

 

 ナギサさんからの告白にハナコちゃんは目を細め、微笑む。

 

 「では私達の指揮官からナギサさんへ、メッセージをお伝えしますね?」

 

 あはは……えっと、それなりに…楽しかったですよ、ナギサ様とのお友達ごっこ

 

 

「とのことです♡」

 

 

 ハナコちゃんのメッセージはナギサさんへ強烈に響いたのだろう。

 脳が理解を拒もうとしても、ナギサさんの脳内では明確に像が作られてしまった。信じられない、信じたくない。

 

 ナギサさんの顔が真っ青になりながら、絶望の表情に染まっていく。

 

 「‥‥っ!?まさか、ということは‥‥うぐッ!?」

 

 よろけながら椅子から立ち上がろうとしたナギサさんの鳩尾に深く拳を入れた。

 

 「おやすみください、ナギサ様」

 

 既にトリニティから卒業なさったマエル様はナギサさんを目にかけていた。

 そんな彼女を守ることがあたしがトリニティへの恩返しになる。

 

 次に目を覚ます頃には悪い夢を見た、で済みますから

 

 

 

 

 

 あたしはナギサさんの身柄を軽く拘束し、抱え上げる。

 

 「…ハナコちゃん、思う所はあるけれど、今後はやらないようにね」

 

 「はい…すみません。ついかっとなってしまいました」

 

 ハナコちゃんは優しい子だもの。

 怒るのだって翻弄された補習授業部を思ってのこと。それについてあたしは責めたりしない。

 でも変に2人の仲を拗れさせるようなことはダメ。それは貴女が否定していたものなんだから。

 

 「バイタル安定、しっかり気を失ってる。それにしても鮮やかな手つきだった。どこで習ったんだ?」

 

 説明書を読んだのよ(すっとぼけ)

 

 ぶっつけ本番だったが上手くできてよかった。

 護衛の子たちも朝になれば目を覚ますだろう。何せ睡眠薬トラップだからな。

 

 第1目標はクリアした。

 後は本当の裏切者とアリウスを迎え撃つ。

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

「‥‥うん、うん。わかった。連絡ありがとう」

 

 通信を切り、軍勢がアズサちゃんと交戦したことを伝える。

 この日のためにアズサちゃんは前もってトラップを用意していた。まぁ、あたしも協力して数を多めに仕込んでおいた。

 

 備えあれば患いなしってね。

 

 アズサちゃんが体育館へと向かってくる。

 無事に誘導が上手くいったようだ。

 

 後を追うように全身武装し、ガスマスクを被った集団が体育館へと入る。

 あれがかねてより聞いていたアリウスの生徒か。

 

 「‥‥なるほど。逃げたのではなくおびき寄せるためか。だが5人で何ができる。覚悟しろ!!」

 

 舐められたもんだな。

 たった5人だからって甘く見れば痛い目見るってんだ。

 

 「そうだな、ここには退路はない。お前たちのだがな」

 

 「一先ず仕上げと行きましょう♡存じ上げないかもしれませんが、補習授業部の担任であり『シャーレ』の顧問の先生です♡」

 

 「それと副担任の黒狐さ」

 

 「殲滅戦を始める。先生!」

 

 「”補習授業部、行くよ!!”」

 

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 戦いにおいて重要なのは何だろうか。

 

 兵の数?装備の質?

 

 確かにどれも重要なものだろう。

 しかし戦い、特に今回のような迎撃戦において最も重要なのは、地の利だと言える。

 

 いかに自分たちが有利な状況で戦うこと。戦いの基礎たる部分だ。

 その点、戦場がトリニティ総合学園であったことは幸いだったと言える。『真の裏切者』の手引きがあったとはいえ、アリウス側はトリニティの地形に明るいとは言い難い。一方、こちらは現役のトリニティ生数名、および全体を把握しているハナコちゃんがいる。

 

 数は少なかろうが、地の利を得て作戦を立てているこちらが優位だ。

 

 「敵はたったの5人だ!数ですり潰せ!!」

 

 「ダメです隊長。この狭さでは後続部隊が入れません!」

 

 「何だとっ!?」

 

 戦場となっている体育館は本館に比べて平地かつ狭い。

 いくら数で優っているアリウスでも狭い場所では一度に攻めることはできない。

 

 「”ヒフミ、ペロロ様を展開して!”」

 

 「はい!」

 

 「なんだこの鳥ッ!?」

 

 ただでさえ混戦状態なのにヒフミちゃんがペロロ人形を展開したことで相手の狙いが逸れる。

 奇怪に踊るペロロはまさしく奇襲といってもいい。

 

 「”コハル、グレネードを投擲”」

 

 「任せて!」

 

 デコイに気を取られ、固まってきたところをコハルちゃんの手榴弾で一網打尽にする。

 徐々に戦える数を減らしていくアリウス。しかし向こう側も攻める手を休めない。

 

 「”一気に畳みかける。アズサ、黒狐”」

 

 「「了解」」

 

 あたしが前へ飛び出し、アリウス生たちと対峙する。

 

 「おらあぁっ!」

 

 回し蹴りで持っていた銃を叩き落とし、ガスマスクの横っ面にストレートを叩き込む。

 

 「こいつ…バケモノかっ!?」

 

 いいえ、ただの一般人ですよ。おらあぁぁっ!

 

 「ぐわぁぁぁっ!!?」

 

 ふらふらになるアリウス生に追い打ちとばかりに『天極』と『地獄』をぶっ放す。

 当然、2丁拳銃からなる波状攻撃によってそのアリウス生たちは気を失った。

 

 

 「これで楽になるはず」

 

 アズサちゃんの放った鋭い弾丸が最後に残ったアリウス部隊の指揮官のガスマスクに命中、対象の意識を刈り取った。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 「これでいいのかしら?」

 

 「ああ、全員戦闘不能だ」

 

 先生が指揮を取ってくれたおかげであたしたちはアリウスの部隊を無力化することに成功した。

 けれど、まだ安心はできない。

 

 「難所を一つ乗り越えたところで次のフェーズに移りましょうか。アリウスの増援部隊がこの後到着するでしょう。ですが、私たちは時間を稼ぐだけで大丈夫です」

 

 ハナコちゃん曰はく、正義実現委員会の援軍を待つのだという。

 

 アリウスの進軍はエデン条約を脅かしかねないもの。それにティーパーティーにも問題が起きたのだから正義実現委員会は当然動く。コハルちゃんがハスミちゃんに連絡を取ってくれたおかげで時間はかからない見立てになっている。

 

 流石、頼りになるわねハナコちゃん。

 

 だがそんな淡い期待を打ち砕くかのように体育館の正面入り口が破られ、続々とアリウス生徒がなだれ込んでくる。

 

 数も先ほどの比ではない。

 

 「増援部隊が…こんなにも早く?」

 

 「‥‥大隊単位だ。たぶん、アリウスの半数近くが‥‥」

 

 「どうしてこれだけたくさんの方が平然とトリニティの敷地内に‥‥!?」

 

 あれだけ派手な動きをすれば正義実現委員会が黙ってはいない。しかし現にアリウスは堂々とトリニティに侵入している。

 

 一体どういうことなのだろうか?まさか…

 

 「正義実現委員会が動く気配がない?」

 

 「それは仕方ないよ。だってこの人たちは新しいトリニティの公的な武力集団になるんだから」

 

 あたしたちの疑問に答えるかのように、この場に似つかわしくない声が聞こえた。

 

 アリウスの生徒を後ろに率いて姿を現したのは

 

トリニティ総合学園ティーパーティー、パテル分派首長『聖園ミカ』であった。

 

 

 

 

◇◇◇◇

 

 

 ‥‥っ、信じたくはなかったがやっぱり貴女が

 

 「”ミカ…?”」

 

 「久しぶり先生たち。また会えて嬉しいな。それとね、正義実現委員会は来ないよ。他にも邪魔になりそうなのは粗方掃除しておいたの。ティーパーティーの権限を使って全部足止めしたから。折角の機会なのに邪魔をされた嫌だからね」

 

 「聖園‥‥ミカ、さん‥‥」

 

 「まぁ、黒幕登場ってことかな☆」

 

 考えうる状況の限り最も考えたくなかった可能性。

 ナギサさんが探していた『真のトリニティの裏切り者』は同じティーパーティーの一人、聖園ミカさんだった。

 

 信じがたい事実にあたしも先生も補習授業部のみんなもただ呆然とするばかりであった。

 だがミカさんの方はいつもの調子で話を続ける。

 

 「あはは。でも、嘘を付いてたのはお互い様じゃんね☆」

 

 「”嘘?”」

 

 ミカさんが屈託のない笑顔であたしの方を向く。

 いつもであれば、なんてことはない。だが今の状況でのミカさんの表情は悪寒を感じさせる。

 

 「‥‥背中、もう隠さないんだね」

 

 「…ええ」

 

 間違いない。彼女は

 

 

 「どういうことなんですか、ミカ様!嘘って一体?」

 

 「ああ、そうだったね。そこにいる狐さん、黒狐だっけ。だってその人、元トリニティの人間だもん」

 

 「えっ…?」

 

 「嘘‥‥」

 

 「なっ‥‥」

 

 ミカさんが告げたもう一つの内容に補習授業部の面々に衝撃が走る。

 

「そうだよね。トリニティ総合学園3年生、元正義実現委員会の委員長『浄玻サバキ』先輩?」

 

 今まで誰にも知られることなく、ずっと隠し続けてきた秘密。

 これからもずっと明かすことなんてないと心のどこかで思っていたのかもしれない。でも現実は甘くなかった。

 

 ついにあたしの正体が白日の下に暴かれた。




余談
サバキがアズサと協力してしかけたのはホームアローン式トラップだ。
ゲリラ戦で使われるような物ではなく、合宿場の設備で用意した即席罠であるため面白いくらいに引っかかったらしい。

具体例
・ゲヘナ自治区で使った油床トラップ。
・ワイヤーネットを使った捕獲トラップ。
・整備の際に余った廃棄用の鉄くずを使ったまきびし。
・即席の火薬を使った音爆弾等
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