絶対防御☆百合百合カップル♡ VS 百合の破壊者(自称)VS 恋する秀才 作:集風輝星
あらすじにもありますが、本作は私の前作、『魔法?よく分からんわ!殴ろ!』と世界を共有している関係で、ある程度のネタバレを含みます。
気になって読んでみたいとなっていただけた方は、先に前作の方を読んでいただけると幸いです。
反対に、「読む予定なんてねーよ!」という方は、なんか変な奴が増えてるなぁ…ぐらいの感覚で読んでいただけると楽しめるかと思います。
魔法…そんなお伽噺の産物が現実のものとなったのは、20世紀末のことであった。元は一人の警察官がその力を行使したことによって表舞台にたった『超能力』が理論化・体系化したことにより、その力は世界中に広がった。
そうして世界各国は、能力が極めて秀でた魔法使い…通称『魔法師』の育成に鎬を削りあう時代が始まった。
それは今日…魔法の存在が知られた20世紀末から100年ほどたった2099年四月…
「一目惚れしましたああああああ!付き合ってください!」
「え、誰。いや無理ですごめんなさい」
魔法科高校で、一人の少年の恋路が始まっ…おいこらそこ、「もう終わってんじゃんw」とか言うな!…兎に角!俺の恋路を成就させる高校生活が始まるって訳で!
え~、それでは改めまして。俺は今日、魔法大学附属第一高校に入学した『
「ピヨピヨ!」
「おっ、お前も俺の入学を祝ってくれるか~。いい子だな、よしよし!」
「ピ、ピヨピヨ!」
「ねえ、あの男子鳥と話してない?」
「というかあの男子って、さっき女子生徒に一目惚れだとかで告白してた人じゃない?」
おっと、人の噂はなんとやらってやつだな。ただでさえさっきの玉砕劇で俺の評価は地の底だってのに、更に落ちに落ちていく未来が見えてしまっているぞ。撫で心地のいい鳥助から手を放し、クラスの方へ向かう。
…そういえば、あの子の名前を聞くのを忘れてしまったな…名前を聞いてから告白するべきだったか…せめてクラスだけでも知っておく必要があったな。反省反省、明日から活かしていこう。
恋は玉砕してからが始まりだ。あの子には、俺を振ったことを後悔させるレベルで俺の事を好きになってもらうぜ!
「…わぷっ!」
そんなことを考えていたら、桜の花びらが風に乗って大量に俺の顔に覆いかぶさってきた。…お前には無理だよって言われてる気分だ。そんなこと言うなよ…
アリサside…
「…東京って怖いねアーシャ」
「流石にあんな人がそこら中にいるわけではないよ…」
私は『
でも、ミーナは彼の申し出を即答で断った。見知らぬ男子であったというのもあるだろうけど、どうやらミーナには今のところ彼氏を作るつもりはないようだ。そればかりか、「私にはアーシャがいるもん!」とまで言いだす始末。
将来のミーナが心配になるけれど、言われて悪い気はしなかった。
「本当に仲がいいんですねえ…」
「あったりまえだよ!私とミーシャは魂で繋がってるからね!」
「もうミーナったら、調子いいんだから…」
私たちの仲の良さに感心したように声を漏らしたのは、入学式で出会って仲良くなった『
その理由として義兄…十文字
片や、在学中に「加重系魔法の技術的三大難問」の二つまでも解決し、飛行魔法と重力制御魔法式熱核融合炉を実現した鬼才。片や、世界中の魔法師が束になっても足元にすら及ばないとされる圧倒的な実力を持って、若くして国際魔法協会の会長となり、戦略級魔法師を超える軍事抑止力として君臨する鬼神。
そんな二人の行き付けともなれば、なるほど恐れ多いことこの上ない。特に去年の二、三年生はそれが顕著であると思われる。
…お店の雰囲気はとってもいいのだけれど…
「茉莉花さんって、ブラックで飲めるんですか?」
「うん。平気」
「凄いなあ、私はブラックなんて、とても飲めません」
ミーナが運ばれてきたブラックを飲んでいることに、小陽が憧れの視線を送る。若干のドヤ顔を決め込んでいるミーナ。ここで小陽に、ミーナはミルクがないと紅茶を飲めないことをバラしておく。ほんの悪戯心だ。
そうして笑いあっているとき、来店を告げるドアベルがなる。私が何気なく顔を上げたとき…
「あっ…」
と声を漏らしてしまう。「どうしたの?」と言って、ミーナもドアの方に目を向けて…
「…ゲッ」
と小さく呟く。
「…なんか静かですね~」
「…それを言っても、別に私はその先には居ないわよ」
「おっ、もしかして分かる口だったりする?」
「そうね、あの人の影響で昔のアニメには一通り目を通しているわ」
「いいじゃんいいじゃん!話が合いそうなやつが居て良かっ…」
新たな来店客は二人。その片方は、今でこそアンダーリムの眼鏡をかけていないが、今年の総代の生徒と相違ないだろう女子生徒。そして片方が…先ほどミーナに告白してきた男子生徒であった。
そしてその男子は、ミーナの存在を認めたかと思うと、目にも止まらぬ速さでこちらに近寄ってきた。
「ここでお会いできるとは思いませんでしたマドモアゼル。先ほどは大変な失礼を。願わくばお名前をお伺いしたく…」
「ごめんなさい、付き合えません」
「本日二度目ッ!」
名前を聴こうとしただけなのに、ミーナに再び振られてしまう男子生徒。流石に可哀そうになってきた。ミーナも名前ぐらい教えてあげたらいいのに。
そんな一幕を見て、小陽が「今の人すっごいイケメンじゃないですか!それを即答で振ってしまうなんて…」と興奮気味にミーナを見ながら言った。…これ、ミーナのことを顔ぐらいじゃ靡かない恋愛強者だと勘違いしてたりするんじゃないかしら。
「なんで…どうして…俺の何がいけないって言うんだよ…教えてくれよ…」
「そういうところじゃないかしら?」
新入生総代の子にツッコまれている男子生徒。彼は観葉植物に向かって「何故だ、何故だ」と呟いていた。ちょっと変な人みたい。…まあ初対面で告白した時点で、十分変な人だったけれど。
その様子を見たミーナは、ばつが悪そうな顔をする。流石にあそこまで落ち込まれたら、言い過ぎたかもと思ってしまうのだろう。彼に声をかけてあげた。
「…名前が知りたいなら、貴方から名乗ってくれない?女の子は知らない人に自分のプロフィールは明かさないのよ」
「おお…!俺にチャンスをくれるというのか!女神よ!」
「いや、チャンスはないよ」
「三度目ェ!」
この短時間に三回も振られてしまったショックからか、体を反らして震えだす男子生徒。その様子に思わず引いてしまう。それはミーナも小陽も同じであったようで、一切動揺していない総代の子が逆に浮いて見える程だ。小陽が「顔が良くてもこれは…」とぼやいている。まったくもって同感ね。
呆れた視線を男子生徒に向けている総代の子が、「埒が明かないわね…」と呟きながら話し始める。
「初めまして、私はA組の『
「私は十文字アリサ。アリサって呼んで。それと私もA組です」
「よろしくね。そして、そこで転がってるのが守谷秦。残念なことにA組よ」
「永臣小陽です…B組です…小陽と呼んでください」
…小陽、なんだか不機嫌ね。もしかして、彼…守谷君が自分より成績がいいことを気にしているのかしら?こんな変な人に負けてるのかって…
すると小陽が抱いたその若干の不満に気づいたメイは、彼女にフォローを入れる。
「大丈夫よ、小陽。話を聞く限り、守谷君は座学はほぼゼロ点に近い点数だったみたいだし。貴女は間違いなくこの男よりも知的よ」
「えっ…」
…それは、逆に異常なのではないだろうか。去年に変わった第一高校の制度では、実技と筆記のテストの総合成績で、高い順にクラスを割り振られていく。しかし、いくら実技指導を主に置いている魔法科高校とはいえ、座学ゼロではA組になるのは到底難しい。彼はそれほどの魔法力を持っているのだろうか…
「私は遠上茉莉花。小陽と同じB組よ。茉莉花って呼んで」
「ちょっと今から直談判してB組になってくるわ」
「私、アリサと同じA組目指してるけど?」
「A組最高だな!」
…このやり取りを見ていると、到底そうは思えないのだけれど。
「そういえばずっと気になっていたんだけどさ…アリサと茉莉花様は「様付け!?」どういう関係なんだ?」
小陽がとても様付けに驚いているけれど、私としては呼んでとは言ったものの、異性の名前を気軽に呼べるコミュニケーション能力に驚いた。そうして驚いている隙に、ミーナがなにやら閃いたような顔で私の腕に抱きついてきた。
「私とアーシャは…恋人同士なのです!」
「えっ!?」
「あら」
「ちょっと、ミーナ!?」
何を言ってるのよっミーナ!…と一瞬言いそうになったけれど、これが守谷君を牽制するための発言であることはすぐに分かった。事実、その言葉を耳にした守谷君は体をわなわなと震わせている…
「え…もしかして…敵?」
「何を言ってるの!?」
…ミーナの考えは裏目に出たみたいだった。私はこれからの学校生活に、大きな不安を抱えることとなるのだった…
読んでいただきありがとうございました。本作は前作と並行して連載中の関係で不定期更新となります。
ご意見、ご質問等ありましたら、気軽にコメントしていだけるとありがたいです。