《華焔の魔女》は憑依転生者   作:紅ヶ霞 夢涯

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二話

 悪気は無かった。今日ここ、学園都市“六花”こと“アスタリスク”に来たばかり。当然、星導館学園にも初めて入った………などと言い訳する天霧綾斗を口八丁で丸め込み、決闘を強引に承認させた。チョロい。少し彼の今後が心配になる。

 

「では、始めるか」

 

 武器の一つもないという彼は野次馬の一人ーーー確か、ネームドキャラーーーから煌武武装(ルークス)を受け取って渋々と構えを取る天霧綾斗に近づく。

 

「この辺りか」

 

「………何のつもりだい?」

 

 私が立ち止まったのは、天霧綾斗の間合いと見立てた範囲の一歩内側。立ち止まったまま攻撃を仕掛けようとしない私に、彼は怪訝さを隠しもせずに問い掛ける。

 

「お前の間合いだろう?決闘を始める前に手加減していたとはいえ、二発も先に撃ち込んだのだ。先手を与えねば不公平が過ぎると思ってな………そら、二太刀は防ぐだけにしてやるから早くしろ」

 

 数秒、彼は躊躇する。しかし直後、正眼に構えた剣形の煌武武装を素早く振るい、左胸にある校章を破壊しようとした。

 

「なっ」

 

「いい太刀筋だ………どうした?魔女に防がれたのが、そんなにショックか?」

 

「別にそういう訳じゃない、けどっ!」

 

 続く二太刀目も鋭いが防げない程ではない。細剣形の煌武武装で一太刀目と同じように防ぎ、鍔迫り合いに持ち込む。

 

「まぁ、何でもいい。次は此方の番だ」

 

「この距離で魔女としての能力を使えば、君にもダメージがあると思うよ?」

 

「はっ、そんな馬鹿な真似はしないが………そうだな、折角だ。軽く体を動かすか」

 

「え?」

 

 一歩、後ろへ移動する。僅かに体勢を崩した天霧綾斗に中段への三連突きを放つが、それは当たり前のように躱された。

 

 続けて往復の切り払いを行い、斜めへの切り上げの後、上段二連突きで技を締める………しかし。

 

「こうも簡単に防がれ躱されると、自信を失くしそうになるな」

 

「いやいやいや、結構なお手前で………」

 

「余裕があるな?ならば少し追い込むとしようーーー咲き誇れ、鋭槍の白炎花(ロンギフローラム)

 

 複数の槍状の炎を射出する。真っ直ぐに射出しただけでは、どうせ簡単に躱されるだろうからタイミングや速度をズラしたり、軌道を変えたりと工夫する。

 

 それらを全て、彼は剣を盾にして受け流す。その動きに余裕がないことは見て取れるが、決定打に至らない………何も知らなければ、この違和感に気味の悪ささえ覚えそうだ。

 

「ええっと、ユリス………さん?そろそろ許して貰えないかな?」

 

「呼び捨てで構わん。それは降伏の意思表示か、天霧綾斗?別に止めはしないが、自警団に突き出した後の無事は保証できんぞ?少し前に下着泥棒を片付けてな………そいつは最終的にカタコトしか喋れなくなり、部屋から一歩も出れない精神状態となったそうだ」

 

「………もう少し頑張ってみようかな」

 

 それでいい。これだけ騒いで時間も掛けたのだから、そろそろ彼女もこの場にいる頃合いだろう。私から仕掛けておいてなんだが、この茶番にも若干飽きてきた。

 

「咲き誇れーーー六弁の爆焔花(アマリリス)!!」

 

 部屋で使ったものと同じ技だが、規模は段違い。どの程度に違うかと言えば、集まった野次馬らが思わず逃げ出す程と言えばいいだろうか。

 

 当然、天霧綾斗も素直に当たりたくはない。腰を屈めて身構え、直撃の寸前で躱すつもりなのだろう。

 

「ーーー爆ぜろ」

 

 そうはさせまいと、彼が動く直前に起爆した。

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