キヴォトスではゴリラ力こそ正義   作:砂巴羅

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最後の方ちょっと閲覧注意です。グロとかではないです


ゴリラとアビドスの日常

 激動の闇銀行襲撃から暫くしてアビドス高校へと戻ってきた七人は、手に入れた銀行の集金記録を確認していた。

 そこに書かれていたものは、銀行襲撃前にトウコが推測した仮説を裏付けてしまう、完全なる証拠であった。

 

「現金輸送車の集金記録には、アビドスに778万円の集金。その後すぐにカタカタヘルメット団に『任務補助金500万円提供』って書いてある……」

「任務……ってことは、私達のお金を受け取った後に、ヘルメット団にアビドスを襲うように指示してたってことだよね!?」

「ま、概ね予想通りって所だな」

「……」

「そんな……」

「で、でも!なんでカイザーは私達の学校を襲うよう指示したのでしょう!?だって学校が潰れたら、貸し付けたお金も回収できないのに……!」

 

 ノノミは、カイザーの取る行動が矛盾していると指摘する。それは、そうであって欲しくないという感情から出た言葉だろう。他の生徒達もまた、アビドスに忍び寄る強大な『社会』を前に、絶句する他なかった。

 

「いや、有り得なくもねぇ。なんてったってあのカイザーだからな。金なんざ腐るほどあんだろ」

 

 しかし、そんな彼女達を突き放すようにトウコは言う。ここにいる誰よりも、カイザーという会社の力を知っているからだ。

 

「金よりも何よりも欲しいもんが、ここの何処かにあるっつー事だろ。そんでそれを手に入れる為には、ここに住んでるオマエらが邪魔だったってわけだ」

「そこまでして、一体何を……」

「それは分からないけど、こんな事が出来るなんて、カイザーコーポレーション本社の息がかかっているとしか思えない」

「そうですね……」

 

 もし、カイザーコーポレーション本社が本格的に関わってくるのであれば、今のアビドスでは対抗する手段が殆ど無いに等しい。

 しかしだからと言って、このまま何も出来ずに打ちひしがれている訳にはいかない。とにかく、どこかしらから協力を要請する必要がある。

 

 取り敢えずヒフミは、手に入れた書類をカイザーと裏社会の繋がりを示す動かぬ証拠としてティーパーティに報告しに、トリニティへと戻る事にした。

 

「えっと、本当に一日で色んな事が起きましたね……」

「そうだね。すごく楽しかった」

「楽しかったのシロコ先輩だけでしょ!」

「あはは……でも、私も楽しかったです」

「いやー、ファウストちゃんにはお世話になったね〜」

「よっ!覆面水着団のリーダーさん!」

「そ、その呼び方はやめて下さい!あとリーダーでもないです!」

「皆さん……ヒフミさんを困らせないであげてください!」

 

 

 トウコは、シロコ達の和気藹々とした会話をよそに、今後の事に考えを巡らせる。

 

(カイザーの狙いは恐らく、この砂漠に眠る何かしらの兵器だ)

 

 カイザーという会社は、とにかくこのキヴォトスを支配したがっている。その為には強大な力が必要不可欠であり、だからこそトウコは、カイザーが狙っている物が兵器だと推測した。

 

(アイツらが血眼になって探してんだ。そりゃよっぽどのモノなんだろうよ)

 

 トウコとしても、カイザーに好き勝手されるのは気に食わない。

 カイザーの、自分達がこの世界の支配者だとつけ上がり、金さえ払えば人はなんだってすると他者を見下す傲慢な態度が、トウコの癇に障って仕方がなかった。

 初めてカイザーからの依頼を受けたその時から、トウコは今後カイザーの依頼は一切受けないと決めたのだ。

 

(アイツらが一番困るのは、アビドスがここに残り続ける事。対策委員会が、生徒会として在り続ける事だ。つまり、俺がするべきは……)

 

 

「……コさん……トウコさん!」

「あ?」

「うへ〜、ずいぶん熱心に考え事してたね〜」

「トウコさんは、これからどうされるんですか?」

 

 色々と考えている間にヒフミとの話は済んだようだ。ヒフミももう帰る準備を終えている。

 しかしトウコはまだ帰るつもりはない。ここにいれば態々動かずとも、最終的にはカイザー側から仕掛けてくるからだ。

 

「あぁ?あー、そうだな……俺は暫くアビドスに残る。そっちのが都合が良さそうなんでな」

「ふ、ふーん。ま、アンタの好きにすれば?」

「おやおや?なんだか嬉しそうだね〜?」

「良かったですね!セリカちゃん、いつもトウコさんと楽しそうにお喋りしてますから〜♧」

「はぁ!?だ、誰がこんなゴリラ女と!!」

「あぁ、そーいう事ね」

「なっ何納得してんのよ!違うから!ちがっ……髪ワシャワシャするなぁ!」

 

 セリカが必死にトウコの腕を引き離そうとするが、全くビクともしない。腕は諦めて次は体を押し返そうとするが、今度は腕の長さが違いすぎて手が届いていない。

 そんなセリカの行動に皆がほんわかとした所で、ヒフミが声を上げる。

 

「それでは皆さん……これからも大変だとは思いますが、頑張って下さい。応援してます!またお会いしましょうね!」

「うん、それじゃあね〜」

「いつでも来て下さいね〜!」

 

 そうしてヒフミを見送った彼女達だったが、もう既にかなりの疲れが溜まっている。本格的な調査は明日から始め、今日のところは一旦解散となるのだった。

 

 

 

 ──────────────────────

 

 

 

 翌日、アビドス高校のある教室内にて、三人の少女が顔を突き合わせていた。

 

「で?何してんの?オマエら」

「うへ〜、いいでしょ〜。おじさんの特等席だからね〜」

「もうっ、私は席じゃないですよ〜?」

 

 訂正しよう。三人の少女が顔を突き合わせているのではなく、トウコとノノミが顔を突き合わせ、ホシノがノノミの膝の上に頭を乗せて横になっている、所謂膝枕状態になっているのだ。

 

「"おはよ〜"」

「お、来たか」

 

 そんな教室に、心なしかいつもより元気な先生が入室してくる。

 いつもは莫大な量の書類仕事に忙殺されている先生だが、今回はアビドス高校の悩みを解決する為に、仕方なく……本当に仕方なく書類仕事を後回しにしてアビドスに泊まり込んでいる為、いつもよりグッスリと眠る事が出来た。その結果、少しだけ元気を取り戻したのである。

 

 

 ……後でもっと忙しくなるだけという残酷な事実から目を逸らしながら。

 

 

「"って膝枕してるー!"」

「おはよー先生。いいでしょ〜」

「"いいなー!"」

「ふふっ、おはようございます。先生♪」

 

 反応が薄かったトウコと違い、先生の大きなリアクションにご満悦な様子のホシノ。彼女は羨ましげな先生に見せつけるように、ノノミの太ももを独占するのだった。

 

「"うぅ……"」

 

 肩を落としてしょぼくれる先生。そんな途轍もなく情けない大人の姿を見て嗜虐心がくすぐられたのか、ニヤリと悪い笑みを浮かべながら、トウコは先生に言う。

 

「そんなに羨ましいんなら───俺の貸してやろうか?」

「"失礼します!!!!"」

「っ!」

 

 

 気付けば、先生の頭が膝の上に乗っていた。

 

 本当に来るとは思っていなかった。その油断が生んだ隙を突かれたのか?

 否。それにしたって速すぎる。

 

 その余りの高速移動にトウコが困惑している合間にも、先生の言葉がトウコに襲いかかる。

 

 

 

 

「"お、おぉぉぉおおお!!これは!!筋肉の鎧が生む硬さの中に確かにある、少女特有の脂肪の柔らかさ!まさに───『心地良い』!!私のような庶民には、これでもかと低反発を売りにした高級品の枕では、逆に寝付けなくなってしまうのがあるあるだけれど……この硬さと柔らかさの完璧な調和!今すぐにでも寝れてしまいそうだよ!トウコ!!!"」

 

 

 

 

 キショかった

   どうしようも

     ない程に

 

 

 

 

「……ちょっと黙れ」

 

 今、自分の脚の上で謎の品評を並べ立てるこの生命体は、果たして自分の知っている教師と言えるのだろうか……?

 

 言える訳がなかった。

 

 臭いモノには蓋をするように、意味不明な物体は遠ざけるように、人と言うものは未知に遭遇すると、それから目を背けたくなる。

 トウコは無意識のうちに、先生の頭の上に、自身のもう片方の脚を乗せた。

 

 

 即ち、脚と脚で先生の頭をプレスし、先生を黙らせようとしたのだ。

 

 

「"んむぅっ!?あ、ありがとうございます(あいあおうおあいあゔ)!!"」

 

 その行動が、余計に喜ばせてしまうものだと、冷静さを欠いたトウコの頭では気付けなかった。

 しかし、キショさもここまで来ると、一周回ってトウコを冷静にさせる。

 漸く脳が正常にはたらき始めたトウコは、徐に先生の頭に乗せていた脚を離す。

 

「"ぷはっ!え、もう終わ……んぎゃっ!?あ、アイアンクロー!?いだだだだだだ!!!"」

 

 横になった先生の頭を、右手だけで掴み持ち上げるトウコ。そしてそのまま、空になったペットボトルを投げ捨てるように、先生を後ろに投げ飛ばした。

 

「"ぐええええーーーーっ!"」

「うん、キモいわオマエ」

 

 壁にぶつかり、三点倒立に失敗したかのような体勢で意識を失う先生。スカートの中が色々と丸見えである。

 そして、それをした張本人は、養豚場の豚を見るような目で先生を見下ろしていた。

 因みに先生は、この間に一回たりとも抵抗をしていない。

 生徒にセクハラをしたのだから、罰は甘んじて受けるのが先生なりの矜持であった。

 

 なお、セクハラをやめると言う思考には決してならない模様である。

 

「あ、あら〜……」

「う、うへ〜……」

『せ、せんせーーー!?』

「……あ?今ガキの声しなかったか?」

「え?私は聞こえませんでしたが……」

「具体的には中学なりたてぐらいのガキの声がした気がすんだけど」

「おじさんも聞こえなかったな〜。なになに、やめてよ怖い事言うの〜」

 

 まあもし本当に子供がいるんなら、囲って無理やりアビドスに入学して貰うけどね〜、とホシノは続ける。

 その中々に物騒な発言に突っ込める者は、つい先意識を失ったばかりだった。

 

 

 




めちゃくちゃ更新遅れたくせに全然進められず、大変申し訳ないです。

それと言うのも、最近私用であまり時間が取れず……とかではなくゴロゴロしながらメインストーリーの百鬼夜行編読んでサボってました!!

今後もこんな感じで更新遅れると思いますが、頑張って続けて参りますので、最後の時まで付き合っていただけたら幸いです……
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