うp主の妄想による、息抜きサブストーリー   作:天元突破クローズエボルハザード

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ハジメ
SAO(ソードアートオンライン)という名の、デスゲームと化した仮想世界≪アインクラッド≫にて、ハジメ・キリト・アスナの3人は、第1層地下のダンジョンにて、謎の少女ユイの正体が茅場のプログラムしたシステムだという、衝撃の事実を知ってしまう。
それでもユイを愛するキリトとアスナ。ユイも二人と共に生きることを望む。
しかし、それを良しとしない制御システムが、ユイを抹消しようと迫るも、ハジメが真の力の一端を開放。
見事ユイの抹消を阻止し、親子の笑顔はこうして守られたのであった。」
キリト
「そういえばハジメ、あの時の代償ってどれくらいあったんだ?」
ハジメ
「えぇ~っと……スキル大半とHPだな。でも最低限の生活スキルは何とか残っていたよ。」
キリト
「大半って……どんだけ持っていたんだよ。」
ハジメ
「確か失ったのが、木工、彫金、調合、大工、音楽、絵画、釣り、収集、騎乗、威嚇、挑発、索敵、隠蔽、水泳、聞き耳、料理、後鍛冶に鑑定だな。
弱体化したのが農業くらいで、戦闘に関するスキルは……あ、いくつか弱体化してる。」
キリト
「いや、多いな!?てか、スキルなくてもお前は大丈夫そうなんだが……。」
ハジメ
「暇すぎて死ぬ。」
キリト
「そんな死に方する奴なんていないだろ……。」
ハジメ
「まぁ、今日は最後のほのぼの回だ。双剣19.5こと幕間、どうぞ!」


双剣19.5:釣りバカ日誌~迫る決戦、最後の作戦~

キリト「…なぁ、ハジメ、釣れたか?」

ハジメ「ぼちぼちだな、でもこんな小魚じゃあなぁ……。

前はもっとでかい奴が取れたって噂だったんだがな……?」

そう言いながら、俺は湖を見つめる。やはり釣りスキルをあの時犠牲にしたせいか、腕が鈍ったか……。

いや、アレでユイちゃんが助かったんだ。必要経費だった、そう思っておこう。

 

さて、何故俺達が釣りをしているかというと、ユイちゃんのおねだりが事の発端だった。

あの日から消去の心配もなくなったユイちゃんは、年相応に元気いっぱいだった。

それはもう、キリトとアスナが以前のようにバーストストリームできなくなるくらい。

そしてそんなユイちゃんが、元の世界の料理について聞いてきたので、色々と上げてみた。

その結果、刺身や寿司に興味を持ったので、魚を釣り上げようということになった。そして現在に至る。

 

キリト「ハジメはまだいいよ、俺なんか餌だけ掻っ攫れていくもんな……。」

ハジメ「……しょうがない、場所変えてみよう。」

そう言って釣り具を片付けていたその時、後ろから誰かがやってきているのを感じたので振り返ると……。

 

ハジメ「アレ?ニシダさん?」

???「おぉ、ハジメさん。お久しぶりです。」

やってきたのは、先日もキリト達に手を振っていた中年男性のニシダさんだった。

実を言うと、俺の作物をよく取引してくれる人で、この世界で唯一知り合いの、釣りの名士だ。

 

キリト「なぁ、ハジメ、その人は?」

ハジメ「あぁ、こちら、ニシダさん。知り合いの釣りの名士さんだよ。よく、作物と物々交換していてね。

それで知り合ったんだ。」

ニシダ「どうも、ニシダです。普段は東都高速線の保安部長をしております」

キリト「キリトです…。東都高速線と言うと?」

ニシダ「ええ、このゲームのセキリュティシステムを担当しております。っと!」

そう言ってニシダさんは竿を勢いよく振るい、餌を放り投げた。

 

ニシダ「そういえば、お二人とも。どうです、釣れてますか?」

キリト「いや~……それが、坊主でして……。」

ハジメ「連れても小魚ばかりですね……。

ちょっとエラーに巻き込まれて、釣りスキルリセットされちゃったせいで、鈍っちゃったみたいです。」

ニシダ「はっはっはっは!それは勿体無いですなぁ!おっ!引っかかった!」

ニシダさんはそう言うと、竿を引き上げ、かなりの大物を釣り上げた。

 

ハジメ「お見事!さっすが、釣りのニシダさん!」

キリト「おぉ…!すげぇ!」

ニシダ「んー釣れるには釣れるんですが、どうも料理がねぇ……。

刺身にして頂きたいものですが、醤油がねぇ…

醤油があれば煮付けや焼き魚を大根おろしと一緒にと言うのも…。」

それを聞いた俺達は顔を合わせ、妙案を思いついた。

 

キリト「あの!ニシダさん、心当たりが一つ、あるんですが…」

ニシダ「な、なんですとーーー!?」

よし、ニシダさんフィィィッシュ!

 


 

ニシダ「ったっはぁ!堪能しました!まさかこの世界に醤油があるとは!」

俺達はニシダさんをキリトとアスナ達の家に招き、釣った魚で魚のフルコース料理を作ることにした。

良妻賢母にして台所の女神、アスナの料理スキルが存分に使用された魚料理はどれも絶品だった。

カルパッチョにスープ、刺身に寿司、そして煮付けとしばらく忘れていた魚料理を堪能した。

ニシダさんは勿論、ユイも大喜び、その日の食事はとても賑やかで、自然と笑みが溢れていた。

 

ニシダ「いやぁ~……堪能しました!まさかこの世界に醤油があったなんて……!」

アスナ「ふふっ、自家製なんですよ!もしよろしかったらお持ちください!」

ニシダ「え?!いいんですか!ありがたいですなぁ…!」

ハジメ「じゃあ俺も、酒のつまみにぴったりの枝豆です!」

ニシダ「おぉ、これはまた、ありがとうございます!」

キリト「何でも育ててんなー……この前はマスカット作ってたよな。」

ハジメ「ワインは明日ごろには50年ものビンテージができるよ。」

キリト「作ってたんかい!?」

そんなやり取りをしつつ、食後のデザートを口にする。

 

アスナ「それにしても、釣りスキルお高いんですね〜。キリト君なんてロクに釣った試しが無いんですよ?」

キリト「……あの辺の湖はレベルが高すぎるんだよ。」

ユイ「いえ、それは違います、パパ。」

ハジメ「?違うって……あの湖はまだ序の口ってこと?」

するとユイは首を横に振り、衝撃の事実を告げた。

 

ユイ「難易度が高いのは、パパと王様がいた湖だけです。」

キリト「なっ!?」

ハジメ「うそーん!?」

道理で釣れないわけだよチクショウ!

 

ニシダ「えぇ、ユイちゃんの言う通りです。

キリトさん達が釣れておられたあの湖だけが難易度が高いんですよ。」

キリト「なぜ…そんな設定に…?」

ニシダ「そう!それなんですよ!!」

突然、ニシダさんが興奮した様に身を乗り出した。

 

ハジメ「何か理由を御存じで?」

ニシダ「えぇ。あの湖、ヌシがおるんですわ…!」

キリト「ぬ、ヌシ…?」

アスナ・ユイ「「ぬ、ヌシ〜!?」」

ユイちゃんとアスナは興奮してその話題に食いつくが、キリトは胡散臭そう、と言った様子で紅茶を啜る。

……成程、ヌシがいれば納得がいく。

 

ニシダ「私も何度かヒットさせことがあるんですがねぇ……

如何せん力が強くて、竿ごと取られてしまいました……。」

成程、要は釣るときのパワーさえあれば、ヌシを引っ張り出せるってわけか。

 

ニシダ「そこで!物は相談なのですが……。」

ハジメ「ほうほう……いいでしょう、その提案、乗らせてもらいます!」

ニシダさんの提案に乗った俺達は、早速準備を開始するのだった。

 


 

ニシダ「えー!皆さん、それでは今日のメインイベント、ヌシ釣り大会を始めたいと思います!」

「いよっ!待ってました!」

「頑張れ!ニシダ!」

翌日、例のヌシと呼ばれる超巨大水生型モンスターを釣る為、ニシダさんと俺達はイベントを開くことにした。

かなりのギャラリーがいる事から、ヌシの存在はかなり有名である事が伺えた。

 

ユイ「すごい人ですね!ママ!」

アスナ「うん、そうだね!…こんなに沢山の人達がヌシの事を知っているんだ…。」

ユイ「パパも王様も頑張ってくださいね!」

キリト「おう!」

ハジメ「まかせろ~!」

そう言って、俺達二人はニシダさんの側による。餌にするトカゲは中々に大きかった。

 

キリト「なっ…どんだけデカいんだよ……。」

ハジメ「さっ、配置につくぞ。」

そして、針が水面に入る事、数十秒早くも竿が何者かに引かれる。

 

キリト「…あの…?来たんじゃ「しっ。」……。」

ニシダ「まだまだ……。」

そうして更に待っていると、漸くその時が来た。

 

ニシダ「…!!来ました!」

キリト「スイッ…チ…っおおおお!?」

ハジメ「ッ!?ジオウでも引かれるのか!?」

現状最強のグランドジオウで掴んでいるのに、今にも引っ張られそうだ。

それほどヌシの引く力は強く、危うく水面に引きづられそうになる。

 

ハジメ「だったら!」

『フィニッシュタイム!グランドジオウ!オールトゥエンティタイムブレーク!』

ハジメ「だぁらしゃあぁぁぁあああい!!!」

一気に力を込めて勢いよく、竿を引いた。すると、巨大な影が見えてきた。

 

ハジメ「……キリト、後頼む。スイッチ。」

キリト「なっぁぁぁぁあにぃぃぃぃぃっ!!?」

同時に、未来予知で危険を察知した俺は、キリトにスイッチで竿を渡し、自分はすぐさま距離をとった。

また引かれかけたものの、キリトは何とか持ち直し、引っ張り続ける。

その隙に、俺は避難し遅れた他のプレイヤーを奥へと退散させる。

 

キリト「お、おい!何だよ…!?」

そしてその時、釣り糸がぷっつり切れてしまった。

キリト「っ!!ああああっ!!」

思わず岸辺の方へ確認しに行くキリト。が、それは悪手だった。

 

アスナ「キリト君危ないよー!」

ユイ「パパ!離れてください!」

キリト「えー!?なんで………どあわあっ!!?」

2人がキリトに逃げる様促すが、時既に遅し。巨大なモンスターが岸辺を破壊し、キリトの眼前に現れた。

 

キリト「…なっ…!」

ヌシ「グオオオオオオオオッ!!!」

そしてそのモンスターが咆哮を上げた瞬間、キリトは凄まじい形相と逃げ足で此方まで逃げて来た。

 

キリト「ウワァァァァァァァァァァァァア!?!?!?!?!?」

いや、ギャレンかお前はw。そんな情けない叫び声でこちらに戻ってきたので、思わず笑ってしまった。

キリト「お、おい!ずるいぞ!3人で勝手に逃げるなよ!」

ユイ「あはははは!!ご、ごめんなさい…!パパ…!お、面白すぎました…!アハハッ!!」

ユイちゃんが腹を抱えながら笑っているのもあり、キリトは少し苦い顔をしていたものの、自慢の愛娘が笑顔ならと我慢したようだ。

 

ニシダ「ちょ、ちょっと!此方に向かって来ますよ!?」

声が裏返る程慌てた様子でニシダさんが叫ぶ。

水生型モンスターはまるで肺魚の様に地面を這いつくばりながら此方へ迫ってくる。

 

ハジメ「あぁ、大丈夫です――もう、切っちゃいましたし。」

ニシダ「へ?」

そう言いながら、俺はいつの間にか取り出した、抜刀状態の逢魔を鞘にしまい始め、スキル名を口にした。

 

ハジメ「"雪崩歌、涼み斬り"!」

瞬間、先程までこちらに向かってきていたモンスターが、納刀と同時に凍り付いた。

そして、その体が幾重にも割かれ、ドロップとしてストレージにしまわれた。

 

「す、すっげぇ!!!!」

そして、案の定、周りにいたギャラリーは歓声を上げて、こちらにやってきた。

「アンタ、ジオウのハジメさんだろ!?普通に戦ってあれって、強すぎでしょ!」

「俺、昔っからのヒーローファンなんです!ハジメさん、マジリスペクトっす!」

「いつもマッピングデータや的確な指導、お世話になっています!」

多いな……あ、いつの間にかアスナのとこにまで行ってるし。

 

ハジメ「いやぁ~、今日はたまたま友人と休暇で来ておりまして……。」

そう言いながら手を振り、ギャラリーへのファンサービスも忘れない。とその時だった。

ハジメ「!」

ヒースクリフからのメッセージが届いた。

それは、このゲームのエンディングを飾る、最後の決戦の幕開けの合図だった。

 


 

【キリトサイド】

 

アスナ「ほーら、いつまでもクヨクヨしてない!落ち込んでないで行くよ?」

キリト「だってさ〜まだ二週間だぜ…?」

アスナ「休暇中の私達を呼び戻すなんて、よっぽどの事なんだよ……。」

キリト「それはそうだけどさ……。」

だとしても、空気を読んでほしい。そんなことを思う俺は現在、ベッドの上でうだっている。

何故かって?折角の新婚休暇中にあのヒースクリフからメッセージが来たからだ。

 

ユイ「パパー!元気出してください!私も王様と一緒に着いて行ってきますから!」

ユイもそう言って、俺を励ます。その辺りはハジメが何とかできるらしい。

なんでも、空っぽのカードにユイが入れるように改造し、そのカードさえ持っていけば、いつでもユイが一緒にいられるようになった、らしい。

ハジメ曰く、「カードだけどストレージにも入れれるし、ユイちゃんも自分の意思で出入り自由だから、緊急時には自分で逃げられるから大丈夫。」とのこと。

もう何でもありなんじゃないかと思えるほどの手際の良さだった。

 

アスナ「もうハジメ君も準備終わらせてグランザムに戻ってるよ。」

キリト「…うーーー……。」

だが俺は、どうしてもここから離れたくないらしく、呻き声をあげる。

 

アスナ「話を聞くだけでも聞いてみよ?ね?そして、色々済ませたらすぐに戻って来ようよ。」

ま、そうだな。すぐに終わらせればそれでいいんだし…。

キリト「…分かったよ…それじゃあ、行くか。」

俺はユイをおぶり、共に部屋を出た。

そして、俺はこの時、知る由もなかった。

 

このSAOの、この家の中で過ごす最後の時間となることに…

 


 

ハジメ「遅かったな、キリト。」

キリト「あれ?ハジメ、グランザムに行ってたんじゃ無いのか?」

ハジメ「なに、あの団長様のことだ。

どうせまた無茶難題吹っ掛けてきそうだったし、ここで時間潰してただけだ。」

まぁ、正直行きたくない気持ちは俺も同じなんだけどな。とその時。

 

ニシダ「おーい!キリトさん、アスナさん、ユイちゃん、ハジメさーん!」

向こうからニシダさんが走って来た。

荒い息を吐きながら、やって来た辺り、急いで見送りに来てくれたようだ。

 

ニシダ「いやいや、間に合いましたな…。」

キリト「わざわざありがとうございます…。短い間でしたが、楽しかったです。」

ニシダ「いえ、此方こそ!」

ユイ「またいつか釣りしましょう!」

ユイちゃんが俺達の間から愛くるしい笑顔で言い、ニシダさんも優しい笑みで応えてくれた。

 

ニシダ「うん、そうだね!

……実は、私、貴方方お三人に会うまで、攻略組の人々とは別世界に感じられていたんです。」

それもそうだ。エンジョイ勢とガチ勢では、どうしても軋轢が生じてしまう。

特に、ガチ勢には大人げない奴もいて、エンジョイ勢でもお構いなしに嬲るバカもいるほどだし。

 

ニシダ「…このゲームに囚われて早2年。

仮にこのゲームから解放されても、今更会社に戻れるかどうかもわからない。

内心、ここからの脱出を諦めていたのかもしれませんなぁ…。

それならばいっそ、この世界で竿を振った方がマシだと……情けない話ですが…。」

キリト「いえ…そんな…そんな事…!」

キリトが、そんな事絶対無い、と言おうとしたその時、アスナが口を開いた。

 

アスナ「…私も……私も最初の頃はおんなじことを考えて、毎晩部屋に閉じこもって泣いてました…。

この世界で一日過ぎる度に、私の現実がどんどん壊れていっちゃうような気がしたんです。

それが、とても怖かった……でも、ひとしきり泣いた後は、戦いに明け暮れました。

勝って、前に進んで、兎に角強くなることだけを考えて、日々日々戦いに励んでいました…。」

アスナ……俺達の知らないところでそんな苦悩を抱えていたとはな……。

 

アスナ「でも、そんなある日、広場の木の下の芝生で昼寝をしてる人を見かけたんです。」

……うん?これってキリトのことか?

 

アスナ「私頭に来ちゃって、時間を無駄にするなって怒ったんです。

そしたら、『今日はアインクラッドで最高の季節で、最高の気温設定だから、こんな日に迷宮区に潜ってちゃ勿体無い』って言い返されて…。

試しに私も横になってみたら、ぐっすり眠れました。……起きたら夕方で呆れた顔されたんですけど。」

そんなこともあったな。全く、あの時は圏内PKでごたごたするなんて予想だにしなかったしな。

そんな当事者のキリトは、照れ臭そうに頭を掻いている。そして俺もそのことで説教した。

寝るなら寝るで、お腹に布くらいはかけておきなさい、と。

 

アスナ「でもそうやって、一緒にパーティーを組むうちに、気づいたんです。

彼はこんな世界でも、ちゃんと生きてる。

現実世界で1日無くすんじゃなくて、ここで一日積み重ねて、今を生きてるって……

それを教えてくれたのが、こちらのキリト君です。」

そう言ってアスナは、キリトの左手を強く握る。惚気るねぇ~。

 

アスナ「彼のことを思いながら寝ると、嫌な夢を見なくなったの。彼に会えるのが楽しみになった!

初めてここに来て、良かったって思えた…!

キリト君は私にとって、ここで過ごした2年間の意味であり、生きた証です…!」

そう言って嬉しさのあまり涙ぐむアスナ。それにしても熱いねぇ~。と、今度はこちらを見た。

 

アスナ「そして、こちらの、ハジメ君…それと私達の大切な子供、ユイちゃん…

キリト君の他にこの2人に出会って、私は大きく変わることができたんです…!

大切な事を教えてくれた大好きなキリト君に、ちゃんと想いを伝えることができたのはハジメ君のお陰。

そしてハジメ君とキリト君とより強い絆で結ばれる事ができたのは、このユイちゃんが笑顔でいてくれたから…

そして、キリト君は私にこの世界で生きる歓び、楽しさ、いろんな事を教えてくれ、私を愛してくれました…!」

う~ん、流石にこそばゆい……ユイちゃんが嬉しそうだし、いいか。

 

キリト「それは違うぜ、アスナ…愛してくれました、じゃなくてこれからも愛してくれる、だ。

俺の方こそ、アスナが支えてくれたから、今、こうして幸せにいられる。

ユイが笑っていられるから、より強くなれた。

勿論、今まで助けてくれたハジメのおかげでもあるけどな…。」

照れくさかったので、思わずキリトの脇腹を小突いた。そのせいか生暖かい目で見られた。なんでさ。

 

アスナ「キリト君、うん…そうだね…。

それで、今、私がいるのはこうして、大好きなキリト君や、ユイちゃん、大切な仲間であるハジメ君とこうして出会う為、今なら分かるんです。

今ここにいる皆に出会うために私はあの日、ナーブギアを被ったんです!

ニシダさんにも、きっと大切なものがあるはずです。」

それを聞いたニシダさんはうっすらと涙を流しながら、頷いていた。

 

ニシダ「……そうですなぁ、本当にそうだ…。

人生、捨てたもんじゃ無い、捨てたもんじゃ無いですなぁ…。」

ニシダさんは俺達の手を握って、呟いた。

 

ニシダ「私にできることは何もありませんが、兎に角皆さんを応援しています…!頑張ってください!」

キリト「はい、また一緒に釣りしましょうね!」

ハジメ「今度また大物釣ったら、皆でパーッとしましょう!」

俺達は別れの挨拶を交わし、転移門に並び立ち、言った。

 

ハジメ・キリト・アスナ「「「転移!グランザム!!」」」

 


 

キリト「偵察隊が、全滅……!?」

グランザムに戻って来た俺達は、ヒースクリフの元へ赴き、何が起こったのかを聞いた。

そしてその内容は、激戦の予感を告げるものであった。

 

ヒースクリフ「…来たるボス戦に備え、5ギルド合同のパーティを20人で編成し、ボス部屋に送り込んだ。

作戦では、10人が後衛としてボス部屋入り口で待機し……最初の10人がボスと相対することになっていた。

だが……彼等が最初に部屋の中央に到達して、ボスが出現した瞬間、入り口の扉が閉じてしまったのだ。」

キリト「クリスタル無効化エリアか……!」

成程ねぇ……とうとう自作自演でも本気出してきたか。

 

ヒースクリフ「ここから先は後衛の10人の報告になる。

扉は5分以上開かなかった。鍵開けスキルや直接の打撃等何をしても無駄だったらしい。

ようやく扉が開いた時――」

ヒースクリフの口許が硬く引き結ばれ、一瞬瞑目する。

 

ヒースクリフ「部屋の中には、何も無かったそうだ。10人の姿も、ボスも消えていた。

転移脱出した形跡もなかった。念の為、黒鉄宮まで確認しに行かせたが……」

その先は言葉なく、ただ首を左右に振るだけだったが、結果は10人全員の死亡なのは明らかだ。

 

ハジメ「それで、俺達を招集した、と。

でもこれって、今後全てのボス部屋の調査が不可能になった、とも見て取れますよね?

茅場にとっては、プレイヤーは害虫のようなものですかね?だとしたら、とんだ大迷惑の天災ですね。」

少し挑発して、揺さぶりをかけてみる。が、眉はピクリとも動かず。

 

ヒースクリフ「だからといって、ゲーム攻略を諦めるわけにはいかない。

今回のボス戦、脱出が不可能という構造ならば、統制の取れる範囲で可能な限り大部隊を編成して当たるしかない。」

はぁ、やれやれ……どうせなら100までソロで行きたかったが……仕方がないか。

 

キリト「協力はさせてもらいますよ。

でもパーティがピンチになった時はパーティ全体よりも俺はアスナとハジメの安全を優先します。」

ハジメ「おいおい、俺はまだ本気じゃないんだぜ?最高最善の魔王、甘く見るなよ?」

ヒースクリフ「ふふっ、何かを守る時、人は強くなるものだ。君達の勇戦に期待する。」

ヒースクリフからの話は終わり、漸くユイちゃんを実体化させる。

 

ユイ「ママ!」

ユイは勢いよくアスナに抱きつき、アスナはそんなユイを優しく撫でる。

アスナ「攻略開始まであと3時間か…どうしよっか?何か美味しいものでも食べに行く?」

とアスナがキリトに尋ねるが、キリトの顔はどこか暗い。

 

アスナ「どうしたのよ…?」

キリト「…アスナ、ハジメ、怒らないで聞いてほしい…

今回の攻略、2人は参加しないで待ってもらえないか…?」

ハジメ「ダメだ。」

全く……所帯持ってちったぁ強くなったと思ったらこれかい。このもやしメンタルめ。

 

ハジメ「俺はお前等を無事元の世界に返す、そしてまたユイちゃんとも会えるようにするって誓ったんだ。

相手が茅場だろうとエイリアンだろうと、それまでは…いや、それからも死なねぇよ。」

キリト「ハジメ……。」

すると、俺の言葉にアスナも続いた。

 

アスナ「ハジメ君の言うとおりだよ。

キリト君はそんな危険な場所に一人で行って、もしも帰ってこなかったら、私達はどうすればいいの?

私はきっと自分を許せなくなるし、ユイちゃんだってきっと悲しむよ?

…キリト君は…私達を悲しませたいの…?」

アスナがやや怒り気味にそう言うと、キリトは顔をうつむかせ、涙声になりながら言った。

 

キリト「ごめん…!俺弱気になってる…!本心では皆で逃げたいって思ってるんだ…!

現実世界に戻れなくてもいいから…あの森の家でハジメを毎日呼んで、ユイと一緒にアスナの美味しいご飯を食べて、ハジメの育てた果物を食べて、楽しく暮らしたい…!」

アスナ「…うん…そうできたらいいね…毎日、一緒に、いつまでも……。」

アスナは静かに呟き、不安な表情で呟く。

 

アスナ「ねぇ、キリト君は考えたことある?私達の現実(本当)の体がどうなっているか。」

ハジメ「…そう言えば、俺は異世界から来たから起こらなかったが、この世界で数週間たった頃か、殆どのプレイヤーが数時間の間、回線切断する事件があったな…。」

アスナ「えぇ、多分その時、私達の身体は病院のベッドに移されたんだと思う…。

でも、私達の体が、どうにか病院のベッドで生かされてるって状態だとしたら……。」

そこから先はアスナは口を噤んだ。つまり、キリト達には時間制限があるってことか。

 

キリト「それじゃあ…クリアできるできないに関わらず、タイムリミットは存在するって…事なのか…。」

その時のキリトの顔はまさに絶望、と言った物だった。茅場の悪趣味も大概にしてほしいものだがな……。

その時、アスナがキリトに抱きつき、泣きじゃくった。

 

アスナ「私!私!一生キリト君の傍にいたい…!ちゃんと、お付き合いして…!本当に結婚して…!

共に歳をとって生きていきたい!

…そしてその側に、ユイちゃんとハジメ君も一緒にいて、楽しく暮らしたい!…だから…!だから…!」

キリト「…今は…戦わなきゃいけないんだな…!」

そうだ、だからこそやるんだ。奴を終わらせるためにも。

 

ハジメ「……あぁ、ここで終わらせる。その為にもキリト、協力してほしいことがある。」

キリト「?何だ?」

ハジメ「俺達にしかできないことだ。

アスナちゃんとユイちゃんはどこか、適当にレストランで席を取ってもらえないか?

話を終えたら、直ぐにそっちに行くから。」

今回の作戦のカギは、キリトになる。俺は露払いだ。

 

アスナ「?わ、わかったわ…ユイちゃん、行こ?」

ユイ「王様…?」

ハジメ「大丈夫、すぐ行くから」

そう言って、二人を先に部屋から出した。

 

キリト「それで?その作戦って?」

ハジメ「……こっからは最後の賭けになる。

だが、奴を向こうからこっちに引きずりおろせば、ゲームをクリアできるかもしれない。」

キリト「奴?」

不思議そうに尋ねるキリトに、俺はその名を告げた。

 

 

ハジメ「ゲームマスター、茅場晶彦を……!」

キリト「!?」

 




ここまで読んでいただき、ありがとうございます!

今回は釣り大会の模様を入れてみました。オリジナルソードスキル?勿論前々回同様ワンピースネタです。
ユイちゃんを最終決戦へ連れていくアイデアとして、今やっているガッチャードを見て、「これ、ちょうどいいんじゃね?」と思い、ケミーカードのデータをガッチャーンコさせちゃいました。
そして皆さん、ついにお待たせいたしました!次回ついに、ハジメさんが王凱武装します!お楽しみに!

次回予告

ハジメ
「75層のフロアボスを討伐するため、ハジメたちはレイドを組んで挑むことに。
その激闘の最中、ハジメとキリトはある作戦を実行する。果たして、その作戦の目的とは!?
黒幕の正体が明かされる時、剣士の少年は勇気の剣を振るう!そして、ハジメの真の力が今、全開放される!
目撃せよ!最後の戦いの幕開け、そして最強王者の生誕を!

次回 ソードアートオンラインfeatジオウ
双剣20"正体はGame Master!?~降臨、最強王者~"」
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