そんなに続くつもりはない
真っ白な空間に1つだけ存在するスロットマシンの前に、気付いた時には立っていた俺に「スロットを回しなさい」という声が届く。
夢か何かだと思って声に従った俺は目の前のスロットマシンのスイッチを押し、スロットを回してみた。
回るスロットを眺めていると、今度は「スロットを止めて決定しなさい」という声が聞こえる。
何を決定するんだろうなと考えながらスロットマシンについているボタンを押して3列のスロットを順番に止めていくと最初の列のスロットには「ゴッドハンド」と書かれていた。
次に止めたスロットには「と名の付くもの」と書かれていて、最後に止めたスロットには「全て」と書かれているようだ。
繋げて読むと「ゴッドハンドと名の付くもの全て」という文になるが、これはどういうことなんだろうと首を傾げていると「貴方の転生特典が決まりました」という声が聞こえた次の瞬間、様々な情報が頭の中に流れ込む。
それはFateに登場するヘラクレスの十二の試練と書いてゴッドハンドと読む宝具についてであったり、ドラクエ7のゴッドハンドという職業についてだったり、様々なゴッドハンドという名の付くもの、その全ての情報が頭の中に流れ込んできた。
全ての情報が頭の中に流れ込み終わった時、俺に「ゴッドハンドと名の付くもの全て」が宿ったことが理解できたが、それで終わりではなかったらしい。
「転生特典の提供は終わりましたので、転生を開始します」という声の後、光に包まれた俺は気付くと赤子として生まれ変わっていた。
流石にここまでくるとこれが夢じゃないことは理解できたが、何で生まれ変わることになったかの説明くらいは欲しかったと思う。
そんなことを考えながらも月日は流れていき、俺も5歳になっていたな。
ちなみに今生の名前は姫島仁と書いて「ひめじまじん」という名前になる。
そして父親が人間じゃなくてバラキエルという名の堕天使だったりもしたが、姫島という名字は母さんのものであるらしい。
この世界、ハイスクールD×Dの世界じゃねぇか、とようやく気付いたが、姫島朱乃はまだ生まれていないようだ。
ちょうど母さんの腹が大きくなり始めているので、これから姫島朱乃が生まれてくるのは間違いないだろう。
俺は姫島朱乃の兄貴ということになるのかもしれない。
今生の家族を守る力が俺にはある。
ゴッドハンドと名の付く全ての力は伊達じゃない。
それから月日が流れ、朱乃が生まれて大きくなった頃、招いてもいない客が来た。
父が居ない時を見計らって母さんと朱乃と俺を殺しにきたのだろう。
明らかに武装している集団と話し合う必要もない。
ヘラクレスの十二の試練を宿していることに加えて、オベリスクの巨神兵のゴッドハンドクラッシャーも使える影響か、身体能力が凄まじいことになっている俺は、家族を害しに来た連中を残らず打ちのめしておく。
殺せば朱乃が怯えるかと思って殺してはいないが、全員立てない程度にはボロボロにした。
何人か手足が曲がってはいけない方向に曲がっていたので、正常な方向に戻しておいてやったが悲鳴が聞こえたな。
その悲鳴を聞いた朱乃が、母さんの影から集団の惨状を見ていたが怯えてはいないみたいだ。
むしろ興味津々に眺めているように見える。
もしかしたら朱乃は既にSに目覚めてるのかもしれない。
母さんの影響かな、と俺が遠い目をしていると突然少女が現れた。
衣服とは言えないような布で、一定の部位だけが隠されている少女は、確実に強いだろう。
あの少女が無限の名を冠するウロボロスドラゴン、オーフィスであるのは間違いないな。
ちゃんと服を着ろと言いたくなるような痴女ファッションをしたオーフィスは「強い力を感じた」と言いながら此方をじっと見てくる。
何でいきなりオーフィスと遭遇することになってんだろうなとは思ったが、来てしまったものは仕方がないので、自己紹介してから用件を聞いてみることにした。
「今までにない強い力を感じた仁なら、きっとグレートレッドも倒せる。そして我は静寂を得る」
なんてことを言ってきたオーフィスに、俺はそれをやる気はないから帰って、と言っておくと「断られた」としょんぼりしていたオーフィス。
そんなオーフィスが可哀想に見えたのか「仁兄さん、手伝ってあげてもいいんじゃないですか?」と言い出す朱乃。
グレートレッドを倒すとこの世界にどんな影響があるかわからないからな、そう簡単に倒していい存在じゃないんだよ、と朱乃にグレートレッドについて教えておいた。
「そんな存在が」と驚いていた朱乃と「いつまでも立ち話もなんですから家にどうぞ」とオーフィスを家に連れていく母さん。
居間でオーフィスに茶菓子としてどら焼きを提供してみると、オーフィスはどら焼きの食べ方がわからなかったようなので、こうやってかじって食べるんだと目の前でどら焼きを食べてみせて、食べ方を教えていく。
どら焼きを食べるのは初めてだったらしいオーフィスは、黙々とどら焼きを食べていた。
どら焼きを食べ終わったオーフィスが「我のどら焼き無くなった」と言いながら若干悲しそうな顔をしていたので、どら焼きをもう1つ手渡してみると、オーフィスは嬉しそうにしていたな。
それからオーフィスは、どら焼きを5個食べてから帰っていき、オーフィスが帰ってからようやく慌てた様子の父が家まで飛んできた。
家族が無事であることを知り、涙を流して「良かった」と言っていた父は家族のことを心配していたのだろう。
今日は様々なことがあったが、家族全員が無事なら、俺としては問題ない。
とはいえ俺や父が居ない時に母さんや朱乃が狙われる可能性もあるので、安全な場所に引っ越すことになった。
まあ、それで今度は新居にまでオーフィスがやってくることになり、俺が家に居ない時もちょくちょくお菓子を食べに来ているらしい。
「我と朱乃、友達」
そんなことを言いながらVサインをしていたオーフィスは、感情表現が豊かになっていたような気がするな。
ちなみに俺は友達なのかと聞いてみると「とても気になる相手、もっと仲良くなりたい」という答えが返ってきた。
どうやら俺はオーフィスに嫌われている訳ではないようだ。
主人公とオーフィスが異世界旅行に行くなら、どの異世界が良いですか?
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