ただポムニちゃんが狂っていくところを眺めていたいオリ主のお話 作:ポムニちゃん大好き俱楽部
残念、ワンクッション挟みます。
今回はカフモ回です。
自分なりにですが、様々な考察を見ながら、オリジナルでカフモが狂うまでを描いてみようと思い、この話ができました。
それでは今回のお話もお楽しみください。
この世界には恐怖だけしかなかった。
でもここにいる皆は優しくて、それでいて温かいものだ。
ボクのジョークがどれだけセンスがなくとも、だ。
時には仲間がバグって、還らぬ人になってしまう時もあったけど、それでも、みんなといれば何とか正気を保つことができた。
でも、あいつが来たあの時から、ボクは――この世界は、少しずつだけどおかしな方向へと進んでいくようになっていったんだ。
最初、彼に違和感を覚えたのは、彼が虚空から現れた時だ。
普通、この世界に来た人たちは訳が分からず、右往左往するか、パニックを起こすか……。
どちらにしても思考が追い付いていないといった行動をするはずだった。
それはもちろんボクも、そしてボクの後に入ってきた人たちもそうだった。
でも彼は――クロッカーは、違ったんだ。
まるで欲しかった玩具が手元に来たかのように目をキラキラさせて、呼吸も興奮しているみたいに少し荒く。
これでは、この人がこの世界に望んでやって来たみたいな感じに見えた。少なくともボクには、だ。
ここだけ見ても、彼は他のみんなとはどこかずれていることが明らかだったのだが、そのあとも、警戒でも恐怖の感情もこもってない、どちらかというと、品定めをするかのような目だ。
それをみんなに向けていると、急にその目は一点を見つめるように固まる。
ボクはその視線の先を追ってみると、そこにはチェスのクイーンの駒の形をしたクイニーがいた。
彼女はその視線には気づいていない様子だが、彼は確かに彼女を見ていた。
その目には、少しの驚きと納得、そして哀れの感情が込められていた。
その理由はわからないが、少なくともその目は彼女に向けられていた。
ボクはクイニーから視線を外し、クロッカーに視線を戻すと、……背筋が凍った。
彼は、次にボクを見ていたのだが、その目にはクイニーに向けていたものとは明らかに違っていたのだ。
それは、ボクを生き物としてみていないかのような目だ。
そんな、おおよそ普通の人なら向けるはずのない視線を、僕に浴びせていたのだ。
それから、ジャックスの新人に対してのお決まりの言葉を吐いた瞬間、彼の雰囲気は今までと正反対、この世界に来たばっかりの者相応の気配に変わる。
そこからは、オドオドした表情と話し方をしたクロッカーと、キンガーがこの世界の簡単な説明をしている。
ジャックス以外のみんなは、どうすることもできない現状と、また何も知らない人がこの世界に来てしまったという虚しさが混ざったような顔をしているが、おそらくボクは言葉に言い表すことができないようなひどい顔しているような気がして、思わずクロッカーから顔ごと逸らしてしまった。
先ほどの目と今の目の違いがあまりにもありすぎて、その変わりように思わず吐き気がしてしまった。
そこから先の話はあんまり覚えていない。
気が付いたら、彼がボクのことを名指ししてきて、ケインもそれに乗っかってくるところだった。
ボクはどうするべきかわからなくて、逃げようにも彼に見られていると、蛇に睨まれた蛙のようにうまく体を動かせなくなる。
そうしてボクは、クロッカーに引っ張られながらその場を後にした。
なんでボクを連れ出したのかと思って、それを彼に聞いてみると、
「あれ?さっきの話聞いてなかった感じか?この空間には個人の部屋があるみたいだから、そこまで案内してもらおうかと思ってね」
と言ってくる。
なるほど、と未だにうまく思考がまとまらない頭で納得する。
確かに、彼は得体のしれない怖さがあるが、それを差し置けば、この世界では新人なのだ。
この世界の仕組み自体はよくわからないのだろう。
「そ、そうなんだね。ごめん、ちょっと考え事をしていて話を聞いていなくて……」
「あぁ、大丈夫だ。考え事ぐらい誰でもしているし、それが原因で話を聞き逃すことなんか俺もよくあった……ぁ、と思う」
「は、はは、そう言ってもらえると気が楽になるよ……」
な、なんだ。話したら案外普通じゃないか。
やっぱりあの時見た目は気のせいだったのかな……。
と、そんな考えがよぎる。
「そういえば敬語、外れてるね」
「ん?あぁ、これから仲良くするみんなにいつまでも敬語って、なんかいやだろ?壁があるような感じがしてさ」
「それもそうだね」
そんな具合で、部屋がある廊下に辿り着くまで、他愛もない会話を繰り広げていく。
「こ、ここがみんなの部屋がある場所だよ」
部屋がある廊下以外にも覚えていて損はない場所も案内していたから、少し時間がかかってしまった。
ボクたちは今、壁に複数の扉がある廊下――ここに住むみんなの部屋がある廊下に来ていた。
そのままボクが先頭になって彼の部屋がある場所まで歩いていく。
その間、先ほどまであんなに話していたのに、今はずっと無言だ。
彼の顔である時計の針が1秒、また1秒と、カチカチと音を鳴らしながら進んでいく。
今まで話していた時にはなかった、肌にべたつくような、重い空気が流れる。
「それにしても……」
不意にクロッカーが話し始める。
「ところどころにバツが書かれた部屋があるけど、これはどういうことかな?カフモ」
その質問の内容に、ボクは思わず顔をしかめる。
部屋のドアにバツ印が書かれた意味、それはこの世界で何らかの原因で
ただそれを説明するのは気が引けるし、ボクの口から説明したくない。
だから当たり障りのない感じで答える。
「ふーん」
クロッカーは、返答を聞いてすぐに興味を失ったのか、ボクから視線を逸らし、周りを見始める。
そしてまたあの重い空気が流れ始める。
ボクはそんな空気を払拭したくて、
「な、なぁ……」
クロッカーに話しかけてしまった。
しまった……、と思ってももう遅い。
彼は視線をボクに向き直して、首をかしげている。
呼び止めたはいいものの、何を聞くか何も考えていない。
どうしようどうしようと考えているうちに、彼の顔はどんどん怪訝な感じになっていく。
…………そ、そうだ!
「あの……、君は何でそんなに陽気なんだい?」
なかなかいい質問だと自分では思っている。
現に彼は、豆鉄砲でも食らったような顔をして驚いている。
「君はこの世界に来たその時から悲壮感ってものが窺えなかった。今だってそうだ。ボクと話している君は、動揺を見せるどころか少し嬉しそうにしている。ここに来た時だって表向きはオドオドしていたけど、目の奥はキラキラしていた」
そこまで言うと、彼は少し俯いて立ち止まってしまう。
や、やばい。なにか言っちゃいけない事でも言ったのかな……?
止めないと……、あーでも駄目だ、止まらない……!
「どうしてなんだい?どうしてそんなに悲壮的にならなくて済むんだい?」
……い、言ってしまった。
どうしよう、なんか聞いちゃいけない事だったのかな。
もしそうだったら……あー彼が顔を上に向けてうんうん唸ってる。
やっぱり起こっているのか?それだと早く謝らな――「あー」――!?
最初より回るようになった頭でこの場をどうするかを考えていると、クロッカーが話し始める。
「俺は別に現実に未練があるわけじゃないからな。それにここは結構隠されたものが多そうで、ワクワクしていたりするし」
そう、言ってのけた。
え?現実に未練が……ない?
ワクワクしてる?
この人は何を言っているんだ?
いくら未練がないからって、この世界から二度と出れないのかもしれない。
友人にも親にも会えないのかもしれない。
それなのに、彼は何て言った?
ワクワクしている?
この人は……こいつは……!!
「君、……申し訳ないけど狂ってるよ……!!」
思わず、無意識に口からそんな言葉が零れてしまった。
でも、その言葉を受けたクロッカーは、怒るどころか、気味が悪くなるぐらいの満面の笑みを浮かべて、そして……
そこから先はよく覚えていない。
気が付いたら、ボクは何もないデジタルな草原に身を投げていた。
彼のあの笑みが脳裏に浮かぶ。
あの目の前のものを何も見ていないかのような、空虚な眼。
顔のパーツが目しかないが、それでもわかるほどの狂気。
彼は偶然ここに来たんじゃないんだ。来るべくしてここに来た、いわばイレギュラーな存在。
彼は普通じゃない。
そんな普通じゃない彼に、ボクは目をつけられたんだ。
たまったもんじゃない、何をされるのかわからない、怖い。
得体のしれない恐怖がボクの身を飲み込む。
あんなのと一緒にいたらボクの気はどうにかなってしまいそうだ!
これは一刻も早くこの世界から逃げない、と……?
そんなことをずっと考えていると、影が差す。
なんだろうと思って、顔を上げると、そこには……
「こ、これって……!!」
『
そう書かれた扉が、目の前に立っていた。
気づいてると思いますが、これ、続きます。
まさか1話で作り切れないとは思わず、自分も驚いています。
でも、さすがに幕間を連続で出すのは違うなと考えているので、本編を書きながら少しずつ書いていこうと考えています。
さて、なんだか若干原作から離れそうな気がして、タグ変更か?と考えながらなんとか書き終えることができました。
クイニー編はカフモ編が終わったら書こうと考えています。
次回からは(おそらく)原作本編が始まります。
それでは今話もご愛読ありがとうございました。
次回も首を長くしてお待ちください。
クイニーのバグる直前までのお話はいる?
-
いる
-
いらない
-
任せる
-
クイニーだけじゃなくてほかのキャラも!