東方実況録:実況してるタイプの霊夢と魔理沙が幻想入り   作:鳩胸な鴨

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書きたいものその2。青春に戻ったみたい。


魔理沙はビビり。はっきりわかんだね。

霧雨 魔理沙は、とある動画投稿者の代理実況者の1人である。

投稿者の数だけ世界がある中、そこそこに繁栄を見せる動画チャンネルに住まう彼女は、バチクソに現代人であった。

明日が休みだと分かれば、朝日が昇るまで好き放題して、昼過ぎまで爆睡をかまし。

平日も平日で、やりたいと思ったことをほどほどにやって満足して寝る。

奇抜な名前に反して普通の現代人であった。

 

「………ここどこ?」

 

そんな彼女が、パジャマ姿で森に放逐されている。

虫はもちろん、自生している植物さえも触れない現代人にとっての地獄。

こんなところで爆睡をかました記憶のない魔理沙は、寝起きで回らない頭を無理矢理に働かせた。

 

「えーっと…。

昨日はバックルーム行って実況して、そっから帰って寝たんだっけ…?」

 

海外の物騒なネットミームを、レジャー施設か何かだと思ってるのだろうか。

もし知識のある人間がこの場にいれば、そんなツッコミを入れていたことだろう。

魔理沙は悶々と記憶を探りながら、森の中を歩く。

そんな彼女に、迫る影が一つ。

 

「今日のターゲット、はっけーん!」

 

人の驚きを糧に生きる妖怪、から傘お化けの「多々良小傘」である。

今はそれなりに腹が膨れているが、少しつまみが欲しいと思っていた彼女は、迷いなく魔理沙へと迫る。

寝巻きを纏っているのはおそらく、酔っているからだろう。

この状態の魔理沙ならば、驚かせることは容易なはず。

そう考えた小傘は、出来るだけ音を鳴らさないよう、魔理沙へと近づく。

 

「ひひひっ。来る来る…!私がいるとも知らず…!」

 

実際、彼女の見立てはそれなりには当たっている。

この魔理沙は、現代社会ではあり得ないほどのビビりである。

それこそ、バックルームではビビり散らし、叫び声を上げるだけのリアクション芸人と化していたくらいだ。

普通のホラーゲームですら拒否反応を起こすビビりを驚かせるなど、そこらの子供でも出来ることだろう。

木の上にスタンバイした小傘は、魔理沙がその下を通るタイミングで姿を現した。

 

「うーらーめーしーやー!!」

 

ただ。小傘はあまりにも不運だった。

 

まずターゲットが悪い。

この魔理沙はある動画チャンネルにおいて、ツッコミを担っている。

要するに、フルパワーでボケる相手を、神ですら逆らえぬ暴力で諌める、不条理の化身なのだ。

 

加えて、魔理沙はこういったドッキリ系が大の苦手である。

それこそ、ホラーゲームのタイトル画面が表示される中で、「わっ!」と声を上げただけでも、咆哮とともに怒髪が天を突く。

これにより、彼女の相方である博麗 霊夢が何度か三途の川に死神もびっくりなダイブをかましている。

 

もうお分かりだろう。

魔理沙の堪忍袋の緒を、小傘は根本からバッサリ切り落としたのである。

 

「いぎゃぁあああああっ!?!?」

 

魔理沙が悲鳴と共に、構えを取る。

小傘の知る魔理沙では絶対にしない、拳に力を込める構え。

大地が割れ、空が震え、湖が揺れる。

魔理沙の握る拳が、破壊の矛となる。

確実に死ぬ。

そう確信した小傘の脳裏に、走馬灯が駆け巡った。

 

「わ死ぶごっ!?」

 

その拳が、小傘の顔面を貫く。

瞬間。そこを中心に、光の奔流が巻き起こった。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「………」

 

『楽園の素敵な巫女』こと、博麗 霊夢は困惑していた。

その困惑の理由は、目の前の奇怪な存在。

体型、服装どころか、体にあるほくろに至るまで一致している少女。

 

そんな彼女の頭を、賽銭箱がすっぽり覆っている。

 

どうしてこうなったのだろうか。

何を思えば、賽銭箱が被り物に見えるのか。

霊夢は呆れと困惑をため息に乗せ、少女に声をかけた。

 

「……もっかい確認させて?アンタは別世界の博麗 霊夢で、起きたらウチの賽銭箱にハマってたと」

「うん。3円しか入ってなくてよかった」

「うっさぁああい!!

さっさと抜けろぉおお!!」

「だだだだだだっ!?

首もげる首もげる!!」

 

軽々しく地雷を踏み抜いた彼女に叫び、霊夢は賽銭箱を無理矢理に引っ張る。

それと同時に、少女の首があり得ないほどに伸び、ミチミチと筋を浮かべた。

 

「私はアンタなのよ!?

首もげた自分見たいの、アンタ!?」

「うっさいわ!!

アンタが奇跡的な角度で賽銭箱にすっぽりハマってるのが悪いんでしょうが!!

ってか、どうやってここまですっぽりハマったの!?」

「知らんわ!!起きたらこうなってんだから!!」

 

霊夢と少女…、実況霊夢が叫び散らし、綱引きする珍妙な光景が広がる。

それを前に、神社を守護する狛犬…高麗野 あうんが、同じように困惑に眉を顰めた。

 

「……あの、もう壊した方が早いんじゃ…」

「紫に怒られるわよ!!」

「怒られてもいいから早く出して!

チアノーゼになるから!!」

「なに!?何になるって!?」

「チアノーゼ!!酸素不足!!」

「訳のわからんこと言ってないで、早く抜けなさいよ!!」

「嘘だろこいつ今時の中学生でも知ってること知らねぇぁあだっ!?」

「アンタいい加減シバくわよ!?」

「もうシバいてます」

 

言葉よりも先に手が出ていた。

実のところ、巫女霊夢と実況霊夢とでは、収めた教養に差異があるのだが、そのことに気づいていない2人はぎゃあぎゃあと言いあう。

と。そんな言い合いを遮るように、森から光の柱が立ち上った。

 

「なっ、なに…!?」

「あ、ウチの魔理沙だ」

「は?」

 

自分の知る魔理沙ではない魔理沙が、アレを引き起こしたというのか。

愕然とする巫女霊夢に対し、実況霊夢はなんでも無いように答えた。

 

「ウチの魔理沙が本気で殴ると、あんな感じで光の柱が出るんだよね。

私、アレで126回三途の川にダイブしてるよ」

「アンタもアンタんとこの魔理沙もどうなってんの!?」

「あんなバケモンと同列に扱わないでくれる?迷惑」

「ご、ごめん…。って、どうでもいいわよ!

いいから賽銭箱返せぇええ!!」

「だだだだだだだっ!?!?

だから首もげるっての!!」

「あの、もう壊した方がいいんじゃ…」

 

泣く泣く賽銭箱を破壊することになるまで、後2分。




実況魔理沙…クソビビり常識人枠。ただし暴力装置も兼ねてる。フラストレーションが溜まることで、スーパー野菜人もびっくりなパワーを発揮する。魔法は使えるけど、マスパを除き、「明日着ていく予定の服が思いのほかクソダサくなる魔法」や「2回に一回、炊いた米が水っぽくなる魔法」といった嫌がらせ魔法しか使えない。

実況霊夢…ボケとヨゴレ担当。なんの脈絡もなくゴジラになったり、魔法を使ったりする。使える魔法は「唐突に爆弾が現れる魔法」、「相方に一発芸させる魔法」など、微妙なものばかり。ゲームが天才的に下手なうえ、笑いの神に愛されてるレベルで間が悪い。
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