東方実況録:実況してるタイプの霊夢と魔理沙が幻想入り   作:鳩胸な鴨

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頑丈なんじゃなくてリスポーンが早いだけなんだよ!!

「ぁが、ががが…」

「ごめん。霊夢かと思った」

 

クレーターに沈んだ小傘を魔法で治療しながら、実況魔理沙が頭を下げる。

霊夢=フルパワーで殴っていいと認識しているのだろうか。

小傘は痛みが引くと共に起き上がり、どこか遠くを見つめた。

 

「うん、なんだろ…。

存在ごと消し飛ぶかと思った」

「そんな強く殴ってないけどなぁ」

「あれで!?!?」

 

よくわからん現象を起こすパンチをジャブ感覚で放つな。

流石はギャグ時空にパワー系ツッコミとして生きる女。どこまでも出鱈目である。

小傘はよろよろと立ち上がり、実況魔理沙に掴みかかった。

 

「と、に、か、く!!

わちきが人を驚かせなきゃお腹いっぱいにならない妖怪ってわかってて殴り飛ばしたのはどういう了見だ!!」

「え、そうなん?私んとこ小傘いないし、知らんかった」

「わちきが居ないって何!?!?」

「え?コラボ回じゃないの、今回?」

「こ、こら…、ええい、訳のわからんことばっか言って!こうなったら…」

 

弾幕ごっこ、と言おうとして、小傘はふと止まる。

勝てるのか?弾幕ごっこで。

この理不尽の塊みたいなバケモノに。

そもそもコイツ、まともに弾幕ごっこするか?いきなりフルパワーで殴り飛ばしてきたバーサーカーみたいなやつだぞ?

始まった途端に殴られてもおかしく無い。

自分の行いを棚に上げながら思考を巡らせ、だらだらと冷や汗を流す小傘。

傘の妖怪だというのに、足元に水溜りができている。

小傘の心は、既にぼっきりと折られていた。

 

「……なんでもないです」

「そうか?…ところで、ここは誰のチャンネルの世界だ?」

「ちゃ、チャンネル?何言ってんの?

幻想郷でしょ、普通に」

「………ちょい待ち」

 

実況魔理沙は言うと、懐から携帯を取り出す。

普通に圏外のはずだが、そこは実況者世界出身のシロモノ。

普通に通話できるし、なんならソシャゲもできる。

実況魔理沙は連絡先一覧からある名前をタップし、携帯を耳に当てた。

 

「あ、もしもし?今日ってなんかコラボの予定とか入ってる?

…入ってない?そもそも休み?

ドッキリとかだったらお前の髄液全部豚骨スープにするからな。

おう、おう。ありがと、編集がんば。

…おーい、小傘。ここ幻想郷?」

「そうだって言ってるけど…」

「ふむふむ」

 

魔理沙は頷くと、今度は別の連絡先をタップし、携帯を耳に当て直した。

 

「あ、もしもし紫?お前なんかやった?

…いや、起きたら幻想郷来てて。

……え?えっと、確認していい?

霊夢が寝てる私にイタズラして、バチギレした私が時空に穴開けたと?

んー…。そんな記憶ないんだが…、イタズラの内容は?

…エンティティのコスプレ?あ、これアレか。怖すぎて忘れたやつか。

お前、嘘だったら三ヶ月くらい飯が全部カレーになる魔法かけるからな」

 

そんな幻想入りがあってたまるか。

小傘がそんなツッコミを入れるより早く、通話を終えた実況魔理沙がため息を吐く。

一挙一動が恐ろしい。

ガタガタと震え、スプリンクラーのようにそこらに汗を撒き散らす小傘に、実況魔理沙が口を開いた。

 

「申し訳ないんだけど、人がいるとこに連れてってくんね?ウチのアホ探すから」

「はへ?」

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「全部アンタの自業自得じゃない!!」

「魔理沙の馬鹿力もちょっとは悪いと…」

「アンタがこの世界来たのも!

賽銭箱に頭から突っ込んだのも!

賽銭箱ぶっ壊したのも!

1から100までアンタのアホのせいよ!!」

「アホって言ったー!アホって言った方がアホなんだー!!」

「うっさいわこのダァホ!!」

 

言い合い、掴み合う霊夢2人に、あうんがおろおろと手を右往左往させる。

理詰めで叱りつける巫女霊夢に対し、クソガキのような態度で応戦する実況霊夢。

どこまでも平行線な言い合いに終わりなどくるはずもなく、もはやただの殴り合いと化している。

この光景を実況魔理沙が見たら、「やめろよ。じぶんどうしのあらそいはみにくいものだ」と特徴的な声で2人を仲裁していたことだろう。

埒が開かないと感じた巫女霊夢は指先にカードを顕現させ、実況霊夢に向けた。

 

「こうなったら、弾幕ごっこよ!

アンタのその出来の悪すぎる頭、弾幕でかち割ってやるわ!!」

「ぅぇええっ!?そっちスペカ使えるタイプの霊夢なの!?」

「アンタも私なら使えるでしょうが!!」

「無理無理無理無理無理!!

お前ニワトリに犬産めって言って産めると思うか!?」

「その例えはよくわかんないけど取り敢えず喰らえ封魔針!!」

「ぐほぁっ!?」

 

巫女霊夢が放った針状の弾幕が、実況霊夢にいとも容易く突き刺さる。

どさ、とサボテンのようになった実況霊夢が倒れるのを前に、巫女霊夢とあうんはフリーズした。

 

「…………え?」

「れ、霊夢さん…。どうするんですか、これ…?

マジで弾幕使えなかったんですよ、このポンコツ気味な霊夢さん…」

「……殺しちゃった?」

「これ生きてると思います…?」

 

どう見ても死んでる。

というか、生きていた方が不自然な気がする有様だ。

まさか、本当に弾幕が撃てなかったとは。

困惑と罪悪感が錯綜する中、霊夢が実況霊夢の亡骸を前に手を合わせる。

 

「死んでない、死んでないから。

ちょっとお馴染みの死神に『またお前か帰れ』って叩き返されたとこだから」

「わ゜ーーーーーッ!?!?」

「へぶぉっ!?」

 

思わず蹴ってしまった。

蹴り飛ばされた実況霊夢が、石段を凄まじい勢いで転げ落ちていく。

「覚えてろよー!!」と断末魔をあげる実況霊夢を前に、2人は顔を見合わせた。

 

「……これ、私のせい?」

「100のうち60くらいは」




実況霊夢…頑丈と言うよりリスポーンが早いだけ。人をイラつかせる天才。

実況魔理沙…言った脅し文句は大体できる。
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