TS転生精霊女王、神様から自然の再興を任されてしまう 作:ひのかぜ
人間ではなくなり、時間感覚が変化したからだろうか。それとも、仲間になったテウルフと戯れたりとかを含めて色々としていたからか。はたまた、その両方か。
女王クラスの力を持つ自然の精霊として、神様に転生させられてから今日でちょうど4日が経っていた。
相も変わらず俺とテウルフ以外の人類を含めた生き物……いや、
別個体のグランドウルフも見かけはしたが、俺にとって致命的となり得る存在はおらず、砂漠地帯特有の環境を除けば実に快適な日常と言えるだろう。
勿論、そうであっても無警戒に寄り付いたりはしないし、念のために距離を取る事はしている。それが癖となってしまえばいつの日か、最悪かそれに近い状況を生み出す可能性がゼロと言い切れないからだ。
「ルゥオォォーー!」
「こりゃあ凄いエグさだし、強いね。全員ズタボロにされてるよ」
そもそも、魔物共が害意を以て俺に近づいたのに気づいた瞬間、影響の有無に関わらずテウルフが襲ってきた奴らを鏖殺してしまう。
なので、こんな環境下でも戦ったことはおろか、接触した事すらまだ1度もないのである。
今だって、天から急降下してきた翼を広げていれば4m級のラスカルトホークを、貫徹力の高い
元は同族だったグランドウルフに対しても、土属性のみならず水属性のブレスや殺意マシマシの連続お手を叩き込んで殺し、勝利の咆哮をあげている。
地面に少しクレーターが出来ているのが、テウルフの攻撃力の高さを物語っていると言えた。
自分の食糧を調達しがてら、俺を守るために動いてくれているのは非常にありがたいが、何かの間違いや誤解で出会った精霊や人間を殺すなんて事が、知能が高いテウルフでも全くないとは言い切れない。
「お疲れ。流石、テウルフは強いね……おっと。ほら、身体をしっかりと洗っておいで」
「ルォッ!」
故に魔物以外の相手……特に、俺と同族の精霊と出会った場合は、可能な限り温厚な振る舞いを心がけるよう、しっかりと教え込む。
人類に対しては、別に愛想良くしろとまでは言わないが、変に威圧し過ぎたり攻撃とかをしないようにと伝えている。
勿論、いざと言う時はその限りではない。テウルフ自身や俺の命を害そうとする相手と相対している時、そんな事を考えていればどうなるか、推して知るべしだと言えよう。
なお、魔物に対しては別に何もない。強いて言うなら、食事のためとか防衛のためなどの正当な理由がないにも関わらず、わざわざ探し回って殺しに行く事はしないでと伝えてはいる。
危険度や強さが段違いの奴らも多かったり、一部例外も存在したりはするのだが、地球で言うところの野生動物みたいな立ち位置、要は自然の一部でもあるのだ。
まあ、それなら俺がこの大砂漠で行おうとしている、自然再興はどうなんだと言う話にはなりそうだが、これは神様自身がやってくれと頼んできたくらいである。
遥か昔、自然豊かな大森林だった頃に戻す、つまりグランドウルフを筆頭とした乾燥地帯に生息する魔物群が居なくなる分には、問題がないのだから。
とは言え、再興の過程で徐々にではあるが追いやれる以上、やはりわざわざ自分たちの方から殺しに行く事はしない。いや、したくないと表した方が、この場合は正しいか。
(……俺もやってみるか)
テウルフが水浴びで返り血を流している最中、ふと前世のファンタジー作品群で使われていた魔法、もしくは類似した魔法を俺でも使えないかと、頭の中にその考えが浮かぶ。
四季に関連する属性であろう水・土・
無論、複雑な理論からなる魔法を使いたければ勉強が不可欠だろうが、単純明快な魔法であればゴリ押しで使えるとは思う。
手加減を間違えて辺りを吹き飛ばす危険性はあるものの、精霊女王としての潤沢な魔力を上手く扱えるようになるには、結局いつかやらなければならない。
むしろ、周りに自然物が少ない今こそ失敗したとしても、それにより発生する損害が少なく済む可能性は高い。
「すぅ……うわぁ」
だからこそ、本能的に理解出来た俺の身体に流れている『魔力』を、水の球の形にするイメージを持ちつつ集中する事5秒、掌の上にはかなりデカい見事な『アクアボール』が出来上がっていた。
綺麗な水色の輝きを放ってはいながらも、向こう側が見えるくらいには透明度が高い上、時々跳ねる飛沫がしっかりと『水』であると判明している。水属性エネルギーを秘めた魔力弾とかではないらしい。
「ルゥゥ……」
「ん? どうしたの……あっ、もしかしてこれが怖い?」
「ルゥ」
「ありゃま。怖がらせるつもりはなかったけど、ごめんね」
すると、水浴びを終えて戻ってきたテウルフが俺の方、正確にはアクアボールの方に視線を向けると、怯えた表情を見せてくる。
一応気を遣ったつもりだったけど、それでもかなり強いはずのこいつがビビる程の力は込めてしまったようだ。もしくは、全然気を遣えていなかったか。
「うっわぁ」
なので、周囲に誰も居ない事を確認した後すぐに前へ向け、これを発射して捨てたのだが、あまりの弾速と込められた魔力の多さからか、着弾地点から水が飛び散ると同時にそこから魔力の波動を発生させてしまう。
テウルフの背中に乗り、着弾地点まで向かってみるとその惨状は凄まじかった。
目測幅10~15mで深さが数mのクレーターが出来上がっていた上に、中は元々あった湖の水と同じくらいに透明な水で埋められていたのだ。
オアシスの外縁部と砂漠の境目付近だったため、既存の自然や構造物への損傷はほぼなかったが、着弾地点がもう少し近ければ間違いなく、後始末が面倒な事になっていたと断言出来る。
「ルォッ! ルゥゥ……」
「ん? 今度はどうした……わぉ」
試し撃ちをするなら、オアシス外縁部からもっと離れた場所でやろうと考えながら、それを実行しようとした刹那、テウルフから肩の辺りをポンポン叩かれた。
何かを見つけたのかもしれない。そう思い、促された方向に視線を向けてみたところ、これまた予想外にも程がある物……いや、者たちを俺は発見することとなった。
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