TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう 作:ひのかぜ
わたしたち姉妹兄弟4人をこの世界に、精霊としての生を授けてくれた、大切で大好きな
うっかり、わたしたちが何かの間違いで消える事のないように、自分の力を沢山分けてまで【
ぼんやりとした意識がはっきりしていく中、こちらを見つめるその銀色の瞳を見て、この
しかし、肝心のお母さま自身には
外で皆で遊んだ後、何気なしにウェールが聞かなければこのまま時が過ぎ去っていただろう。
その時にされた、お母さまの説明を全て思い出してみれば、あり得ない事だとすぐに理解出来るはずだったのに、少し前のわたしは恐怖に駆られてしまっていた。
大好きなお母さまが、真名がないせいである日突然居なくなってしまうと言う、考えたくもない恐怖に。
「お母さまの名前、早く考えてあげたいのはやまやまだけど、雑になったら嫌だし……」
「うん、僕も同意見。僕たちの真名とは段違いで重要なものだからね」
「そうそう。でも、その時まで残り1日もないって問題も考えなきゃダメだよね。お姉ちゃん」
「そう! 早くしないと時間が過ぎちゃう!」
それのお陰で、こうして真夜中までウェールたちとこのお部屋で話すための時間を、しっかり設けた訳なのである。
仮に、わたしや他3人がこのまま放っておいても、お母さまのお母さまと思われる『カミサマ』が名前を授けてくれるけど、それをお母さまはあまり好ましく思っていない。
「私にはとても合わない」と言っていたけど、一体どんな真名を授けられるのだろう。わたしに授けられた真名は、この世界で最も大切なものの1つになったから、多少合わない程度なら同じように思うはずなのに。
ただまあ、合わないのレベルが想像よりも遥かに上を行っている事だけは、お母さまの反応からして確かではあるけど。
「あぁ……皆、まだ起きてたんだね。私の名前、考えてくれてたのかな?」
そんなこんなで、本棚から持ってきた沢山の本も参考にしつつ皆と考えていると、寝間着で眠たそうにしているお母さまが、わたしたちのお部屋に入ってきた。
わたしやウェール、ルプスにヴィンターがぐっすり眠れているか、毎日チェックしているって聞いてるから、結構遅くまでこのお話を夢中で続けていた事になる。
そして、わたしたちに対する問いかけの言葉から考えて、お母さまはまだ自分の真名を考えられていないはず。
ともなれば、1日くらい寝ずにずっと真名の案を出すために考えてたって、話し合いをしているくらいは大した事ではない。
「うん! スッゴく困ってたし、お母さまの役に立ちたくてさ。後はね、居なくなっちゃわないかって怖かったから……」
「あはは……心配かけちゃったみたい。私の説明がダメダメでごめんね、皆」
「ううん、謝らないで! お母さまの説明、ダメダメじゃなかったと思う!」
「アエスタお姉ちゃんの言う通りだよ! ぼくたちが、心配しすぎてるだけだから!」
「ふふっ……優しいね。でも、私が自分1人で考える事が出来てないせいで、心配かけたのは事実だし……それに、もう夜遅いし寝ちゃって良いんだよ? 本当なら自分でどうにかするか、神様に任せる案件だもの」
しかし、お母さまは自分自身の事よりも、子供であるわたしたちの方を大切にしてくれる精霊。毎日遊んでくれたり、お勉強に付き合ってくれたり、ちょっとした事でも気に掛けてくれたりする。
そんなお母さまが、この状況でこうした気遣いの言葉をかけてくれるのは、もう既に分かりきっていた事だ。
そして、下の方でぐっすり眠っている、大きいモフモフ狼のテウちゃんに対してだって、毎日丁寧に毛づくろいをしていたり、沢山遊んだり話しかけていたりと、子供ではなくとも大切な仲間として扱っている。
だからだろう。自分の将来のため、もしくは純粋に楽しむためにやりたい事……本を読みながらの勉強やお絵かき、魔法の練習に使う時間が目に見えて減ってきていたのは、本当に申し訳ない気持ちで一杯だ。
本来であれば、お母さまには真名の事はわたしたちに任せて、ここでいつものように寝てもらいたい。ただ、それではきっと納得してくれないのは確実だとわたしは思う。
「えへへっ。わたしたちなら大丈夫だよ、お母さま! でも、そんなに気にしてくれるなら……一緒に考えて欲しいな! お母さまと楽しくお話出来るって意味でも、むしろ嬉しいし!」
「お母様のためなら、一晩くらい寝なくたって大した事じゃない。ヴィンターお兄ちゃんもルプスも、そう思うでしょ?」
「うんうん、間違いない!」
「そうだね。ヴェールの言う通りだと僕も思うなぁ」
だからこそ一緒に考えて欲しいと、ついでに楽しくお話するのに付き合って欲しいと言ったも同然のお願いを、わたしはするのだ。
そうすれば、わたしたちは大好きなお母さまの役に立てて、なおかつ楽しく幸せな一時を過ごせる。
一方、お母さまは感じている申し訳なさを、わたしたちが追加で出した要求を飲んだ事で、名実共にすっきりとなくせる。
どちらか一方に押し付ける訳ではないのだし、この上ない考えだと自画自賛したって良い。
「アエスタたちがそれでも良いのなら……うん、分かった。ちょっとばかし眠たいけど、思い付くまで私も寝ないで全力で頑張るよ」
結果、まだほんの少しだけ申し訳なさを感じているようには見えるものの、わたしのお願いをお母さまは笑顔を見せながら、聞き入れてくれたのだった。
返答からして、時間をかけ過ぎる訳にはいかなくなったから、どうにかして頭の中におぼろげながら浮かんできた案を、素早く形にしていかなければ。
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