パワパフガールズE   作:ラルク・シェル

11 / 13
第11話 スリとB/細菌の復讐者

バクテリアとの格闘をしてまた逃がしてしまう元祐だが、タブレットを拾って事務所に持ち帰る。

 

「これ…なんだろう?」

 

一体誰の者か考える元祐。本来は落とし物なので、警察に届けるの事は分かっているけど

 

[ひょっとしたら、油村さんが言ってたものかもしれないな]

 

そう思ってしまう。しかししばらくするとなにかに気付く。

 

[そもそも…奴をどっかで見たことあるような?]

 

じつは油村の顔を見たことがあるということに。とりあえずなんとか思い出そうと頭を悩ませると

 

「おーい」

「あっ!?」

 

ここで塔矢が現れた。

 

「なんだよ…行っとくけど、家賃とかはまだ」

「別に、今日は取り立てじゃなくて手伝いに来たよ」

 

今回ここに来たのは探偵の手伝いだと言ってきたが、じつはたまに塔矢は元祐の仕事を手伝いに来る。

 

「そうか…じゃあ、さっそくお願いが」

「ああ、なんだ?」

 

さっそくあることを頼んだ。

 

 

 

 

 

 

次の日。

昨日もバクテリアに襲われた流川だけど、いつもどおり獲物を探そうと公園を歩いていた。

 

[本当、あの怪物なんだったんだろう?]

 

考えながら前を歩いてた人とすれ違いながら歩いた瞬間。

 

「見たぞ!」

「「えっ!?」」

 

隠れてた全又が叫びながら現れて流川とすれ違った人が驚く。

 

「旦那!そんなところに!?」

「それよりも、お前この人の財布を盗っただろ?」

「盗った?あれ…あっ!いつの間に!?」

「あっ、それ俺の!?」

 

流川の手には財布が握っていた。またクセで無意識にスってしまったらしいが、その相手は昨日元祐の所に依頼に来た油村だった。

 

「まさか…クセでヘマを…あれ?アンタ、どこかで?」

 

すると流川は前にも油村とどこかで会ったような気がする。

 

「そんな事より、財布を返して逮捕だからな。あと、アンタは念のために一緒に署へ」

「いっその事、コイツも逮捕した方がいいよ」

 

でもここに元祐が現れた。

 

「アンタは!?」

「お前!」

「探偵さん!てか、それって…」

 

いきなり現れた元祐の言葉が気になる油村。

 

「だってアンタ、結婚詐欺師だろ?」

「「えっ!?」」

「はぁ!?」

 

さらに彼の正体の暴露にただ声を上げてしまう3人。

 

「ちょっと、俺はアンタに探し物を頼んだんですよ!それを人を詐欺師だなんて!」

「探し物はこれだろ?」

 

詐欺師扱いしてきた元祐に怒鳴りつけるが、あのタブレットを取り出す。

 

「それは!?」

「あっ、それって!?」

「そう…アンタが逃げた所に落ちてた。まさかと思うが、コイツからスったんだろ?」

 

元祐の言葉にドキッと分かりやすい反応をする流川。

 

「お前な…」

「あはははは」

 

呆れる全又にとりあえず笑って誤魔化した。

 

「ここにびっしり入っていたぜ。偽の職業を作るための名刺と、これまで被害を受けた女性の特徴。ついでに、どうすれば相手を騙せるのかのマニュアルも」

「ど…どうして!ちゃんとパスワードがあるのに!?」

「俺には協力者がいてね」

 

じつは塔矢はこういうことが得意なので、たまに元祐が頼んでやってもらった。

 

「ついでに、アンタをどっかで見たことがあると思ったけど…思い出した」

「な…なにを?」

「ひと月前にアンタが女性と歩いている姿を。ところが、それから一週間後には別の女性とデートしている姿で…てっきり二股か浮気だと思ったけど、稼ぐ為なんだろ?」

 

元祐は二度彼が女性とデートしているところを目撃。あんまり気にしていなかったけど、今回のタブレットのデータから真相を知った。

 

「そんじゃあ、アンタも一緒に行こうか?」

「ちょっ、ちょっと待っ!?」

 

全又が流川と一緒に油村も逮捕しようとした時。

 

「やっと見つけたみたいね…」

「え?」

「きっ、桐代!?」

 

そこに斎藤が強い恨みが困った目で現れると油村は顔を真っ青にする。

 

「やっぱり、アンタが彼女を!?」

「そう…コイツは私を弄んでお金を奪って逃げた…そしてアンタも!」

「はい?」

 

斎藤が流川に向かって叫ぶ。

 

「アンタが、付けているキーホルダーは妹の財布に付けられたもの…」

「妹の……あっ!?」

 

その言葉を聞いて流川は思い出す。かつて斎藤の妹の把子は流川に財布をスられて、取り返そうとした時に車に引かれた。

 

「まさか…あの財布を持ち主の姉ちゃんがアンタ!?」

「そうよ!」

 

まさかここで持ち主の姉が妹の敵を討とうとしていたことを知って汗をかく。

 

「待ってくれ桐代!誤解だ!俺は君を愛して!」

「そうだ!コイツらは警察が逮捕する。だから、バカなマネは!」

「うるさい!!」

 

見苦しく言い訳をする油村だけど、刑事としてなんとか説得しようとする全又だが斎藤は聞く耳も持たない。

 

「私を騙したお前と…妹の財布を盗って車に引かれるきっかけを作ったお前を復讐するために!」

『BACTERIA』

 

そのまま斎藤は首元にバクテリアメモリを差してバクテリアドーパントに変身。

 

「「うわあぁぁぁぁぁぁ!!?」」

「コイツは!?」

「やっぱり君が!?」

 

バクテリアに驚く4人だが、容赦なく流川と油村を襲い掛かる。

 

「待て!」

 

だが、全又がバクテリアを掴みかかった。

 

「旦那!?」

「復讐なんてバカなマネは止めろ!コイツらは法の裁きを受けさせる!」

「邪魔するな!」

 

しかしバクテリアは全又を引き離すと緑のスライムみたいのを飛ばした。

 

「危ない!」

 

とっさに元祐が全又の手を掴んでかわして、木にスライムがかかる。すると木が腐食し始めた。

 

「なんだこりゃ!?」

「たぶん、殺人バクテリアだと思う…」

 

想像通りにこれは殺人バクテリア。そしてバクテリアは、改めてターゲットの流川と油村を睨む。

 

「「うわあぁぁぁぁぁぁ!!?」」

「逃がさない!」

 

慌てて逃げる流川と油村で、殺人バクテリアをばら撒きながらバクテリアは追いかける。

すると2人の前を歩く子供。

 

「どけ!」

「うわっ!?」

 

油村はその子供を盾にするかにように、無理やり押して転ばせて逃げ続ける。

 

「っ!危ない!?」

 

けれども、流川は立ち止まると子供を守る様に抱き抱えながらバクテリアから避ける。一度立ち止まって2人を見るバクテリアだけど、一番の標的の油村を追って再び走った。そこに元祐と全又が来る。

 

「おい、流川!」

「だ…旦那」

 

慌てて声をかけると流川は苦しそうな様子。

見てみると流川の両手に殺人バクテリアが付いていた。

 

「ヤバい…どうすりゃ!?」

「とりあえず、火であぶってバクテリアを燃やすしかないな。後は救急車を呼んで」

 

そう言ってバクテリアを追いかける元祐。さっそくライターを出して、流川の手に付いたバクテリアを燃やしての応急処置。すると苦しそうになりながらも流川は声を開く。

 

「なぁ、俺が助けた子供は?」

「大丈夫だ。かからなかったみたいだ」

「うん、ありがとう!」

 

その子は流川に頭を下げてお礼を言った。

ちなみに油村はなんとか逃げ来たのか立ち止まる。

 

「はぁ…はぁ…ここまで来れば」

「逃がさないわ!」

「うわあぁぁぁぁぁぁ!!」

 

だが、いつの間にか後ろにまわっているバクテリアに声を上げて腰を抜かす油村。

 

「来るな!来るな!この、化け物!」

「その化け物にしたのは…アンタよ!」

 

石とかを投げて化け物と叫ぶ油村を近づくバクテリア。

 

「そうは行くかよ!」

 

しかしそこに元祐が走ってきて

 

『ELEMENT』

「変身!」

『ELEMENT Fire』

 

すぐに仮面ライダーエレメントのファイヤーフォームに変身してエレソードで斬りかかる。

 

「何度も何度も邪魔して…ゆるさない!」

 

怒ったバクテリアは両腕を細菌の刃で、さらに全身から触手を出して襲い掛かる。

 

「く…これじゃあ、近づけねぇ!」

 

二度の戦いで自分の弱点が火だと分かったバクテリアは、触手での遠距離攻撃でエレメントを倒そうとする。

 

「だったら、これだな!」

『Aqua』

『COLD』

 

するとエレメントはアクアフォームになって、さらにコールドギジメモリに差し替える。そしてエレガンから何発か発射された水の弾丸が、バクテリアの体に当たると見る見るうちに凍り付く。

 

「なっ、なにこれ…!?」

 

そのまま全身凍り付いて氷像と化したバクテリア。完全に動かなくなると事を確認して、再びファイヤーフォームになってエレソードにメモリを装填。

 

『ELEMENT・Fire!マキシマムドライブ!』

「とりゃあ!!」

 

止めのファイヤースラッシュで斬りつけてバクテリアは爆発。地面には気絶した斎藤とメモリブレイクのメモリ。

 

「あはははは!やったやった!ざまぁみろ怪物!騙されるお前が悪いのに、言いがかりしやがって!」

 

などと元凶の油村は気絶した斎藤に罵声を上げながら近づき、そのまま彼女の顔を踏もうとした時。

 

「おっと、言い忘れたけど…」

「あ?」

「アンタの罪を知れ!」

「ぐへっ!?」

 

元祐が決め台詞と一緒に油村を殴った。

 

「な…なにを?」

「全ての原因は、お前だよ!」

 

ちょうどその時、パトカーが走って来た。止まって出て来たのは、石谷と関沢の2人。

 

「石谷さん、関沢も!」

「た…助かった!」

 

すると油村は立ち上がって2人に駆け寄る。

 

「助けてくれ!俺、あの女に殺されかけたんだ…変ないちゃもんを付けて!しかもあの探偵は俺を殴った暴力を受けたんだ!」

 

などと自分が被害者だと言うようにと2人を逮捕するように言う。しかし関沢は手錠を持って

 

「いや、逮捕するのはアナタです」

「え!?」

 

そのまま油村の手に手錠をかけた。

 

「じつは、全又さんから電話があって…アンタがこれまでやった結婚詐欺の証拠を手に入れたと言われてな」

 

あの時、全又は救急車を呼んだ後に石谷にも電話をしてこうして来た。

 

「待て!違う違う!そんなのでたらめ!?」

「とにかく警察署で具体的に話をするからな!」

「そんな、ちょっと待って!」

 

それから油村は嫌がって言い訳しながらも、後から到着したパトカーに乗せられて連れてかれた。そして石谷は同じく手錠をした斎藤をパトカーに乗せようとする。だけど、元祐は尋ねた。

 

「ところで、細菌を受けた流川はどうなったの?」

「なんでも全又さんからの応急処置のおかげで、細菌は骨や神経には到達しなかったって言ってたけど…どうなんだろうな?」

「そうか…」

 

その返答になんだか不安になる。すると関沢は斎藤に向けて言う。

 

「あの…妹さん。意識を取り戻したみたいですよ」

「え!?」

「それで…姉の事をいつでも待ってるって言ってましたよ」

「……はい!」

 

それを聞いた斎藤は涙を流しながらパトカーに乗ると走らせて、1人残った元祐はタバコを吸って立ち去る。

 

 

 

 

 

 

あれから2週間がたった頃、病院の前には元祐とももことみやことかおると全又が立っていた。

 

「えっと…彼は今日退院なんだよね?」

「ああ、そうだ」

「おっ!出て来たぜ!」

 

かおるが指をさした先には、無精ひげが生えてちょっとやつれた流川の姿。

 

「旦那…あと、そちらさんも」

「2人から聞いたけど、子供を助けたんですよね?」

「はい、なんかとっさでね」

 

みやこの質問にちょっと照れくさそうに答える流川。

 

「それはそうと、お前…手は?」

「手…ああ、この通り」

 

流川はみんなに手を見せたけど、ちょっと震えてぎこちなかった。

 

「応急処置が早かったから、それなりに大丈夫と言ってましたが…どうも手の調子が」

 

どうやらバクテリアの痛みや恐怖によるトラウマで、手が思うように動かなくなった様子。全又はこれを見てショックを受けた。

 

「今までのツケっスかね…これでスリは引退。でもこれで、旦那に追われる日々が終わりだな」

「…そうだな。まぁ、仕方ない」

 

2人はとても悲しそうになりながらも、流川は立ち去って全又はその様子を見ていた。

 

「なんか…2人共、かわいそう」

「まぁ…こればっかりはな」

 

なんだか納得いかないももこ達だけど、これは仕方ないと言う元祐。

 

「…悪かったな。こんなに付き合って」

「良いよ…事件を追うのが探偵の仕事で」

「そうそう!」

「じゃあ、報酬は昼飯を奢るのでいいか?」

 

ここまで協力してくれた報酬として昼食を奢ると言う全又。

 

「え!いいんですか?」

「ああ、ただしラーメンだけど…な?」

 

コートのポケットに手を入れた全又はいきなりストップ。それから念のために、自分の体全体を調べる。

 

「あの…どうしたの?」

 

とりあえずかおるは尋ねると、全又は物凄い怒った表情になり。

 

「アイツ!?」

「「「えっ!?」」」

 

いきなり走り出した。そして先ほど立ち去った流川の前に立ち塞ぐ。

 

「旦那!なにを?」

「テメェ…嘘ついたな!!」

「あは…すみませんでした…」

 

申し訳なさそうに笑う流川は全又の警察手帳と財布を取り出す。つまり流川はトラウマで手が動かなくなったのは、真っ赤な嘘でちゃんと動けて全又からスっていた。

 

「一体何のつもりで…」

「そりゃあ、もちろん。逮捕してもらう為に」

 

そう言いながら流川は両手を全又の前に出した。

 

「せめて、旦那に逮捕された方が一番いいと思ってね。だから、ほら」

「お前…」

「んで、もし俺が出てきた時はよろしくお願いしますよ♪」

 

さらに自分が罪を償った後の世話もお願いするようにと頼む。これには呆れて溜息を吐き。

 

「…分かったよ。お前がちゃんと真面目に変われるように、出た後もしごいてやるよ」

「えへへへへ、お手柔らかに」

「じゃあ、行く前にメシでも食いに行くか?奢るぞ」

「旦那に奢ってもらえるなんてな♪」

 

そして2人は昼食を食べに歩き出す。ちなみに、別のところで隠れていた元祐達の姿。

 

「良かったわね。2人共」

「本当ですわね」

「一件落着だな」

「たしかに、良かったな」

 

元祐達は2人の楽しそうな様子を見てホッとする。




バクテリア編の終わりで、最後はそれなりにハッピーエンドとなりました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。