TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう   作:ひのかぜ

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光の精霊女王の手紙

 サンデの村で、ピリトス教の教皇ティルピリオス率いる集団との相対。初対面こそあれだったが、終わってみれば起こったトラブルも大したことはなかった。

 

 教義故に俺ら精霊に対して等しく温厚、今後も付き合いがあるかどうかは分からないが、この帝国で一大勢力を築く宗教のトップがこれなら、比較的安心できる。

 

 そして、同日にオアシスにて発見した生命力に満ち溢れ、ぼんやりと暖かな光を放つ特殊な苗木。

 後で調べたところによると、将来俺や俺の力が及ぶ聖域(精霊大樹およびオアシス)を守る、守護者の聖域の中枢となる素質があるものだったらしい。

 

 その名称は元となった概念の精霊によって違い、自然の精霊の場合はその見た目通り、精霊樹(エレメントツリー)と言う様だ。

 

 なお、発見した精霊樹の扱いをアエスタに任せたところ、この子はオアシスを囲う結界からある程度離れたところに、やたらデカい湖を水属性魔法で作り、結界で覆った上でその中心から半径数十mの範囲を、土属性魔法で埋め立ててから丁寧に植え替えていた。

 

 わざわざそうした理由は不明だが、俺や他の子供たちに相当な支障をきたしているといった止めるべき理由も全くなく、なおかつ当人が楽しそうにしていたので良しとした。どのみち、池とか湖とか川はまだ作る予定だったし、都合が良かったというのもあるけど。

 

「どうしようかなぁ、これ」

「お母さま? そのお手紙がどうかしたの?」

「この手紙、送り主がルミエールなんだよねぇ」

「あっ! えっと、確かその人って……光の精霊の、おばあちゃんだっけ?」

「うん。まあ、年齢だけを見れば精霊の中でもおばあちゃんではあるけど……実際会った時、本人の前ではそう言わない方が良いかもしれないよ」

「はーい!」

 

 とまあ、これらも含めてここ最近は比較的平和でのんびりとした生活を過ごしていたのだが、今しがた今代の中でも最古参の精霊女王であるルミエールから、オアシスに来た光の大精霊を経由して手紙が届く。

 

 内容は、端的に言えば俺の生誕を祝い、良ければ実際に会って子供たちとも話がしたいというもの。それ自体は、別に特殊なお願いという訳ではないのだが、こんなにも早く接触することになるとは思っていなかったのだ。

 

(会わないって選択肢はないけれど、いつになるかは分からないな。まあ、ぶっちゃけいつでも良いんだが)

 

 確かに、先代の自然の精霊女王が消滅してから俺が生まれるまで、この世界では望ましくないことが起きたとは知っている。光の精霊に対してはさほど影響は大きくなかったにせよ、無影響ではなかったとも聞いていた。

 

 しかし、それにしたって文面から滲み出る、俺や俺の子供たちと話して感謝を伝えたい感が半端ない。もろに影響を受けたという精霊であればまだ分かるが、ルミエールに関しては大したことがなかったはずなのに。

 

 もしかしたら、影響をさほど受けていないように思われていただけで、実際は相当悪い方に影響を受けていたのかもしれない。

 

 例えば、精霊としてのトップクラスの実力に最古参故の知識と技術、広く深い人脈を駆使して被害を最小限に抑え、負った被害も最速で回復させたといった理由で。

 

「それにしても、あの光の精霊さんって……天使さまみたいだったね。母さま」

「そうだね、ヴィンター。知識としては知ってても、実際に見ると本当に凄いって思ったなぁ」

「うん。でも、ルミエールさんはもっと凄いよね」

「それは違いない」

 

 ちなみに、この世界における光の精霊の見た目は、前世における天使の特徴を引き継いだかのようである。髪色や瞳の色こそ個人差はあれ、頭上の光輪や背中の白い翼、全体的に白系統の装いと聞けば、恐らく誰でも想像出来るはずだ。

 

 ただし、頭上の光輪からはほぼ透明な光の(ベール)がとめどなく発生していて、それが顔の前面以外を覆っているのは、明確に違う点であろう。

 

 なお、これには邪なる『もの』を退ける効果があり、特定の毒や呪いに対して特効薬のような働きをもたらす。無論、位が上がれば上がる程、その効果は比例して上昇していく。

 

 勿論、この効果とて万能ではない。周囲の環境や各々の精霊の精神状態によっても、効き具合が上下する可能性をも秘めているからだ。

 

 更に言えば、そのせいで闇の精霊たちとは基本的に、相性がかなり良くない。ただ、性格面では別にそこまで悪い訳ではなく、お互いに仲良くしている光景も少ないものの、目撃されたりはしているが。

 

「それで、アエスタたちに相談なんだけどさ……私がルミエールに会った時、お願い通りに一緒に会ってお話してくれないかな?」

 

 で、色々と考えた結果ルミエールの『お願い』を聞き入れ、できるだけ早めに迎え入れると決めた俺は、アエスタたちにも改めてお願いを聞き入れるようにお願いをする。

 

 無論、絶対に聞き入れなければならない理由はない。最悪、俺がルミエールと話さえすれば目的は達成されるはずだし、何より彼女自身が俺から断られることも想定しているのだ。

 

 そもそもの話だが、会いたいけど許可を取るのが面倒と思っていたのなら、わざわざ手紙を寄越す気遣いはぶっちゃけ必要ない。

 極端な話、オアシスまで直接行って声をかけてくれさえすれば、オアシスの主で自然の精霊女王ある俺は、反応せずには居られないのだし。

 

「わたしはお母さまと一緒ならいいよー! 今の内にお母さまと同じくらいに強い人を、見慣れておきたいし!」

「ぼくも、いいよ。母さまの役に立てるなら、嬉しいし」

「ルミエールさんが私たちも指名している以上、私は受けようって思うかな」

「僕も皆と同じ。オアシスで暮らしていたら、今じゃなくてもいつかは必ず訪れること。早いか遅いかの違いでしかないから」

 

 そして、俺からのお願いに対して子供たちが頷いた結果、全員ルミエールと話をしてくれることも決まる。

 

 いつ頃になるかは未だに不透明という問題はあるのものの、その辺りは返事を2週間後に来る光の大精霊を経由して彼女に返せば、恐らく即座に解決するだろう。

 

 手紙の文面や届けてくれた光の大精霊の表情などから、少なくとも1ヵ月以内には守護者とかも連れて来そうだと、確信が持ててしまったから。




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