TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう 作:ひのかぜ
件の誘拐事件にて俺が助けたリーツとフォレスに、2人と仲の良い5人の子供。
声をかけられて、俺の子供たちと一緒に遊びに付き合って思ったのが、彼ら彼女らはまさしくオアシスの精霊のような性格なんだなってこと。
何を言ったりやったりすれば喜んでくれるか、逆に嫌がられたりそこまで行かずとも喜ばれないかのノウハウを、殆んど流用出来ることが分かったので、あれから多少は気楽に接することができていた。
しかし、相手は多少魔法の心得があるとはいえ、俺らやオアシスの精霊から見ればまだまだ非力な子供。
こっちが優しくしたつもりでも、何気なく取っただけの行動だったとしても、彼ら彼女らにとっては自身を傷つける程だったなんてことにもなりかねない。
だから、一緒に遊んで欲しいとお願いされてからすぐ、その部分には細心の注意を払えと俺自身が改めて誓うと同時、アエスタたちにも少し語気を強めて教えておいた。
死にさえしなければどうにかなる回復魔法があるにせよ、過失か故意かは関係なく、接する度に痛い思いをさせ続けていればいつか確実に怖がられ、避けられるようになる。
いや、敵うか否かは別にして、敵対される可能性が極めて高いのだから当然。俺が子供たちの立場に立ったならば、そんな奴とは間違いなく接触しないように避けようとするし、それが無理ならば恐怖でガタガタ震えていただろう。
ただまあ、細心の注意が功を奏したのか、今現在休憩をするまでの3時間の間、俺たち5人とリーツたちの間で一切のトラブルが起きることはなかった。何と言うか、ほっとひと安心である。
「むぅ。楽しいっちゃ楽しかったけど、やっぱり勝てなかった遊びがあると悔しい!」
「的当てゲーム、精霊探し……良いところまで行ったんだけどね」
「でも、草玉入れと草笛合戦で勝てたのは嬉しかったわー! 後はそう、村クイズとか」
「村クイズかぁ……いくらなんでも、おれたちに有利過ぎない? いやまあ、女王さまたちは全然不満そうじゃなかったけどさ」
なお、遊びと言っても全てを体験出来るだけの時間というか、リーツたちの体力や気力がそこまで持たないという問題があったので、実際にやったのは一部分だけである。
投石や自分の出した魔法弾で、どれだけ遠くの的を撃ち抜けるか競う的当てゲーム。
村の敷地内で隠れ潜む、リリシアの親友たる中精霊ないし他の精霊少女や少年たちを、どちらが早く見つけられるかを競う精霊探し。
ほぼ運動会の玉入れみたいな草玉入れに、即興で作った草笛で誰が1番綺麗で大きな音を出せるかを競う、草笛合戦。
クイズ番組的なノリで出された、サンデの村についての問題に答えていく村クイズ。色々挙げられた中でやったのは、この6つの遊び。
極端に有利不利が偏ったりしないよう、相談しながら選ぶだけでも結構手間暇かかって大変だったが、そんな時間もサンデの村に馴染むのに役立つと考えたら、全く苦ではなかった。
(やはり、サンデは護らねば)
まあ、そりゃあそうだろう。俺の中ではもう既に、サンデの村はオアシスを除けば最高クラスの特別枠。
もし仮に、外的要因によってここが滅ぶのが確定事項となってしまった場合、住人たちをオアシスに避難させて定住させることを考える程である。
無論、そうなる前に俺が村の存続に全力で動くので、外的要因によって滅びを迎えることは絶対にないが。
「うん、君たちが楽しんでくれたみたいでよかった」
「そりゃあもう、女王さまたちが遊んでくれるってだけで! なあ、フォレス」
「うんうん。女王さまと守護者さまたちも、限りなく手心を加えてくれつつ心は本気で遊んでくれたんだもんね。リーツ君とリリシアちゃんの無礼も許してくれたし」
「そうなると、最初女王さまたちのこと怖がってたウチが、ただの失礼な馬鹿に思えてきた……」
「いやいや、そんなことはないよ。至って普通の感情だから、自分を悪く思わないで」
「お母さまの言うとおり! 気にしない気にしない!」
遊び始めた最初の頃は、正直心配だった。俺や俺の子供たちは楽しめたとしても、誘ったリーツたちの方は楽しめているのかと。
しかし、結果としてリーツやフォレスはもとより、2人の仲間である友達5人、案内役を買って出てくれたリリシア親子も、何だかんだ楽しんでくれていた。
リーツやリリシアなんか一瞬、俺が自然の精霊女王ってことが頭から抜けたのか、めちゃくちゃタメ口で話しかけてきたっけ。
意図したことではなかったようで、周りの反応などを見て気づいた瞬間、2人揃って真っ青になりながら即座に謝り倒してきたんだけど、微塵も不快ではなかったので謝罪は止めさせた。
正直、1段階仲良くなれた感じがして嬉しかったんだが、まあ当人が嫌がっているのに無理にそうさせるのは違う。こういうのは、自主性に任せるべきなのだから。
「あの……女王さま。私の勝手な想像からくる質問で、大変申し訳ないのですが」
「うん、いいよ。言ってみて」
「女王さまは実は、とっくの昔に生誕なされていたのではないでしょうか? 今まで何の噂なども聞かなかったのは、何かしら想像を超える出来事のせいで弱りに弱りきっていたとかで」
「あー……確かに、おれも気になってた!」
「もしかしたら、こうして復活なされたのも人間の助けがあったのかなって思いまして」
「なるほど……」
なんてことを考えながら、時間も時間だしそろそろ切り上げようって考えもよぎり始めてきた時、フォレスが恐る恐るという感じで俺にこう尋ねてきた。それに同意し後に続くような形で、リーツや他の子供たちもどうしてなのかと聞いてきている。
この世界において、サンデの村を含めた例外こそいくつかあるとはいえ、基本的に自然の精霊は人間に非友好的というのが常識。つまり、大元の精霊女王は同等かそれ以上に非友好的だと、考えれば分かる。
(そう来るか……まあ、フォレスたちの立場からしたら確かになぁ)
しかし、今ここにいる俺はまさしく常識外れ。サンデの村人たちやラヴェラ商団の面々は当然としても、まだ見ぬこの国やこの世界の人間たちに嫌悪感を向けない。それどころか、人々が織り成す文化などを体験してみたいとすら途中で言う程。
なお、実際は地球の日本って国の人間で大人の男だった俺が、記憶も知識もそのままに神様により自然の精霊女王として転生させられる。
それ故に、歴代の自然の精霊女王の考えは分かっても、恨みつらみの持ちようがないってのが、この世界の人間に比較的友好な理由なのだ。
さて、どう答えようか。まさか、真実を馬鹿正直に言う訳にもいかないし。
「そういう訳じゃないよ。本当は、何で人間に好意的なのかまで答えたいんだけど、結構事情が複雑でね……」
「分かりました。女王さま、悩ましい質問をしてしまい、申し訳ありませんでした」
「大丈夫、気にしないで」
まあ、フォレスの疑問を増やすことにはなるだろうが、嘘をついて変に事態がこじれる方が申し訳ないので、ここは大人しく違うと否定をしておくと俺は決めた。
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