超火力TSダンジョン配信者【雪姫】の軌跡   作:山田センチュリー

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二度目の配信2

 インプを倒し、さらに戦いの音に引かれて集まってきた追加のインプ十体ほどを倒したところで……

 

 

<レベルが上昇しました>

<新しい魔術を獲得しました>

 

 

 おっ。

 

「レベルが上がりましたー!」

 

〔おめ!〕

〔レベルアップおめでとー!〕

〔まああれだけインプを倒せばさすがにね?〕

〔戦闘音に引かれて他のインプも集まってきたからな……〕

〔効率いいレベリングだなあ(白目)〕

〔普通は精神力が枯渇するはずなんですがねえ……〕

〔雪姫ちゃんは普通じゃないだろ! いい加減にしろ!〕

〔初心者の定義が壊れる定期〕

〔インプ四十体近くと戦った後の無邪気な「レベルが上がりました」、雪姫ちゃんのキャラが全部出てて好き〕

 

「ステータスを確認しますね」

 

 配信画面に『ステータス確認中……』の表示を出す。

 

 

――――――

 

白川雪姫

▶レベル:18

▶クラス:魔術師(氷)

▶ステータス

力:7

耐久:19

敏捷:19

魔力:211

▶魔術

【アイスショット】:氷属性。氷の弾丸を飛ばす。詠唱「氷神ウルスよ、我に力を貸し与えたまえ。我が望むはひとかけらの氷のつぶて」

【フロスト】:氷属性。冷気によって範囲内の相手の敏捷を下げる。詠唱「氷神ウルスよ、我に力を貸し与えたまえ。我が望むは冷ややかなる霜の吐息」

【アイスヴェール】:氷属性。冷気の衣で対象の氷耐性を上昇させる。詠唱「氷神ウルスよ、我に力を貸し与えたまえ。彼の者から凍てつく夜気を遠ざけよ」

New!【アイスアロー】:氷属性。氷の矢を高速で飛ばす。詠唱「氷神ウルスよ、我に力を貸し与えたまえ。我が望むは疾く駆ける氷の矢」

▶スキル

【オーバーブースト】:三十秒間全能力値を倍にする。一日一回のみ。

【クラス補正倍化】:レベルアップ時のクラス補正を倍にする。

【一撃必殺】:耐久が自分の十倍以上の相手と戦う時、まれに魔力が十倍になる。

【氷の視線】:目を合わせた相手を確率で“拘束”状態にし、氷耐性を弱める。

【氷結好き】:氷属性の魔術を少し強める。氷属性以外の魔術を使うとスキル消失。

【魔術好き】:魔力を少し強める。魔術以外で敵にダメージを与えるとスキル消失。

【冷酷非道】:拘束状態にある敵へのダメージを増加させる。

【インプキラー】:インプ系の敵と戦う時に能力値上昇。

【孤軍奮闘】:群れと戦闘を行う際に範囲攻撃の威力上昇。

 

――――――

 

 

 この通り、俺のステータスは前回の探索から結構変わっている。

 インプコマンダー戦、普通なら集団で攻略するキーボスをソロ討伐したことでレベルが大きく上がったのだ。【クラス補正倍化】の影響もあり、魔力の数値がとんでもないことになっている。

 

 先にスキルについて触れるが、スキルはインプコマンダー戦以降二つ増えた。

 

 増えたスキルは【インプキラー】と【孤軍奮闘】。

 【インプキラー】はインプ系モンスターと戦う時のみ自分の能力値を上げるもの、【孤軍奮闘】は群れとの戦闘時、一定範囲に影響する魔術やスキルの効き目を強めるものだ。ちなみに【フロスト】のような補助魔術でも【孤軍奮闘】の効果は発生する。

 この二つのスキルがなければ、数十体のインプを倒し切るのは難しかっただろう。

 

 ついでに新しい魔術として【アイスヴェール】なんてものが使えるようになったが、これは今のところ必要な場面はなさそうだ。どう見ても仲間がいる前提だし。

 

 で、今覚えた新しい魔術は……【アイスアロー】か。

 

 これ、どういう魔術なんだ?

 次の敵に試してみるか。

 

「お待たせしました! ステータスの確認も終わったので、先に進みます!」

 

 『ステータス確認中……』の素材を非表示にして、探索を再開する。

 さっきの戦闘の影響か、二層ではモンスターが襲ってくることはなかった。

 地図を見ながら進んでいるうち、あっさり三層にたどりつく。

 

「次の戦いでは、さっき覚えたばかりの新しい魔術を試そうと思います」

 

〔いいね!〕

〔ガーディアンボス前に試しておくのは大事だよー〕

〔ちなみにどんな魔術?〕

 

 魔術について聞いてくる視聴者。

 

「えっと、さっき覚えたのは――」

 

 月音とも話したが、自分のステータスについては“未登録スキル以外は聞かれたら答えてもOK”という方針でいくことにした。

 やはり視聴者的には配信者のスキル構成は気になるものらしい。

 俺の場合は未登録スキルが多いので、他のスキルがバレてもそこまで痛手ではないだろう、ということだ。

 

 装備品は見ればわかるし、魔術についてはもっと明かしても問題ない。

 なにせ魔術はレベルによって覚えるものが固定されているからだ。

 俺が氷属性の魔術師だということは明らかだし、何が使えるのかは視聴者側もある程度予想がつく。だから言っても問題なし。

 

 だが、別の要因によって俺は口を閉じた。

 

『ガウ、ガウッ!』

 

 ゴブリンより少し大きいくらいの、犬の頭が乗っかった人型モンスター。

 三層から出現するモンスター、コボルトだ。

 鎧を着こんでいるということは、シールドゴブリンのような特殊な敵だろうか?

 

「すみません、戦います!」

 

 すかさず切り替えて俺は<初心の杖>を構えた。

 

〔アーマーコボルトか〕

〔鎧コボ、けっこう硬いしパワーがあるんだよな。動きが遅いのは救いだけど……ソロ魔術師の天敵だぞ。雪姫ちゃん引き悪いな〕

〔動きが遅い……?〕

〔しかも単体……?〕

〔あっ、俺未来が見えた〕

〔奇遇だな俺もだ〕

 

 駆け寄ってくる鎧コボルトに【氷の視線】を使って動きを止める。

 

「氷神ウルスよ、我に力を貸し与えたまえ。我が望むは疾く駆ける氷の矢、【アイスアロー】!」

 

 

 シュンッ――ドパッッ!

 

 

『ギャウ!?』

 

 氷の矢が高速で飛んでいき、鎧コボルトの頭部を消し飛ばした。

 

「なるほど……こういう魔術ですか」

 

 【アイスショット】よりも飛距離が長く、さらに速い。遠くの敵を狙撃するにはもってこいの魔術だ。

 

〔ほああああああ!?〕

〔俺の知ってる【アイスアロー】と違う!〕

〔こういう魔術ですか←違います〕

〔アロー系の魔術は威力低いはずでは……〕

〔低いじゃん(雪姫ちゃん基準)〕

 

「あ、あれ? 私の使い方間違ってましたか?」

 

〔合ってるけど威力がおかしい〕

〔少なくとも適正レベルの防御自慢モンスターをワンパンする魔術じゃない〕

〔アロー系はスピードある代わりに威力が低い、牽制とかに使うやつだよ!〕

〔まーた【一撃必殺】さんが仕事したのか〕

〔してたか? あのスキル、発動する時は魔術が膨張するだろ。そんな感じしてなかったぞ〕

〔え? あれ素の威力? マジで言ってる?〕

〔先生! 常識君が息をしてません!〕

〔というか、【アイスアロー】を『さっき覚えた魔術』って言った?〕

〔気付いたか〕

〔【朗報】雪姫ちゃんレベル判明〕

〔レベル18……?〕

 

「あ、はい。レベル18です。インプコマンダーとの戦いで一気に上がったので。もう一人前です」

 

 胸を張って宣言する。

 インプコマンダーと戦った時と比べて、今の俺のレベルはその倍以上。正直、相当強くなったと自負している。

 

〔おっ、そうだな(?)〕

〔Fランクダンジョンの攻略適正レベルって30くらいじゃ……〕

〔でも俺の知ってるレベル30魔術師より雪姫ちゃんの魔術のほうがはるかに高威力という不思議〕

〔まあ雪姫ちゃんだし……〕

〔俺たちの大砲幼女に常識なんて通じるわけなかったんだ〕

 

「私まだレベル低かったんですか!? 普通にダンジョンを攻略できているからてっきり問題ないのかと……」

 

〔本気で驚いてて草〕

〔マジでダンジョンのことよく知らないのか〕

〔というか今レベル18って、インプコマンダー倒した時レベルいくつだったの?〕

 

「あの時は7でした」

 

〔7wwwwww〕

〔嘘だろ!?〕

〔Fランクダンジョンならキーボスはレベル20が推奨だったはず。しかもパーティ前提〕

〔どうりで【アイスショット】と【フロスト】しか使ってなかったわけだよ!〕

〔初 神 者〕

〔このタイミングで言うのもなんだけど雪姫ちゃんTwisterトレンド一位です〕

〔うおおおおおおおお〕

〔マジか!〕

〔一位!〕

〔すごww〕

〔雪姫ちゃん、トレンド一位おめ!〕

〔初配信で新規キーボス発見&攻略、二回目でトレンド一位は伝説が過ぎる〕

 

「え? あ、ええと、すみませんコメントが速すぎて読むのが……トレンド一位ィ!? あ、ありがとうございます」

 

〔声裏返ってて草〕

〔同接三万超えそうだしな〕

〔あの、トレンドに“化け物”とか“幼女の形をした大砲”とかもあるんですけどあの〕

〔事実なんだからしょうがないだろ!〕

〔化け物はないだろこんな可愛いのに!〕

 

「“きなこ”さん、可愛いとか言わないでくださいね。見逃しませんからね」

 

〔それは読めるのかww〕

〔何が雪姫ちゃんをそこまで突き動かすんだ〕

〔ジト目ありがとうございまぁああす!〕

〔残念ながらご褒美です雪姫ちゃん〕

 

 気付けば視聴者は二万八千人越え。多いのはわかるが、もう実感がわかない。普通に暮らしてて二万八千人に注目されることってあるか?

 

「と、とにかく進みます! このままガーディアンボスの部屋まで一気に行きますよ!」

 

 このままだとキリがなさそうだったので、俺は話題をぶった切って探索を再開した。

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