リーニエ「私が人間に絆される訳が無い……多分」(本編完結)   作:リーニエたんhshs

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そろそろルーキー日間からも卒業を迎えそうな本作
その当ランキングでは最高3位ももらって割と順風満帆、みんなリーニエ好きなんすね〜


第9話『決意』

「シュタルク、フェルン、実は折り入って話がある」

 

 面会を終えて外に出て一息付き一旦俺のいる廃村まで行きそこで休憩……となったところで俺は声を掛ける。

 そう、廃村近くの街外れ……ここはリーニエと約束をした場所だ。

 ここで魔力の流れを『元に戻して』リーニエに探知される事でそれを合図にここに来てもらう予定と言ったその場所、ここに来る以上隠しておく訳にも行かなかった。 

 あと何れどうせバレるなら今言っておくのが賢明という判断もした為であるが。

 どちらにせよ緊張が走る、何せシュタルクはさておきフェルンは話を聞く限りフリーレンに相当感化されてる面が見えたからだ。

 

 ……それでも俺は決めた、あの子の、リーニエは俺の大切な人だから、ここで男を見せなくちゃならない。

 

「折り入って、なんて急にどうしたんだよ」

 

「私達に出来る事ならなんでも言ってくださいね、お手伝いしますから」

 

「ありがとう。……2人ともさ、俺が『分かり合える魔族がいるかどうか知る為に旅に出る』ってのはフリーレンから聞いたよな」

 

「ああ、そういや言ってたな。それがどうしたんだ?」

 

「はい、ですがそのような魔族はいないと思いますよ?フリーレン様の生涯でも未だに見つかっていませんし」

 

 思った通りだ、シュタルクは純粋な疑問としてフェルンは心のどこかでなにかに勘づいているのか僅かばかりに冷たい雰囲気を感じる。

 俺は一つ深呼吸をする、大丈夫だ自分を信じよう。

 

「…………もし、俺がそういった存在を『見つけているとしたら』?君達は排除しようとするかい?」

 

「はい、それは騙されているだけだと思いますので。ソール様は聡明なお方とはお聞きしていますが魔族はそういった人々でも騙してきます。なので騙されてしまうのは仕方ありません」

 

「……それが本当なら。俺は、排除したくねえ。甘いって言われるかも知れないけどさ、一度話してちゃんと確認してみたい」

 

「そうか、2人ともありがとう。どちらも本音を話してくれて本当にありがとう……今言った事は実は本当なんだ、どうか一度会ってみてくれないか」

 

『真偽を見抜く魔法』で確認するまでもなくこの2人から嘘の匂いを感じる事は無かった、紛れもない真っ直ぐな本音だ。

 ならば後は突き進むだけだ。

 

「……冗談、では無いのですね?」

 

「俺の生涯を懸けた命題だ、この命に変えても嘘は言わない」

 

「って事は今ここに呼ぶのか?」

 

「そうなる。ここはリュグナー達の魔力探知圏外だからな。……それじゃあ俺の魔力を『いつもの流れ』に戻して、と」

 

 魔力偽装を解く。

 ここなら俺自身もバレる心配は無いからな。

 

 さあ、一世一代の大一番だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「出来のいい息子でな。早く家督を継いで儂に楽をさせると生意気なことをよく言っておったわ」

 

 フリーレンに憎悪の籠った目で見られた事への諦観を隠しながら、私はリュグナー達と共にグラナト伯爵の屋敷へと迎え入れられた。

 でも私には分かる、この人からは大きな憎悪を感じる。

 私だけが分かっていた、あの人と過ごした時間が長いから、人間の心と向き合ってきたから。

 

「これは御前試合で陛下から賜った剣だ」

 

「御子息は今どちらに?」

 

「10年前にアウラとの最初の戦いに赴いてそのまま、帰ってこなかった。死んだのだよ」

 

 悲しそうに笑ったと思った瞬間だった。

 

「帰ってきたのはこの剣だけだ。リュグナー!お前たちを招き入れたのは息子の無念を晴らすためだ。使者はこの場で全員殺すッ!和睦なんてクソ食らえだ!」

 

 息子の剣だと言った『それ』でリュグナーに切っ先を向ける。

 ああ、やっぱりだ。

 彼は酷い憎悪を纏っている、それもその命を散らしてでもという一種の破滅願望にも近いそれを。

 

 ……『ダメ』だ。

 

 今、ここで命を散らしてしまってはならない。

 ソールは言っていた、フリーレンは幾多の大魔族や七崩賢も数人葬っている程の力がある。

 それが事実なら……いや、私にソールの言葉を疑うという何かは存在していない。

 私は彼を『心から信頼しているのだから』。

 だから、今私に出来るのは――

 

「……この部屋、綺麗だね。きっと10年前とおんなじ」

 

「それがどうした?」

 

「私達が貴方の子供を手に掛けた訳じゃない。でも……『ごめんなさい』。貴方の家族を奪ったのは魔族だから、謝らせてほしい。でも、一度どうか……話し合わせて。……ダメ?私にも家族と思えるくらい大切な人がいるから」

 

 嘘……ではなかった。

 私は『心の底からの謝罪』をした、たった数年前までは考える事すら無かった感情だった。

 ソールが持っている感情を覚えたいと模倣した結果、気が付けば模倣などではなくいつしかその感情を持っていたのだと今、たった今気が付いた。

 

 ……ああ、私にも人間と同じ感情が芽生えた。

 そしてそれを、人間を守る為に使う。

 皮肉かもしれない、人間を欺く為に使っていた言葉をソール以外にも純粋に、本音として使ったのは。

 それでも良いと思えた、だって――

 

 そう、『ソールならそうしたから』。

 ソールが加害者の知り合いだったなら、謝罪しただろう。

 そう思えたから。

 

「……客室に、案内してやれ。少し……考える」

 

 彼は目を閉じたかと思うと剣を納めそう言った。

 一旦収まってくれたかと内心で一息付く。

 もう少し経てばきっとフリーレンは解決してくれるだろう、だってソールの親代わりであり師匠なのだから。

 ……その過程で私が殺されるのであればそれは必然なのだろう、仕方の無い事だ、甘んじて受け入れよう。

 

 だけど。だけども。

 

「……リュグナー様」

 

「なんだい?」

 

「家族って……なんだろうね」

 

「さてね。そんなもの知ったところで無意味だろうさ」

 

『家族』の本当の意味を、彼とそうありたいと、そう思ってしまう私がいる事にも、気が付いてしまって。

 

 いても経っても、どうしてもいられなくなってしまったこの感情は、どうしても彼に会いたい、顔を見たい、笑顔を見たい、この感情は。

 そう思ってしまった、この感情の答えは、何なのか。

 

 それを、知りたくて。

 

 

 

 

 

 

 

 

「……よ、即日でまた会えるとは思わなかったよ、リーニエ」

 

「うん……私も。でも会えたのは幸運」

 

「なっ……」

 

「ソール様、やはり消し飛ばすべきです。そこのはアウラ配下の魔族ですよ」

 

 魔力制御を解除して直ぐに飛んできてくれたリーニエ。

 分かっていた事ではあるが、2人は一瞬にして攻撃態勢に入っている……無理も無い、リュグナーお付きの首切り役人として指名されていたリーニエだからだ。

 だがこの子は人殺しを行っていない、食人も行っていない、それは俺の魔法が証明済みだ。

 

「待ってくれ。この子はこれまで殺人も食人も行っていない。それに人の感情を少しずつ勉強して覚えていっているんだ」

 

「それを信じろと言うのですか?何を根拠に?」

 

「……5年、だ」

 

「え……?」

 

「俺がこの子と過ごし始めてから今年で5年だ。わざわざ毎日リュグナーの元から廃村まで通ってきてくれているんだ、沢山の事を教えたし分かりにくいが感情だって表に出ている。この子だけは違うんだと言わせてほしい、頼む、この通りだ」

 

 きっと今の俺は誰から見ても無様に映るだろう。

 年下の女の子相手に頭を下げるしか無いのだから。

 証拠らしい証拠は無い、俺の魔法だってフリーレンならいざ知らず初対面の2人にどこまで信用されているのか分かったものじゃない。

 それでも、どれだけ無様でも頭を下げる。

 俺に出来るのはこれくらいだから。

 

「……ソール……私、は……」

 

 何かを言おうとして口を開けては、どうして良いか分からないといった具合に何も言えないリーニエを見て苦しくなってしまう。

 仕方ない事だと語っていたとしても、何かしら生きたいと思える事が生まれたのだろう……ならばやはり、何としてでも説得しないとならない。

 

「なあフェルン」

 

「なんですか」

 

「魔族は人間特有の感情を持たないんだよな」

 

「そうですね」

 

「じゃあさ……コイツはどうして、こんなにも悲しそうな顔してんだよ。それにフリーレンが『聡明だ』と言っていたソールが5年掛けて隣で見てきて、魔法でも殺人や食人をしてない事が嘘じゃないって分かってるなら信頼してやっても良いんじゃないのか?」

 

 思わぬ援護射撃だった。

 確かにシュタルクは魔族に対して知識がそこまで無い……いや、無いからこそフラットな目線から見られたというべきか。

 何にせよ心強かった。

 

「…………はぁ。それこそここで私がここまで言われていて殺してしまえば魔族と同じですね。一旦は鉾を納めましょう」

 

 フェルンが諦めたように息を吐き出す。

 良かった……本当に良かった、何とか説得しきれたみたいだ。

 一気にドッと疲れが押し寄せてくる。

 

「ほ、本当か!?ありがとう……」

 

「ですが、少しでも危害を加えようとすれば問答無用で消し飛ばすので。分かりましたか?」

 

「うん。ありがとう……フェルン。それにシュタルクも。説得してくれて」

 

「お、おう……笑うと可愛いなコイツ」

 

「だろ!?よし、今日はシュタルクにリーニエとの話を沢山聞かせてやるからな!」

 

 しかしそんな疲れもこうして多少でも分かり合えたと知れた前では吹き飛んでしまう。

 ああ、この子は人間にも認められたんだなと思うとこんなにも感慨深くなってしまうなんて。

 

 まだフリーレンの説得は残っているが今日は気分良く眠れるだろう。

 

「……シュタルク様ったら鼻の下伸ばしちゃって」

 

「フェルン、ヤキモチ?」

 

「ち、違いますからね」

 

 そう思うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの魔法使いを殺す為に地下牢に潜入して話を聞いてた訳だが……」

 

「うん、あの怪力男の師匠ってなら撤退するか……あんなふざけた馬鹿力より強いとか意味分かんねえし」




ソールの中にある謎の記憶2
日本の記憶ですらない謎の記憶…の割にまあまあ鮮明
肝心なところ(マハト、シュラハト、シャッテン以外の部分)で途切れていたりするが何故かこの3人に関しては全て記憶の中にあった
更に七崩賢+シュラハト全員集合で対峙してる絵面もその中にある
あれれー?なんかおかしいねー?既視感あるねー?

ドラート
主人公と対峙した時の感覚が忘れられずフリーレン強襲は断念した
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