東方実況録:実況してるタイプの霊夢と魔理沙が幻想入り   作:鳩胸な鴨

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巫女霊夢「まともに考えてると疲れる」

「改めまして!実況者世界からやってきました、人呼んで『チタタプチャンネルのグランドろくでなし』!

フランドール・スカーレットでぇす!」

 

どこぞのセーラー服で戦う美少女戦士のようなポーズをかました実況フランを前に、皆が閉口する。

自分でろくでなしと名乗るか、普通。

そんなことを思っていると、こちらの世界のフランが実況魔理沙に問いかけた。

 

「グランドろくでなしって?」

「やることなすことほっとんど碌でもねぇから、ウチの視聴者からそう呼ばれてる」

「グランドってのは?」

「毎度毎度無自覚に『世界滅びました系バッドエンド』に直行してるからだな」

「幻想郷から出てけ。今すぐ」

「現時点じゃどうやってもそっちに迷惑かけることになるから無理」

 

巫女霊夢の冷たい一言に、実況魔理沙が現実を突きつける。

いつ爆発するかもわからない爆弾が増えた。

巫女霊夢は「厄日だわ…」とため息を吐くと、実況フランを睨め付けた。

 

「アンタ、変なことしたら埋めるからね?」

「慣れてる」

「やらかした回数分、ランダムタイミングで調味料が暴発してどえらいことになる魔法かけるからな」

「大人しくします」

「嫌がる基準がわからん」

「そんな魔法あったっけ?」

 

嫌がらせのためだけに開発されたとしか思えない字面の魔法に、普通魔理沙が訝しげに首を傾げる。

どう考えても、大地に埋められる方が嫌な気がするが。

皆が常識の差異に困惑していると、実況霊夢が口を開いた。

 

「……めっちゃ嫌な予感するんだけどさ。

実況メンバー、全員こっち来てないよね?」

「…ちょい待ち。こっちの紫に聞いてみる」

 

いや、まさか。

そう否定したかったが、別室で寝ていたはずの実況フランもこちらに来てる以上、可能性は切り捨てられない。

不安に駆られ、実況魔理沙は携帯を取り出し、通話履歴から紫の名前をタップする。

耳に当てたソレから数回のコールが響いたのち、実況魔理沙は口を開いた。

 

「もしもし、紫。魔理沙だけど。

もしかしてだけど、うちのメンバー、全員こっちに来てたりする?

……あ、あーっ、あー…。そう」

「なんて?」

「多分だけど来てるって。私が巻き込んだの、アホ霊夢だけって聞いたんだが…」

 

頭を掻き、「参ったな」と眉を顰める実況魔理沙。

彼女は一縷の望みを賭け、紫に問いかけた。

 

「あ、まだ切らないでくれ。

面倒かもしれんが、迎えに来て…無理?

そもそもどの幻想郷かわかんない?

それさ、こっちの紫にコンタクト取ったらわか…、は?冬眠してる時期?

…あ、うん。そんじゃ」

 

通話を切り、実況魔理沙がため息を吐く。

望みは断たれた。

できることといえば、いまいち伸びないソシャゲの実況くらい。

しかもこの場に担当がいないから、ド下手くそなプレイを晒すハメになるだけでなく、適切な解説ができない。

困窮するであろう今後の生活を憂い、実況魔理沙が眉間に皺を寄せ、その場に座り込んだ。

 

「あー…。マジかぁ…」

「もしかしてだけど、こっちの紫の冬眠が終わるまでここにいろってこと…?」

「そのまさか」

「寝始めたの昨日よ。

来年の3月くらいまで寝るわよ、アイツ」

「その間、このいつ起爆するかわからん爆弾たちを置いとけと」

 

確信がある。絶対にやらかす。

対処法がないという現実に辟易しながら、目下に現れた問題に、巫女霊夢が普通魔理沙を見やった。

 

「……どこに寝泊まりさせる?」

「私らんとこしかなくね?

だって、こいつら『私ら』だぜ?

人間の里に買い出しに行くんならまだしも、住むとなると支障がありまくるだろ」

「住むの?私の顔したこのアホと?

…無理無理。神社壊れるわ」

「そのアホ、並行世界のアンタなんだけど」

 

実況霊夢が不服そうに言うも、巫女霊夢はそれを無視する。

相手にすると疲れる。

そんなことを思っていると、普通魔理沙がへらへらと笑った。

 

「あれお飾りだろ。

何回か壊れたことあるんだし、今更変わんねーって」

「そっちの魔理沙、家が理由もなく爆発する魔法って使える?」

「何させようとしてんだお前!?」

「使えるぞ。花火型と髑髏型と球体型があるけど、どれがいい?」

「なんでバリエーション豊富なんだよ!?」

「動画のオチに使えるだろ」

 

実況魔理沙が言うと、実況フランがすかさず「爆発オチなんてサイテー!」と叫ぶ。

ノルマ達成である。

一緒になって「そうだ、最低だぞ!」と騒ぐ普通魔理沙を無視し、実況魔理沙は言葉を続けた。

 

「寝泊まりの件だが…。

私らは物資こそ調達できるものの、雨風凌ぐ家はない。

もしよかったら、家に寝泊まりさせてくれ」

「物資が調達できるってどういうことだ?」

「あー…、ちょっと待ってな」

 

言うと、実況魔理沙はその場に手を翳した。

 

「唐突にいらす○やの宅配便が来る魔法」

「どーも、ヤマ○便でーす」

「………なんでもありすぎない?」

「深く考えない方がいいよ。ボー○ボをまともに考察してるようなもんだし」

 

やたらとのっぺりした男の来訪に、なんともいえない顔を浮かべる巫女霊夢。

結界をどうやって抜けてきたのか、そもそもなんでこんなに世界観が違うのか、開幕見当もつかない。

だが、一つだけ言えることがある。

起きた不思議をまともに考えると疲れる。

辟易の表情を見せる巫女霊夢に、実況魔理沙は男から受け取った荷物…袋入りのサラミを見せた。

 

「悩んでもどうにもなんないし、食うか?サラミ」

「……食べる」




いらす○や宅配便…召喚魔法。お金を消費することで、好きな品物を手に入れることができる。
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