東方実況録:実況してるタイプの霊夢と魔理沙が幻想入り   作:鳩胸な鴨

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チタタプチャンネルのグランドろくでなし

「魔理沙。ごめんなさいは?」

「ごめんなさい…」

 

数分後、博麗神社にて。

黒焦げになった巫女霊夢が放つ怒気に、首から下を大地に埋められた普通の魔理沙が顔をしわくちゃにさせ、視線を落とす。

頭を下げているのつもりなのだろうが、少し俯いたようにしか見えない。

巫女霊夢はそれに「ケッ!」と悪態を吐くと、実況魔理沙たちに視線を戻した。

 

「このアホは置いといて、改めて自己紹介といきましょうか。

そっちからお願いね」

「じゃ、私から。

私は別世界から来た霧雨 魔理沙。

とあるチャンネルで実況者として日々ゲームをして生活しているぜ。

そっちの魔理沙と混同するし、実況魔理沙と呼んでくれ」

「おいどんはモンゴボルト・ハクレームでごわす」

 

ふざけて画風まで変えた実況霊夢の顔を、封魔針が掠める。

今、そんな悪ふざけいらねーから。

そう言いたげに顔中に青筋を浮かべた巫女霊夢を前に、実況霊夢は「私は実況霊夢です…」と簡素に自己紹介を済ませる。

 

「その実況…、ってのはなんなの?」

「説明するより見てもらった方が早いな。

ウチの動画シリーズなんだけど…」

「どれどれ…?」

 

言って、魔理沙は携帯を操作し、霊夢たちに再生した動画を見せる。

そこに映っていたのは、圧縮された狂気。

鬱屈した世界観でふざけ散らす様は、虚勢にも見えるし、世界観の狂気に呑まれているようにも見える。

だが、悪くない。むしろ、興味深く思う。

思考力が奪われているとでも言うのだろうか。

「何も考えずに摂取できる娯楽」というものを初めて目の当たりにした霊夢たちに、実況魔理沙が口を開く。

 

「とまぁ、こう言うことをしてるわけだ」

「なんか楽しそうな生き方だなぁ」

「やってみる?死ぬよ?」

「私らは操作キャラと命が同期してる系実況者だからな。

キャラが死ぬと、私らも死ぬ。

2秒後には復活してるけど、もちろん痛覚あるから、ゲームによっては復活した後にしばらく痛みと恐怖でなんも喋れんとかあるぜ。

ほら、このシーンとか、明らか頭から捕食されてるだろ?

私らも同じように死んでるんだぜ?」

「無責任に楽しそうとか言ってすみません」

 

底知れない闇を垣間見た。

闇が渦巻く瞳から目を逸らすように、2人して頭を下げる巫女霊夢と普通魔理沙。

幻想郷では珍しくもない死に方だが、それを何度も体験するとなると話は別。

コイツらノリに反して生き地獄みたいな環境にいるな、と思いつつ、巫女霊夢は実況魔理沙に問いかけた。

 

「んで、帰る目処はついてんの?

言っとくけど、私は外の世界とこっちとを渡らせることができるくらいで、世界の壁は越えられないわよ?」

「それだと帰れないな。

私が適当に時空破って脱出するって手もあるけど、それだと行き先が不安定だし、変なのがこの幻想郷にやって来る可能性があるし」

「変なの?」

「ちょっと前は『わよわよ』言ってる変なTシャツ着た女だったな。

マリ○ー実況してる横でかまちょがウザかったからキラー投げて送り返した」

「…それ、ヘカーティアじゃないか?」

 

そういえば、少し前に目玉と腕が生えた黒い坐薬に潰されたヘカーティアを見かけた気がする。

なんにせよ、彼女らが下手に帰ろうとすると余計な混乱を呼ぶということはわかった。

しかし、このまま幻想郷に置いておくわけにもいくまい。

どうしたものか、と巫女霊夢と普通魔理沙が眉を顰め、ため息を吐いたその時。

 

紅魔館の方角から、夜明けの如き眩い光が立ち昇った。

 

♦︎♦︎♦︎♦︎

 

「…ぱ、パチェ…。

わたし、どうなってる…?」

「生きてるのが不思議」

「そんなレベル…?」

 

遡ること少し前。

実況フランの放った理不尽に撃沈したレミリアを前に、パチュリーが軽く吐き捨てる。

一方の実況フランは首を傾げ、不思議そうに口を開いた。

 

「ありゃ?ウチのちゃんねー、その程度なら無傷で済むんだけど…。

もしかして、別チャンネルの姉ちゃん?」

「別チャンネルってのはわかんないけど、『アンタが私の妹じゃない』ってのは確かだわ!!」

 

やるかやらないかで言えば絶対にやるが、少なくともよくわからんビームは撃たない。

怒鳴り声をあげ、弾幕を展開するレミリア。

ソレを前に、実況フランは困ったように眉を顰めた。

 

「あっちゃー…。そーとーお冠?」

「見りゃわかるでしょ!!

ウチの妹と似たような格好で有る事無い事宣った挙句、躊躇いなくビーム撃つとか、もうこれ宣戦布告よね!?

布告しちゃってるよね!?」

「ビーム撃ったのは謝るから、もうやめときなよ…。

こっちのちゃんねー、私と喧嘩して勝ったことないんだぞ…?」

 

実況フランとしては、宥めようとしたつもりだったのだ。

だが、その一言が。別世界の自分が妹に勝てないという曇りない事実が。

レミリアのズタボロになっていた自尊心を、徹底的なまでに踏み躙った。

 

「お生憎様!そっちの私は随分脆弱なようだけど、私は真なる吸血鬼!

あなたの知るレミリア・スカーレットよりも遥かに強大なそんざ…」

「太○拳!!」

「みぎゃあああああああっ!?!?」

 

びかっ、と実況フランの額が眩く光る。

絶対に吸血鬼が使っていい技じゃない。

そんなことを思いつつ、焦げたレミリアは再び地に落ちた。

 

「マジの吸血鬼なタイプのちゃんねーか。

大丈夫?実況のジャンル絞られない?」

「じ、実況って…、何よ…」

「お嬢様、下がってください。

偽物の妹様だというのなら、私が排除致します」

 

言って、ナイフを構えた咲夜が中庭に降り立つ。

実況フランはソレを前に、更なる困惑を見せた。

 

「あぇ?咲夜までいて、紅魔館で暮らしてるタイプの世界?

かーっ!贅沢なチャンネルだねぇ!

うちは普通の一軒家で6人と1匹暮らしだってのに!」

「何を仰っているのかはよくわかりませんが…、私の時の支配から逃れられると…」

 

咲夜が言った、その時だった。

紅魔館の壁が吹き飛び、弾幕が実況フランに襲いかかったのは。

実況フランは身を紙のようにペラペラに変化させ、そのまま避ける。

なんと出鱈目な光景だろうか。

咲夜がそれに目を見開くや否や、崩れた壁の向こうから笑い声が響いた。

 

「あはははっ!そっちの私、随分と面白い体をしているのね!」

「およっ?この世界、私もいるのかぁ。

シリーズごとのシフトとか考えるの大変そーだね」

 

実況フランの視線の先。

崩れた壁の向こうには、湾曲した槍のような物体を握った「この世界のフランドール・スカーレット」が佇んでいた。

 

「ねぇ、もう1人の私。私と遊ばない?」

 

フランドールの瞳が妖しく光る。

この世界のフランドールを一言で表すのならば、「いつ爆発するかもわからない爆弾」である。

己が興味に突き動かされるままに、破壊をもたらす災害。

ソレを前に、実況フランは朗らかな笑みを返した。

 

「遊び?コラボ回か!

それなら歓迎だぞ!どんなゲームだ?」

「もう始めてるよ。

コンティニューはなしの、ただの弾幕ごっこ」

 

フランドールが言うと共に、実況フランの周囲を弾幕が囲む。

一発一発が即死級の威力を誇るソレを前に、実況フランは即座に構えをとった。

 

「○陽拳!!!」

「「「「は???」」」」

 

本気の戦闘を期待したフランドールだったが、残念。

究極の自由人たるコイツがまともに戦うわけがない。

先ほどよりも光を集め、一気に放つ。

館の中という安全圏に立っていたはずのフランドールに、天敵が襲いかかる。

無論、倒れ伏していたレミリアにも等しく光が降り注ぎ、2人は似たような悲鳴をあげた。

 

「みぎゃぁあああああっ!?!?」

「いぎゃぁあああああっ!?!?」

 

黒焦げになって、その場に倒れ伏す2人。

咲夜とパチュリーが2人に駆け寄るのを前に、実況フランは口を開いた。

 

「『チタタプチャンネルのグランドろくでなし』の異名を持つ私がマジバトルやると思ったら大間違いだぜ!!」




チタタプチャンネル…主はリスの姿をしているチャンネル。出てくるキャラクターのほとんどが何かしらの闇か業を抱えている。レギュラーメンバーは6人。

実況フラン…弱点は積極的に突いていくタイプ。担当実況は死にゲー。ぶっちぎりでイカれてるため、死の苦痛ですら笑って流す。

実況霊夢…おいどんはモンゴボルト・ハクレームでごわす。担当実況はマリ○ーとかの対戦ゲームでごわす。ス○ブラは最近までガードを知らなかったレベルのクソ雑魚でごわす。

実況魔理沙…普段は霊夢の合いの手役だが、たまに操作する。担当実況はホラゲー。ぶっちぎりで死ぬ回数が多い。フランより多い。最近は20回くらい人形に襲われて頭から食いちぎられた。

実況レミリア…闇深ゲームを担当してる上、投稿主がいちいちバッドエンドも回収してくタイプの実況者だから、とばっちりを受けてどんどん精神が追い込まれてる。世界を救った回数よりも、世界を終わらせた回数の方が多い。
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