冥界でタンニーンと修行をした兵藤一誠は禁手に到達し、赤龍帝の鎧を身に纏えるようになったらしい。
以前よりも兵藤一誠は強くなれたんだろうが、それでもヴァーリとの差は、あまり縮まってはいないだろうな。
白龍皇の光翼の神器に宿る歴代白龍皇の怨念とも言えるそれらと対話し、完全に浄化したヴァーリは歴代最強にして最高の白龍皇となり、既に白銀の極覇龍すらも越えた先に到達している。
魔王化にまで辿り着いているヴァーリに勝てる存在は、そこまで多くはない。
そんなヴァーリが今日も元気に襲いかかってきたので、ボッコボコに叩きのめしていると、珍しく距離を取ったヴァーリ。
「我、目覚めるは、白き龍と魔の明星を宿す白龍皇!強き友と誓いし道を共に往き、我、王を越える白き魔龍の皇帝と成りて!汝を白銀の幻想と魔道の極致へと従える白龍魔皇!」
力強い声で言い放ったヴァーリの言葉に応えるように、魔王化よりも更に強力な力を宿す姿へと形を変える白銀の鎧。
身体を鍛えぬいたことで得た闘気と魔力の合一、悪魔としてのルシファーの力、アルビオンの力、そして宿主の願いを力に変える神器の力が組み合わさり、魔王化を越えた領域に至ったヴァーリは、まさしく白龍魔皇と言える力を手に入れた。
「行くぞ、仁!」
これまでとは比べ物にならない速度で迫るヴァーリは、確実に前よりも強くなっている。
もしかしたらオーフィスよりも強くなっているかもしれないが、負けてやるつもりはない。
拳による弾幕でヴァーリを滅多打ちにして、容赦なくボッコボコにしていると「まだだっ!」と立ち上がり続けるヴァーリ。
完全に根性だけで立っている様子のヴァーリは、後少しで倒れるだろう。
単に殴るだけで終わらせるのも芸がないかと思い、光力で形成した剣に強力な雷光を纏わせて振るい、放った斬撃。
凄まじく強力な雷光を纏った剣の一撃で完全に気絶したヴァーリを放置しておくのも問題があるので、ベホマラーを何回か使ってヴァーリの傷の回復もしてから、堕天使陣営の拠点にヴァーリを運んでおいた。
そんなこともあった日の翌日、ディオドラ・アスタロトとシャルバ・ベルゼブブが接触したようだが、旧魔王派への協力を要請したシャルバ・ベルゼブブに、ディオドラ・アスタロトは見返りとして力を要求。
ディオドラ・アスタロトを利用するだけ利用したら切り捨てるつもりだったシャルバ・ベルゼブブは、貴重な王の駒をディオドラ・アスタロトに渡すことはなく、代わりに神器を提供したが、ディオドラ・アスタロトが満足するような神器ではなかったらしい。
望む見返りが充分ではない交渉は、当然のように決裂し、交渉が決裂した時はディオドラ・アスタロトを口封じで殺すつもりだったシャルバ・ベルゼブブはディオドラ・アスタロトを殺害した。
王の駒を手に入れて魔王級になっていたシャルバ・ベルゼブブには、ディオドラ・アスタロトでは敵わなかったようだ。
殺害されて死体も消し飛ばされたディオドラ・アスタロトは、突如行方不明となったアスタロト家の悪魔として冥界ではしばらくニュースになっていたな。
ディオドラ・アスタロトを使ってアーシア・アルジェントを奪い、赤龍帝である兵藤一誠を誘き寄せて、その神器を奪うことを計画していたシャルバ・ベルゼブブ。
ディオドラ・アスタロトが使えなくなったことで計画を大幅に変更したシャルバ・ベルゼブブは、自らアーシア・アルジェントを拐うつもりみたいだ。
王の駒で魔王級にまで強化された力を赤龍帝の籠手で倍加すれば、現魔王すらも圧倒できるとシャルバ・ベルゼブブは考えているのかもしれない。
神器を使うことに抵抗がないシャルバ・ベルゼブブは、人間から奪って手に入れた神器なら、それもまた悪魔の力だと都合良く解釈しているようである。
今の兵藤一誠では王の駒で魔王級にまで強化されたシャルバ・ベルゼブブに勝つことは難しい。
兵藤一誠という宿主から神器を奪ったとして、赤龍帝の籠手がシャルバ・ベルゼブブに力を貸すとは思えないが、神器持ちが神器を身体から抜き取られて奪われた場合、確実に死んでしまう。
兵藤一誠のついでに、アーシア・アルジェントの神器まで抜き取られる可能性も低くはない筈だ。
シャルバ・ベルゼブブはディオドラ・アスタロトからの情報で、悪魔ですらも回復させることも可能なアーシア・アルジェントの神器を知っている。
ディオドラ・アスタロトは本当に余計なことしかしない。
回復は誰もが欲しがる能力であり、神器を奪うことでそれを手に入れられるなら、シャルバ・ベルゼブブは躊躇いなく奪う悪魔だ。
善良な悪魔というのもおかしいが、特に悪いことをしていない善良な悪魔であるアーシア・アルジェントが死ぬかもしれないなら、どうにかした方が良いだろう。
アーシア・アルジェントの死に絶望した兵藤一誠が制御出来ていない覇龍を発動すれば、犠牲者が出る可能性もあるからな。
情報を知っていて対処ができる俺が動くのが1番手っ取り早い。
勢力的に英雄派に負けている旧魔王派のトップであるシャルバ・ベルゼブブとしては、同じ禍の団に所属していても英雄派に借りを作るつもりはないようである。
今回はシャルバ・ベルゼブブが自分で用意した戦力だけで冥界に宣戦布告する気なのは間違いないから、今のところ旧魔王派だけを警戒しておけば大丈夫だ。
さて、シャルバ・ベルゼブブが動けば少々忙しくなりそうだが、それまでは時間があるな。
何をして過ごそうかと考えながら自宅に帰ると、母さんと朱乃に教わりながら料理を作っているオーフィス。
完成したのは焼き鮭と玉子焼きに味噌汁という3品で「仁、食べてほしい」と言うオーフィスお手製な3品を食べてみたが普通に美味しかった。
母さんと朱乃の教え方が良くて、教わるオーフィス自体も器用だったんだろう。
とりあえず素直に、美味しいと思ったことをオーフィスに伝えておくとオーフィスは、とても嬉しそうにしていたな。
それにしても何で急にオーフィスが料理を教わっていたんだろうと思っていると「花嫁修行は始まったばかり」と言いながら、むん、と気合いを入れていたオーフィス。
どうやらオーフィスは花嫁修行をしていたらしい。
主人公とオーフィスが異世界旅行に行くなら、どの異世界が良いですか?
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