今回からアドバイスを貰ったためお出しする作品を短編から始めていこうと思います。反応が良い、作者の筆が乗った場合は連載に切り替わるかもしれません。
まだ日が昇ったばかりの霧がかかる朝の街を一人の少女が靴裏の蹄鉄とアスファルトがぶつかる音を軽快に立てながら駆けていく。
馬の耳に馬の尻尾を生やしたその存在はウマ娘と呼ばれている。
彼女は赤に青と黄色のメッシュが入ったウルフカットの髪の毛をしており、顔は凛々しく、体は、ばんえいウマ娘と間違われるぐらいに大きく身長190cmにしっかりとした筋肉がついた体が目を引く。
そう、このオレ、アクセルメモリーの事だ。
オレは俗に言う転生者という奴で死んで気付いたらウマ娘世界に転生していたわけだ。
今は日課のランニングで街を走っている。本来ならこんなコンクリートやアスファルトの上を走るのはあんまり良くないのだがこの街を走って見て回るのが好きだから少々無理して走っている。それ用に靴も蹄鉄も硬い地面用の特注品にしてある徹底ぶりだ。
「今日もいい風が吹いてるな、この
そう言いながら風都のシンボルである風都タワーを見上げる。
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転生して記憶が戻ったのはまだオレが幼稚園児にもならない頃だ。
ある日オレは捨てられた。理由は俺が金食い虫だからだ。
ウマ娘という生き物は人間に比べてそれはそれは多くの食事を必要とする。ウマ娘一人にかかる食費は人間のそれを遥かに上回る。何なら普通の家庭の一ヶ月の食費をたった一人で消費、大食いのウマ娘は更にその倍を食べる。
俺を産んだ両親はどうやら貧乏だったらしい。貧乏ながらも幸せに暮らしていた、だがその生活を容易に破壊するウマ娘という金食い虫を疎ましく思ってか捨てた。赤ん坊の頃に捨てられなかったのは両親の罪の意識かそれとも単にそれまでは俺を育てようとしていたのか。今となっては分からない。
それからはオレは程なくして保護され児童養護施設に送られる事になった。
児童養護施設はハッキリ言ってクッソ嫌いだ。どいつもこいつもクソガキばかりで嫌になる。
児童養護施設に来るのは主に保護者の監護(監督・保護)を受けられない児童や、保護者の元で生活させるのが不適当と児童相談所が判断した1歳以上18歳未満の児童となっている。
まあ、そんなんだから捨てられた児童やネグレクトや暴力などを受けた児童、事故で保護者がいなくなった児童、etc.
そして子供というのは未熟故に何をしでかすか分からない。だからワーワー騒ぐ子供の声もその児童養護施設にウマ娘がいないから物珍しく見て触るどころか引っ張るようなガキどもは嫌いだ。
何も全員がそういう訳じゃ無かったがそういうクソガキが─他の児童養護施設は知らないが─あの場所は多くマジでクソだった。
元々親に捨てられたという事実から当時かなり荒れていたオレはそんなガキ共を威嚇──地面をを殴り付けて陥没させた──した事もあり、施設ではかなり浮いていた。
それでもやはり精神年齢が他の子供よりも高い事もあり一部の子供からは慕われてはいた。
そして、オレという存在は大人の目には異質に映っていた。だってそうだろう?子供にしては大人すぎる対応や言葉の数々、ウマ娘としても規格外のパワー、子供ながらにデカい体格、それはそれは気味悪がられた。
小声で喋ってるつもりでもウマ娘の耳では簡単に聞こえる。『気味が悪い』だとか『恐ろしい』だとか好き放題いいやがる。ウマ娘世界は優しい世界じゃないのか三女神!!とか心の中で何度思ったことか。
そんなある日オレはそんな周りに耐えきれずに児童養護施設から抜け出した。ちょっとした息抜きのつもりだったのだ。
だが児童養護施設の周りを見た事もあってもそれ意外の場所はわからず迷子になってどうする事も出来なくて練り歩くとこになった。
そして日も傾き暗くなってきた頃に歩き疲れてベンチに座った、そして迷子になるなんて思ってもみなかったからどうしようかなァなんて楽観的に考えたりしていた時だった。
「どうしたんだいこんな時間にお嬢ちゃん」
後ろから全身の毛が逆立ち怖気を感じるような声が耳を叩いた。まるで蛇に睨まれた蛙のようにピシリと体を固め、全身から冷汗が出てくる。
反応してはいけない、見てはいけないと思いながらもオレは声の方に振り返ってしまった。
「ひっ!?」
そこにいたのは化け物だった。シルエットこそギリギリ人の形を残しているものの青い肌に化け物としか形容できない顔、右手は体毛に覆われ更に熊などの肉食獣のような鋭く大きな爪が見える。
「おやおや、そんなに怯えてどうしたんだい。まるで化け物を見たみたいじゃないか。ひひひ」
笑いながら近付いてくそいつから逃げるようにオレは走り出した。
「鬼ごっこかい?なら、頑張ってお嬢ちゃんを捕まえてあげよう。ひひひ」
ウマ娘は人と比べれば凄まじい身体能力を誇り特に走るという行為に関しては度抜けていた。しかし、オレはまだ子供で更に向こうは人の常識が通じないような化け物。
走っても走っても化け物を引き離す事は出来なかった。
そしてついにオレは行き止まりへとぶつかってしまった。
「おや、鬼ごっこはもうおしまいかい?」
そう言いながらジリジリと近付いてくる化け物に対して壁に背をつけながら無意味な後退りをするしか出来なかった。
「く、来るなぁ!」
「残念だけど私は鬼ごっこの鬼だからねぇ。お嬢ちゃんを捕まえなきゃ行けないんだァ。ひひひ」
迫り来る化け物に涙を流し声を上げるも楽しそうに近づく化け物にはなんの意味も無かった。
「だ、誰か助けて……」
しかし、オレはその恐怖から救い上げられる事になった。バイクのエンジン音と共に。