「その契約でアリスを元に戻せるんですか?」
「ふム、さぁな?……
ダガ、サダメのうえで苦しみ抗う、愉悦なるスガタをみせると約束するのでアレバちからヲ———」
「————なら出来ない。でも力が欲しい」
「ちからヲ……えっ………オマ、オマエ!!!!え?......どうかしてるの力?契約なしではチカラは与えられんのだゾ⁉︎ 強欲すぎるだロ、オマエ⁉︎」
「分かってます。———でも、」
血が今も流れていて頭の中の理性は正気じゃないと叫んでいる。
分かっている。…分かっているんだ。この状況で黙ってヴァニタスの提案を乗めば望んだ力が手に入ることぐらい僕も分かる。
でも、
『この学園がおかしくなって……離れ離れになって一週間……本当に心配したんだから…!』
『貴方が無事で良かった…おかえりなさい……』
この契約を受け入れたら、きっとアリスは自分が原因と考えてしまうだろう。だからこそ頷くことは出来なかった。
アリスだけじゃない。
カケル先生や望先輩も危険を犯して此処まで探しに来た。死ぬかもしれないのに。
僕は記憶もなく、何者かも分からない、どうしてあそこで倒れていたのかすら。
唯一証明できるのは”ジャック”という名前だけ、でも、それでも
死ぬかもしれないこんな場所まで僕を探すために、
それなのに僕はまだ何もアリス達に返してない。
「だから力を寄越せ。バニタス」
それを聞いたヴァニタスは表情が変化しないぬいぐるみの顔だが驚愕しているのがひしひしと感じられる。
「嘘だろお前!!!……ほんとうにマトモじゃナイナ.....本当はもっとイロイロ思わせぶりな話をしたかったのガ………伽藍ゆえ、知識も常識もないとはワカっテイタガ……謙虚さと命の大切さまで知らないトハ…」
バニタスの言う通り、確かに異常なのかもしれない。でも記憶が無くても心配してくれている人達の為にも曲げる気はない、謙虚も命の大切さもアリス達を助けられるなら捨ててやる。
これが今の僕なりの意地だ。
「ギィ……もういい。オマエとのやり取りに疲れた。ちからは貸せぬが手助けしてやる。定めは不要。支障はないからナ……」
根負けしたのかバニタスが呆れてそう言うと同時に、身体に異変が起きた。
体が熱い。思わず膝から崩れ落ちる。
ドクンドクンと激しく心臓が脈打ち全身が熱くなる。そして光がジャックを覆う。
「…これ、は…!」
服が変わり、色の無い白く長いマント。両手にはいつの間に大振の両刃のナイフ、無骨な銃が握られており、そして頭上には白い王冠が浮かんでいた。
「精神を具現化した装備『
「…これなら戦えるってことですか?」
「そうだ………と言いたいことだガ、コレでは心許なイ。
バニタスがそう云うと、ジャックの眼前に二体の白い骸骨が現れた。見た目はさっき僕達に襲いかかった骸骨と同じだが、最大の違いは色が違うことだった。
「!、ッ!?」
思わず身構えるが白い骸骨は微動だにせず何もしてこない。そこへバニタスが再び説明する。
「落ち着け…コイツは主たるお前の分身『
「はいっ!ありがとうございます!」
こうしてジャックは駆け出そうとするが、バニタスが呟くのを聞き逃さなかった。
「それト、元に戻す方法はオマエの血にアル」
「———え?どういう」
「ギギ、さぁ行ケッ!」
「は、はい!」
バニタスに急かされ、走るジャック。
とにかく、まずはフードの少女が抑えてくれているアリスを助けて、黒い骸骨を全員倒す。その前に……
「眷属達は二人を守って!僕はあの人に加勢して彼女を助ける!」
眷属達はコクリと頷き、長谷川先生と日向先輩の元に行った。眷属は二人を守るように武器を構える。
これで二人の安全はとりあえず確保できた。
さぁ次は————
更新予告したのに二ヶ月も遅延して本当に申し訳ございませんでした。