TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう 作:ひのかぜ
太陽の光が一切当たらない、特殊な空間結界によって隔離されている
とはいえ、コミュニケーションが出来ないという訳ではなく、必要に迫られれば方々とのやり取りをこなす程度のことは可能。ただし、その際は自身の能力を大きく抑制する効果を持つ、テネール特製の遮光バイザーがほぼ必須。
これがないと、強力無比な代わりに制御すら不可能な固有能力が、当人にとって不必要な情報まで勝手に拾いかねず、守護者としての活動に大きな支障をきたしてしまうからだ。
「何なの……うぅぅ……」
そして、つい先程テネールと共に、他の最上位精霊と足並みを揃えず、1人で勝手に
その際、場の流れで遮光バイザーを外した状態でツァイテンを見た結果、流れ込んできた数々の『情報』がルーナにとってあまりにも衝撃的だったが故に、戻ってきてからも頭の中が混乱してしまっていたのだ。
本来、何者であっても1つだけしかないはずの魂が、2つあったように見えた。正確に表すと、精霊女王としての強力で大きな魂の内部に、この世界では見たことのない人間の男らしき小さな魂が反発せず、むしろ
「これが……人間に、比較的友好な理由……かも?」
もう1つは、前述の魂の件に関連しているとルーナは見ているが、読み取ってしまったツァイテンの記憶や心の中で、絶対にあり得ない心象風景が広がっていたことに衝撃を受けていた。
魔法どころか、人間以外の
精霊で言うなれば守護者以下、人間の区分で現すなら戦略級以下がどれだけ防御を固めていようと、この世界で放たれればたった一撃で、範囲内の全員が等しく蒸発・死亡するであろう威力の超兵器が存在していたというところなんか、どんな修羅の世界だと衝撃を受けている。
勿論、他の部分も衝撃的なものばかり。この世界にかの文明の一端でも存在していたら、恐らく凄まじい影響を及ぼしていたことであろうとも思っていた。
そして、これらの要素によりどこか別の世界というものが存在していて、ツァイテンはその別の世界とやらの人間が、何かしらの理由で神なる者の手によって生まれ変わった存在なのだと、ルーナは確信したのである。
「……ふぅ」
しかし、どのような特殊性のある存在であったとしても、ツァイテンはこの世界にとって大切な自然の精霊女王。あまりにも危険な思想持ちという訳でもないので、何か特別な対応を取るのかと問われれば、それは否。
そもそも、自身の主を含めて精霊の最上位というのは一癖も二癖もあるような面々ばかりで、接しているとどうにも疲れが溜まってしまう。
そんな中、生まれこそぶっちぎりで特殊だとしても、その振る舞いや性格に飛び抜けた癖があまりなさそうな今代の自然の精霊女王は、むしろ良いのではとすらルーナは考えていたのである。
ただ、それはそれで自分と同じように、一癖も二癖もある精霊の最上位の面々と接すると、精神的に疲弊してしまう可能性が高い表れでもある。
全員に袋叩きにされていたルミエールはもとより、他の最上位精霊にその癖を抑えろというのは無理そうなので、せめて自分の主であるテネールには、ツァイテンと接する時に癖を抑えた方が良いと忠告しておこうと、ルーナは決意した。
「違う世界のお話、聞きたいなぁ……でもなぁ……」
そうして、色々と考える内に混乱していた思考も落ち着いてきたルーナであったが、それと同時に内なる思いが心の表面に現れ始めた。
いくら、他者との会話すら必要に迫られなければほぼしない程に内向的であっても、完全に外に興味を抱かないという訳ではない。
今回のような場合に関しては違う世界の話ということもあって、能力で読み取るのではなく、直接もっと聞いてみたいという欲求が芽生えたのである。
しかし、恐らく誰にも言っていないであろう特大の秘密……違う世界の出身かつ、元々はそこの人間の男であったという事実をいきなり突き付けられれば、まず間違いなく警戒され、普通の交流は出来なくなる。
自分が拒否されるだけならまだしも、テネールや闇の精霊そのものとの交流が拒否されたともなれば、守護者として失格もいいところ。
そもそもの話、ついさっきまでルミエールがツァイテンの件でテネールを含む最上位精霊たち全員に激烈な説教をくらい、我慢出来なかった特定の面々からは全力の物理・魔法的な制裁を下されていた。
その影響は凄まじく、特定の地域にて大地の隆起や気温の一時的な上昇や突風などによる、小規模ではありながら精霊による災害が発生する程。テネールや
「……やめとこ」
そんな中、それを無視してお話を聞きたいなんて言ったものなら、どうなるかは能力で読み取らなくても分かること。故に、ルーナはその思いを時が来るまで口に出さず、心の中に封印することに決めたのだった。
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