うp主の妄想による、息抜きサブストーリー   作:天元突破クローズエボルハザード

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エイジ
SAO(ソードアートオンライン)という名の、デスゲームと化した仮想世界≪アインクラッド≫にて、ハジメは最前線を突き進んでいた。
そんなある日、下層のダンジョンのパトロール中、キリトと再会し、彼等に訪れるはずだった危機を何とか回避した。
そして、ダンジョンにあったトラップスペースを踏破した。
その後、二人はまたの再会を信じあい、それぞれの道を行くのであった。」
ユナ
「ねぇねぇ、エイジ。今回って、アイドルみたいな子が出てくるんだよね?きっと、かわいいと思うな~。」
エイジ
「うん、でも僕の中では、やっぱりユナが一番だ。」
ユナ
「もう!エイジったら……。」///
エイジ
「……ユナ、ハジメさんから教えてもらった限定スイーツのお店があるんだけど……今度、行かないか?」
ユナ
「ホント!?行く行く~!エイジ大好き!」
エイジ
「ちょっ!?抱き着きすぎだって……。」///
ハジメ
「……キリトとアスナがあらすじやるときの為のテストプレイヤーを選んだ結果こうなるとは……。
まぁ、あっちはあっちで二人の時間にするとして……双剣6、どうぞ!」


双剣6:絆が導くHope~俺達、てぇんさいですから!~

あれから更に半年程がたった。

40層で歌姫と呼ばれる少女を、サンバのリズムで颯爽と助け出し、幼馴染の彼氏っぽい少年の元へ送り届けたり、去年は参加できなかったクリスマスのイベントボスをボコボコにしたり、色々あったものの、漸くKoBが追い付いてきたので、攻略を再開した。

 

今まで下層のパーティーの手助けに入ったり、スキルの習得・習熟に励んだり、キリトやアスナ、クラインにエギルのとこに顔を出しに行ったり、鼠小僧じみた行為をしたせいで他プレイヤーからNPC扱いされたりと、暇だったので色々やっていたのだ。

 

そういえば、40層と49層で、キリトとアスナが一緒にいるところをよく見かけたな。

あいつ等、とっくの昔にもうデキてんじゃねぇのか?因みに、今の最前線は72層。

勿論、俺の現在の拠点だ。後、キリトが"エリュシデータ"という大業物をゲットした。

まぁ、俺が強引に連れてきて、お詫びにラストアタック譲ったから手に入ったけどな!

とはいえ、その性能は凄まじく、キリト自身も手に入れてからずっと愛用している。

 

ま、俺はとっくにソードスキルはコンプしたけどな!分身能力持ちは強い。

それに、派生スキル(モディファイ)も熟練度を50下げることでもう一つ選択肢を選べるようになる、という裏ワザまで発見したので、最早敵無しと言っても過言ではないだろう。

 

最初に強化したのは所持容量拡張だな。ウォッチもあったから、容量関係なかったけど。

他には、料理、後鍛冶に鑑定だな。戦闘系はって?……武器系が既にコンプ状態だったから断念したんだよ!

既に習得済みだったのは、下の通りか。

 

●耐毒、体術、軽業、暗視、疾走、水泳、聞き耳、索敵、隠蔽

――道場や自分で鍛え上げていたこともあってか、既にコンプ済み。

●木工、彫金、調合、大工、音楽、絵画、釣り、収集

――元々の器用さに加え、色々やってきた経験もあってか、既にコンプ済み。

●戦闘時回復、騎乗、威嚇、挑発

――ライダーの力のおかげか、コンプ済み。

 

……流石にここまでくると、もういっそのこと俺がラスボスやった方がいいんじゃないのだろうか。

そう思ってしまえるほどのチートだった。こりゃあ、キリトのこと言えねぇわ。

まぁ、鍵開けや罠解除は、アルゴに高い金とマップ情報あるだけ全部渡して教えてもらったけど。

ただ、流石に慰撫はないと思った。

完全にカップル限定、それもばが付くカップルレベルじゃないとダメな奴じゃん……。

 

他のエクストラスキルとしては、まず"オーマジオウ"。字面でもわかる通り、俺の継承した力だ。

正直、システムでもその全容を表しきれないようで、説明文には

【祝え!森羅万象を凌駕し、時空を超え、過去と未来をしろ示す、究極の最強王者!その力は正に無限大。

最高最善の時の王が今、降臨した瞬間である!】とある。

……ぜってぇこれ書いたの、あのマフラーが似合う黒き祝福の化身だろ。

 

後、直々行っていたカジノで、NPC相手でも容赦なく毟り取っていたこともあってか、"ディーラー"スキルを会得していた。

効果としては、相手を化かすことに特化したスキルらしい。

モンスターは勿論、プレイヤーにも通じるらしく、これはいい掘り出し物だと思ったのは秘密だ。

 


 

ハジメ「まさかお前もここに来ていたとはな……。狙いは剣の強化か?」

キリト「そっちこそ、相変わらず阿漕な商売やってんなぁ。もうお前一人でもクリアできそうなんじゃね?」

ハジメ「え?嫌だよ。だって一人じゃ寂しいもん。」

キリト「寂しいもんって……この前の真剣なお前はどこ行ったんだよ。」

ハジメ「道頓堀に飛び込んでいった。」

キリト「カー●ルか!」

 

そんな手持無沙汰の俺はというと、35層《迷いの森》で強化アイテムの販売の為に、仕入れに来ていた。

道中、"エリュシデータ"の素材集めに来ていたキリトと合流し、コントじみた会話を披露していた。

後、折角なので持っていた素材でキリトが欲しがっていた奴を全部上げた。

 

その後、スキルの修練がてら適当にモンスターを狩り、そのままどこかで食事をしようという流れになり、2人で35層の主街区に戻ることになった。

その時であった。

 

???「ピナ!」

―パリン―

ガラスの破砕音のような音とともに、女の子の声が聞こえてきた。

俺とキリトはすぐにアイコンタクトをかわすと、その方向に向かって駆け出す。

すぐに猿人擬き(ドランクエイプ)の群れが誰かを囲んでいる様子が見えてきた。

瞬間、キリトと俺は《ホリゾンタル》を立ち上げると、横一文字に薙ぐ。

 

ドランクエイプ「グアァァァアアアア!」

その一撃で、ドランクエイプたちが絶叫と破砕音を振りまきながら砕け散る。

すると、目の前に13歳くらいだろうか?

短剣使いの女の子が水色の羽根を大事そうに抱えてペタリと座り込んでいた。

 

ハジメ「!」(そういうことか……さっきの破砕音は、この子のテイムモンスターか……。)

俺は未だ呆然としている少女の前に片膝を立ててしゃがむと、なるべく優しい声音で話しかける。

ハジメ「……悪ぃ。君の友達、助けてやれなくて……。」

その言葉がきっかけになったのか、次々と少女の目から涙が流れ始める。

 

???「お願いだよ……あたしを独りにしないでよ……ピナ……。」

それから、5分ほどしてようやく落ち着いてきた少女に、もう一度話しかける。

ハジメ「……すまない。」

???「……いいえ……あたしが……バカだったんです……。ありがとうございます……助けてくれて……。」

嗚咽交じりに必死に感謝の言葉を伝えてくる彼女。すると、今まで口を噤んでいたキリトが口を開いた。

 

キリト「……その羽根だけどな。アイテム名、設定されてるか?」

キリトの言葉に、俺は首を傾げ、少女は戸惑いながらも羽根をクリックする。

それを見た少女が再び泣きそうになるが、慌ててキリト君が割り込んだ。

 

キリト「ま、待った待った。心アイテムが残っていれば、まだ蘇生の可能性がある」

???「え!?」

ハジメ「何ですと?」

俺達は慌ててキリトの方を見た。驚きで半ば呆けていたものの、キリトは気にした様子もなく続ける。

 

キリト「最近解ったことだから、まだあんまり知られてないんだ。

47層の南に、《思い出の丘》っていうフィールドダンジョンがある。

そこのてっぺんに咲く花が、使い魔蘇生用のアイテムらし――」

???「ホントですか!?」

あー、そういえばあったようななかったような……なんでか俺は見つけられなかったけどさ。

キリトの説明に、少女はキリトに掴みかからん勢いで身を乗り出して、叫んだ。

だがしかし、すぐにその表情は暗く沈む。

 

???「……47層……。」

やれやれ、ここは俺達が一肌脱いであげるとしますか……。

キリト「うーん。」

キリトがそんな彼女を見て、困ったように頭を掻く。

 

キリト「実費と、報酬をばっちり貰えれば俺が行ってきてもいいんだけどなあ。

使い魔を亡くしたビーストテイマー本人がいかないと、肝心の花が咲かないらしいんだよな……」

ハジメ「え!?そんな条件あったの!?道理で俺が見つけられなかったわけだよ!」

とはいえ、少女のレベルは恐らく45程度。安全マージンを考えると、10はレベルを上げないといけない。

蘇生というからには時間制限もあるからな……進みながらやっていくしかないか。

 

???「いえ……。情報だけでも、とってもありがたいです。がんばってレベル上げすれば、いつかは……。」

希望を示され、若干微笑みながら少女は言うが、すぐにキリト君に否定される。

キリト「それがそうもいかないんだ。使い魔を蘇生できるのは、死んでから3日だけらしい。

それを過ぎると、アイテム名の《心》が《形見》に変化して……」

???「そんな……!」

そう叫び、呆然とする少女。真実だとしてもキリト、もう少しオブラートに包んであげなさい。

すると、俺と同じ考えに至ったのか、キリトがウインドウを操作していた。

 

キリト「なぁ、ハジメ。急で悪いんだが……装備、幾つか余っていないか?」

ハジメ「そういうと思って、幾つか秘蔵していたものがある。この子のレベルになら、ピッタリだろう。」

キリト「助かる。代金は……。」

ハジメ「かまへんかまへん。懐は暖かいどころか熱盛だしな。」

そう言って、俺はトレードウインドウを開き、彼女用に見繕った装備を渡す。

 

???「あの……。」

まあ、さっき会ったばかりの男2人からいきなりレア装備を渡されれば、そりゃ戸惑うだろうな……。

キリト「今、俺たちが渡した装備で、多分5、6レベルは底上げできるはずだ。

それに俺たちも一緒に行けば、何とかなるだろう。」

???「えっ…………!?」

 

あ、これめっちゃ警戒されてる奴だ。

まぁ、ビーストテイマーの女の子なせいか、中層プレイヤーからしたらアイドルのようなものだろう。

言い寄られることも多かったに違いない。

 

???「なんで……そこまでしてくれるんですか……?」

ハジメ「う~ん……俺、王様だからさ。

目の前で困っている民を見捨てることなんて、出来ない性格なんだよね。キリトは?」

キリト「お、俺か……マンガじゃあるまいしなぁ。……笑わないって約束するなら、言う。」

???「笑いません。」

少女がそう言うと、キリトは深呼吸をして言った。

 

キリト「君が……妹に、似てるから。」

ハジメ「シスコンも大概にしなさい。サチちゃんと言い、ホルンカのNPCと言い、お前は……。」

キリト「大きな誤解なんですけど!?」

余りにもベタベタな答えに俺がツッコむと、彼女は思わず噴き出してしまった。

 

キリト「わ、笑わないって言ったのに……。」

ハジメ「まぁ、そうなるわな。ドンマイ、お兄ちゃんや。」

そんな話をしていると、「あ、あの!」と声をかけられた。いかんいかん、大事な話の途中だった。

???「よろしくお願いします。助けてもらったのに、その上こんなことまで……。」

そう言うと、彼女はウインドウを操作する。恐らく装備の対価を支払おうとして言うのだろう。

 

ハジメ「金はいい。どうせ余りもんだ。在庫処理のお礼として貰ってくれ。

その方が、そいつもきっと喜ぶさ。」

キリト「それに、俺がここに来た目的とも、多少被らないでもないから……。」

?キリト、今度は何を企んでいるんだ?まぁ、何かしらトラブルだろうが……

なんか行ける気がするし、大丈夫でしょ。

とりあえず、目の前に現れたトレードウインドウには金額を入力しないでOKボタンを押した。

 

???「すみません、何からなにまで……。あの、あたし、シリカっていいます。」

ハジメ「シリカちゃんか、俺はハジメ。よろしく。」

右手を差し出すと、シリカが両手でギュッと握ってきた。続いてキリトが自己紹介した。

キリト「俺はキリト。しばらくの間、よろしくな。」

キリトもシリカと握手を交わした。

 


 

その後、詳しい説明のために森を抜け、35層の主街区に出た。

殆どの階層はさっさと通り過ぎてしまったので、街の記憶は大体が曖昧だ。

そのせいか、俺とキリトは結構珍しいものを見るような感じで、街を見ていた。

すると、シリカの知り合いだろうか?何人かの男性プレイヤーがシリカに声をかけてきた。

 

シリカ「あ、あの……お話はありがたいんですけど……。」

シリカが困ったようにこっちを見ながら、言葉を続けた。

シリカ「……しばらくこの人たちとパーティを組むことになったので……。」

断られたプレイヤーたちは、ええーそりゃないよ、と口々に不満の声を上げながら、俺達2人に胡散臭そうな視線を向けた。

むぅ……ここで変身しても構わないが、それでは余計面倒になるしなぁ……。

 

???「おい、あんたら――」

最も熱心にシリカを勧誘していた両手剣使いが、俺達の前に出てきて、口を開いた。

???「見ない顔だけど、抜け駆けはやめてもらいたいな。

俺らはずっと前からこの子に声をかけているんだぜ。」

キリト「あの、そう言われても……成り行きで……。」

ハジメ「シリカちゃんの方から誘われたし、しょうがなくないか?」

困ったような顔で、キリトは頭を掻き、俺は事実を平然と答える。

が、それでは収まらず、何人かがこちらに突っかかってきた。

 

シリカ「あの、あたしから頼んだんです。すみませんっ。」

助け舟を出してくれたのはシリカだ。

頭を深々と下げると、俺達の着ているコートの袖を引っ張って歩き出す。

やがて、男たちが見えなくなると、シリカはほっと息をつき、僕たちの顔を見上げると言った。

 

シリカ「……す、すみません、迷惑かけちゃって。」

キリト「いやいや。」

キリトはまるで気にしてない風で、微かに笑みをにじませている。

 

ハジメ「シリカちゃん、すごい人気者なんだね。」

シリカ「――そんなことないです。マスコット代わりに誘われているだけなんですよ、きっと。

それなのに……あたしいい気になっちゃって……1人で森を歩いて……あんなことに……。」

テイムモンスターのことを思いだしてしまったのか、再び涙目になってしまうシリカ。

 

ハジメ「大丈夫。」

そんなシリカを元気づけるため、頭を撫でながら、優しく語りかけた。

ハジメ「シリカちゃんが最後まで諦めずに、願い続ける限り、俺達が絶対に生き返らせるから。」

それを聞いたシリカは、目尻にたまった涙を拭うと、俺達に向かって微笑んだ。

やがて、道の右側に、一際大きな建物が見えてきた。《風見鶏亭》というらしい。

どうやらここが彼女のホームらしい。

 

シリカ「あの、お二人とも。ホームはどこに……。」

キリト「ああ、いつもは50層なんだけど……。面倒だし、俺もここに泊まろうかな。ハジメは?」

ハジメ「……最前線ど真ん中。でも俺もここにするよ。」

シリカ「そうですか!」

俺達が泊まるといったことがそんなにうれしいのか、シリカは両手をぱんと叩いた。

 

シリカ「ここのチーズケーキが結構いけるんですよ。」

ハジメ「ほほぅ?それは楽しみ、……。」

その時だった。隣の道具屋からぞろぞろと4、5人ばかりの集団が出てきた。

その中の最後尾にいた1人の女がシリカのことをちらりと見た。

知り合い、にしてはどこか性悪そうな顔だな……。要注意リスト入り、っと。

 

???「あら、シリカじゃない。」

シリカ「……どうも。」

シリカが嫌々といった感じで挨拶を返す。やはり関係は良くないようだ。

……って、一瞬だがキリトから敵意を感じたが……こいつらと関係あるのか?

もしかして……こいつ等、オレンジか?だとしたら、キリトの目的も大体わかった気がする。

 

???「へぇーぇ、森から脱出できたんだ。よかったわね。」

真っ赤に染めた髪を派手にカールさせた女は、口の端を歪めるように笑うと言った。

???「でも、今更帰ってきても遅いわよ。ついさっきアイテムの分配は終わっちゃったわ。」

シリカ「要らないって言ったはずです!――急ぎますから。」

そう言って、シリカが会話を打ち切ろうとするが、相手はまだ開放する気はないらしい。

目ざとくシリカの肩が開いていることに気付くと、嫌な笑いを浮かべる。

 

???「あら?あのトカゲ、どうし「黙りやがれ。」ッ!?」

流石にしつこかったので、威嚇で睨みつけてやれば、相手は思わず後ずさった。

こちらを警戒してはきたが……サクッと無視する。

 

シリカ「ピナは、死にました……。でも!」

キッと槍使いの彼女を睨みつけると、シリカは言う。

シリカ「絶対に生き返らせます!」

シリカの宣言に、女の目がわずかに見開かれる。

 

???「……な、なら、《思い出の丘》に行く気なんだ。でも、あんたのレベルで攻略できるの?」

キリト「できるさ。」

シリカが答える前に、キリトが進み出てきた。

 

キリト「そんなに難易度の高いダンジョンじゃない。」

すると、女はあからさまに値踏む視線でキリトを眺めまわす。

大したことないと判断したのか、紅い唇に嘲るような笑みを浮かべた。

 

???「あんたもその子にたらしこまれた口?見たトコそんなに強そうじゃないけど。」

俺は思わず吹き出しそうになった。この女、自分がキリトよりも強いと思っているのかね?

こんな場所で弱い者虐めしている辺り、そこら辺のチンピラレベルだろう。

キリトは女を完全に無視し、今にも泣きそうなシリカの肩に手をのせると、宿屋の方へシリカを促した。

俺も黙ってその後に続いた。女が何か言ってたがどうでもよかったのでスルーした。

 


 

《風見鶏亭》の1階は広いレストランのようだ。

奥に空いている席を見つけたので、シリカを座らせる。

その間にキリトはフロントでチェックインを済ませてくれたようだ。

 

キリト「まずは食事にしよう。」

チェックインの時に注文も済ませたのか、キリトが席に着くとすぐに、ウェイターが飲み物を持ってきた。

シリカ「……おいしい……。」

シリカちゃんがボソッと呟くように言った。この味はホットワインか?

父さんから旨い酒の飲み方を教わっていたのが功を奏したようだ。

……まさか本当にゲームの中で実践することになるとは思ってもいなかったが。

 

ハジメ「キリト、こいつは一体……?」

聞くと、キリトはにやりと笑って答える。

キリト「NPCレストランはボトルの持ち込みもできるんだよ。《ルビー・イコール》って言ってな。

カップ1杯で敏捷力の最大値が1上がるんだぜ。」

ほう、あの酒か!大盤振る舞いしてきたな!俺自身ステータスが高すぎるので飲む機会はなかったが……

これはこれでアリだな!

 

シリカ「そ、そんなに貴重なものを……。」

キリト「酒をストレージの中に寝かせてても味が良くなるわけじゃないしな。

俺、知り合いが少ないから、開ける機会もないし……。」

……アスナがいたら、料理に使いたがっただろうな。

そんな俺の感想も知らずに、キリトはおどけたように肩をすくめる。

それを見てシリカは笑いながら、カップをゆっくりと飲み干す。

すると、今まで笑顔だったシリカの表情が暗く沈み、やがてポツリと呟く。

 

シリカ「……なんで……あんな意地悪言うのかな……。」

ハジメ「シリカちゃんは……ネットゲームは、SAOが……?」

シリカ「初めてです。」

ハジメ「そっか。まぁ、どんなネットゲームでも、人格が変わる奴もいるからなぁ……。

こればっかりは、そいつ自身に問題があるからどうしようもないんだよ。」

シリカ「そうなんですか?」

ハジメ「ゲーム制作の立場から言わせてもらうと、"いらん喧嘩の要因を作るな"って感じだけどな。」

キリト「デバック作業、お疲れ様です。」

ハジメ「ぶっ飛ばすぞ?」

そんなじゃれ合いをしつつ、更に続けた。

 

ハジメ「……とにかく、善人になる人、悪人になる人……。それぞれいる。ただ……」

シリカ「ただ……?」

ハジメ「デスゲームになってしまったというのに……

盗みや殺し、いわゆる《オレンジプレイヤー》や《レッドプレイヤー》と呼ばれる奴等が多すぎるんだ。」

怒り交じりの俺の言葉に、シリカは言葉を失ったようだ。

 

キリト「俺は、ここで悪事を働くプレイヤーは、現実世界でも腹の底から腐った奴なんだと思ってる。」

ハジメ「同感だな。まぁ、俺はオレンジもレッドもまとめてぶちのめすだけだが。」

てかキリト、なんで自虐っぽい表情なんだよ。お前もそんな奴じゃないだろうに。

その視線に気づいたのか、キリトが、すまない、といった風に軽く笑った。

 

キリト「……俺も、とても人のことを言えた義理じゃないんだ。人助けなんてろくにしたこともないしな。仲間を――見殺しにしたことだって……。」

ハジメ「あれは向こうの自業自得だろう。それに、今の仲間はそんなに信用ないか?」

俺がそういうと、キリトはハッとなり、呟くように、ごめん、と言った。

全く……一体全体どうしたというんだ?

すると、その様子を呆然と見守っていたシリカが、キリトに優しく言った。

 

シリカ「キリトさんは、いい人です。あたしを、助けてくれたもん。」

そして、シリカはテーブルの上で固く握られたキリトの手を、両手でギュッと包み込む。

キリトは驚いて目を見開くが、すぐに穏やかな微笑を顔に浮かべる。

 

キリト「……俺が慰められちゃったな。ありがとう、シリカ。」

途端、シリカの顔が真っ赤に染まる。どうやら、自分のやっていることの大胆さに気付いた様子。

慌てて手を放すと、両手で胸をぎゅっと押さえた。

 

キリト「ど、どうかしたのか……?」

……この唐変木め。後でアスナに報告してやろ。

身を乗り出して聞いてくるキリトに、シリカは首をぶんぶんと大げさに振り、ぎこちない笑顔を作る。

 

シリカ「な、なんでもないです!あたし、おなか空いちゃった!」

NPC「お待たせしました。」

と、ナイスタイミングなのか偶然なのか、NPCのウエイターがちょうど配膳にやってきた。

シチューと黒パン、デザートにシリカおすすめのチーズケーキとなかなかの味だった。

食事を終えた後は、明日に備えて各自解散。

偶然にも俺達がとった部屋がシリカの取った部屋の隣で、顔を見合わせて、笑ったものだ。

 


 

ハジメ「キリト、目的はあの女と取り巻き共か?」

ベットに腰かけ、装備の確認をしているキリトに、俺はキリトの言っていた《目的》について聞いてみた。

キリト「……気づいていたのか。」

ハジメ「何となくね。それで?どうしてそんなことになったのさ?」

そこから、すっかり休憩モードに入って緩んでいた顔を引き締め、話し始める。

 

キリト「おとといの話なんだが、俺はある依頼を受けたんだ。」

ハジメ「……被害者からか。」

キリト「ああ、10日前に38層のフィールドで《シルバーフラグス》っていうギルドが襲われて、リーダー以外の全員が殺された。」

ハジメ「やはり、か。となると、奴らはレッドスレスレのオレンジ、といったところか。」

キリト「ああ、名前は《タイタンズハンド》だ。」

ハジメ「さっきの女との関連性は?」

キリト「あのロザリアという女性プレイヤーがリーダーで間違いない。」

ハジメ「猶更都合がいいな、遠慮なくぶっ飛ばせる。」

と、潜む敵への警戒を強めようと思っていたその時。

 

―コンコン―

控えめにドアが叩かれ、会話が中断される。誰だろうと思い、ドアを開けると、部屋着だろうか?

軽装のシリカがいたので、少し驚いた。

 

ハジメ「あれ、どうかしたの?」

シリカ「あの――ええと、その、あの――よ、47層のこと、聞いておきたいと思って!」

ハジメ「それもそうか。キリト、折角だしここで話すか。」

と、振り返りキリトを見ると、キリトは困ったように頭を掻いていたものの、そのうち「まあ、いいか」といった風に、頷いた。

 

シリカちゃんを部屋の中まで招き、椅子に座らせる。

その間にキリトは何やら準備していて、テーブルの上に小さな小箱を出現させた。

それを展開させると、中には小さな水晶が埋め込まれていた。

 

シリカ「きれい……。それは何ですか?」

キリト「《ミラージュ・スフィア》っていうアイテムだよ。ハジメなら持っているんじゃないか?」

ハジメ「ああ、マッピング情報売買に重宝している。たしか攻略済みの……ッ!」

その時、ふと視線を感じた俺は、咄嗟にドアの方へ体当たりをした。

 

???「ドギャス!?」

なんとも情けない悲鳴を上げ、ドアと壁の間にサンドされていたのは、先程の女の取り巻きだったか。

取り敢えずこれ以上聞かれるのも面倒なので、簀巻きにして宿の屋上に吊るしておいた。

 

シリカ「な、何……!?」

キリト「……話を聞かれていたな……。」

シリカ「え……で、でも、ドア越しじゃあ声は聞こえないんじゃ……?」

ハジメ「聞き耳スキルを上げてる場合はそうでもない。上げてる奴はそんなにいないが……。」

 

俺はそう言うと、キリトとシリカを先に部屋に戻らせた。

気付かれた以上、こちらがそれ相応の索敵スキルを持っているのは相手も承知の上だろうが、もう一度やってこないとも限らない。

というわけで、ここからは"サイレント"の魔法とマップ、説明は俺が持ってきたペンとプラカードでやることにした。

 

準備が完了し、キリトは手早くアイテムを操作する。

すると、水晶が青く発光し、その上に円形のホログラフィックが出現した。

そこには、47層丸ごとが表示されている。

そこには、街やフィールド、ダンジョンまでもが立体的に描写されている。

デフォルトで搭載されているマップとはえらい違いだ。

 

シリカ「うわあ……!」

キリト『ここが主街区だよ。で、こっちが思い出の丘。

この道を通るんだけど……この辺には厄介なモンスターが……』

因みに、俺は外の見張りをやっている。相手がまた見張りを仕向けてこないとも限らんしな。

 

ハジメ「ふああ……眠い。」

5分ほどしただろうか、キリトがドアを開けたので説明は終わったのかと思い、部屋に入る。

シリカ「……すぅ。」

ハジメ「あらら。」

そこには見事、気持ちよさそうな顔で熟睡するシリカちゃんの姿。

 

ハジメ「キリトがベットを使いなよ。俺は寝袋使うから。」

キリト「いいのか?てか、何処で手に入れたんだよ、そんなもの。」

ハジメ「裁縫得意な人に言い値で縫ってもらった。」

キリト「そ、そうか……。明日は7時でいいか?」

ハジメ「勿論だ。それじゃお休zzz……。」

キリト「早ェよ!」

そんなキリトのツッコミを聞きながら、俺は寝袋の中で目を閉じるのであった。




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

シレッとユナを助けた上にエイジ君のアフターケアまでした我が魔王。
これでオーディールスケールでの事件は未然に防がれた、という訳だぁ!
この後もちょこっと出てはきますが、本作ではちょい役なので戦闘や会話の描写はありませんが、最後まで二人とも生存は確定ですので、ご安心を。
後何故サンバのリズムなのかというと、キョウリュウジャーとホホホイが同時に頭の中に浮かび上がったからです。

そして大量にスキルストックが可能という、チート過ぎるハジメさん。
でも殆どが使用する機会がないので、これらが活躍する機会はもっと後になります。描写がないだけで。
エクストラスキルの説明文は、うp主の頭の中の祝福の鬼に書いてもらいました。
ディーラースキルに関しては、あったらほしいなと思い、入れてみました。
さて、シリカは無事にピナを生き返らせることができるのでしょうか?待て、次回。

次回予告

ハジメ
「使い魔の蘇生アイテムのあるダンジョンへと足を踏み入れるハジメ達一行。
シリカは、凶悪なモンスターに気圧されそうになりながらも、勇気を振り絞って進む。
はたして、彼女は相棒を生き返らせることができるのだろうか?
そして、彼女を狙う悪が動き出すとき、二人が本領を発揮する!
刮目せよ!黒と黄金が織りなすシンフォニーを!

次回 ソードアートオンラインfeatジオウ
双剣7"黒と黄金の Unrival!~小さな勇気、蕾開く時~"」

この先の物語は、何がいいですか?

  • SAO編の続き
  • 推しの子二次創作
  • ISギーツクロス
  • 次はFATEに行ってみようぜ!
  • このすばにぶっこんでみようや
  • ワンピいこうぜ
  • じゅじゅつだいじに
  • ジョジョにまかせろ
  • ブロリーMAD
  • ヒロアカがんばれ
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  • はめつのおうこくなんてなかった…
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