リーニエ「私が人間に絆される訳が無い……多分」(本編完結)   作:リーニエたんhshs

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第7話『再会……?』

「買い物以外で街に来るなんざいつ振りかねぇ」

 

「……私達がいなければ本当はもっと街にいけてたんだよね」

 

「気にすんなよ、俺は好きであそこにいたんだし。リーニエがいない方がつまんなかったよ」

 

 ソールの話では3日後から5日後にフリーレンが来るという話だった。

 なのでその最短である3日後……今日から出迎える為に街の宿に宿泊していつ来ても迎えられるようにしておくという事になった。

 

 なので最長で3日、彼に会えなくなる。

 街での彼は変装はしているけれど人間に違いはない、私が仲良くしていれば不審がられて最悪ソールが襲われる可能性だってある。

 それは……好ましくない。

 毎日欠かさず会っていただけに1日会わなくなるだけで違和感を覚えそうだけど、長くても3日我慢すれば取り敢えず1度は会えるのだからまずはそこまで我慢するしかない。

 

「それじゃあ、私はここで」

 

「うん。俺の魔力はもう分かってると思うけど、この位置で俺の魔力を見つけたらおいで」

 

「分かった、待ってる」

 

 でも3日もソールのご飯が食べられないのはちょっと嫌だなあ、と考えて憂鬱になるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、チェックインも済ませたし近くで買い物でもしてくるか」

 

 そこまで動きたい訳では無いが、折角フリーレンが来るのだから準備はしておきたい。

 何故動きたくないかと言うと、この今している変装は俺の魔法である『真偽を見抜く魔法』の応用で『偽の姿を映す魔法』を代用しているからである。

 

 俺は確かに他の人間からしたら天才と呼ばれる程魔力があるし、魔法の成長率や完成度も下手な一級魔法使いよりも高いとフリーレンは言ってくれていた、それも最後に会った15歳の時点でだ。

 だがそれでも人間は人間だ、それもまだ20歳の若輩者。

 勇者パーティーでも規格外の魔力を持っていたと聞くハイターさんみたいな化け物にはなれないのだ、だから普通に常時応用魔法を使っていればそりゃ疲れもするという事だ。

 鍛えてはいるからいつもよりは疲れる程度、ではあるが。

 

「保存の効く物は粗方買っとかないと……」

 

 まあ動いてしまえば徐々に慣れてくるから良いんだが。

 

 それはさておき、この街は相変わらず便利ではあるが居心地が如何せんイマイチ良くない。

 人間の感性がすっかり染み付いてきたリーニエに言えば責任を感じてしまうのではないかと言ってはいないが、俺が街にあまり来ないのは彼女に言った以外にもう一つある。

 それが所謂この街が『嘘だらけの街』であるからだった。

 

 俺の魔法は強大だ、先程も言ったがもう少し細かく言うと魔力・魔力操作・成長性共に人類史上でも上位10位に滑り込む程度には異常だったと1000年生きてきたフリーレンが言う程には。

 だからこそ『分かってしまう』のだ。

 最早ほぼ全ての人類や魔族の真偽程度造作もなく。

 

 ここの人間は魔族に怯えながらも本音を隠しながら『嘘』で魔族に媚びへつらう。

 魔族は平気な顔をして『嘘』を塗りたくる。

 あまりにも歪だ。

 

「……あの子がいなきゃ違うとこにいたんだろうな、俺」

 

 こんな住みにくい街の近くなんかさっさと去ってしまえば良いのだが、リーニエと出会ってしまったからには出ていきたく無くなってしまっていたのだ。

 利便性自体は高いし少し我慢すれば良いだけだしそうすればリーニエとイチャイチャも出来るしデメリットよりメリットの方が大きいから気にしないようにしてるけど。

 

「そう思うと、人生ってば面白いよな。本来成す事のなかった事を成す、幾重にも分岐点が存在する。当たり前の事なのにどうして、こんなにも興味深い」

 

 そしてだからこそしていく選択肢選択肢にしっかりと意味を持たせて行きたいとも感じる。

 デメリットやメリット云々を考えて一喜一憂する自分をなんだかんだで客観的に楽しんでる辺り変人なのかも知れない。

 

 そんな事を感じながら帰ろうとした時だった。

 

「ん?……この魔力は」

 

 そういえば、だが。

 フリーレンからは『自分だと分かる魔力を教えておく』と彼女の魔力の流れ方を教えてもらっていた。

 それは他の誰とも違う、あまりにも独特なもので分かりやすく、今回もそれを目印に探知して出会う予定だった。

 

 ……何が言いたいかと言えば、今丁度『それ』を感じ取った。

 

 時間にルーズなあの人の事だからギリギリ5日目にでも来るのかと思っていたが……ちょっと見ない内に何か変わったのか。

 だとするならそれはそれで嬉しい事ではある……何せまだチビだった俺に身の回りの世話とかさせるくらいには自堕落でズボラで凡そ女性らしくないムーブしかして来なかったし。

 お陰で髪の結び方とか料理とか上達したからそれは良かったのだろうけれど。

 

「エルフ族にとっての5年なんて一瞬だと思うけど、その5年で色々と変わってくれたというならそれに越した事は無いからね」

 

 少しの感慨深さを感じながら、その魔力の方角へと向かうのだった。

 

 

 ……割とすぐ幻滅するとも知らずに。

 

 

「……ごめんこれどういう状況?」

 

 

「……冷静で殺意のこもった冷たい目だ」

 

 リュグナーと衛兵達に取り押さえられてるフリーレンを見て思わず民衆に紛れ込みながらそんな事を呟く。

 あのさぁ……いくら魔族憎しでもんな街中で騒ぎ起こさないでよ……結局そうした方が話が拗れるんだから。

 5年振りに見た親の姿がこれってマジですか?

 

「私たちを憎んでいるこの街の住民でさえ私を見る時はおびえながらも“人を見る目”をしている。だが君のその目はまるで猛獣でも見ているかのような目だ」

 

「実際にそうでしょ?お前たち魔族は人の声真似をするだけの言葉の通じない猛獣だ」

 

 うんまあそれは正論なんだけどね。

 でも悲しいかな、リュグナーの後ろにはドラートとセットで俺の可愛い可愛い想い人のリーニエがいるんだ。

 事情を何一つ知らないとはいえ、そう言われたリーニエの瞳に一瞬だけ諦観が映ったのは気の所為では無いはず。

 

 ……やはり、何としてでもフリーレンにリーニエの事は言うべきだ。

 俺のかけがえのない大切な人だから。

 たとえ魔族であっても、こうして分かり合える子がいるのだと言いたい。

 

「はぁ……屋敷の地下牢に入れておけ」

 

「はっ!」

 

 街の領主だろうか……が、衛兵に命令を下しフリーレンが連行されていく、ほんと何やってんだあの人。

 

「あっ……おいっ」

 

 そしてフリーレンの新しい連れか、近くでさっきまでフリーレンと話していた俺より少し若い男女1人ずつ。

 男の方は強い戦士だろうがズボラ……対して女の子の方はこれまた強い魔法使いだと見える、それも家事も万能なタイプな感じがする。

 ははーん、ヤケに来るのが早いと思ったが大方あの女の子が世話を焼いてくれていたのだろう、人でもすぐには変わらないのだからあの自堕落エルフがそう易々と変わる訳が無いのだと諦めよう。

 

「てか一応挨拶はしておくか」

 

 どうせ誰も見てないのだからと魔力偽装以外は解除して2人に近づき声を掛ける。

 

「や、君達はフリーレンの連れかい?」

 

「あ、はい、そうッスけど……」

 

「失礼ですが、フリーレン様のお知り合いですか?」

 

「……え?フリーレン俺に会うって事話してないのかな……あーそれなら突然済まなかった、俺はソール。14、5年前にフリーレンに拾われて一時期旅をしていた男だ」

 

 もしかしたら……と多少ばかり思っていたが案の定フリーレンは俺に会うのが主目的だと教えていなかったらしい。

 全く、だからズボラなんだよあの人は。

 

「……あっ!ソールってフリーレンが良く話してた息子代わりの!?」

 

「そうでしたか、貴方がソール様だったんですね。いつかお会い出来ればと思っていましたが……」

 

「こんなところで申し訳ないけど、改めてよろしくな。えーっと」

 

「シュタルクだ、よろしく。……しっかしあの人、頻繁に手紙送ってた割に俺達の事は書かなかったんだな」

 

「フェルンです、よろしくお願いします。……ですね、あの人らしいと言えばそうですが」

 

 それはあっちも同じ認識だったらしい。

 本当に何も変わってねえ……

 

「シュタルクにフェルンだね。……ところで一応確認なんだけど、フリーレンはやっぱり魔族を見て?」

 

「本当に長い事旅して来たんだな。その通りだよ」

 

「確かに魔族は駆逐に限りますが、流石に街中で魔法を放とうとするとは思いませんでしたから」

 

「本当に何やってんだあの人」

 

 そして予想通りと言うべきか、彼女は案の定魔族をサーチアンドデストロイしようとして取り押さえられて捕まったらしい、と聞いて俺が天を仰いだのは言うまでもないだろう。




リーニエ
目の前のエルフがフリーレンだという事は認識していた
言葉を交わせるような余地も無く魔族に対する殺意を感じ取ったのでこの先の未来を察して全てを諦観している
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