《華焔の魔女》は憑依転生者   作:紅ヶ霞 夢涯

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 ちょっと長い?気がする。気の所為か。


八話

 

 天霧綾斗と、いつにも増して表情のない沙々宮に学園を案内した。クラブ棟に委員会センター、食堂などなど………それら全てに、沙々宮紗夜の方が頻繁に相槌を打つ。案の定だ。

 

「まだ覚えていなかったのか、沙々宮。まぁ、今後は私だけじゃなく天霧もいるからな。心配いらんだろう」

 

「いや、何か紗夜がごめんね。今まで大分お世話になったみたいで」

 

「うん、お世話して貰ってる」

 

「………念の為に言うが、褒めてないからな?」

 

「まぁまぁ、いいじゃないか。俺も勉強になったし、本当に助かったよ。あ、飲み物を買ってくるけど希望はある?奢るよ」

 

 私は紅茶、沙々宮紗夜はりんごジュースをそれぞれ希望した。それを買いに天霧綾斗が走り出し、その背中が見えなくなったタイミングで話しかけられる。

 

「その、リースフェルト」

 

「ん?」

 

「さっきの、友人っていうのは」

 

 珍しいな。彼女がこんな事を聞いてくるのは………いや、さっき天霧綾斗と何か耳元で言葉をかわしていたし、彼の入れ知恵だろう。

 

「………………………故あって、暫く会っていないがな。今は別の学園に通っている」

 

「………そう」

 

「聞きたいことはそれだけか?」

 

「あ、いや………えっと。何故、リースフェルトが綾斗に学園を案内することになった?」

 

 何か早口だな。隠したいことでもあるのか?単にあまり喋りたく程に嫌われているとは考えたくないな。

 

「そうだな。あれは決闘の最中に助け………助け?」

 

 いいや、違う。助けられた訳ではない。原作の都合上、わざと助けさせてやっただけ。断じて、助けられた訳ではない。私はそんなに柔じゃない。

 

「………色々とあって、一つ貸しができてな。結果は邪魔が入ったせいで不成立だ」

 

「綾斗と決闘したのか?それはおかしい。綾斗と闘って、リースフェルトが無事な訳がない」

 

 無言で目を向ける。常に眠たげな表情をしているというのに、どうしてか今はその瞳に真面目な輝きを宿している。それだけ幼馴染の実力を信じているのか。

 

「ほぅ?」

 

「リースフェルトは強い。けど、せいぜい私と同程度。それじゃ綾斗に勝てない」

 

 

 

 

 

 ーーーーーー面白い冗談だ。

 

 

 

 

 

〈side沙々宮紗夜〉

 

 昔から私は、はっきり言って呑気な方だった。綾斗からマイペースと言われたことだって何度もある。学園都市“アスタリスク”の高校に入学しても、まるで変わらなかった。

 

「おい、お前」

 

「………………………私?」

 

「お前以外の誰がいる。昼時だというのに、握り飯の一つも持たずにフラフラしおって………食堂はこっちだ。一緒に行ってやる」

 

 そんな私を見かねて、リースフェルトが声を掛けてきた。それから色々と気を使ってくれている。確かに一緒に遊んだりとかはしてないけど、並んで登校してご飯も一緒に食べる機会も多くて、私が寝過ごす授業のノートを見せて貰うついでにリースフェルトの部屋に泊まったことだってある。

 

 

 

『私が友人として見ているのは、後にも先にも一人だけだ』

 

 

 

 それが私じゃないのは、すぐに分かった。さっきの女狐はともかく、私が友人じゃないと言われたのは………少しショックで………気に入らない。確かに付き合いはまだ短いかもしれないけど、そんなはっきり友達じゃないとか言われたくない。

 

 だからーーー慣れていないけど、挑発する。私はリースフェルトと対等だと。その実力があるのだと。

 

「私はペットと戯れ合うのは好きだが、手を噛まれるのは割と嫌いでな。先の決闘で天霧綾斗の全力を見たとは思っていないが………私とお前が同程度?自惚れも大概にしておけ。身を滅ぼすぞ」

 

 見下される。悲しいことに未だに成長期が来ていないせいでの身長差もあるけど、どう考えてもそれだけじゃない。

 

 リースフェルトの視線は、彼女に普段から絡む筋肉達磨に向ける視線と同じ。私を圧倒的に下の立場だと決めつけている。

 

「なぁ、沙々宮。お前が弱くないのは分かってる………以前、お前は自らの父親の事も話してくれたからな。所有する数々の銃火器と、それらの巫山戯た火力。そういった複数の武装を十全に扱うだけの知識も、腕もある。その気になれば《冒頭の十二人》にも訳なく迫るだろうさ」

 

 リースフェルトが膝を折る。まるで駄々を捏ねる子供に向けるように、優しい目をして言い聞かせてくる。

 

「だが、それだけだ。装備以上の火力を持ち得ない上に、その火力だって私に劣る。何を思って噛みついてきたか知らないがな、沙々宮」

 

 

 

 

 

       「お前は私に勝てないよ」

 

 

 

 

 

 思わず唇を噛んだ。そう。リースフェルトが、そっちがその気なら………その考えを改めないのなら。

 

「私にも考えがある」

 

 銃を抜いて、校章に手を添える。決闘を挑もうする私を、引き止める素振りさえ見せない。余裕の現れだと見て取れる。

 

 悔しさを吐き出すように、リースフェルトから一応は覚えておけと叩き込まれた決闘の口上を述べようとして。

 

 それより先に、リースフェルトの視界の外から何本かの矢が彼女に飛来した。

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