ガールズ&パンツァー外伝 戦場を駆ける彗星   作:レオパルト

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Leo -

Rei - どうもものすごくお久しぶりです。まだこの作品を見ている方はいるのでしょうか……?
ともあれ、久々に続きを書いてみました。相方は相変わらず失踪しているようですが。


第9話 最後の抵抗

――プラウダ本隊・防禦陣地〝C〟──

『隊長! 全車輛、到着しました!』

最も鈍足なKV-2に随伴させていたT-34/76から通信が入る。──どうやら、あのすばしっこい速見隊に尾けられてはいないようだった。

現在のプラウダ・知波単連合軍の残存車輛は11輛。うち4輛がチハ車であるとはいえ、黒森峰・速見連合軍の12輛と大差ない兵力だった。

しかし、カチューシャは先の通信に答えることすらせず、砲塔内で縮こまっていた。彼女自身のカリスマは本物だが、その自信はノンナ・クラーラの存在に支えられているところが多分にあった。

プラウダ側は知波単隊を中心にお粗末な哨戒網を敷いてはいたが、司令塔のカチューシャが何も言わないため、ろくに迎撃態勢すら取れていない有様だった。

『カチューシャ殿、何か作戦はあるのですか?』

「うるさいわね! 私が聞きたいわよ!」

見かねた西が無線で訊くが、カチューシャは駄々をこねるように怒鳴ったきり、また黙り込んでしまう。プラウダ隊の面々も顔を見合わせるばかりだった。

『しかし、我々の指揮官はカチューシャ殿です。皆、あなたの指令を待っております』

「だからどうしろっていうのよ!」

『顔をお上げください。まだ我々は敗けてはおりません。この状態で襲撃され全滅すれば、ノンナ殿やクラーラ殿に合わす顔がないではありませんか!』

「そ、そうですよ隊長!」

「まだやれます!」

西の激励を聞いて、ほかの隊員たちも口々にカチューシャを励ましにかかる。

「…………わかったわよ! 総員、戦闘配────」

その瞬間、無線の向こうから爆発音が響いた。

『こちら西車、撃破されました! 申し訳ございません!』

知波単の哨戒線から本隊までは半キロとない。カチューシャがまたもや意気阻喪する暇はなかった。

「――総員、戦闘配置! フラッグ車は後退、A小隊は八時方向に威嚇射撃!」

「「「了解!」」」

フラッグをつけたT-34/85が隊長車の後ろに隠れ、本隊から少し離れた場所で待機していたA小隊――KV-2とT-34/76で構成された小隊が、西車の方向へ威嚇射撃を行う。

A小隊に釣られて敵が出てくれば横っ腹から叩き、KV-2の榴弾に怯えて後退してくれればさらに時間が稼げる――との判断だった。

 

――速見隊――

『敵哨戒線突破。敵もこちらに気づいたようです。発砲してきます』

六甲車から通信が入る。

「了解。敵本隊は?」

『不明です。――しかし、飛んでくる砲弾に大口径榴弾が交ざっているようです。それに、それほど濃密な弾幕ではなさそうです』

「KV-2か……さすがに敵さんも自分から位置を知らせるほど馬鹿じゃないだろうな」

『はい。おそらく陽動か、囮部隊かと』

「本隊は見えるか?」ダメ元で訊くが、六甲は残念そうに『……いいえ』と答えるのみだった。

「着弾位置は?」

『それほど近くありませんね。至近弾はまだありません』

「ということは…………六甲!」

『はい』六甲がすぐさま応える。『どうしました?』

「例の敵部隊はこちらを視認していない可能性が高い。志賀先輩と組んで敵の裏を掻け。詳細が分かり次第、俺たちも向かう」

『了解。では――』

そこまで言ったところで、爆発の衝撃が車体を揺さぶった。――KV-2だ。

「畜生、もう嗅ぎつけやがったか!」

そう吼えたところで、状況は変わらない。KV-2が再装塡している間に、T-34が鏃を飛ばしてくる。

「六甲! 先輩! 戦闘準備は?」

『できてるよ!』

準備完了(オール・レディ・エンド・セット)!』

「よし――全車全速、散開! 自由射撃!」

俺がそう叫ぶが早いか、速見隊は一斉に飛び出した。――砲塔旋回の遅いKV-2は我々を捉えきれず、わずか2輛のT-34も目標を決めかねている。

まず犠牲になったのは大きな箱と化したKV-2だった。志賀車の砲撃がだだっ広い砲塔側面に命中し、白旗が揚がる。KV-2もやむなく射撃したが、120mmの大口径榴弾は明後日の方角へ飛んでいった。

『KV-2撃破! まだまだいくよ!』

だが――意気軒昂の志賀先輩がそう言った、その時だった。

ズドドドドン、と連続した発砲音がした次の瞬間、志賀車が文字通り吹っ飛んだのだ。悲鳴すら聞こえないまま、志賀車に白旗が翻る。

六甲車も無事ではない。クロムウェルの快速とて、10輛近い戦車から放たれる一斉射撃からは逃げ切れなかった。

『隊長、退却を! 我々とてそう長くは保ちません。履帯と砲塔旋回機構をやられましたが、隊長が逃げるだけの時間は稼ぐつもりです』

いきなりのプラウダ本隊の出現に茫然としていた俺は、その無線で正気にかえった。

「――了解。黒森峰本隊に合流して戻っ」

そこまで言ったところで、轟音と共に俺は頭をしたたかにぶつけ、意識を失った。

 

――試合会場・表彰式──

結局、俺がやられた直後に、六甲車も撃破されていた。

だが、一斉に通信が途切れたことでプラウダ本隊の存在を知った西住隊長は、ありったけの戦力を率いて救援に駆けつけたらしい。その後は――まあ、誰もが想像する通りだ。

IS-2もKV-2もいないプラウダ隊はティーガーとティーガーIIの群れに蹂躙され、試合は黒森峰側の勝利に終わった。

「結局――」隣で六甲がつぶやく。「我々は何も貢献できませんでしたね」

そうでもないさ、と俺は返した。「あのノンナとクラーラを撃破したのは、紛れもなく俺たちの戦果だ」

「そうそう、あの二人がいれば、黒森峰はもっと苦戦しただろうからね」と志賀先輩。

「――そうなのかもしれませんね。ま、もっと隊員が多くなれば、我々も活躍できるでしょうが」

「それについては心配いらん……とは言わんが、なんとかなりそうではあるぞ」

「本当ですか?」

「本当だとも。ただ――」俺はそこで言葉を切り、水平線に沈みつつある夕陽に眼をむけていった。「いろいろと()()をしなけりゃならんがな」

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