TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう   作:ひのかぜ

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第2章
自然の聖域


 この世界に生まれてくれた4人の子供たちへ俺が授けたように、俺はツァイテンという真名を神様から授かった。

 

 およそ2ヵ月前、体感的には長いと感じなくなってきてはいるが、この出来事があってから俺の自然の精霊女王としての暮らしは、それ以前と比べてもさほど変わってはいない。

 

 まずは早朝、精霊大樹の根元にある自然の聖域(特殊空間)に出向き、【大樹(たいじゅ)命核(めいかく)】に異常がないかを確認。

 遠視魔法でも正直問題はないが、可能な限りこの目でしっかり見た方が何と言うか、安心出来るのだ。

 

 それが済んだら外に出て、オアシスの様子を実際に見て回りつつ、ヤシの木擬きや他の植物たちが元気なさそうであれば、俺の力を適度に分け与えたりもしている。

 

 環境の変化が急なせいか、少し油断をすればすぐに弱ってしまうので、再適応してくれるまではこの作業を頑張らなければならないけど、まあこのくらいなら苦には思っていない。

 

 で、その後は子供たちが起きるまでの間、精霊魔法(雨呼ぶ霊声)を使って雨を降らせたり、他の精霊魔法や技能を扱う練習をしてみたりと、その日によって色々と違う。

 

「よし、順調順調っと。うん、ここら辺まではもう完全に土っぽいし、動植物もどうにか――」

「あっ、お母さまただいまー!! テウちゃんと遊びに行ってた時にこんなの見つけたから、持ってきたよー!」

「お帰り、アエスタ……わっ、その苗木何か凄そうな感じがするね。ありがとう」

「えへへっ! じゃあ、これあっちに植えておくよー!」

「お願いね。テウルフも色々とご苦労様、ありがとう」

「ルォッ!」

 

 わざわざ俺が行動を起こさずとも、居るだけで再興が成るよう事前に神様が場を整えていたのに加え、こうして割と積極的に動いているのもあってか、成果はかなり出て来ていた。

 

 砂が土へと変化する現象の発生範囲が、精霊大樹を起点として半径20mから350mへと急拡大。

 

 オアシスから大きく離れた場所については不明だが、俺が出向いている範囲において、体感出来るレベルでの昼夜の気温差の縮小。

 

 他にも、ほんの僅かながら小鳥や小動物、飛行能力を持つ昆虫が精霊大樹の枝葉部分に住み着いたり、一般的な力量の自然の精霊が7人増えたり、何らかの植物の新芽が発生するなど、かけた時間の割にはかなり良い方だと言っても過言ではないだろう。

 

 相当な広さを誇る大砂漠を大森林へと変え、自然再興を成す。俺が自然の精霊女王であり、神様から大分お膳立てされていたとしても、たった数年でどうにかなるレベルではないのだから。

 

「母さま。ぼくたちにも何がお手伝い出来る事ある?」

ばあ様(神様)からやってって言われてるお仕事なんでしょ? 確かに、僕たちがやる必要なんてないけどさ……母様に、少しでも楽させてあげたいし」

「うーん、今日のやる事は終わったんだよねぇ……あっ、そう言えば……なら、大樹の命核見に行こう。私と一緒に魔法陣の中に入って」

 

 それに、ここまでの成果をこの短期間で出す事が出来たのには、ヴィンターやルプス、アエスタやウェールの力があるのも絶対に忘れてはいけない。

 

 あまり派手にやり過ぎさえしなければ、基本自由に元気にこの大砂漠やオアシスで遊んでても良いし、のんびり寝てようが俺の様子を見てるだけでも構わないと言っているのに、時折こうして声をかけては手伝いを自分から申し出てくれる。

 

 何なら、オアシスの外で楽しく遊ぶと称して何かの植物を見つけて持ってきたり、弱り気味だった小鳥とか小動物を連れてきては回復させ、住まわせたりもしていた。子供たちの方が仕事している気がするくらい、色々やってくれているのだ。

 

 最初の頃はそれでもやらなくても良いんだよと断ってはいたが、誰に強制されているのではなく、俺のためを思う純粋な親切心から来るそれを無下にし続けるのも悪い。

 

 なので、俺から何かお願いする事は()()しないが、こうして子供たちの方からやってくれる、その親切心はありがたく受け取る事にした。

 

 その分、遊んで欲しいとお願いされた時は出来る限り希望に答えたり、他にも子供たちが喜びそうな事を考えて、行動に移してあげるくらいはしてあげなければ。

 

「「わぁぁぁ……!!」」

 

 頭の中でそんな事を考えながら、神様が置いた本に書かれていた限定的な魔法を使って自然の聖域へと瞬間移動すると、ヴィンターとルプスは瞳を輝かせた。

 

 まあ、俺も初見ではその美しい光景と満ち満ちた自然の力に感動を覚えたし、2人の気持ちも良く理解出来る。

 

 常に太陽に照らされているが如き明るさ、木々に囲まれた透明度の高い精霊の湖の中心部、壁や天井から伸びる非常に頑丈で透明な球状のバリアに包まれ守られる、黄緑がかった輝きを放つ大水晶(大樹の命核)を見たのだし。

 

(まあ、異常はないわな。今朝見たばかりだし)

 

 それに心なしか、放つ光に時々薄い白銀色や紅葉色が混じっているのは、ヴィンターとルプスがこの部屋に入ったからだろう。

 

 俺の力をこの大砂漠の大地に循環させる精霊大樹の心臓部ではあれ、2人はほぼ俺の力が元となって生まれた精霊である。

 大樹の命核的には完全に俺の力であるとは言えないが、違うとも言い切れない判定なのかもしれない。

 

 だからこそ、この場に入った2人の放つ魔力を取り込み、大地の循環に使い始めたに違いない。

 

 何らかの魔法や術越しで俺たちの様子を見ている神様だって、4人の子供の事は「本当にそっくりな良い子たちですね」と、認めてくれているのだ。

 

 ちなみに、この2ヵ月間に3回かつ1度の滞在につき30分程度ではあるが、神様は下界(ここ)に顔を出す。

 まるで、孫に会いに来るおばあちゃんみたいだと思ったけど、一応言わないようにはしている。

 

「ねえ、母さま。アエスタとウェールにも見せてあげて」

「うんうん。こんなに綺麗な光景、見るのが僕たちだけって凄くもったいないし」

「そうだね。じゃあ、一旦出て2人に声をかけてからまた来よっか」

 

 そんなこんなで、大樹の命核を見ながらその役割などについて、知っている限りの事を2人に教えた後、オアシスで思い思いに過ごすアエスタとウェールにもこの光景を見せるべく、俺たち3人は一旦この聖域を後にすることとした。

 

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