メダロットSAGA   作:正気山脈

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「アー、アー……マイクテスト、マイクテスト……聞こえてるかなぁ?」

 真っ暗で何も見えない部屋の中。
 高く澄んだ可愛らしい声が室内に響き、トントンという指で叩く音が次いで聞こえる。
 そして暗闇の中で二つの影が頷き合うと、徐々に照明が灯っていく。

「じゃあ配信始めちゃうよ!」

 明るくなった部屋の中には、フリルが付いたピンク色のドレスのようなコスプレ衣装を纏う紫色の髪の可愛らしい小柄な少女がいた。
 さらに壁や天井はハートマークや星で彩られており、内装も星型の窓やフリフリの白いカーテンなどファンシーなもので飾られている。
 彼女はパソコンの前で両手を振り、明るくにっこりと笑いながら挨拶を始めた。

「みんなぁ、こんメダ~! 初見さんははじメダぁ~! メダライブ所属の魔法美少女系M-Tuber! ロボトル大好きみんなのアイドル! まじかる☆ジャノメだよぉ~!」

 そう言って手を振る彼女の傍らにいるもうひとつの影の正体は、メダロットだった。
 名は『MDT-FSL-01 ファンシーエール』で、ツインテールが可愛らしい魔女っ子型ながらロボトルでは非常に攻撃的な武器を使用するメダロットである。また、カラーリングは本来ピンク系なのだが、ジャノメ仕様として紫色に変更されている。
 配信者のジャノメはそのファンシーエールと共に、画面に流れてくるコメントを黙読していく。

「今『美はいらないだろ』『自分で言うな』『アイタタタ』とかコメントした子は絶対許さないからな~? 真剣ロボトルでパーツひん剥いちゃうからな~?」

 脅しつけるような物騒な事を言いながら手をわきわきとさせ、ジャノメは歯を見せて笑う。
 しかしすぐに気を取り直して、話題を切り替えた。

「さて! 実はね、今日はおでかけしてたらとっても良いもの見つけちゃったので紹介しちゃいます! こちら、じゃじゃん!」

 ジャノメが相棒のファンシーエールに向かってカメラを向けると、その機械の手の中にメダルがあるのが見える。
 刻印されているのは、小さな蛇の姿だ。

「はいっ、メダルだね! これはヘビメダル! 発売前の発表でヘ・ビーメダルなんてよく分からない誤植をされたせいでイジられてたけど、実はとっても楽しいメダルなんだよ!」

 そう言ってジャノメがパソコンを操作すると、画面上にテロップが表示された。
 内容は『メダルのスタイル・得意分野・脚部適性』というもので、ヘビメダルだけでなくカブトメダルやクワガタメダル、その他一部のメダルの紹介と共に、それぞれの情報が列挙されている。

「メダルごとに得意な技や適応する脚部が分かれてるのはみんな知ってるよね! ロボトルで扱える主要な六つのスキルの内、この子は射撃・補助・設置のスキルが得意なんだ! 得意な脚部パーツは七種類の内、多脚・車両・飛行の三つだよ!」

 言いながらジャノメはマウスカーソルを動かす事でヘビメダルの得意なものについて示す。
 そして今度は、スタイルに関して触れていく。

「それからスタイル! これも六つにカテゴライズされてて、パーツの性能に影響が出たりするよ! この子はガードタイプ、防御能力が強くなるよ! さらにさらにメダルが成長すればその防御力もより高くなるんだ! ちなみに、スタイルはメダルの真ん中にある石……コアの色で判別できるよ!」

 ヘビメダル中央にあるの青い石を指で差して、ジャノメは言う。

「さてさてみなさんお待ちかね! こちらのヘビメダルちゃんで、私流のカスタマイズをお見せしちゃいま~す! まずはね――」

 部屋の中に女型ティンペットを呼び出し、ファンシーエールにも手伝って貰いながら、画面内のジャノメはメダロットを組み立て始めるのであった。


FIGHT.02[公園の乱]

「ん~……」

 

 瞼を擦り、目を開く。

 視界には白い天井が広がり、身を起こせばそこは普段とは違う部屋。自宅ではなく、寮室だ。

 自分は今、メダリオン学園の学生寮にいる。それを再認識し、アスカは大きく伸びをした。

 

『よう! よく寝てたな!』

 

 そんな声が室内のパソコンを置いてある机の方から聞こえ、アスカはベッドから降りるとそちらに向かって歩き出す。

 机にあるのは、白い腕時計型デバイス、メダロッチ。声はそこから聞こえてきたのだ。

 

「うん、おはよ」

 

 やや寝ぼけ眼ながらも、アスカはメダロッチに向かって微笑みかける。

 このメダロッチの中に入っているのは、()()()()()()()()()()なのだ。

 

 

 

 ――時は、ローンビートルと共に戦って白衣の男を助けた後に遡る。

 強盗たちから『博士』と呼ばれていた男は、そのカブトメダルとパートナーになる事をアスカに持ちかけ、詳しい話をするためにファミレスに立ち寄っていた。

 そして奥まった席で、男は改めて頭を下げて自己紹介を行う。

 

「私の名は逢留(アウル) ヒロシ、メダテックに所属する科学者だ」

 

 メダテック。

 メダロットを開発・生産する巨大企業であり、メダロットに関わる数多くの業務に携わっている。本社は日本で、海外にも数多くの支社が存在する。また、メダリオン学園の出資者でもある。

 製品やシステムの生産・研究・開発・管理・マーケティングだけではなく、ロボトル協会のレフェリーや衛星、メダロット犯罪対策治安維持警備組織であるS.E.L.E.C.T.などと連携してロボトルやメダロッター・メダロットの違反行為と犯罪行為への監視と対策も行う。

 そのメダテックの研究者の中でも特に有名なのが逢留 ヒロシで、メダルの量産やメダロットの開発において中心的な活動を行った、まさにメダロット界の権威だ。

 

「あなたが逢留博士!? 雑誌インタビューとかで顔写真がなかったから、全然分かんなかった……」

「そういうメディアに名を売るのはどうも好きになれんのでね。それで、君は?」

「あ、はい。俺は日晴 アスカ、4月にメダリオン学園中等部に入学する予定です」

「ホウ。それは数奇な……いや、とりあえず本題に入ろう」

 

 店員が持って来た飲み物を二人とも受け取り、一度口に含んだ後、ヒロシは話し始めた。

 

「君が使ったあのローンビートルは、想像の通り発売予定の新商品。施設での運用試験を重ねて、そろそろ最終段階に入るところだ。一度持ち帰って、テスターを募集しようと思っていた」

「テスター……つまり、実際にパーツを使ったメダロッターからの声を聞きたいと?」

「そういう事だ。プロを雇っても良いが、エントリーモデルという事もあるしやはり本来のターゲット層から意見を聞かなくては参考にならん。そこで、私はメダリオン学園の生徒たちから希望者を募ろうと考えた」

 

 ヒロシの話をアスカは黙って聞いていたが、その途中で突如としてメダロッチから声が響く。

 

『おい!? じーさん、その話オレは初耳だぞ!』

「帰った後で説明するつもりだった」

『ったく、勘弁してくれよ! 軟弱なヤツになんかついていく気はないんだからな!』

 

 今はメダロッチの中のメダルなのだが、アスカにはふんぞり返る姿が目に見えるようで、どこか可笑しくなって吹き出してしまう。

 そんな様子を眺めつつ、ヒロシは話の続きを始めた。

 

「このカブトメダルは、幼い頃からの友人から譲り受けたものなんだが……この通り、なかなかの頑固者なメダルでな。今は研究所で預かっているが、あまり人に心を開いてくれない。真面目に指示を聞いたのも、私以外では君が初めてだ」

「そうだったんですか……」

「だがいつかは施設の外の世界の事も知って欲しいと思っていた。これは転機だ。私にとってというのではなく、彼の……そして、恐らくは君にとっても。だろう?」

 

 指摘され、アスカは言葉を詰まらせる。

 実際のところ彼にとって魅力的な提案ではあった。探し求めて見つけられなかったカブトメダルだけでなく、新型のKBT型メダロットを許可を得た上で手に入れる事ができるのだから。

 だが同時に、自分にテスターなど務まるのか、という疑問も湧いた。

 

「本当に良いんですか? だって俺、ちゃんとしたロボトルは今回が初めてですよ? それに、俺だけ最新メダロットを使うっていうのもなんだかズルい気がします」

「他ならぬ彼が君を気に入っている。しかし君自身が納得できないというのなら、そうだな……試練を与えよう」

 

 そう言うと、ドリンクを飲みながらヒロシは条件を提示する。

 

「学園入学から5月までの間に、10人のメダロッターと真剣ロボトルを行ってくれ。勝敗は問わない」

「約一ヶ月で10人、ですか」

「それで十分なデータが集まる。もし条件をクリアできれば、メダルとティンペット、ローンビートルのパーツ一式を君に譲ろう。できなければ申し訳ないが返して貰う。良いね?」

 

 非公式な試合と違って、記録の残る真剣ロボトルでは互いのパーツを賭けた勝負となる。

 無論、ローンビートルのパーツも賭けの対象。そしてパーツが奪われたらテストにならない。勝敗は問わないと言いつつ、負けられない戦いになるだろう。

 逆に言えば、10戦勝ち続ければアスカ自身のロボトル経験を積む事ができるし、何よりローンビートルだけでなく対戦相手のパーツが手に入る。

 それならば、とアスカは力強く頷いた。

 

「分かりました! 俺、頑張ります!」

 

 

 

 そして、現在。既に近くの部屋の寮生にも挨拶を済ませて、待ちに待った入学式当日。

 アスカはカーテンを開けて大きく伸びをし、メダロッチを装着する。

 

「ようやく中学生活が始まるねぇ、フリント」

『早速ロボトル相手を探しに行こうぜ!』

 

 名を呼ばれたメダロッチの中のカブトメダル、フリントは至極楽しそうに返す。

 ロボトルに逸るフリントに苦笑しつつ、アスカは頭を振った。

 

「それは入学式が終わってからだよ」

『じゃあさっさと行ってさっさと終わらせようぜ! こちとら今日が来るのをずっと楽しみに待ってたんだからよぉ!』

「あはは。決まった時間に始まって決まった時間に終わるんだから、早くに行ったって意味ないよ。焦らなくたってロボトルはできるんだからさ。でもまぁ」

 

 フリントからは文句が聞こえるが、アスカはそれを笑って受け流し、窓の外に目をやる。

 暖かい日差しと満開の桜の花が、式に向かう学生たちに祝福を送っているようであった。

 

「楽しみなのは俺も同じだけどね」

 

 楽しそうにそう言うと、アスカは弾むような足取りで寮室から外に出ていく。

 すると、隣からも扉を開く音が聞こえた。

 目をやれば、そこには年頃は同じだがアスカよりやや身長の高い碧眼の少年がいる。黒い髪に赤のインナーカラーが入っているのが印象的だ。

 視線が合うと、少年はニカッと笑って片手を振る。

 

「ういっす! そっちも起きたか!」

『お、隣の部屋の。名前は確か……えーっと……』

 

 フリントが名を思い出そうとするが、なかなか出て来ない。

 呆れた様子で、少年は自ら名乗りだした。

 

狩兼(カリガネ) ホムラ、隣の部屋なんだから覚えといてくれよな」

 

 その少年、ホムラはアスカが入寮したのと同じ日に来た新入生である。隣室という事もあって帰ってすぐに出会って話し、意気投合したのだ。

 

「大丈夫、俺は覚えてるよ狩兼」

「サンキュー日晴! メシ行こうぜ!」

 

 アスカの背をバシバシと叩きつつそう言うと、ホムラは彼の隣に並んで食堂へと降りていく。

 そうして向かい合う形でテーブルにつき、他の生徒たちと同じように朝食を摂り始める。味噌汁や白米、サバの味噌煮などを食べ進めていると、ホムラが話しかけて来た。

 

「なぁ日晴、昨日アレ見たか?」

「アレ?」

「ほら、ジャノメの配信だよ」

 

 あぁ、と思い出したようにアスカが頷く。

 

「見た見た、解説が思ったよりしっかりしてて良かった。動画配信ってあんまり興味なかったけど、案外面白いね」

「だろ! ロボトル大会の実績も残してる人だからよー、結構参考になるよな! しかも可愛い!」

 

 だらしない笑みを見せながら、ホムラは嬉しそうに熱弁する。

 直後、彼の左腕にあるオレンジ色のメダロッチから声が聞こえて来た。

 

『ホムラ、鼻の下が伸びているぞ』

「んぐっ……うっせーよバレット! い、良いだろ別に!」

「あはは。そういえばさ、あのファンシーエールって紫色だったね? 機体カラーの変更ってどうやるの?」

「メダロッチから設定できる。便利だぞこれ、パーツに内蔵されてる……ナノマシンだっけ、塗料を使わなくてもそれが自動で色を変えてくれるんだ。頭部の色に合わせたり、パーツ変更前のカラーリングに自動で彩色する事もできるんだぜ」

「へぇー、後で確認してみよう」

 

 そんな会話をしながら朝食を終え、歯磨きや制服の着用と学生鞄の用意など諸々の準備も完了したところで、二人は共に寮を出る。

 メダリオン学園の学生服は、男子なら白いブラウスの上に赤いブレザー、学年別の色のネクタイを締め、グレーのズボンを着用。女子の場合は白いブラウスと赤色のジャンパースカート、同じく学年ごとに分けられた色ののリボンタイを結ぶ。

 アスカとホムラはそれぞれの相棒も交えて話しながら、通学路を歩いていた。

 

「へぇ、日晴ってサッカーやってたのか」

「小学校の部活でね。受験勉強してた頃も、気分転換したい時はシュート練習とか走り込みとかやってた」

『ではどうしてメダリオン学園に? サッカーを続ける人生もあったのでは?』

「それは……」

 

 バレットからの質問に言葉を詰まらせるアスカ。ホムラもバレットも、フリントも俯く彼を訝しむ。

 直後にアスカは首を左右に振り、小さく顔を上げた。

 

「色々あってね……あぁ、見えてきたよ」

 

 そう言いながらアスカが指を差した先にあるのは、メダリオン学園の校舎だ。

 真っ白な六角柱型の建造物が六つ配置され、さらにそれらを繋いで六角形を描くように廊下が配置されており、中央部は中庭という特徴的な作りだ。運動場は校舎から少し離れた場所にあり、これも六角形になっている。

 

「おー、やっぱでっけぇし広いな!」

「これからあの校舎で、俺たちの学園生活が始まるんだな……」

「早く行こうぜ!」

 

 ホムラは楽しそうにはしゃぎつつ、アスカの肩に腕を絡ませて共に走っていく。

 

 こうして二人は六つの建物の内のひとつである体育館に向かって入学式に向かい、学長らの挨拶などを経て予め指定された自分たちの教室に移動。

 アスカとホムラは互いが偶然に同じ1-3になった事を喜びつつ、担任の教師からの今後の説明を聞き、この日はそれで下校という流れになった。

 

「では皆さん、気を付けて帰って下さいね。最近は不審人物の出没や野良メダロットも確認されていますから」

 

 1-3を担当する黒のストレートなロングヘアーが魅力的な女教師、翡翠(カワセミ) キリエは、エメラルドグリーンの瞳で見つめつつ薄く微笑みながら生徒たちに呼びかける。

 スレンダーな体型で柔和な表情の麗しい女性という事もあって、ホムラを始め男子生徒の多くは元気よく「はい!」と返事をしていた。

 

「でもまぁ、いざって時はセレクトが助けてくれるから安心だよな!」

 

 笑いながら、クラスの男子生徒の一人が言う。

 S.E.L.E.C.T.の仕事は、メダロットに関連した事件の対処やメダテックのような施設の警備などを行い、市民の安全を守ること。それ故、人々からの信頼は厚いのだ。

 事実、アスカと逢留が強盗の魔の手に襲われそうになった時も助けられている。

 そんな気楽な発言が聞こえると、キリエは人差し指を立ててくすりと微笑む。

 

「セレクトの方々も、通報を受けてすぐに駆けつけられるとは限りません。だからくれぐれも危険な場所に近づかないように、先生との約束ですよ?」

『はい!』

 

 再び元気の良い返事をして、生徒たちは教室を去っていく。

 そしてアスカとホムラも外を目指して歩き出す。

 

「いやぁ、あんな美人が担任でホントにラッキーだな! 美人が同じ教室にいるってだけで気分は幸せになるしよー、毎日が楽しくなっちまうぜ!」

「大袈裟だなぁ、言ってる事は分かるけどさ」

 

 楽しそうに笑いながら談笑する二人。すると、アスカのメダロッチからフリントの声が聞こえて来る。

 

『おいもう式は終わったんだろ!? ロボトルだロボトル! 体が疼いて仕方ねぇよ!』

「あはは、分かった分かった」

「お前の相方、メダルなのに血の気が多いヤツだなぁ。とりあえず公園で対戦相手探しに行こうぜ」

 

 アスカは頷き、浮き立ちそうな心を抑えながら早速学校の近場にある公園に向かう。

 

※ ※ ※ ※ ※

 

 二人が向かった場所は、サイオウ自然公園。

 草木の生い茂る広い公園で、ランニングしたりスケートボードで遊ぶ子供たちもチラホラと見受けられる。

 また、現在アスカたちのいる入口には中央に大きな三つの噴水池があり、そこで二人の小学生の男の子が潜水タイプの脚部のメダロットと車両型メダロットが対戦していた。

 

「やってるやってる」

「『MDT-SAK-00 ユイチイタン』と『MDT-BEE-00 プロポリス』だね。プロポリスの右腕は『MDT-BMT-00 タンクソルジャー』のバルカンだ」

 

 サメ型のユイチイタンは、噴水の中から右腕だけを出して、鮫の牙の形をした重力エネルギーの塊を放って攻撃。プロポリスはそれを、空中で旋回したり上下を飛び回りながら避け続ける。

 プロポリスが狙いをつけようとすればユイチイタンが水面下に隠れ、噴水から勢い良く水が出ると同時に跳躍して飛沫を撒き散らしながら、別の噴水に身を隠す。

 そして水飛沫で視界が妨げれらている間に再び重力塊を発し、蜂のメダロットを追い詰めんとする。

 だがそれでも倒れず、プロポリスは右腕の照準をユイチイタンに定めた。

 

「こりゃ勝負アリか。タンクソルジャーの右腕はアンチシー効果の武器、潜水脚部のメダロットにゃ大ダメージだ」

「いや、まだだよ」

 

 ホムラの言葉にアスカが首を左右に振る。

 そしてプロポリスが右腕から銃弾を放とうとした、その時。

 ユイチイタンの()()が水面から現れ、その弾丸を全て凍らせて無力化してしまう。

 見ればその腕はユイチイタンのものではなく、ドライヤーの噴気口のようなものが付いた、別のメダロットのパーツだった。

 

「アレは!?」

「『MDT-PEN-02 テッペン』の左腕、マケレルシールドの射撃ガード効果! さっき跳んだ時にチラッと見えたんだ!」

 

 作戦が失敗に終わった事でプロポリス側は動揺し、そのままユイチイタンの重力(ブレイク)攻撃が直撃。落下の衝撃で全身の装甲が大破し、敗北となる。

 負けた方の子供は残念そうに肩を落とすものの、すぐに気を取り直してもう一度同じ男の子にロボトルを挑んでいた。

 それを微笑みながらアスカが見守っていると、ホムラが興味深そうに頷く。

 

「なるほどな。ロボトルが始まった時に射撃ガードがあるのは分かってただろうが、プロポリスの左腕のがむしゃら攻撃も潜水されてちゃ当てづらい」

「ユイチイタン側が地の利を活かしてるところが大きいね。跳躍の時に接近できれば、格闘攻撃で防御不能になるバグ症状を与える事ができただろうけど……」

 

 実際には飛沫で阻まれてしまっていた。

 まだ小学生なのに中々戦略的な事をするものだと二人とも感心しつつ、またフリントが騒ぎ立てない内に対戦相手を探し始める。

 すると。

 

「いい加減にしてよあなたたち!」

 

 突然、別の広場から少女の怒声がアスカたちの耳に響いて来た。

 

「な、なんだ?」

「行ってみよう!」

『まさかロボトルか!?』

 

 アスカの言葉にホムラが首肯し、フリントが期待に満ちた声を発する。

 そして急いで大型遊具と砂場のある現場に駆けつけてみると、そこには二人と同じメダリオン学園の制服を着ている三人の生徒たちがいた。ネクタイの色から、全員が同じく新入生である事も分かった。

 男子生徒が二人、女子生徒が一人。その空気はどこか剣呑で、声を上げたのは女子の方だ。

 腰まで伸びたライトブラウンの髪に、細い眉と長い睫毛に深い青の瞳、きめ細かく健康的な肌。身長は高く、アスカは156cmでホムラが160cmほどだが、彼らよりさらに大きい165cmだ。

 凛とした表情で薄紅色の唇を引き結び、まっすぐ目の前の少年たちに対峙している。

 

「ねぇ、何があったの?」

 

 アスカはそんな雰囲気の中に介入し、話を聞き出そうと動く。

 すると助け舟が来たと思ってか、少女はすぐ事情を話し出した。

 

「この二人、断ってるのにしつこく真剣ロボトルしろって言ってくるの! パーツを売って小遣い稼ぎしたいからって! 私は最近メダロット始めたばかりでパーツ全然持ってないから、取られたくないの!」

「……君たちは? 今の話は本当?」

 

 男子生徒たちにアスカが尋ねると、その二人はニヤリと笑う。

 

「オイラは橋太(ハシブト) キイチ、こっちは宮間(ミヤマ) ケンスケだ」

「話は本当さ、でも別に真剣ロボトルしたいって言ってるだけだろ? 俺たちは二対一でやるって言ってるワケでもないんだしよ」

「それにパーツを勝ち取って金に変えるのだって、メダロッターの間では普通の事だ。悪い事をしてるつもりはない」

 

 ケンスケと呼ばれた黒いツーブロックヘアーの細身の少年と、ニット帽を被ったガッシリとした体格のキイチ少年が順番に言った。

 そのニヤついた表情が気に食わなかったのか、ホムラは眉根を寄せてズイッと一歩前に出て来る。

 

「本人が嫌がってんだ、諦めて別の相手を探せば良い話だろ」

「ケッ! ロボトルするためにメダリオン学園に入学したくせに、挑まれた勝負から逃げんのか?」

「わざわざ真剣ロボトルをやる必要はねぇって話だ。対戦を強要してパーツを巻き上げるってのは、ちょいとマナーがなってねぇんじゃねぇか」

「ふざけた言いがかりだな! それじゃいつまでもロボトルできないままだろ、俺たちは鍛えてやってるんだ」

 

 今度はアスカがムッと表情を強張らせ、少女を下がらせてホムラの隣に並んだ。

 

「鍛えてやってる、って……君たちは別にロボトルの先生でもコーチでもないだろ。そういう物言いこそふざけてる」

「そんな理屈はどうでもいい。文句があるならどうすれば良いか、メダロッターなら分かるはずだ」

 

 そう言ったのはキイチの方で、それに便乗する形でケンスケもニヤリと笑ってメダロッチを構える。

 代わりにロボトルをしろと言う事だ。アスカとホムラは双方とも彼らの意思表示に応えようとするも、そこで待ったをかける者がいた。

 

『てめーら、オレ抜きで勝手に話進めんな! ロボトルすんのはこのオレだァーッ!』

「フリント!?」

『手ェ出すなよバレット! こいつらはオレ一人でやる!』

『ほう。ならばお手並み拝見と行こうか』

「ちょ、ちょっと!? 二人こそなんで勝手に話を進めてるの!?」

 

 急な事態に戸惑うアスカ。ホムラも、バレットがロボトルを譲ると勝手に言い出したので目を剥く。

 さらに、フリントの言葉を挑発と捉えたようで、ケンスケは額に青筋を立ててわなわなと拳を震わせていた。

 

「ナメやがって……おい、お前は下がってろ! こいつ一人の相手なら俺だけでやってやる!」

「分かった。油断するなよケンスケ」

 

 ニット帽の方は彼の発言に従い、臨戦態勢を解く。

 まさしく一触即発。そんな空気を切り裂くように、突然声が下から響いて来た。

 

「合意と見てよろしいですね!?」

 

 直後、彼らのいる歩道の近くにあるマンホールの蓋が開き、中から白いワイシャツと赤い蝶ネクタイに黒いズボンというレフェリー姿の若い青髪の女性が姿を現す。

 一瞬その豊かな胸がつっかえるものの、女性はすぐに穴の中から出て来て、蓋を閉め直した。

 彼女の姿を見て、アスカと少女は狼狽する。

 

「え!? な、なに!? 噂の不審者!?」

「失礼な、違いますよ! (わたくし)はこの地区を担当するメダテック及びロボトル協会公認レフェリーの一人、Ms.(ミス)オオルリと申します! 真剣ロボトルの申請を確認したのでこうして参上しました!」

「あ、あぁ……ビックリした。いや、でもなんでマンホールから」

「むむ! どうやらそちらの日晴 アスカ選手、真剣ロボトルは初めての御様子! では簡単にルールを説明させて頂きます!」

 

 オオルリは彼の疑問をさらりとスルーし、コホンと咳払いをしてから解説を始めた。

 

「今回のロボトルレギュレーションはノーマルロボトル! マスター一人につき三体までメダロットを扱えるルールとなります! 試合中のパーツ・メダル・ティンペットの交換は不可、30分の制限時間までにリーダー機の機能を停止させるか、レフェリーの判定によって勝敗が決定されます! 勝者は敗者のパーツを奪う事ができます! よろしければ双方、戦闘するメダロットの提出を!」

 

 レフェリーである彼女に言われ、アスカとケンスケはメダロッチを操作する。

 

「絶対負けない! 行くよ、フリント!」

「お前も初心者とはなぁ、それで偉そうな口を叩くとはお笑いだぜ! だったら一機だけで十分だ! 痛めつけてやれ、ヴァヴァ!」

 

 対戦相手のケンスケの前に現れたのは、両腕にライフルを装備する青いイヌ型のメダロットだ。さらに彼は、表面に小さなイヌの横顔が刻印されたメダル『ドッグメダル』を手に取り、メダロットの背に装着。

 その機体を見ると、アスカは「おおっ」と声を上げた。

 

「アレは『MDT-DOG-01 ブルースドッグ』! メダテックの主力商品のひとつであるDOGシリーズのひとつだ、安価ながらもシアンドッグと同様初心者でも扱いやすいパーツ構成が人気で」

「今はそんな話をしてる場合じゃねぇだろアスカ!」

「あっ……そ、そうだった!」

 

 気を取り直し、アスカは呼び出したローンビートルの背にカブトメダルをセットし、準備を終える。

 ガンマン風のKBT型という今までに見た事もない機体に、アスカとフリント、そしてオオルリ以外の全員が驚いていた。

 

「なんだ!? 新型か!? なんでそんなもん持ってやがる、良いのかレフェリー!?」

「はい、問題ありません。逢留博士から彼が新型機のテスターであるという報告と証明書も受理していますので」

「……ヘッ、良い響きじゃねぇか新型パーツ。素人には勿体ない、俺が貰ってやる!」

「準備完了を確認! これより、日晴 アスカ選手とフリント選手、宮間 ケンスケ選手とヴァヴァ選手の真剣ロボトルを執り行います!」

 

 メダロットであるフリントとヴァヴァ、メダロッターのアスカとケンスケ。双方が睨み合い、身構える。

 

「それでは! ロボトル――ファイトォーッ!!」

 

 そしてオオルリの合図と同時に、カブトとイヌのメダロットが動いた。

 フリントは接近、しかしヴァヴァは逆に遠ざかるように疾走する。

 

「フリント、まずはラピッドバルカンで牽制!」

「分かってらぁ!」

《充填完了》

 

 追って走りながら左腕を突き出し、発砲するフリント。

 しかし、ヴァヴァは脚部・左腕に被弾しつつもそのまま素早くジャングルジムに回り込む。

 するとその鉄骨が遮蔽となり、続く銃撃を弾いてしまった。

 

「なに!?」

「防壁代わりに!?」

 

 これでは攻撃を通しにくい。

 唖然としていると、その様子を嘲笑うようにケンスケが鼻を鳴らした。

 

「やっぱお前ド素人だわ。ロボトルってのはな、フィールドや相手の状況も見ながら相棒に指示を出すものなんだ。自分も動かないでどうやって戦況分析する気だ!?」

「あ……!」

「ヴァヴァ! 狙い撃ちを食らわせてやれ!」

《バトルライフル、充填完了》

「敗北の味を噛みしめろ、身の程知らずの未熟者め」

 

 渋い声色でヴァヴァがそう告げると左腕の銃口が火を噴き、ジャングルジムの隙間を通って向う側にあるフリントの左肩のアーマーを貫く。

 そして中度ダメージの警告音がメダロッチから発せられ、アスカは苦しげに目を細めた。

 彼らのロボトルを眺める女子生徒は、驚いた様子で声を上げる。

 

「なんで!? 向こうの弾は当たってるよ!」

「狙い撃ちだからってのもあるだろうが……それ以上に、マスターとメダロット両方のレベル差がモロに出てるな」

 

 ――メダロットたちの頭脳たるメダルは、六角形の薄い金属のようでありながら高度な演算機能と知性を持っており、経験を通じて学習し『成長』を果たす。

 パーツの機能だけでなく、そういったメダル自身の成長の度合いも、攻撃の命中精度や威力、充填・冷却効率の向上に繋がる大事な要素なのだ。

 現実にフリントとヴァヴァの実力の隔たりが、戦闘経験の有無による変化を明白に示している。

 

「なんとかしねぇとマジで負けちまうぞ……日晴、フリント!」

 

 ジャングルジムを挟んで戦う二機の様子を見守りながら、ホムラが呟く。

 戦闘の形勢はケンスケ・ヴァヴァ側に傾きつつあった。素早く精確な射撃で着実にダメージを与え、回り込んで攻撃しようとすれば自分もジャングルジムを離れないよう動いて隙を見せない。

 このままでは機能停止しなかったとしても、時間切れで確実に判定負けになるだろう。

 

《左腕パーツ、ダメージゲージ残り10%》

「野郎、さっきから左腕ばっかり……! アスカ! 何か作戦ねぇのか!」

「大丈夫、フリント。今思いついた」

「おっしゃ! 聞かせろ!」

 

 声を潜め、フリントへ指示を送るアスカ。

 ケンスケは彼らの苦戦ぶりに愉快そうな声を上げ、同じくヴァヴァへメダロッチ越しに命令を下す。

 

「何を考えてるのか知らねぇが、このままダメ押しさせて貰う! やれヴァヴァ!」

「了解した、マイマスター」

《エイムライフル、充填完了》

 

 ヴァヴァがローンビートルの左腕を狙う。瞬間、フリントは再び回り込むように走り出した。

 

《ビリーザハット、充填完了》

「そう簡単にやらせるかよ」

 

 同時に角の砲口から二連装ミサイルが発射され、ジャングルジムを飛び越えるように上からヴァヴァへと襲いかかっていく。

 全パーツに被害を負わせる破壊力の高い一撃。しかし、ケンスケたちには少しも焦った様子がない。

 

「それはこっちのセリフだぜ! 俺たちがKBT型のミサイル攻撃を警戒してないと思ったか!」

 

 ヴァヴァは走りながらライフルの照準を空のミサイルに向け、発砲。銃弾は容易くミサイルを破壊する。

 その爆風でパーツに軽微なダメージを追うものの、ヴァヴァはパーツの破損なしでその場を切り抜けた。

 そして武装冷却中の内に、向かい側にいるであろうフリントに狙いを定めようとした、その時。

 

「うおおおおお!!」

「なっ!?」

 

 双方のパーツの冷却がほぼ同時に終わり、フリントがヴァヴァに立ち塞がる形で突撃して来た。

 急な状況の変化にケンスケは目を白黒させるが、観戦していたホムラは納得した様子で頷いている。

 

「ミサイルは視線誘導のために使ったのか。向こうも()()()()()()()()()()()、警戒して絶対に見ちまう……悪くない手じゃねぇか」

 

 アスカはニッと笑い、フリントへ攻撃の指示を出す。

 一方、ケンスケ陣営は奇襲によって判断が遅れてしまい、反撃行動も一手遅れた。

 

《バスターマグナム、充填完了》

「らぁっ!!」

「ガッ!?」

 

 フリントは右腕の充填が完了すると同時に拳を突き出し、その勢いを乗せて銃弾を放つ。

 その一撃は咄嗟に頭部をかばったヴァヴァの右腕を貫通せしめ、大破させる。

 経験の差を、文字通り腕ずくで補ったのだ。

 

《右腕パーツ重度ダメージ、機能停止。頭部パーツ軽度ダメージ。充填中断、冷却開始》

「や、やばい! ヴァヴァ! 頭部パーツ(ブレストカノン)! 牽制してもう一回距離を取れ!」

「無理だマスター、まだ冷却が……」

 

 狼狽するケンスケとヴァヴァ。その間、既にフリントたちは再び離されないように接近しつつ、次の攻撃行動に移っていた。

 

「オレが身の程知らずな未熟者なら、お前はただのかませ犬だったみてーだなァ?」

《ビリーザハット、充填完了》

BANG(バン)!」

 

 再び炸裂するミサイル弾。接近状態から放たれたそれを止める術はなく、先程のように狙い撃って破壊できたとしても爆風がその身を襲う事になる。

 冷却完了と充填開始のコールがメダロッチから聞こえるが、間に合うはずもない。

 額から汗をにじませながら、ぐるぐると頭の中で思考を巡らせ、焦燥感と敗北を認められない気持ちが混ざり合っていく。

 直後、爆発と共にヴァヴァ(ブルースドッグ)へミサイルが着弾した。

 

《パーツ各部重度ダメージ。頭部パーツ、機能停止》

「あ……」

 

 両膝をついてダウンするヴァヴァの背からドッグメダルが飛び出し、地面に落ちる。

 それを確認して、Ms.オオルリはアスカの方に向かって手を挙げた。

 

「そこまで! アスカ選手&フリント選手の勝利! 勝者には敗者の使用パーツが転送されます! アスカ選手、メダロッチの操作を!」

 

 オオルリに言われてメダロッチを見ると、画面には『パーツ獲得』の文字と四つの方向キーが表示されており、アスカはそのキーをタッチする。

 するとブルースドッグに向かって光線が放出され、左腕のバトルライフルが消失。代わりに、アスカのメダロッチへとそのパーツのデータが送り込まれた。

 メダルを拾ったケンスケは、敗北の現実を受け入れきれずに頭を振る。

 

「う、ウソだ! お、俺が素人に負けるなんて!?」

「ケンスケ……!」

「止めんなよキイチ! 俺は負けてねぇ、負けるわけねぇー!」

 

 ダウンしたブルースドッグを一度転送し直しながらも、アスカたちを睨むケンスケ。フリントはその姿を見て、再び身構える。

 しかしそこで、今度はホムラが間に入った。

 

「認めらんねぇなら次は俺とやるか? どっちが相手でも良いぜ、負ける気はしねぇ」

 

 そう言ってホムラはメダロッチを操作し、自身の扱う機体を転送する。

 現れたのは、頭部がマスケットハットとライオンのタテガミを組み合わせたようになっている、左右の腕に銃器を装備したメダロット。

 これは『MDT-KLN-04 マスケティアード』というメダロットで、KBT型と並ぶ射撃機種、KLNシリーズの機体である。

 

「どうすんだ?」

 

 薄く笑いながら、ホムラは続いてメダロッチからライオンメダルを取り出し、その機体に装填した。

 眼の前の少年と相棒のメダロットから放たれる威圧感。明らかな強者のオーラに、キイチもケンスケも先程の騒ぎを忘れて息を呑む。

 そして、結論を出した二人は。

 

「覚えてろ! この借りはいずれ返してやる!」

 

 そんな捨て台詞を残し、去って行った。

 

「やれやれだな」

 

 肩を竦めるバレット。すると、憤慨したフリントがズカズカと二人の前に出る。

 

「ホムラてめぇ! あいつらはオレの獲物だって言ったろ!」

「慌てんなフリント。あの橋太ってヤツの方にも勝てるとは限らないだろ?」

「オレは負けねぇ!」

「負けるさ。とにもかくにもお前ら実戦経験が少なすぎる、次は簡単には行かねぇ」

 

 ホムラにそう言われると、フリントは何も返せず言葉を詰まらせてしまい、バレットは同意するように腕を組んでうんうんと頷く。

 さらにアスカの方も、小さく息をついて安堵している。手の内を見せた以上、次も確実に勝てる保証はないのだ。

 ともかく今は、一歩前進した喜びを噛み締めよう。そんな思いで、彼は誇るように小さく拳を握る。

 

「ねぇ!」

 

 そうしていると、アスカの背後から呼びかける声が聞こえて来る。

 先程の長身の女子生徒だ。何やらその青い眼を輝かせ、アスカとフリントを見つめている。

 何事だろうと思ってしばらく目を見合わせていると、彼女はアスカの両手を自身の手でグッと包み込み、ブンブンと音が出るほど上下に振り出した。

 

「助けてくれてありがと~! 君たち私と同じ初心者なのにすっごく強いね、感激しちゃった!」

「え、あ、ぅえ?」

「良かったら友達になってくれないかな!? 私、ついこの間寮に来たばっかりだからさ、知ってる子がいないんだよね! 良いかな良いかな!?」

「ちょ、ちょっと待って分かった分かった! とりあえず落ち着いて!?」

 

 身長差も相まって途轍もない勢いで振り回される感覚に驚きつつ、アスカは楽しそうな名も知らない少女に言う。

 言われて彼女はハッと手を離すと、苦笑しながら頭を下げる。

 

「ごめんごめん、自己紹介まだだったよね。私、十々喜(トトキ) メイ! 君たちと同じで新入生!」

「日晴 アスカだよ。よろしく、十々喜さん」

「俺は狩兼 ホムラだ」

「うんうん、日晴くんに狩兼くんね! こっちこそよろしくだよ~!」

「ちょ、うわわわ!?」

 

 再びアスカの手を握りしめて上下に振り回すメイ。

 ホムラはそんな彼女の姿を、まるで人懐っこい元気な大型犬のようだと思いながら眺めるのであった。




メダロット解説コーナー

[機体名]
タンクソルジャー

[型式番号]
MDT-BMT-00

[性別]


[パーツ]
◆頭部:ビクトリーアーマー(治療/妨害クリア/なし/6回)
◆右腕:バルカン(射撃/アンチシー/CF)
◆左腕:ガトリング(射撃/ガトリング/狙い撃ち)
◆脚部:アーマーカー(車両/エイム)

●HV:0/0/0 合計:0/2

[備考]
装甲車をモデルとした車両脚部の機体。
ミリタリー系を好む層が購入したり、警備用としてS.E.L.E.C.T.他多数の組織に配備されたりしている。
左腕のガトリングで逃げる敵を追跡しながら攻撃し、潜水機相手には味方と連携しながら右腕のバルカンで撃ち抜く。
機体に異常が生じた場合は頭部パーツを使用する事で立ち直るなど、優れた対応能力を持つ。

原作の『BMT00 タンクソルジャー』の仕様変更版。
今回は右腕パーツのみプロポリスに使用された。
なお、ゲームにおいて右腕のスキルはガトリングだったが、ここでは漫画版でのユイチイタン撃破の描写からアンチシー、サブスキルにクロスファイアを採用している。
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