オレに迫る化け物があと少しで触れるというところ音が響いた。それは前世でオレが好きだった乗り物の音。
そして一瞬光が差し込むと同時に化け物に何かが突っ込んだ。
「ぐあっ!?」
化け物はその一撃に怯み吹き飛ばされた。そして化け物を吹き飛ばしたそれが目に入る。
「……赤い、バイク」
そう赤いバイクだった。しかし、上には誰も乗っておらずその形さえも見た事が無かった。バイクにしては長く車高が引くく、よくよく見ればまるで人をそのまま横にしたような、とそこまで考えた時。
バイクは飛び上がり変形し人の形となって地面に降り立った。
「……嘘」
その姿には見覚えがあった。赤のボディに頭部には大きなAの文字のような角を持ち、複眼状の青いモノアイが光り輝いている。
その姿はまさに前世で憧れたあの戦士達の一人、仮面ライダーアクセルだった。
「ビースト・ドーパントか……」
「いきなり何ですか貴方は!」
「俺に質問するな!」
化け物、ビースト・ドーパントの言葉にアクセルはお決まりのセリフで返しエンジンブレードを片手にビースト・ドーパントに斬りかかって行った。
その姿にオレはいつの間にか怯えるのを辞め、仮面ライダーアクセルを熱の篭った視線で見ていた。だってそうだろう?子供から大人になっても変わらずオレのオレたちの心掴んで話さないヒーローたちの一角、その一人を目の前で見ているのだ。
一撃、二撃、三撃とエンジンブレードによる攻撃がビースト・ドーパントの体を切り付ける。負けじとビースト・ドーパントはその鋭い爪を振るうがいとも容易く躱され逆に蹴り飛ばされる。
「ど素人だな」
どうやらビースト・ドーパントの動きはど素人のそれらしく仮面ライダーアクセルは余裕の動きで対処していた。しかし、攻撃すれどもすれどもビースト・ドーパントは倒れる気配を見せない。
すると仮面ライダーアクセルはひとつのメモリを取り出し起動した。そのメモリの名前はトライアルメモリ。
「相変わらずの再生力だ。なら」
Trial!
起動したトライアルメモリをアクセルドライバーに差し込み右手側のパワースロットルを捻る。
Trial!
再びガイアウィスパーの音声が鳴ると一瞬黄色くなり青色に変化し装甲も軽量化した。仮面ライダーアクセルトライアルフォームが姿を現した。
仮面ライダーアクセルはトライアルメモリを引き抜きマキシマムカウンターを起動する。そしてトライアルメモリを上に投げると目に見えないスピードでビースト・ドーパントに接近し連続でT字状に蹴りを叩き込む。
仮面ライダーアクセルの必殺技、マシンガンスパイクだ。
「9.8秒、それがお前の絶望へのタイムだ」
「こんな……こんなはずでは……」
Trial!MAXIMUM DRIVE!
仮面ライダーアクセルは蹴るのを辞めると上へ放り投げたマキシマムカウンター掴み取りを止める。
そして、ビースト・ドーパントは身体中から火花を散らしながら倒れ、爆発した。爆発した後には倒れている男性と砕け散ったガイアメモリが落ちていた。
「なんだもう終わっちまってるじゃねぇか」
『流石と言った所かな』
「遅いぞ、左、フィリップ」
更にそこに新しい仮面ライダーがやって来た。左側は黒く右側は緑色のその仮面ライダーの名は仮面ライダーW。
「おめぇが早すぎんだよ」
そう言いながら変身を解いた左翔太郎がこちらに近づいて行く。
「大丈夫かお嬢ちゃん」
しかし、翔太郎をガン無視してオレは変身を解除した照井竜に向けて走り出しだ。
「はっ!?」
遅れて来たWに用などない。自分を救ってくれたアクセルこそがその時のヒーローだった。
照井竜の足に精一杯の力を込めてしがみついた。
『彼女に嫌われたようだね翔太郎』
「俺は嫌われてねぇ!!てか何もしてねぇよ!!」
「うるさいぞ左。君、大丈夫か」
「……うん」
その時のオレはとにかく不安だった。前世も合わせれば精神的には大人ではあるが肉体に引っ張られてるのか意外と幼なさが出てくる事もあった。だから怖くて怖くてしかたがなかったビースト・ドーパントから救ってくれた照井竜にしがみついたんだ。
************
「……なるほどなぁ」
ビースト・ドーパントが撃破された後オレは鳴海探偵事務所にお邪魔していた。そしてポツポツとオレの身の上話をした。オレが児童養護施設に帰りたくないと言ったからだ。
「ならさ!家で引き取ろうよ!ね!ダーリン!」
「……俺は反対だ」
「えーー、どうしてぇ」
「俺たちの仕事はドーパントが相手だ、いつ危険に晒されるかわからん。それこそ俺の家族のように……」
亜樹子と結婚してる時点であれな発言だが亜樹子はもはや今更だ。それに対してただの被害者であるオレは遠ざけるべきだと考えたのだろう。
しかし、この千載一遇のチャンス逃す手は無い。オレは座っていたソファから降りると照井竜の足にしがみつき上目遣いでこう言った。
「パパ……」
「ぐっ!?」
ふふ、愛妻家であり家族にはデロデロな貴様に耐えられるかこの攻撃が!!可愛い可愛いウマ娘のご尊顔だぞゴラァ!!オレハオマエノムスメ。
「この子もこう言ってるんだしね!ねっ!」
「だが……」
「……パパ?」
「ぬぅ……」
良いぞ亜樹子さん!そのまま援護射撃を続けるのだ!
「お前が守れば良いじゃねえか」
「左……」
「その通りだよ照井竜」
「フィリップ……」
「それにこの子は興味深い。この子の本には鍵がかかっている、実にゾクゾクするよ」
ヨシ!!翔太郎とフィリップからの更なる援護射撃だ!しかし、フィリップあんたいつの間にオレの記録見てたんだよ。てか鍵かかってんのな、やっぱり転生者だからか?
「……お願い」
「………………………………………………わかった」
シャアっ!!照井竜陥落!!我照井竜の娘ナリ!!
そしてその時オレにウマ娘としての名前が三女神から授けられた。
「……アクセルメモリー」
「なに?」
「オレの名前、アクセルメモリー」
この時オレ、アクセルメモリーは幸せを掴んだのだ。
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