うp主の妄想による、息抜きサブストーリー 作:天元突破クローズエボルハザード
「
見事ヌシを吊り上げて仕留めたものの、ヒースクリフから突然の招集命令が下される。
釣り師ニシダに別れを告げ、ハジメ一行はフロアボス攻略へ向かうことに。
そしてこの先の未来への不安を隠せないキリトとアスナの為に、ハジメは起死回生の策を開始するのであった!」
キリト
「それで、タイミングはどれくらいにする?」
ハジメ
「それはだな……――のタイミングで~~~するんだ。」
キリト
「成程、それなら確かにうまくいきそうだ。」
アスナ
「二人ともー、早くしないとご飯冷めちゃうよー?」
ユイ
「パパ―!王様―!私、おなかがすいちゃいましたー!」
キリト
「はーい、今行く!……それじゃあハジメ、手筈通りにな。」
ハジメ
「あぁ、ばっちり任しとけ。さて、そろそろ行くか。」
キリト
「おう。さて、どうなる双剣20。」
――翌日。
75層主街区コリニアのゲート広場には、既に数十ものプレイヤーが集まっていた。
俺達3人がゲートから出ると、皆それぞれ緊張した顔つきでこちらを見てくる。
皆が皆、今日の戦いには不安が尽きないのだろう。まぁ、それも今日終わるから安心してほしいが。
一方、キリトは慣れてないのか大いに戸惑って立ち止まっている様子だった。
しょうがなしに先に歩いてやると、目線の先には見慣れた顔が2つあった。
クライン「よォ!」
ハジメ「クラインさん、エギルさん、お久しぶりです。」
キリト「なんだ……お前らも参加するのか。」
エギル「なんだはねえだろうよ……。」
雑に処理されながらも、長年の付き合いもあってか、その仲は良好に見える。
エギル「今回はえらい苦戦しそうだっていうから、商売投げだして加勢に来たんじゃねえか。
この無私無欲の精神を少しは見習――」
すると、エギルの言葉を肩にポンと手を置くことで遮ったキリトは、それはそれは満面の笑みで返した。
キリト「無私の精神はよーく解った。じゃあお前は戦利品の分配から除外していいのな?」
エギル「いや、そ、それはだなぁ……。」
ハジメ「キリト、あんま他所様を虐めんなよ……。」
全く……自分だってついさっきまでヘタレまくっていたというのに……。
そんなやり取りに、クラインさんやアスナは思わずと腹を抱える。
それは周囲のプレイヤーにも伝播し、皆の緊張も少しは解れたようだ。
そんな時、転移ゲートから真紅の甲冑に巨大な十字盾を構えたヒースクリフと、血盟騎士団の精鋭たちが現れる。
聖騎士とその配下4名は、ごった返すプレイヤーを二つに割りながら真っすぐこちらの方に歩いてきた。
面倒だがその感情を表には出さず、敬礼を交わす。
やがてヒースクリフは集団の中心に立つと、皆を一様に見やり、言葉を発した。
ヒースクリフ「欠員はないようだな。よく集まってくれた。状況は既に知っていると思う。
厳しい戦いになるだろうが、諸君の力なら切り抜けられると信じている。――解放の日の為に!」
その力強い叫びに呼応するように、プレイヤーたちは拳を掲げ応じる。
すると、ヒースクリフがこちらを見て頷きかけてきた。俺も何か言えってか。やれやれ、乗ってやるか。
そんなわけで、ヒースクリフの立つ集団の中心に立つと、俺は大声で叫んだ。
ハジメ「ここにいる全員に告げる!俺から言うことは唯一つ!死ぬな!勝って、生きて、また帰って来い!
これが最後?いいや、ここから始めてやるんだ!俺達というデスゲーム生還伝説を!
先に散っていった者たちの思い、後から続く者たちの希望、そして、今を生きる俺達の力を、茅場に見せつけてやれ!」
そう言って逢魔を掲げれば、プレイヤー達も勢いよく応える。
ヒースクリフ「では、行こう。目標のボスモンスタールームの直前場所までコリドーを開く。」
また入れ替わりで集団の中心に立ったヒースクリフは、回廊結晶を掲げると「コリドー・オープン」と発声した。
応じるように結晶は砕け、ワープゲートが生成される。
ヒースクリフ「では皆、ついてきてくれたまえ!」
こちらを見渡し、ヒースクリフは身に纏うマントの裾を翻すと、先導してワープゲートの中に飛び込んでいく。
続くように、KoBのプレイヤー、それ以外と続いていき、残されたのは俺達だった。
ユイ「パパ!ママ!頑張ってくださいね!」
キリト「おう!攻略が成功したら家族でどこか行こうな!」
アスナ「うん!次は美味しいスイーツのお店にも行こっか!」
キリト達は家族での会話を終え、ユイちゃんをカードにしまうと、ストレージに収納した。
ハジメ「さぁ、ここからが……ハイライトだ。」
それを見ていた俺は、ベルトとウォッチを取り出し、変身した。
『ジクウドライバー!』
『ジオウ!』
『グランドジオウ!』
『(アークル)(オルタリング)アドベント!COMPLETE!ターンアップ!(音角)CHANGE BEETLE!
ソードフォーム!ウェイクアップ!カメンライド!サイクロン!ジョーカー!タカ・トラ・バッタ!3・2・1!
シャバドゥビタッチヘンシーン!ソイヤッ!ドライブ!カイガン!レベルアップ!ベストマッチ!
ライダータイム!』
ハジメ「変身!」
『ライダータイム!仮面ライダージオウ!』
『グランドタイム!』
『クウガ!アギト!龍騎!ファイズ!ブレイド!響鬼!カブト!電王!キバ!ディケイド!
ダブル!オーズ!フォーゼ!ウィザード!鎧武!ドライブ!ゴースト!エグゼイド!ビルド!』
『祝え!仮面ライダーグランドジオウ!』
ハジメ「……最後のボス部屋だ…!」
そう言って俺は、歩みを進めようとしたその時、ふとキリトの方を見た。
キリトの剣を握り締める手はどこか震えていた。やはり、未知の脅威に対する不安はあるか……。
アスナ「大丈夫だよ…。」
その時、アスナがその手を握り優しく呟いた。
アスナ「どんな事があっても私がキリト君を守る、だからキリト君も私を守ってね…!」
キリト「あぁ、もちろん…!」
……心配無用か、さっさと先行くか。南雲ハジメはクールに行くぜ……。
転移の妙な感覚を味わった後、光が晴れた先にはもうボス部屋の扉だ。
2年前、懐かしの第1層のボス部屋前でもみんなこうして集まり、決意を新たにしたものだったが、今日はあの時以上の覚悟で戦いの覚悟を固めている。
「壮観、だなぁ……。」
「ああ……。」
皆もそれは同じのようで、思い思いのポーズで決意を新たにしているようだった。
それらに終わりが見えた頃、ヒースクリフが皆の中央で装備をガシャリと慣らし、言った。
ヒースクリフ「皆、準備はいいかな。今回、ボスの攻撃パターンに関しては情報がない。
基本的にはKoBが前衛で攻撃を食い止めるので、その間に可能な限りパターンを見切り、柔軟に対応してほしい。」
皆、それに無言でうなずく。
ヒースクリフ「では――行こうか!」
あくまでいつもの調子で言うと、ヒースクリフは無造作にボス部屋の大扉の前に歩み寄ると、右手をドアに掛けた。
攻略組全員、緊張の一瞬だ。
ハジメ「クラインさん、エギルさん、ご武運を。」
クライン「ふっ、そっちこそ!」
エギル「今回の戦利品で一儲けするまで簡単にくたばる気はねぇぜ!」
ハジメ「俺もですよ。」
そんな軽口を返し、今度はキリト達に声をかける。
ハジメ「うっかり死ぬなよ、二人とも。」
キリト「当たり前だ。このゲームをクリアするまで……俺は死なない。」
アスナ「ええ……ユイちゃんの為にも、絶対に生き残るわ。」
ハジメ「だな。」
二人が力強く言い返した直後、大扉が地響きを立てながらゆっくりと開いていく。
それを合図に、皆一斉に抜刀する。俺も逢魔を腰に、サイキョージカンギレードを手にする。
最後、抜刀したヒースクリフが、右手の長剣を掲げ、叫んだ。
ヒースクリフ「――戦闘、開始!」
『おおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!』
そのまま開いたドアに向かって突撃していったので、全員がそれに続く。
部屋の内部は円形のドーム状で、広さもかなりある。
そうして、攻略メンバー33人全員が部屋に入り、陣形を作ったその時――
背後の大扉が凄まじい勢いで閉まった。
これで脱出は不可能。ボスを倒すか、この場の全員が死ぬまで、この扉は空くことはない。が、
「…?…何も起こらないぞ…」
一人の兵士がそう呟く。だが、俺にはお見通しだ。
ハジメ「全員、上に攻撃だ!」
『キング!ギリギリスラッシュ!!!』
そう言ってサイキョージカンギレードを上へと振り抜けば、骨百足の破片がバラバラになって落ちてきた。
しかし、それらは他にもドームの天頂部にいた。百足を思わせる、全身骨のみで構成された体躯。
しかもその体節ひとつひとつからは、骨剥き出しの鋭い足が伸びている。
さらにその体を追って視線を移動させると、眼窩が二対四つに、縦に細長い形をした歪んだ頭骨。
その脇からは鋭い鎌状の骨の腕が付きだしている。
固有名《The Skullreaper》、骸骨の刈り手ってか。
名に相応しい見た目の骨百足は、皆が驚きで固まり動けずにいる中、不意に全ての脚を大きく広げ――
落ちてきた。
ヒースクリフ「!…固まるな!距離を取れ!」
スカルリーパが動きよりも先に、ヒースクリフが全体に指示を出し、距離をとらせる。
だが、中に恐怖で足がすくみ動けない兵士達がいた。
ハジメ「ッチィッ!」
『キング!ギリギリスラッシュ!!!』
急いで俺が、再度落ちてきた個体に剣を振るう。
危ねぇ、もう少し遅かったら、さっきの衝撃で動けなかった彼等が真っ二つになっていた……。
茅場の馬鹿野郎、無茶苦茶なアップデートしやがって!ユーザビリティを考えろや!
ヒースクリフ「慌てるな!残すは後一匹だ!!」
ヒースクリフはそう叫び、降りてきた別の一体の鎌を、左手の十字盾で受けている。
耳をつんざくような音と腹の底に響く衝撃が伝わり、それを証明するように、大量の火花が散る。
しかし、骨百足の鎌は片方だけではない。右の鎌で再度、固まるプレイヤーの一団を狙う。
ハジメ「させねぇ!」
『オールトゥエンティータイムブレーク!!!』
平成ライダー最強フォームを一斉召喚、剣武器による斬撃で鎌を受ける。
並のプレイヤーには重すぎるが……俺には問題ない。鍛えてますから!
ハジメ「キリト!皆!今だ!」
キリト「あぁ!皆!二人が正面を押さえている間に、俺達は側面から攻撃するぞ!!」
そこから、ようやく本格的な攻略が始まった。
骨百足の攻撃の主力である大鎌を封じられたのが功を奏したのだろう。
とはいえ、それでも脅威的な骨百足の戦闘力は抑えられるものではない。
しかし、尻尾はキリトとアスナが抑え、タゲ集中は高速移動能力持ちのライダー達が請け負ってくれている。
ハジメ「よし、大体の攻撃パターンは読めた。
スカルリーパが辺りを一周して攻撃を仕掛け終わった時、15秒間、全部隊の半数は攻撃!
レッドゾーンにまで追い込んだら総攻撃だ!」
俺は指示を飛ばし、ヒースクリフに視線を飛ばすと奴も頷く。
この強大な敵との永遠とも感じられた長い長い戦い、結局戦闘開始から1時間後、とうとうスカルリーパをレッドゾーンにまで追い詰めた。
ヒースクリフ「!…総員突撃!!」
『おおおおおおおおおおおっ!!!』
全員が武器を振るい、スカルリーパの彼方此方を切り裂いて行く。
スカルリーパも徐々に虫の息になっていき、やがて反撃もままならなくなってきた。
ハジメ「これで……終わりだ!」
『オールトゥエンティータイムブレーク!!!』
頭上よりライダーキックの雨を降らせ、その醜悪な骸骨をポリゴン粒子に変え、撃破した。
ハジメ「つ、疲れた……!」
HPがガッツリ減らされてやがる……!茅場め、余計なことばかりしやがって……!
変身を解除し、取り敢えず貯蔵しまくっていたポーションをがぶ飲み、何とか体力を回復させる。
キリトとアスナは背中合わせになりながら座り込んでいる。
他のプレイヤーにも、勝利を喜ぶプレイヤーは誰一人としていない。
皆、部屋の床に座むか、倒れ込むようにして仰向けになるかをして、荒い息を繰り返している。
今回は何人生き残れたか、ふとそう思った俺はマップを起動させ、表示された緑の光点を数えてみた。
出発時のメンバーは俺達を除いて30人。表示された光点の数は――俺達含めて28人。
クソッ、5人も取りこぼしちまったか。
今回の戦いに挑んだメンバーは、攻略組の中でも屈指の実力を持つプレイヤーだった。
例え、離脱や瞬間回復等の手段が封じられても、生き残りを優先すればそう易々と死ぬことはない筈だった。
1/4残っている状態で残りを踏破か……タイムリミット的にもここでケリをつけるか。
そう思った俺は、キリトと目を合わせて頷き、ヒースクリフを見た。
奴は、他のプレイヤーが圧倒的疲労で倒れ伏す中、毅然と立ち続けていた。無論奴も無傷ではない。
HPバーが半分のイエローにまで減っている。
が、幾ら冷静沈着だからと言ってもこれはあまりにも無反応過ぎる。
ハジメ「(俺から、仕掛ける。)」
事前に相談したハンドサインでキリトに合図を送り、ジカンギレードをガンモードにして撃った。
ヒースクリフ「!?」
撃たれた対象、ヒースクリフは不意を突かれたものの直ぐに盾でガード。だが残念、そっちは囮だ!
その隙にキリトが勢いよく、ヒースクリフの胴体向けてソードスキル《バーチカル》を放った。しかし、
キリト「!」
ハジメ「やっぱりな……。」
本来なら貫かれるはずのその剣は見えない壁に弾かれてしまった。
そして標示されるのはユイも持っていた『Immortal Object』の文字。
ユイ「!パパ!王様!ヒースクリフ団長は不死属性です!」
ストレージから出てきたユイがそう叫んだ。
ヒースクリフが不死属性、その事実が知れ渡った時、辺りにどよめきが起こる。
そんな中でアスナが恐る恐る、ヒースクリフに尋ねた。
アスナ「…不死属性ってどういう事何ですか…?団長…?」
戸惑い、擦れたアスナの声にも、ヒースクリフは答えない。
ただじっと、こちらを見据えたまま佇んでいる。
ハジメ「決まってんだろ、奴自身が危機的状況に陥らないよう、システムで保護しているからさ。」
なので、代わりに俺が答え、キリトもそれに続いた。
キリト「この世界に来てからずっと疑問に思っていた事がある。
アイツは今、どこで俺達を観察し、この世界を調整してるんだろうってな……
でも俺は単純な心理を忘れていたよ、どんな子供でもわかる事さ…。」
ハジメ「そう、他人のやってるゲームを傍から眺めるほど、つまらないものはない。自分もやってみたい。
ゲーム開発者としては、最も単純な心理さ。そうだろう?ゲームマスター、茅場晶彦?」
そう言って俺は、逢魔を奴に向ける。すると、ヒースクリフは首を振って、吹っ切れたように問いかけた。
ヒースクリフ「ハハハ…。何故気づいたのか、参考までに教えてもらえるかな?」
ハジメ「いや、よく見れば誰でも気づくほどガバガバすぎたんだが。」
だって、色々と不自然過ぎただろ。
●圧倒的なまでの防御力。
●HPがイエロー以下にならない。
●超スピードによる驚異的反応
●先程のボスの攻撃力に対し、武器の耐久力が異常
勝負の時だけでも、これだけ簡単に浮かんできたぞ?それに、ボス攻略前のやり取りもあったからな。
キリト「なるほど……アイツが、茅場だったのか。それが本当なら、今までのことにも納得がいく。」
キリトと二人っきりになった後、俺は別荘の小部屋にてジャミングを周りに張り、キリトにトップシークレットの情報を開示した。
この辺りが使い所だと、直感が囁いたからだ。
ハジメ「あぁ、だがこれはある意味最後のカードだ。
これは奴を炙り出すまで、誰にも言わないでほしい。」
キリト「分かっている。それで、どうやって奴の正体を暴くんだ?」
ハジメ「俺が先制攻撃で盾を使わせて、キリトがその隙をつく、ってのは?」
キリト「それがいいな、よし、それで行こう。」
ハジメ「わかった、合図はこれで行く。《俺から、仕掛ける》って。」
キリト「了解。」
ハジメ「最初に怪しいと思ったのはデュエルの時だ。
幾ら手加減状態とはいえ、ジオウの力にそう簡単に対応できるわけがない。
それに、さっきからアンタはずっと立ち続けている。皆より強いだけじゃ、それは説明がつかないだろ?」
キリト「それに、ハジメの時だけじゃない。俺とのデュエルの時だってそうさ。
あの時のアンタ、あまりにも早過ぎたよ。」
茅場は成る程と言ったような素振りで言う。
ヒースクリフ「やはりそうだったか、あれは私にとっても痛恨事であった。
君達の素早さと攻撃力に圧倒され、ついシステムのオーバーアシストを使ってしまった。」
ここで初めて表情を見せるヒースクリフ。
ゆっくり一人納得したように頷くと、口の端を歪め、ほのかに苦笑し、自らの正体を自らの口で言った。
ヒースクリフ「確かに私は茅場晶彦だ。
付け加えれば、最上層で君達を待つ筈だったこのゲームのラストボスでもある。
予定では攻略が95層に達するまでは明かさないつもりだったのだがな。」
要はクリア直前で絶望に叩き落すつもりだったと……ふざけんな。
その言葉に、プレイヤーたちが絶望に呑まれる。
ハジメ「悪趣味も大概にしやがれ。
最強の味方が一転して最悪のラスボスなんざ、デスゲームにいらねぇ要素だろうが。」
怒りそのままに言葉強めに問い詰めるが、ヒースクリフは薄い笑みを浮かべながら肩をすくめた。
ヒースクリフ「なかなかいいシナリオだろう?
盛り上がったと思うが、まさか3/4で看破されててしまうとはな。
……君たちはこの世界で最大の不確定因子だと思っていたが、ここまでとはな。」
ハジメ「へぇ~、それで?褒美に死をくれてやるとでも?言っておくが、そう簡単にはいかねぇぞ?」
そう言って逢魔を構える。すると奴は、不気味な笑みを浮かべて話し始めた。
ヒースクリフ「最終的に私の前に立つのは君達だと予想していた。
二刀流スキルは全10種存在するユニークスキルの中でも、全プレイヤーの中でも最大の反応速度を持つ者に与えられ、その者こそが魔王を倒す勇者の役目を担うはずだった。
しかし……それはハジメ君が当初手にするはずだった。
それを何故か、キリト君が手にしたわけだが……これも君達の計画かい?」
キリト「!?」
いや、そんな意外だってこと聞かれても……。
ハジメ「俺にも分からん。ただ……この力を手にするのは俺ではなく、キリトだと直感で分かった。
それ以外は俺にも分からないよ。茅場も知らないってことは……運命か何かじゃね?
俺自身、二刀流出来るのに、ユニークスキルに出てこなかったし。」
キリト「そ、そんな簡単に解決していいのかよ……。」
呆れ気味に言うキリト。だって俺にもわからないもん。俺、全知全能ってわけでもないし。
ヒースクリフ「そしてハジメ君。君は何故か私がプログラミングしてないバグから生まれた。
それも未知の力で闘う謎多き戦士、仮面ライダージオウとして。
君達は私の予想を遥かに越す力を見せてきた、キリト君のストレージから出てきたMHCもその一つだよ。」
キリト「MHCじゃない…!ユイだ!」
ハジメ「人を嘲笑うのもいい加減にしろよ……!」
二人して殺気をぶつける。しかし奴は涼しい顔だ。とても癪に障る……!と、その時。
???「団長が……あなたが……貴様が……。俺たちの忠誠――希望を……よくも……よくも……」
ヒースクリフの背後で一人、ゆっくりと立ち上がるのが見えた。
立ち上がったのは、先日のクラディールの一件で降格されたゴトフリーに代わって、アタッカー部隊をまとめるサンザだ。
サンザ「よくもぉおおおぉおおおお――――ッ!!」
怒り、悲しみ、憎しみといった感情が複雑に絡み合った色を宿しながら、サンザはその手のクロススピアを握りしめ、それらを爆発させると、絶叫とともに地を蹴った。
瞬く間に距離を詰め、その手のクロススピアを突き立てんと茅場へと向かう。
だが、茅場の方が一瞬早かった。
背後のサンザを確認すると、手早く左手を振り、出現したウインドウを操作した。直後――
「っ!?」
「うっ!?」
アスナ「っ!?キリト…君…!」
突然、その場にいたキリト以外のプレイヤーが地面に倒れ伏し、カーソルをよく見れば全員が麻痺状態になっている。
しかし、悪い状況は更に続く。
ハジメ「!ドライバーとウォッチが…!」
いつの間にか、ジクウドライバーとウォッチが消えていた。それに加えて俺も麻痺状態になってしまった。
キリト「この場で全員殺して隠蔽するつもりなのか…!?」
キリトが剣を構えてそう訊くが、ヒースクリフは肩を竦めながら否定した。
ヒースクリフ「まさか、そんな理不尽な真似はしないさ。こうなっては致し方無い。
私は最上層の紅玉宮にて君達の訪れを待つとしよう。
ここまで育てて来た血盟騎士団、そして攻略組プレイヤーを途中で放り出すのは不本意だが、なぁに君達の力ならきっと辿り着けるさ。」
ハジメ「茅場…!」
……あぁ、そうか。お前がその気なら、こっちもその気になってやるよ!
ヒースクリフ「……だがその前に、キリト君、ハジメ君、君達には私の正体を看破した報酬を与えねばな。
チャンスをやろう。」
キリト「チャンス…だと…?」
ハジメ「ほぅ……そいつぁ、面白ぇじゃねぇか……!」
そう言って俺は立ち上がる。麻痺だったんじゃないかって?さぁな?
ヒースクリフ「!驚いた……まさか自力で立ち上がってくるとは……。」
ハジメ「俺への報酬はそうだな……最上階のボスと戦う権利、替え玉でもいいぞ?」
『!?』
この場にいる全員が驚いた。が、それでも俺は笑みを崩さない。
ヒースクリフ「……本気かね?」
ハジメ「あぁ、本気だとも。まぁ、サクッとクリアしてここに戻ってくるが、いいよな?」
キリト「ま、待てよ!ハジメ!」
キリトが慌てて止めようとするが、今回ばかりは俺も本気で行く。心配は無用だ。
ヒースクリフ「……いいだろう。なら、望み通りにしてあげようじゃないか。」
そう言って茅場がウィンドウを操作すれば、転移までのカウントダウンが始まった。
キリト「ッ!茅場!」
ハジメ「キリト!」
キリト「!」
心配無用――その印のサムズアップを掲げる。
ハジメ「直ぐに戻るさ。だって俺……最強だから!」
その言葉と共に、俺は100層のボスエリアに転移させられた。
ハジメ「さてと……ここがラスボスの場所?」
俺の眼前に広がっていたのは、赤一色の神殿のような広い場所だった。
恐らくここが、奴が先ほど言っていた最上階《紅玉宮》なのだろう。
その証拠に、最奥に歪な女神の様なモンスターが鎮座していた。しかも体が超デカい。巨大ロボ並みに。
名前は『|An Incarnate of the Radius《アン・インカーネイト・オブ・ザ・ラディウス》』……
いや、長いって。とその時。
「――――――――――!!!」
突如としてモンスターは目を覚まし、こちらを敵として認識したようだ。
耳障りな方向を上げ、両手の剣を構えだした。やれやれ、せめて戦闘前の準備はさせてほしいものだ。
ハジメ「やれやれ、それじゃあ、始めるとしますか。」
そう言って俺は、腰元に手をかざす。すると、黒い靄の様なものが腰回りに集まり、一つの形を形成した。
それはまるで、仮面ライダーのベルトの様なものに。
茅場ァ、今ここで教えてやろう。貴様が喧嘩を売った相手が、誰なのかを!
そうして現れたドライバー、オーマジオウドライバーの両端、"オーマクリエイザー"と"オーマデストリューザー"に触れ、王の鎧を纏うに相応しい、あの言霊を発し、私は真の姿を解放した。
ハジメ「変身!!!」
ゴォーン!!!
『祝福の刻!』
変身の鐘の音が終末を告げる。
理論具現化装置"オーマジオウマトリクス"により、私の理想が理論によって具現化され、鎧となって私の体に装着されていく。
浮き出た歯車や文字盤が私を包み、≪2019≫の時を映し出した王の真名を告げる。
『最高!』(より良く!)ガチャッ!ガキンッ!
『最善!』(より強く!)ゴキッ!ゴキンッ!
『最大!』(より相応しく!)シュルルルル!シュパンッ!
『最強王!!!』(仮面ライダー!)パァァァ!ガチーン!
『≪オーマジオウ!!!≫』ドガァァァァァン!!!
紅玉宮を紅一色から黒と黄金で染め上げるほどの覇気、一瞬で全てを凍てつかせるほどの殺気、雷鳴と炎が王の通る道を形成し、森羅万象・遍く全てがその王の生誕を祝福し、生命ある者全てを跪かせる。
その雄姿は正に王者の証。唯一無二にして時空の覇者、存在だけで世界を轟かす、絶対なる最強王者。
その名は、仮面ライダーオーマジオウ。
【祝え!時空を超え、過去と未来をしろしめす究極の時の王者!
その名もオーマジオウ!歴史の最終章へたどり着いた瞬間である!】
ハジメ「さぁ、蹂躙を開始しようか。」
そう言って私は、終末の一歩を踏み出した。
ここまで読んでいただき、ありがとうございます!
苦節20話にして漸くオーマジオウに変身できました。
だって我が魔王、この世界で本気になるとマジヤベーイ!なので。
後スカルリーパーが複数いる理由は、茅場なりの嫌がらせです。乾のたっくんは関係ありません。
それと、今回100層で出てきたラスボスは、オーディナルスケールのあのボスです。
まぁ、次回直ぐにワンパンされますけど。最終回の戦闘シーンの為に気力とっておきたいので。
さて次回、キリトサイドからお話を始めます。お楽しみに!
次回予告
ハジメ
「大切な親友を危険地帯に転移させられ、茅場への怒りを募らせるキリトは、仲間や親友、愛する家族のために、茅場に一騎打ちを挑むことに。
そんなキリトに茅場の猛威が襲い掛かる中、茅場までもが驚くほどの出来事が起きる。
果たして、キリト達の運命は!?そして、100層のハジメはどうなってしまったのか!?
今ここに、最終決戦の火ぶたが切られる!
次回 ソードアートオンラインfeatジオウ
双剣21"世界を賭けたLast battle!~剣士の覚悟、王の采配~"」