うp主の妄想による、息抜きサブストーリー 作:天元突破クローズエボルハザード
「
ヒースクリフの正体について知っていたハジメは、互いにボロを出さないように激闘を繰り広げるも、あと一歩のところで敗北してしまう。
そして約束通り血盟騎士団に加入したハジメは、相変わらずの日々を送っていた。」
アスナ
「ちょっとハジメ君!まだ仕事溜まっているんだから、あらすじやるなら仕事も進めてやって!」
ハジメ
「……はい。それじゃあ、暇なのか部屋のソファーに寝転がっていたキリトに後任せるわ。」
キリト
「暇って……いや、今日は相談事があってて、アスナを待っていただけだよ。」
ハジメ
「もうお前ら付き合っちゃえよ!」
キリト
「いや、でも俺なんかでいいのかなって……。」
アスナ
「もう、今回のキリト君はとってもかっこよかったんだよ?」
ハジメ
「はいはい、惚気はその辺にしてっと。双剣15、それではどうぞ!」
副団長就任から数週間たったある日、アスナとダンジョン内の調査に行った帰りに、「50層に寄らせてほしい」というアスナの要望で、55層のギルドホームに帰る前に一旦50層に寄ることにした。
その為の転移門広場に向かっていると、見慣れた紅白の甲冑姿が目に入った。
アスナ「……クラディール、何でいるのよ。」
???「幹部方の命を受け、お二人の護衛をするために参りました。」
本部からの護衛という形で派遣されてきたという奴のは、血盟騎士団内でも名腕の両手剣使いらしいというこの男、クラディールだった。
腕自体はそこそこ良く、攻略メンバーの一員でもあるのだが、かたっ苦しくて面倒なのが本音だ。
ハジメ「ハァ……別にあの程度で護衛なんざいらん。前にもそう言ったが?」
クラディール「お二人は、ご自分の立場というものをもう少し弁えて頂きたい!
副団長という立場はそれほど重いのです!」
いや、お前は他にも仕事あるだろ。そっちを優先しろよ。暇なのか?それに、アスナも不機嫌だし。
アスナ「とにかく、わたしたちはもう圏外に出る気はないから、護衛は結構です!」
クラディール「……アスナ様。」
ハジメ「50層で用事済ませたら、さっさと帰る。だから護衛は必要ない。これで分かったか?」
分からないようならただのアホだな。
クラディール「では、私も同行いたします。」
……これ、マジで面倒くせぇ。
50層主街区《アルゲード》の表通りから少し外れたところにある、エギルが営む雑貨屋。
今回はそこに用事があったらしい。アスナは時折足を運んでおり、俺も時たま顔を出しに行っている。
後ろにいる奴さえいなけりゃ上機嫌で世間話出来るのにな~、なんてことを考えていると、目的地に着いたようだ。
……って、うん?店のドアが開いている。先客か?そう思ってみれば、見慣れた黒衣が。
すると、俺が声をかけるよりも早く、アスナが軽く肩を叩き声を掛けた。
アスナ「キリト君。」
声を掛けられた相手であるキリトは、振り向きざまにアスナの手を取るとこう言った。
キリト「シェフ捕獲。」
アスナ「はい?」
ハジメ「……シェフ?」
いきなりと手を掴まれ、良く解らないことを言われれば不審にも思うだろう。
訝しげな目線を惜しげもなくキリトに向け、離すよう促すと、特段気にした風もなく、パッと手を放す。
キリト「珍しいな、アスナ。こんなゴミ溜めに顔を出すなんて。」
オイオイ、店長本人目の前にいるのにズバッと言うな……。てか、そこまで酷くはないと思うが?
エギルの方はアスナに「お久しぶりです」と声を掛けられると、キリトの余計な一言を気にしていない様子を見せた。
アスナは、先ほどのキリトの言葉の真意を探るべく、話を進めていた。
アスナ「それで、さっきのシェフどうこうって何なのよ?」
キリト「あ、そうだった。お前いま、料理スキルの熟練度どのへん?ハジメも序に教えてくれよ。」
俺序かい。てか、料理スキルについて聞くってことは……レア食材か?
アスナ「聞いて驚きなさい。先週
キリト「なぬっ!」
ハジメ「おぉ~、アスナちゃんもか。俺も一昨日辺りにやっとコンプしたよ。」
キリト「マジか!……その腕を見込んで頼みがある。」
?キリトが突然、手招きをしてきたので、アスナと一緒に近づく。
十分ウインドウの見える位置に行くと、キリトはウィンドウを可視モードに変更する。
そこに表示されていたアイテム名を見た瞬間、俺もアスナも驚きで目を丸くした。
ハジメ「オイオイ、こいつァ、とんでもねぇもん持ってきてくれたなァ……!」
アスナ「こ……これ、S級のレア食材じゃない!?」
なんと、キリトが見せたアイテムは、末端市場価格で10万コルは下らないとんでもないレア食材《ラグーラビットの肉》だったのだ。
これまで俺もS級食材の《フロストワイバーンの肉》を丸焼きで食っていたものの、これの調理法がなかなか見つからなかった。
そこへキリトの《ラグーラビットの肉》という、どんでん返しだ。俺も味が気になる。
しかし、S級食材をまともに調理しようと思えばスキルレベル900はいる。
だからこそ、キリトは「シェフ捕獲」と言ったのだろう。
キリト「取引だ。こいつを料理してくれたら一口食わせてや――」
キリトが言い終わらぬうちに、そこは《閃光》と言ったところか。
目にも止まらぬ速さでキリトの胸倉をつかむと、半ば数cmの距離で言い放つ。
アスナ「は・ん・ぶ・ん!!」
そんなアスナの気迫に押し負けたキリトはこくりと頷く。
それを見たアスナは「やった!」と、それは大層大喜び。
少し残念そうな表情のキリトだが、すぐさま「まあいいや」と立ち直ると、ウインドウを消去し、エギルの方に向き直ると言った。
キリト「悪いな、そんな訳で取引は中止だ。」
エギル「いや、それはいいけどよ……。なあ、オレたちダチだよな?な?オレにも味見くらい……。」
キリト「感想文を800字以内で書いてきてやるよ。」
エギル「そ、そりゃあないだろ!!」
この世の終わりのような、嘆きを見せるエギル。ならば、俺も虎の子で対抗だ。
ハジメ「なぁ、キリト。ドラゴンの肉と「前食べたからいいや。」オイ……。」
コイツ、あれだけ食いまくっておいて……と思ったその時。
アスナ「ドラゴンのお肉?私も気になるわね……見せてくれる?」
救世主はここにいた。早速俺の切り札を見せる。
アスナ「ハァ!?《フロストワイバーンの肉》!?それもこんなに!?」
ハジメ「いやぁ、なんか大量に死蔵していて……冷凍処理はしてあるよ?良かったらあげようか?」
アスナ「いいの!?じゃあ……ハジメ君にも一杯だけなら……。」
そう言ってアスナがキリトを見れば、キリトも「仕方がないか。」というように首を振った。
フッ、戦略的大勝利だ!
エギル「な、なあ……ハジメ。オレたちってダチだよ、な……?」
あ、忘れてた。
ハジメ「……スマン、《フロストワイバーンの肉》あげるから、それで手打ちってことで。」
エギル「うそだろ、おい!!」
まぁ、なんだ、ドンマイ、エギル。
そう思いながら、キリトと二人店を出ようとしたところで、アスナに止められる。
アスナ「それで、料理するのはいいけど、どこでするつもりなのよ?」
キリト「あ……。」
ハジメ「それもそうだった……。」
言わずもがな、キリトはこの層の宿どまり、俺はギルドホームに寝泊まり状態。
片やまともな調理器具なし、片や一度S級アイテムなど調理しようものなら人がわんさか集まりかねない場所。
一応、俺には別荘という名の最前線基地があるが……あそこには調理器具は簡素なものしかない。
まともなものはギルドホームに移転させてしまったからなぁ……。
そんな俺達を、アスナは呆れた視線で見やりつつ、言った。
アスナ「それじゃあ、今回だけ食材に免じてわたしの部屋を提供してあげなくもないけど。」
よし、飯はまた後日にしよう。二人っきりでせいぜいイチャラブするがいい!
そう思いながら、報告を理由に後日に回してもらおうと口を開こうとしたら、先にアスナがクラディールに対し口を開いていた。
アスナ「今日はここから直接《セルムブルグ》まで帰ります。
報告は後日また上げるので、護衛はここまでで、幹部の人たちにもそう伝えておいてください。
お疲れ様。」
途端、我慢の限界というようにクラディールが叫ぶ。
クラディール「ア……アスナ様!
こんなスラムに足をお運びになるだけに留まらず、素性の知れぬこの男をご自宅に伴うなどと、と、とんでもないことです!」
そう大仰に叫ぶクラディールに、俺達は呆れてものも言えなかった。
アスナ「このヒトは、素性はともかく腕だけは確かだわ。
多分あなたより10はレベルが上よ、クラディール。」
クラディール「な、何を馬鹿な!私がこんな奴に劣るなどと……!」
憎々しげにキリトを見やるクラディール。しかし、やがて何かに合点がいったかのように薄く笑う。
クラディール「そうか……お前、確か《ビーター》だろ!」
……羽虫風情が。その名を軽々しく口にするんじゃねぇよ。
ビーター、それはキリトがとある事件でつけられたあだ名だ。
それも、元βテスター達へのヘイトを全部受けて、つけられたものだ。それを嘲笑うなど……!
キリト「ああ、そうだ。」
キリトが、無表情で肯定すると、クラディールはさらに勢いづく。
クラディール「アスナ様、こいつら自分さえ良きゃいい連中ですよ!
こんな奴と関わるとろくなことがないんだ!」
今までキリトが抱いてきた苦悩を知らないクラディールは伝え聞いたであろうビーター、キリトの悪行を告発するようにアスナに言い放つ。
もう限界だ、そう思った俺は殺気を放ち、言った。
ハジメ「クラディール、そこまで俺の親友を馬鹿にできるというのなら、貴様はコイツよりも活躍できる自信がある、ということでいいんだな?」
クラディール「も、勿論ですとも!」
ハジメ「そうか……なら今から、ドワーフタイプを500体討伐しに行くぞ。」
俺がそういうと、クラディールは顔を青くし始めた。
クラディール「ご、500!?それは……」
ハジメ「無論、異論は認めん。あれだけの威勢だったんだ。当然、行くよなぁ?」
俺の威圧に、しどろもどろに「し、しかし……」と口をパクパクさせるクラディール。
勿論、俺は遠慮なく襟首を引っ掴み、そのまま引きずっていく。
ハジメ「嫌ならとっととホームに行くぞ。今度無駄口叩き出したら……分かっているな?」
冷たい声色で言い放ち、無理やり黙らせる。そのままゲート広場へ向かうことにした。
後で、「食事の件、また後日でもいいよ。余った分でもいいから、楽しみにしているよ!」とメッセージを送っておいた。
すぐさま、「わかったわ。」と返信があり、何とか二人のイチャつきを死守できたのだった。
その夜、アスナからこんなメールが届いた。
『キリト君をパーティーに誘っちゃったので、明日の9時に74層の転移門広場にお願いします。』
……これでよし、漸くあのフロアボスに挑める。そう思った俺は、明日に向けてぐっすり寝るのだった。
翌日、7時に起きて日課のトレーニング、30分後に朝食と出立準備、あまりにも早かったので、8時半までギルドで時間を潰すことにした。
団員の皆と情報交換しつつ、書類業務をチャッと済ませ、漸く8時半になったので、待ち合わせ場所へ向かった。
そして約束の時間の10分前、キリトが来た。
しかし、そこから更に20分、約束したアスナ本人はまだ来ない。
キリト「遅い……。」
キリトがそう漏らす。まぁ、女の子だし、色々と準備があるんだよ、きっと。
と、その時。背後で既に何でも見送った転移の際の青い光が発生した。
そしてその後を予知で確認した俺は、サッと避けた。
アスナ「きゃああああ!よ、避けて――!」
キリト「うわああああ!?」
普通なら地面に接地したまま転移するはずのところを、空中約2mから飛び出してきたアスナが、こちら目掛けて吹っ飛んできた。
キリト「な……な……!?」
俺は回避に成功したが、キリトは見事巻き込まれて吹き飛ばされた。
そして、二人は盛大に地面を転がり、数mといったところで制止する。
ちょっとして衝撃から回復したらしいキリトは上に跨るアスナをどかそうと右手を伸ばした。
あっ……キリトがとんでもない個所を掴んだ。
アスナ「や、や――――っ!!」///
見事にラッキースケベをかましたキリトは、胸を揉まれたアスナに一撃を食らい、数mはぶっ飛ばされた。
すげぇな、アスナ。あれなら体術覚えても違和感なさそう。
そんなアスナはというと、その後素早く身を起こし、胸の前で固く腕を組んでいる。
無論その眼は殺気立っていた。やれやれ、キリトめ。朝っぱらから見せつけおって……。
そして張本人のキリトはというと、ようやくと自分が何をやらかしたかに気付いたらしく、やり場のない右手を開いたり閉じたりとしながら、強張った笑みとともに口を開いた。
キリト「や……やあ、おはようアスナ。」
お前さぁ……昨日のアレとは違った意味で、もう呆れて何も言えなくなった。
当然、アスナの目に浮かぶ殺気は俄然強くなる。こりゃどうしたものか。そう思っていたその時、
ハジメ「!」
背後の転移門が青く輝きだし、誰かが転送されてくることを告げる。
瞬間、ハッとした表情を浮かべたアスナはキリトを無理矢理立たせ、その背後に周りこむ。
転移門から現れたのは……昨日もいたロン毛だった。
少し辺りを見て、キリトとその後ろに隠れるアスナを見付けると顔を歪ませる。
クラディール「ア……アスナ様、勝手なことをされては困ります……!」
上ずり、妙にヒステリックじみた声で更に言い募る。
クラディール「さあ、アスナ様、ギルド本部に戻りましょう。」
アスナ「嫌よ、昨日の件はもうハジメ君が報告してくれたでしょ!
……大体、アンタなんで朝から家の前に張り込んでるのよ!?」
おい、完全に通報案件じゃねぇか。アスナも早く言ってくれればいいのに。
クラディール「ふふ、どうせこんなこともあろうと思いまして、私一か月前からずっとセルムブルグで早朝より監視の任務に就いておりました。」
何やってんだコイツ。
ハジメ「いや、得意げに言われてもキモイとしか言いようがねぇよ。
てか、団長からそんな指示なかっただろ。」
馬鹿なの?と遠回しに言うように聞けば、漸くこっちに気づいた。遅ぇよ。
すると何を勘違いしたのか、ロン毛は自分の行動をさも当然だと立証するかの如く意気揚々と語ってきた。
クラディール「ハジメ様!!私の任務はアスナ様の護衛です!それには当然ご自宅の護衛も……!」
アスナ「ふ……含まれないわよバカ!!」
ハジメ「倫理観バグってんじゃねぇか?キリト、お前もこのアホに何とか言ってやってくれよ。」
当然の罵倒に、ロン毛は苛立ちの表情を受かべ、急にアスナの腕を掴もうとした。
が、その手は他の者の手で叩き落される。勿論、その手はキリトの手だ。
キリト「悪いな、アスナは今日は俺の貸し切りなんだ。」
ひゅう~言うようになったねぇ~。やっぱお前等、どぅえきてるぅ~な?アスナも乙女の顔だしぃ。
そんな気障ったらしい挑発的なキリトの台詞に、ロン毛は、更に顔を歪める。
クラディール「貴様ァ……!」
軋むような声で唸り、怒りと怨嗟からか常軌を逸した表情のロン毛。
キリト「アスナの安全は俺らで責任持つよ。別に今日ボス戦をやる訳じゃない。
本部にはアンタ一人で行ってくれ。」
クラディール「ふ……ふざけるな!!貴様のような雑魚プレイヤーにアスナ様の護衛が務まるかぁ!!
わ……私は栄光ある血盟騎士団の……!」
キリト「アンタよりはまともに務まるよ。」
ハジメ「同感だ。ロン毛、お前の言動はどう見てもおかしいだろ。」
ツープラトンのトドメの一言に、顔面蒼白のロン毛は、右手を振りながら、震えた声で返す。
クラディール「ガキィ……
そ、そこまででかい口を叩くからには、それを証明する覚悟があるんだろうなぁ……!?」
ウインドウを操作しているが……デュエルの申請か。すると、キリトがチラリとこちらを見る。
勿論、異論はない。"やってしまえ"そう思い、二人頷く。
キリト「……いいのか、ギルドで問題になったりしないか……?」
小声で聞いてくるキリト、心配する辺り、コイツもアスナに惚れているなぁ~。
ハジメ「構わん、寧ろ盛大にへし折ってやれ。団長も理解してくれるだろう。」
そう言ってサムズアップする。それに安心したキリトはデュエル承諾アイコンを押す。
すぐに60秒のカウントが始まり、邪魔になるということで俺達は少し離れる。
クラディール「ご覧くださいアスナ様!私以外に護衛が務まるものが居ないことを証明してみせますぞ!」
あーはいはい、さっさと始めて―。どうせキリトが勝つんだし。
そんな芝居がかった口調の大声に、ギャラリーも続々と集まり始め、どこからか声が上がる。
「ソロのキリトとKoBメンバーがデュエルだとよ!!」
その声にまたぞろぞろと観客たちが集まり始め、歓声や口笛等で辺りは結構な騒ぎだ。
やがてカウントはどんどんと減っていき、一桁台にまでなると観客たちも目の前で行われる剣技を見逃さぬようにと静まり返る。
その後すぐに【DUEL!!】の文字が紫の閃光とともに弾ける。
おっと!キリト選手、一瞬早く動き出した!ロン毛もそれに続いてます!しかし、初手が遅れましたね。
さて、ロン毛が初撃に選んだのは、両手剣上位剣技《アバランシュ》のようだ。
威力・範囲ともに優秀な上段突進技で、回避されてもその突進力も手伝ってかなりの距離を取ることができる技だ。
それ故、使用者に立ち直りを許してしまうと、なかなかに優秀な高レベル剣技だ。
それに対しキリトは、片手剣下位の上段突進技《ソニックリープ》を初撃に選んでいた。
このままぶつかれば、ソードスキルの威力差でキリトが押し負けるだろう……普通ならな。
キリトの狙いがロン毛自身でないことすら知らない、ロン毛本人は、狂喜の表情を浮かべて、大きくその両手剣を振りかぶり、オレンジのエフェクト光を発しながらキリトに対し突っ込む。
キリトも黄緑色の閃光を描きながら、斜めに剣を引く。
技と技がぶつかり合うと思われたその瞬間、一瞬早く動き出していたキリトの剣技がロン毛の持つ両手剣の横腹に炸裂する。
凄まじい量の火花と、耳を劈くような金属音を撒き散らし、ロン毛の両手剣はその半ばからぽっきりとへし折れた。
そのまま空中ですれ違い、デュエル開始前とは逆の位置で着地する。
折れた剣先が2人の中間の石畳に突き刺さる。
直後、その剣先とロン毛の持つ下半分が無数のポリゴン片となって砕け散る。
―システム外スキル《
技の出始めか出終わりの、武器の攻撃判定が消失したタイミングで、その武器の構造的に脆い部分・方向からソードスキルを叩き込まれた際に稀に発生するものだ。
狙って行うことは難しいが、今回の場合は相手の両手剣が装飾重視の脆めの剣だったので、成功したようだ。
デュエルが終わってしばらくはギャラリーも静かだったが、キリトが剣を払うと、わっと歓声が巻き起こる。
アスナに「行ってあげたら?」と背中を押して上げ、俺はロン毛を門前払いしに行った。
そして歓声の中、キリトは剣を鞘に納めながら、ゆっくりと項垂れるロン毛に近づく。
キリト「武器を替えて仕切り直すなら付き合うけど……もういいんじゃないかな?」
白いマントに包まれた背中がわなわなと震せるロン毛。すると、奴は度し難い凶行に出た。
なんと奴は、ガバっと身を起こし、短めのダガーを手にキリトに迫った。
が、当然その行動は筒抜けなので、俺が間に入り、即座にダガーをへし折った。
ハジメ「いい加減にしろ。
以前からの行き過ぎた行為に飽き足らず、勝手な言いがかりで神聖な騎士道に泥を塗りやがって……。」
クラディール「な、私は「黙れ。」……!」
有無を言わせず、俺は判決を下す。
ハジメ「今日を持って、貴様はアスナの護衛役の任から解任。
後日幹部会議にて処分を決めるまではギルド本部で待機しておけ。これだけのことをしたんだ。
最悪、ギルド除名も覚悟しておけよ?いいな?」
殺気を放ちながらそう言えば、漸く諦めたのか、転移門の方へ歩き始める。
その最中、ゆっくりとキリトに向き直ると、目に相当の憎悪を浮かべ、言った。
クラディール「貴様……殺す……絶対殺すぞ……。」
ハジメ「おいロン毛、さっさと行け!」
俺がまた殺気を放って言うと、それにビビッて転移門の中へと消えて行った。
全く……無駄口叩いている暇があるなら、鍛錬くらいやっておけという話だ。
ギャラリーたちも、クラディールの毒気に当てられたか、暫く静止していたが、やがて三々五々と散っていき、最後に俺達が残された。
キリト「ちょっと異常だぞ、アイツ……。」
ハジメ「いや、あれはちょっとどころじゃねぇよ。」
アスナ「……ごめんなさい、嫌なことに巻き込んじゃって。」
めっきり疲れたような声で、俺達に謝ってくるアスナ。別にアスナが悪いわけじゃないのに……。
ハジメ「まぁ、アスナちゃんはアスナちゃんで頑張ってきたわけなんだ。アレが異常なだけだよ。
そう気に病むなって。」
キリト「そうそう。それに、アスナみたいな人がいなかったら、攻略はもっとずっと遅れていたよ。
ソロでダラダラやってる、俺が言えたことじゃないけど……。」
キリト、お前はまたそうやって臭いセリフを……一体そういうのはどこから出てくるんだ。
キリト「だから、アスナもたまには、俺みたいないい加減なのとパーティー組んで息抜きくらいしたって、誰も文句言わないだろ。」
キリトの言葉に、アスナはぽかんと瞬きを数度繰り返してから、半分苦笑交じりに頬を緩めた。
アスナ「……ありがとうと言っておくわ。じゃあ、お言葉に甘えて今日は楽させてもらうわね。
ハジメ「そりゃあいい。キリト、助かるよ。」
キリト「いや、ちょっと、
そんなやり取りをしつつ、俺達は迷宮区タワーに続く道を歩き出した。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
今回はラグーラビットから始まる、キリト君の軌跡です。
アスナと二人っきりでのイチャラブの模様は、作者の都合で省かれてしまいましたが、アニメ版以上の親密度になったと思って想像していただけると幸いです。
それ以外はほぼ原作と同じなので、割愛いたします。
さて次回、キリト君の十八番が炸裂する!乞うご期待を!
次回予告
ハジメ
「74層のボスに挑まんとするハジメ・キリト・アスナの3人。
そんな中、ハジメたちはある人物と久々の再会を果たすものの、その一方で、面倒ごととの遭遇も果たしてしまう。
漆黒の狂乱悪魔が咆哮するとき、キリトの二刀流が炸裂する!刮目せよ、黒の剣士の流星乱舞を!
次回 ソードアートオンラインfeatジオウ
双剣16"黒き剣士のWild Dance!~流星の双剣、彩る世界~"」