リーニエ「私が人間に絆される訳が無い……多分」(本編完結)   作:リーニエたんhshs

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epilogue『昼行灯のアウラ』

「………………オハヨ」

 

「いや良く引きこもりが半月で済んだな!?」

 

「アレだけ死体蹴りされたんだもんな……」

 

「フリーレン様、喉ガラガラですよ。お水飲んでください」

 

 

「……アウラ、なにしたの?」

 

「私は悪くない」

 

 結局のところ、あの日フリーレンは泣き止んだかと思うと私に詰め寄ってきてヒンメルとどう言う関係だったのか根掘り葉掘り事細かく全部聞いてきた。

 本当ならフリーレンの為を思って死体蹴りしないように体を重ねた事は言わないでおこうと考えていたのに、全部言え言わなきゃ殺すと言われたんだから吐くしか無かった。

 で、言ったら言ったでまた大泣きして半月引きこもって出てこなかった、これは絶対私は悪くない、悪くないったら悪くない。

 言わせたあっちが悪い。

 

 それはさておき、この半月で思ったよりソール以外の面々ともそこそこ親しくなったんじゃないかと自分では思っている。

 かつて人殺しをしていた魔族を受け入れられなくてもおかしくなかったと思うのに、とんだお人好しばかりだと苦笑してしまう。

 

 とはいえやはり一番何かと気が合ったのは、今隣でジッと見つめてくる同じ魔族であるリーニエだった訳だけれど。

 

「アウラ、私はお前を許すとは一言も言ってないからな」

 

「はいはい、分かってるわよ」

 

「この際もう人殺しだのなんだのはヒンメルが色々やってた事は理解したから良いとして」

 

「あ、それは良いのね」

 

「ヒンメルとッ……か、から、からだをッ……」

 

「いやそれはアンタが言わせたんでしょ。私は聞かれなきゃ言わないつもりだったのに」

 

「無理して言おうとしなくて良いから……」

 

「ぐっ……ぬっぬ……ソールまであっち側に……」

 

「これに関しちゃアウラちゃんが上だっただけだと思うんだけど」

 

 それにフリーレンもかなり変わったように見える。

 魔族の私とこんなにも感情をぶつけ合って言い合いするようになるなんて、魔王が健在していた当時じゃ考えられない。ま、今も考えられない事ではあるけど。

 何とも不思議な気分にさせられる。

 

 ……でも、もしかしたら。

 

 ヒンメルが見た未来ってのは、こういうものなのかもしれないわね……なんて、ふと思ってしまったりなんかして。

 

「私はお前の倍、1000年生きたエルフなのに……」

 

「その1000年で恋愛感情一つも学ばなかったのが悪いわよ、かと言って私が恋愛なんてもの知る由も無いのだけれど」

 

 それはそれとして私の倍である1000年生きてきて出し抜かれてるんじゃ寧ろその言い方は惨めにしかならないわよ、フリーレン。

 とは流石に言えなかった。

 今でこそ分かる、種族差、寿命の違い……それを知った今だからこそヒンメルもヒンメルでアタックしなかったのが悪いと改めて考えるようになったからだった。

 フリーレンがフリーレンならヒンメルもヒンメルよね、全くどちらもクソボケで呆れるくらいお似合いとしか言えない。

 

「……」

 

「な、何よソール。その『え!?それで恋愛知らないつもりなの!?』みたいな顔は」

 

「いやいやだってどう考えてもアウラちゃんヒンメルに本気で恋してるようなエピソードしか無かったし……まあ、聞いた感じではの話だけどさあ……」

 

 とは言え、そんな私が果たして恋愛をしていたかどうか、で言えばその答えは『分からない』が正解だった。

 確かにヒンメルの事は好意的に見ていたし、体も重ねたし、50年一緒にいた……けれどやっぱり、誰かに言われたからと言ってこの気持ちの答えなんて見つかる訳が無い。

 これは私が死んだ時に、ヒンメルに聞きに行くまできっと答えが出る事は無いと確信しているから。

 

 だから、今言えるとするならば。

 

「結局のところ、私の気持ちは私にしか分からない。その自分自身が分からないって言うんだからそれで良いのよ」

 

「ふーん、そんなもんなのかね」

 

「そんなもんなのよ……強いて言うなら『私とヒンメルの関係性に名前なんて最初から無かった』が答えでも良いかもしれないけれど」

 

「なるほど、確かに腑に落ちる答えではあるか」

 

 ただ、事実として言える事があるならば。

 それは「ヒンメルと過ごした50年は、それまで過ごした数百年よりも、そしてそれから過ごす幾年の時よりも、間違いなく色鮮やかに私の記憶に刻み込まれている」。

 

 これくらいで良い。

 

「あ、アウラが笑った」

 

「何が面白いか言ってみろアウラ、それか表に出ろ」

 

「……いいえ別に。ちょっと思い出し笑いをしていただけよ」

 

「アウラちゃんのその笑い方……昔墓前で見たものと同じ……なるほどね」

 

「何か言ったかしら?」

 

「ナニモイッテナイヨ」

 

 ――昼行灯のアウラ、これはヒンメルが死んでから何となく名乗ってきた自虐を含めた二つ名だった。

 

 特段それまでの50年に関しても昼行灯じゃなかったのかと言われれば、人によってはそう思われる事もあるかもしれない。

 でも、彼を失ってからの私は間違いなく無気力だった。

 ただただ、思い出を失いたくないからという理由で動いていただけに過ぎない臆病者だった。

 それ以外の事柄には殆ど動かなかった存在なんて、昼行灯くらいでちょうど良い。そう思っていた。

 

 でも、今は。

 

 

「フェルン、シュタルク、ちょっと離してくれない?」

 

「フリーレン様!落ち着いてくださいぃっ!」

 

「ほんと、ヒンメルの話になるとこれなんだからよぉ!」

 

「ヒンメルというか、アウラちゃんの口から出てくるヒンメル関連のエピソードに過剰反応してるというか……」

 

「嫉妬、だね」

 

「はぁ……まったく」

 

 

 そんなでも良いんじゃないかって。

 ちょっと思えた。

 

 ねえヒンメル?貴方は……どう思うのかしら。

 今のこの、人の心に近いものを持ってしまった魔族と、フリーレンのこの関係を――

 

 

 

《昼行灯のアウラ》 -fin-

 

 

 

 

 

 

 

 

次章、完結

 

終幕編『運命《ソール》』

 

 

「俺さ、自分でも知らない記憶があるんだ」

「この記憶の正体、アウラちゃんならもしかしたら分かると思ってさ。ちょっと聞いてくれない?」

 

 これは、この物語に残された『最後の謎』を解き明かす最後の話。

 本当のストーリーから大きくズレた世界の、最後の旅の観測。

 

「……その記憶、誰かから聞いたとかじゃないのよね?」

「まさか――当時の自分ですら思い出したくも無い話を語る事になるとは思わなかったわよ」

 

 それは、もう1つの「有り得なかったはずの物語」その鍵となる。

 

「この記憶は……なるほど、俺が『これ』を追い求めていた理由はそういう事だったのか」

「俺は一体、何者なのか。何の為にこの夢を追いかけて来たのか。ようやく分かったような気がする」

 

 

 

 

 

 これは、全ての《運命》が繋がる為の物語。




これにて番外編『昼行灯のアウラ』完結です、エピローグだけ短い上にめっちゃ遅れて申し訳ない!何とかしてもう少しボリューム出したかったんですが綺麗にまとまりませんでした!なのでまとまり良く短くということで!
アウラがヒロインし過ぎてたんじゃないか疑惑が出続けてしまいましたが多分気のせいです!信じてください!

ちなみに予告にある通りまだ終わりませんよ!
次回!終幕編『運命《ソール》』多分数話で終わるけど本編で散りばめた伏線回収して完結させるぞ!
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