正義実現委員会の閻魔様   作:光からの使者

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業務6:ヘルメット団を捕まえろ

 あれからカタカタヘルメット団による襲撃の頻度が増すようになった。

 追い返すにつれ、数や武装を増やしやってくる連中。それでも烏合の衆なことには違いないためあたし、ユメさん、ホシノちゃんの3人だけで十分戦えている。しかしこのままでは物資の差でじり貧だ。

 

 そこであたしは秘かに連中の逃走経路を追跡し、やつらのアジトを見つけ出すことにした。幸いヘルメット団の悪行はアビドス市民でも知られているらしく、情報はすぐに手に入った。

 市民の方々から得た目撃情報や痕跡を照合し聞き込み活動を繰り返すこと数日。ようやくカタカタヘルメット団の基地の居場所を突き止めた。この基地を徹底的に追い詰めれば、アビドスでの活動が困難になる。次回の襲撃に合わせ、叩く!

 

 「――――というわけで、どうですか?」

 

 「うん、私は良いと思うよ。

  相手の撤退に合わせてならこっちは守りに専念せずにすむね」

 

 「‥‥確かに理にかなった作戦です。ですが、よく見つけだせましたね?」

 

 実際、見つけだすことが出来たのはアビドス市民の皆さんのおかげだ。自分一人では手の届く範囲に限界がある。彼らから情報が得られなかったら見つけだすのはもっと遅れていただろう

 

 「アビドスの心優しい方々のおかげです。

 それに連中が羽振りを利かせてたのもありましたし」

 

 これは聞き込み調査で知ったことだか、ヘルメット団の連中が贅沢に弾薬や食料を調達している姿が頻繁に目撃されていたそう。

 さらに打ち上げ会をたまたま聞いた人に寄れば、どうやら誰かに依頼されたという旨の内容だったそうな。周りの目を気にせず行動し続けた結果だろう。浮かれ過ぎだ。

 

 「それじゃあホシノちゃん、サバキちゃん。連中の鼻を明かしちゃおう!

 

 「ええ。私たちの2度とアビドスに近づけさせないようにしてやりましょう」

 

 「おし!やってりますか!!」

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 予想通りカタカタヘルメット団は、アビドス高等学校を襲撃しにやってきた。

 

 何度やっても結果は変わらないため当然、連中は逃げ帰った。

 …あたしたちが背後から尾けているのも知らずに

 

 奴らの基地は、アビドスの市街地の外れにある廃墟。

 この辺りは砂漠化が進んでいる地域であり、舗装された道路はあれどわずかながら砂が入り込んでいる。そのため住民もあまり近づかない場所なんだそう。

 

 ヘルメット団はあたしたちが来たことにやっと気が付いたのか迎撃を始める。

 

 

 

 「なんでアビドスの奴らがここにいる!?」

 

 「知らねーよ!」

 

 「まさか誰か裏切って‥‥!!」

 

 完全にあたしたちの行動は予想外だったらしく、団員たちは慌てふためているようだ。   

 しまいのは居るはずのない裏切者まで口に出し勝手に仲間割れを引き起こしている。

 

 「うへ~~もうしっちゃかめっちゃかだぁ~~」

 

 「はやく隊長各を捕まえましょう。混乱に乗じて逃げられでもしたら厄介です」

 

 確かに。今のうちに確保しなければ、また部隊を再編制してアビドスへ報復に来るかもしれない。

 

 ただでさえ、アビドスは物資の補給が滞っている状態だ。復活の目途も経たない程叩き潰した方がいい。

 

 辺りに目を凝らしてじっと眺めていると、隊長格の赤ヘルメットの不良生徒がコソコソとどこかに行こうとしていた。

 

 目線をホシノちゃんに向けると、彼女は首を縦に振る。

 

 どうやら考えることは同じなようだ。

 

 

 「ちくしょう‥‥アビドスの奴らめぇ‥‥立て直したら復讐してーーーー」

 

 「させませんよ、復讐なんて」

 

 「おっ、おまえは‥‥小鳥遊ホシーーー」

 

 全て言い終わるまえに赤ヘルメットはドサッと地面に倒れ堕ちた。ヘルメットの額部分には小さな穴が開いていた。

 

 「はい、お疲れ~~~」

 

 「お疲れ様です。では残りもふん縛っておきますか」

 

 あたしたちが隊長格を捕まえた頃、ヘルメット団は仲間割れによって壊滅していた。

 団員たちは軒並み気絶しており、あたし、ユメさん、ホシノちゃんは分かれて拘束していく。

 

 「これでよしっと‥‥」

 

 「あらかた拘束し終えましたが、どうするつもりですか?まさか、アビドスに連れ帰る

  つもりじゃあ‥‥」

 

 「ないない。ちゃんとしかるべき人に引き渡すだけです」

 

「「しかるべき人…?」」

 

 首をかしげる二人を他所にあたしは携帯で連絡を取り始める。

 

 少し話した後、電話を切った。

 

 「誰にかけたんですか?」

 

 「荒事の専門職の方だよ」

 

 待つこと十数分。サイレン音と共に何台かのパトカーと護送車が駆けつけた。

 

 「ヴァルキューレ公安局の尾刃です。通報された方は?」

 

 「あたしです」

 

 「‥‥やっぱり貴女でしたか。サバキさん。全く、わざわざ私を指名するなんて貴女

  くらいですよ」

 

「ごめんごめん。でも来てくれると思ってたから」

 

 

 手帳を手に自己紹介しているのはヴァルキューレ警察学校の生徒、尾刃カンナである。

正義実現委員会で活動する上で暴れている生徒を相手にすることは珍しいことではない。

 

 他校地域やD.U地区においては他校の生徒と共闘し事態の鎮圧にかかる。サバキがカンナと出会ったものもそれが理由だ。暴動を起こした生徒、指名手配者を逮捕しヴァルキューレ公安局に引き渡しているうちに親交を重ね、今や電話一本で駆けつける仲になっていた。

 

 

 「カタカタヘルメット団ですね‥‥。確認しましたが確かに指名手配犯として確認が取れました。ご協力ありがとうございます。にしても‥‥」

 

 「ん?」

 

 

 「何故、トリニティの貴女がアビドスの制服を着ているんです?」

 

 「ちょっと、訳ありでね‥‥いつか話すよ」

 

 「はあ‥‥わかりましたよ。後日手続きが済み次第、報酬金が振り込まれます。

  この度は逮捕にご協力、ありがとうございました」

 

 カンナを始めヴァルキューレ生徒たちは敬礼した後、パトカーに乗って去っていった。

 

 不良たちも皆護送車に詰められ送られていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 「「お疲れ様でした!!」」

 

 アビドスに戻ったあたしたちはヘルメット団の壊滅を祝い、生徒会室で祝勝会を開いていた。

 

 机にはジュースやユメさん厳選のお菓子が並んでいる。夜のアビドス高校にいるのはあたしたち3人だけ。

 

 そのためどれだけ騒いでも問題にはならないのだ。

 

 「‥‥浮かれ過ぎですよ2人とも。特にユメ先輩、ヘルメット団関係が終わったところ

  でまだ借金が‥‥」

 

 ホシノが話終えるまえにユメさんは指でホシノちゃんの口を塞ぐ。

 

「いいのいいの。今日くらいは楽しも、ホシノちゃん。それにこうしていられるのも今日

 が最後だし」

 

 そう。目的だったカタカタヘルメット団は倒された。それはあたしの留学が終わったことを意味する。この祝勝会は、謂わばあたしの送別会。だからこそこうして騒いでいるのだ。

 

 ホシノははぁっとため息を吐いた後、やれやれとしぐさをしたのち席に座る。

 

 「仕方ないですね‥‥付き合いますよ」

 

 「そう来なくっちゃホシノちゃん!!」

 

 「アビドス1!!」

 

 「ぶん殴りますよ?」

 

 こうして続いた祝勝会は夜が耽るまで続いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 どんちゃん騒ぎの後、あたしはふと目が覚めた。

 時計を見れば深夜を過ぎており、隣にはソファーで寝ているホシノちゃんの姿があった。

 

 しまった。つい騒ぎ過ぎた‥‥頭痛ぇ‥‥

 

 ジンジンと痛む頭を抑えつつ辺りを見回すとユメさんの姿がなかった。

 

 居場所は気になるものの、まずはこの頭痛をどうにかするべくあたしは夜風に当たれる場所を探す。

 

 高校の窓からみる真夜中の空はとても美しかった。

 月明りが砂漠の砂を照らし、幻想的な光景が広がっていたからだ。

 

 っとそれはさておきどこか風に当たれる場所はないかと考えていると、どこからかそよ風を感じた。

 

 それも上から入ってきたような感じであった。

 

(どこから入ってきたんだ‥‥?)

 

 気になったあたしは風の出所を探るべく夜の学校の探索を始める。

 

 夜の砂漠は昼に比べ気温が一気に下がる。そのため風も冷たい。

上から吹いてくる風を探し階段を上ってみると、屋上の扉が開いていた。

 

 気になったあたしは恐る恐る入口に近づき屋上へと出る。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 屋上に出てみるとそこではユメさんがベンチに座り夜風に当たっていた。

 

 同時にこっちに気づいたようでニコニコと手を振っている

 

 「あっ!サバキちゃん!こっちこっち~~!!」

 

 ユメさんに誘われるままに、お隣に座らせてもらった。

 

 「えへへへ、この場所私のお気に入りなんだ。星が綺麗でいっぱい見れて、

 とってもいい場所なの」

 

 指を指した先に広がる夜空。あたしがさっき見た夜景よりもはるかに鮮明で幻想的で、神秘的であった。こんな美しい夜景を見られるのはキヴォトスでもそう多くないだろう。

 

 「とてもきれいですね」

 

 「そうでしょう?今度ホシノちゃんにも教えてあげるんだ。ホシノちゃん、ここ最近働

 きづめだったから気晴らしになればと思って」

 

 やはりユメさんにとってホシノちゃんは可愛い後輩で大切にしていることがひしひしと伝わってくる。経った2人で母校を救おうと頑張っている。それはあたしとしてもすごいことだと思う。借金のほかにヘルメット団のような不良から学校を守らなくてはならない。途方もない努力が必要なんだと理解できる。

 

 感嘆していると、不意にユメさんがあたしの方に振り向く。

 

 

 「サバキちゃん。あの時、助けてくれてありがとう。私思うんだ。あの時サバキちゃん

 が助けてくれたおかげで縁が出来て、そこからヘルメット団を倒すことができたんだっ

 て。だから改めて伝えるね。サバキちゃん、アビドスに来てくれてありがとう!!」

 

 ユメさんの屈託のない満面の顔。思わずあたしの心がドキッとする。

 ‥‥いかんな。ときめくだなんて。今更だけどユメさん年下だよね?

 なのになんで、こんな心がふわふわするんだろう?う~~ん…わからん。

 

 「おーい、サバキちゃん大丈夫?顔、真っ赤だよ?」

 

 「はっ!すみません。だ、大丈夫です‥‥」

 

 「そう?あんまり無理しないでね?そうだ!」

 

 何やらひらめいた様子のユメさん。ニコニコしたと思うとあたしをハグする。

 

 ぎゅーっと抱きしめられてあたしの脳はバグを起こし始めた

 

 「ユ、ユユユユ‥‥ユ、ユメさん!?い、い一体何を?」

 

 「サバキちゃんがこれからも頑張れるようハグすることにしたの!委員長と生徒会長。

 お互い責任と立場がある身だけど頑張っていこうね」

 

 「――――フフフっ///ええ。頑張りましょうユメさん」

 

 「それとサバキちゃん、私のことはユメさんじゃなくて呼び捨てでもいいんだよ?

 一応年上なんだし」

 

 「あーー職業病かどうしても敬語呼びが抜けなくて‥‥」

 

 「ならユメ先輩でもいいよ。サバキちゃんはもうアビドスの名誉生徒だから」

 

 「それは遠慮しておきますね。ホシノちゃんにとって先輩はユメさんだけですから」

 

 「なら、次会う時まで呼び方考えておくよ」

 

 「ぜひよろしくお願いします」

 

 

 こうしてわたしとユメさんによる秘密の会合は終わりを迎えるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 

 

 

 そして後日、あたしは一連の出来事をティーパーティーに報告しトリニティ総合学園に復帰。

 

 正義実現委員会、委員長として再び業務に励む日々がはじまった。




余談
・カタカタヘルメット団
『対策委員会編』で登場した不良生徒の集団。”先生”が来る以前にもアビドスを何度か襲撃している描写があった。
 今回登場したカタカタヘルメット団はその前身となった組織。物資の補給が厳しい状況のあるアビドスを狙っていた。また他地域に配下のヘルメット団がおり、各地を荒らしていた為連邦生徒会から指名手配を受けていた。
(あくまでこの世界線における)
 ユメ、サバキ、ホシノによる不意打ち作戦によって戦線が瓦解。仲間割れを起こしヴァルキューレ公安局に全員逮捕された。
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