TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう   作:ひのかぜ

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サンデの子供たち

 サンデの住人やラヴェラ商団の面々が、俺たちのために手間暇かけてわざわざ用意してくれた数々の料理や、特産品も含めた数々の果物。

 

 いくつかの食べ物は、現代日本や良く知る地球国家の食べ物と似ていて食べやすく、そうでない未知のものも実際に口に入れれば、ほぼ全てが前世の感覚を基準にしても美味しいと思えるものばかり。

 

 急な訪問にも関わらず、短時間にこれ程までの食事を用意出来るとは、性格以外の数多の面でも素晴らしい人々なんだなと、そんな人々と関係を構築出来た俺たちは運が良かったと、そう実感した。

 

 改めて思うが、今後ともサンデの人々や自然の精霊たちとは、仲良くやっていきたいものである。

 

「お母さま、お食事ってこんなに楽しかったんだね!」

「お腹いっぱいって、こういう感じなんだ……! 」

「でしょ? 精霊に、人間と同じような意味での食事は必ずしも要る訳ではないにしたって、味とかを感じない訳じゃないんだから。まあ、ここまで楽しさを感じるのは、私の生誕以降に影響を受けた精霊に限るとは思うけど」

「私たちとか、オアシスの精霊ちゃんたちとかかな?」

「うん、まあそんな感じ」

 

 そして、原初の子供たちも俺と同じく、歓迎の宴での食事は満足のいくものだったようだ。

 満腹になり、宴が一段落ついた頃にリリシアとリリシアの父親……エリシアの2人の案内で村内を見て回っている最中も、会話の内容の約半分が食べ物の話になるくらいには。

 

 しかし、村内観光が退屈であると思っている訳ではなさそうだ。オアシスとは違う自然の雰囲気、オアシスにはない数々の娯楽で遊ぶ人たちの様子など、祭りで普段よりも盛り上がっているのも相まって、こちらの方も存分に楽しんでいるといえよう。

 

(うっぷ……森林豆のスープに森林豚の焼き肉、色々な要素で馴染みがあり過ぎて思わず食い過ぎちまった……他のやつをもう少し量を減らせばよかったな……)

 

 なお、食べきれないかもと思いつつ、俺たちは何だかんだで用意された料理や果物、野菜などを完食することには成功していた。

 

 とはいえ、美味しさのあまり気づいたら沢山食べていたというのと、せっかく用意してくれたものを残すのは申し訳ないという思いがあったなどの理由から、俺の腹ははち切れんばかりの満腹状態である。

 

 アエスタたちも似たような感じだったが、人間の美味しい食べ物を食べるという新鮮な体験が出来たことを喜び、満腹状態になったことすらも楽しんでいる。

 

 意味合いとしては、知らなかったことを体験できたのが嬉しいというもの。流石に何度も、この状態を楽しみたいと考えている様子ではないようだが、当然であろう。

 

「女王さま~! あの、おれたちと一緒に遊んでもらえませんか? 勿論、守護者さまたちも一緒で大丈夫というか、むしろ歓迎したいくらいなので……お願いしますっ!」

 

 そうして村の中を歩き回り、とある広場で的当てゲームらしき遊びをして楽しむ子供たちを横目で見ながら、通り過ぎようとした俺たち。

 

 お互いの距離的にも近かったことも相まって案の定、駆け寄ってきた翡翠のような瞳をした男の子……あの事件の時に目を潰されていた子から、仲間と一緒に遊んで欲しいとお願いを持ちかけられる。

 

 今思い出しても腸が煮えくり返る奴らの所業だが、トラウマなど何のそのと言った感じで、彼も元気そうでひと安心である。

 

「えっと、リーツ君。今話しかけて大丈夫だったの? お散歩を楽しんでたっぽいのに」

「心配すんなって、フォレス! ほら、さっきの宴の時の女王さま見たろ? 変なこと言ったり、酷いこととかしなきゃ平気だと思うぜ」

「うーん。でも、本当に大丈夫かな?」

 

 過度に物怖じする様子も、かといって俺から見て無遠慮に来る感じでもなく、普通に頭を下げてお願いしてくる彼は、【リーツ】という名前らしい。

 

 打算的な意味合いもない訳ではないが、住人である以上純粋に仲良くなっておきたいとの理由も大きかったので、俺はお願いを聞き入れようと思っている。

 

 そして、そんなリーツと俺を見ているアエスタたち、およびリリシア親子も俺の心内を察してか、何だか微笑ましいものを見たかのような表情をしていた。

 

 ただ、余程心配性だったからなのか、リーツについてきていた深緑色の瞳をした女の子……同じく俺が助けた子供の内の1人である【フォレス】からしてみれば、彼の振る舞いは常識的ではなく、それ故に俺の気分を害したのではと見て、酷く心配しているようだが。

 

(よく分かってるじゃないか、リーツ。その通りだぜ)

 

 しかし、世間一般的にその振る舞いがどうなのかはひとまず置いておいて、俺自身は今のリーツの振る舞いで微塵も気分を害してなどいない。むしろ、トラウマを感じさせないその振る舞いを嬉しく思っている。

 

 心配そうにしているフォレスや、遠目で不安そうに見守っている子供たちに関しても、ある意味例外とも言えるリーツ程の積極性がなかっただけ。俺や原初の子供たちと、話したり遊んでみたいという目では見てくれていた。

 

「いや、でも……やっぱりそうなのか? えっ、おれヤバいことした――」

「いいよ。じゃあ、私たちと遊ぼっか」

「マジで!? いよっしゃあ!」

「わぁ……やったぁ!」

「ふふっ……うん。君たちとも仲良くなっておきたいしね。皆も、それでいい?」

「「「いいよ!!」」」

 

 ということで、フォレスの言葉によってめちゃくちゃ不安そうにし始めたリーツのお願いを二つ返事で了承したら、素を出して喜ぶリーツ自身はもとより、フォレスも同じようにして喜んでくれた。

 

 そして、遠目で見守っていた子供たちも見るからに嬉しそうな表情になって、こっちに寄って来始めてくれた。抱かせていた不安を、完全に解くことが出来て何よりである。

 

「でさ、リーツくんだったっけ? 何をしてお母さまやわたしたちと遊びたいの? あの的当てゲーム?」

「うん! おれたちはそのつもりだったんだけど……他のがよかった?」

「いいや、別にそんなことはないよ! ねっ、お母さま」

「まあね。というか、的当てゲーム以外にも色々とやるつもりだったでしょ?」

「女王さまが許してくれるのなら、そのつもりでいました!」

 

 なお、何をして遊ぶかについては特別な希望も何もなかったため、リーツやフォレスたちに全て任せることに決めた。

 勿論、俺たちの案内役を買って出てくれたリリシア親子もせっかくということで、一緒に遊んでくれる流れになっている。




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