TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう   作:ひのかぜ

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度々申し訳ありませんでした。


女王の来訪【幕間】

 大勢の子供たちの誘拐事件、およびピリトス教の教皇ティルピリオスが幹部を引き連れて訪問するという出来事以降、オアシス共々平穏な一時が過ぎているサンデの村。

 

 エーメルア村長以下、多数の村人や比較的冷静だった自然の精霊少女や少年の尽力により、大多数の自然の精霊が抱いていたよそ者への警戒心も、2ヵ月という期間を経て何とか以前の水準へと回帰している。

 

 これを受けて、サンデへ物資の運搬を担っていたラヴェラ商団との取引も、村長の依頼を受けたピリトス教の取り成しによって、以前の水準と同等かそれ以上に復活、多少傷跡こそ残れど村人の生活も元に戻っていた。

 

「いやはや、やたらと精霊たちが騒いでいたのはそういうことだったのか……まさか、子供を引き連れて村へ行きたいと言われるとは、驚きですね。村長」

「本当ですよ、エリシア殿。大精霊様曰く、女王様が毎日暇をもて余して困っていたとか。子供たち、この場合は守護者様ですね。彼らの方が暇をもて余しているようですけど」

「……えっ? いやまあ、人間の感覚からすれば戦略級の力を持てど、あの大砂漠で娯楽ほぼなしに暮らすなんて無理ですが……もしかして、今代の女王様は感覚が人間寄りなのでしょうか?」

「恐らくは。前代の女王様とは大違いです」

「なるほど……言われてみれば、確かにその傾向はあったかもしれません」

 

 しかし、平穏だったサンデはとある日の午後、村の上空より飛来した自然の大精霊(使者)がもたらした、自然の精霊女王(ツァイテン)子供たち(守護者)を引き連れて()()()()()という情報によって、大騒ぎとなってしまう。

 

 無論、その様子を見た大精霊は慌てて「今日が無理そうなら伝えておきますっ!」と、「仮に断ったとしても、女王さまは何もしません!」と伝えたが、その場に居合わせた村長が出迎える強い意思を示した。

 

 そして、騒ぎを聞きつけにやってきた村人に聞いたことをそのまま伝え、全力を以て出迎える準備をしろと指示を飛ばしたことにより、総出で歓迎すると決まったのである。

 

 あまりにも急な話ではあったが、村のピンチを見返りもなしに救ってもらった事実に、これからもピンチが訪れた際に救ってもらえることが確約されていることもあって、これに反対する意見は全く出ることはなかった。

 

 それに加えて、来訪の際に自然の精霊女王が自身のオアシスより、村の生活に役に立ちそうなものをいくつか持ってくるとの話も、大精霊より伝えられている。

 

 何を持ってくるかこそ不明ではあるものの、強い自然の精霊の力で満ちている物品はほぼ間違いなく、サンデにとって役立つもの。反対意見が出なかったのも、そう考える者が多数だからこそ。

 

「村長さん。女王様は、いつ来られるのですか?」

「リリーを助けてくれたお礼、改めてしなきゃ……!」

「まあまあ、落ち着きなさいな。こちらとしても準備があるから、日が沈んでからだと助かるとは大精霊様には伝えてある。恐らくは、そのタイミングで来られるはずだよ」

「なるほど! 今の時間的に、頑張って準備をしなきゃですね!」

「うん! 頑張ろうね、リリー! リリーのお父さま!」

「そうだな。俺としても、女王様には恩しかない」

「ははっ。相変わらず、エリシア殿は精霊少女と仲良しですねぇ」

 

 そして、自然の精霊女王に助けられた筆頭の少女リリシアおよび精霊少女、奴隷として連れて行かれていた子供たちに至っては、大人よりも率先して歓迎の準備に取りかかっている。

 

 もし、あのタイミングで助けに来てくれなければ、もう2度と村に戻ることが出来なかったかもしれない。

 

 それだけではなく、どこか知らない町や村などに連れていかれ、馬車馬の如く体調など無視して働かされたり、想像もしたくないし出来ない欲望の捌け口にされていたかもしれない。

 

 何なら、単純に痛め付けられた挙げ句に殺されていたかもしれない。

 

 どのような流れになるにせよ、大好きな村やお父さんお母さん、兄弟姉妹と会えなくなることだけは確実だったからこそ、毎日感謝を捧げつついつか直接お礼をしたいと思うのも、至極当然のことだろう。

 

「エーメルア村長! 俺たち、こちらの飾り付けは終わりました!」

「食事の用意も完了です! しかし、本当にこれでいいのか……女王様方、満足していただけるかが不安ですね」

「おぉ、ありがとうございます。わざわざ引き留めてお願いしてしまい、申し訳ありません。助かりました、ラヴェラさん。ギリセスさんにイリシスさん精霊術士の方々も」

「いえ、とんでもない。我々の商品を大量に購入していただけて、むしろこちらこそありがたい限りです」

「同じく。下世話な話にはなってしまうのですが、報酬か増えてくれればむしろ大歓迎……ってぇ! 何すんだよ、イリシス!」

「欲望丸出し、はしたないよ。事実であっても口に出すのは良くない」

「あー……って、お前も口に出してんじゃねえか」

 

 ちなみにだが、自然の精霊女王の歓迎準備には村長の依頼により、このタイミングで物資の運搬にやってきていたラヴェラ商団の面々も、本業ではないものの参加している。

 

 無論、対価として予定以上の商品購入に臨時報酬の支払いなど、村長がいくつか提示した上で交渉に望み、ラヴェラがそれを了承したからこその参加だ。

 

「まあまあ。事実、報酬でもないとやってられませんものね。生活がかかっていますでしょうし」

「村長……お気遣い、ありがとうございます」

 

 ただし、ラヴェラ自身や自らが率いる商団の面々の大半は、過去に自然の精霊女王との面会経験があり、ある程度だがその性格などを知っている。

 

 リリシアやその父親(エリシア)を筆頭としたサンデの住人には劣れど、信頼出来る人間だと認識されてもいる。

 

 故に、相対するにあたっての不安が軽減されているため、了承したという理由も決して外せない。何だったら、こっちの方が理由としては大きかったが。

 

「ふぅ……取り敢えず、何とか準備完了――」

「あっ!! あの魔法陣は……来たっぽいよ、リリー!」

 

 そんなこんなで多数の人々の協力もあり、地平線の彼方に大陽が沈んで完全に暗くなり、自然の精霊女王が魔法陣でサンデに来る寸前に、歓迎の準備を終えることが出来たのであった。




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