TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう   作:ひのかぜ

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精霊女王の決意

 あれから何だかんだ、他のことをするつもりでいた時間までも無意識に注ぐ程に楽しむことが出来た、子供たちとの遊び。これも、やった遊びのルールが簡単かつ馴染みのある日本の遊びに似ていて、理解しやすかったお陰だ。

 

 無論、相手がリーツたちサンデの村の子供や精霊たちだったからこそであり、娯楽が少ないこの世界ではいい息抜きと言える。遊んでいる子供たちに怪我をさせないよう、手加減をするっていう大変な面があったとしても。

 

 だからこそ、次来た時もやりたいと俺は思ったし、アエスタたちも同じことを思っていそうな笑顔をしていたのだろうな。というか、正直時間を延ばしたいって思いが心の中にある。

 

 しかし、ここまででも大分時間を使っているのに、これ以上延長するのは俺の立場上良くない。留守を預かる大精霊含め、オアシスの精霊たちに余計な心配をかけてしまう訳だから尚更だろう。

 

「そっかぁ……ラヴェラも大変だったね。ありがとう」

「いえ。これも仕事の1つですので大丈夫です。商団をやっていると、こういう類いの依頼もよく舞い込むので」

「ならよかった。ギリセスとイリシスも、色々お疲れ様」

「とんでもない! むしろ、いい息抜きになりましたので……な? イリシス」

「うん、まあそうだね。当たり前だけど、護衛の仕事中って気を抜ける時が本当に少ないし」

「自分たちだけじゃなく、他の人の命も守らなきゃいけないもんね」

 

 ということで、名残惜しくもリーツたちとの遊びを切り上げた俺は今、帰る前にラヴェラ商団の面々との会話に勤しんでいる。

 ちょくちょく関わりのある商団な上、精霊術士のギリセスやイリシスの姿もあったためだ。

 

 だからこそ、最初にラヴェラ商団の存在に気がついた時は、落ち着いてからこの祭りの手伝いをしてくれたお礼も兼ねて、声をかけようと思っていた。

 

 しかし、結果はエーメルア村長にそろそろ帰ると声をかけ、村の皆に見送りに来てもらう今の今まで、完璧に忘れていたのである。当然、突っ込みを受けた場合に言い訳出来る余地はない。

 

 無論、今日このまま声かけを忘れてしなかったとしても、人生などに大きく影響する案件とかでなければ無問題。

 

 でも、思い出した以上はやむを得ない事情とかでもない限り、しないと心にもやもやが残るからやるのだ。後にしようというのなら、そもそもメモを取るかして忘れないようにしろよって話なんだが。

 

(ははっ。そりゃ、落差が激し過ぎるもんなぁ)

 

 ちなみに、サンデの村の人たちに対するのと同じ態度で、俺が話しかけてくるとは考えていなかったのか、ラヴェラを含む大半の面々は相応に戸惑っている。

 

 まあ、彼女たちにしてみれば多少信頼をされているにせよ、特段気に入られるような何か……それこそ、リリシアのようなことをした経験もないのに、何故か同程度に気に入られているようなもの。無理もない。

 

 とはいえ、俺としては右も左も分からなかった時に出会い、色々とこの世界の生の情報をくれた温厚な存在ってだけでも、十分過ぎるくらいの価値があると思っている。ぶっちゃけ、リリシア親子を除けばサンデの村の人たちと殆んど同じくらいか。

 

「さてと。サンデの村の皆様方。急な話にも関わらず、私たち家族を迎え入れてくれて、ありがとうございました」

「ありがとーごさいました! えへへ……」

「ぼくたちも楽しかったよ! ありがと!」

「いえいえ、とんでもございません。村と子供たちを救って下さった恩、今後も庇護下に置いて頂ける恩、数々の贈り物の恩と比べれば、この程度安いものです」

 

 で、ある程度ラヴェラ商団の面々と会話を交わした後は、俺たちを歓迎してくれた全ての村人たちへの感謝の言葉と追加の贈り物を、代表してエーメルア村長へと手渡しを行った。

 

 なお、贈り物はオアシスの湖にある時を境に浮き始めた、綺麗で透き通った緑黄色の光を放つ宝石。

 懐から出した瞬間、何だこれはと言わんばかりに目を見開いて驚いていたので、少なくとも村の人たちにとっては相当価値があるものと思われたってこと。

 

 これから、気まぐれで遊びに来たり色々とお世話になる(迷惑をかける)のが確定しているし、前払いとしては十分そうだ。ただ、あまり数が多いと逆に困りそうでもあったから、何個か持ってきてはいるんだけど、1つだけにしておこう。

 

「女王様のご加護、ピリトス教って宗教から直々に聖域指定……凄いよねぇ。その内、国に特別扱いされることになりそう」

「全くだ。これから、サンデの村の歴史が一気に動くぞ。もしかしたら、帝国三大経済都市のような大都市に――」

「大都市……えー、変な人間増えるのやだ! わたしはこのまんまがいい!」

「商団の人間とかみたいに、村の人たちが生活に必要にしてるっていうならおれはまあ、いいけどさ……」

「リリーのお父さまは、外の人間が沢山増えた方がいいの……? ぼくたちがいるだけじゃ、つまんない?」

「いいや、つまらない訳ないじゃないか。確かに、俺としても大都市化は反対かな」

「そうそう。私、この感じの村が大好きだもん」

「だよねだよねっ! えへへぇ……」

 

 とまあ、こんな感じで村長たちと話をしていたら、いつの間にか話の内容がガラッと変わっていた。サンデの今後についての話に。

 

 良くも悪くも、リリシアの親友たる精霊少女が俺のオアシスへ来たことにより、サンデを取り巻く環境はかなり変わりつつあるだろう。俺は過去の歴史を殆んど知らないが、リリシアの父親や自然の精霊たちのやり取りなどから容易に推測出来た。

 

 そして、俺自身もサンデのこの雰囲気が好きになっているし、失われて欲しくないとも思っている。食べ物は文句無しに美味い、空気も同じく美味しい、村人たちは精霊に優しい、相応に楽しめる娯楽もあるとなれば当然の思いであろう。

 

 それに、周囲の森の雰囲気も併せれば、オアシスのある大砂漠をどう発展させていくかの資料にもなる。無論、そっくりそのまま真似をするのはあれだから、あくまでも参考する程度に留めておくが。

 

「ねえねえ、女王さま! 女王さまは、今の村の方がいいですよね?」

「ん? まあ、そうだね」

「わぁぁ……!」

 

 何であれ、今後はより一層サンデの村の動向を、気に掛けていかなければならない。ニッコニコで話しかけてきた精霊少年の相手をしながら、頭の中で俺はそう考えるのであった。




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