ももこ達が探偵の元祐と出会った次の日の朝。
「ん…いいハードボイルドな朝だな」
元祐は事務所兼自宅の寝室から目を覚ました。顔を洗って着替えて、下のディーロスに行く。
「マスター、朝飯は?」
「たく、お前は家賃を全然払ってないくせに」
ブツブツと文句を言う塔矢だが、元祐にサイコロステーキのモーニングプレートとコーヒーを振る舞った。
「おっ、相変わらず用意のいいことで♪」
「うるさいよ」
意外と世話好きな塔矢に元祐が笑顔で言ながらサイコロステーキの朝食をとる。
そして外に置いてある愛用のバイクに乗って捜査を開始。まずはラーメン屋と居酒屋の店長はもちろん、女子大生やクラブのホストにホームレスといった具合に。色々と聞き込みをしたが被害者の関しての情報は全然出てこない。さすがに疲れたのか、駅近くの喫煙場で一服をする。
「やっぱり…そう簡単には分からないよな。相手はどんな奴だったなんて」
さすがに被害者はどんな人物で、なんで狙われたのかなんて誰にもわかるはずもなく。時間が過ぎるのも当然。
「……ここで諦めてたまるかよ!調査再開…ん?」
などと自分に言い聞かせてバイクにまたがった瞬間、突然の騒ぎに気づいた元祐はその方に行ってみた。
そこにはすでに野次馬が集まっていて、当然のように警察がトラテープを張って中に入れないようにした。すると1人の若い刑事が元祐に気づいて近づく。
「四藤さん、こんなところで何を?」
「おお、関沢。これは何の事件だ?」
この刑事は
「まぁ、見ての通り…てか、ウロチョロ関わらないように…怒られるのは俺だし」
「誰に怒られるって」
「いっ!?」
「あ…」
すると不機嫌な顔の刑事が、いつの間にかいた。
「やぁ…石谷さん、お疲れ様で」
「お前がいると余計な仕事が増えて疲れるんだよ」
この男は関沢の先輩刑事の
「なぁ、そんにことを言わないでくれよ…」
「ふん!とにかく忙しいんだ」
「…ひょっとして、一昨日の殺人事件と関係ある事か?」
元祐の口にした言葉に石谷は少し睨みついた。
「お前…調べてたのかよ?」
「まぁね…とりあえずさぁ、頼むよ」
とにかく元祐がお願いすると、石谷は今回も無理だったかと諦めて肩を落とす。
「ちょっとだけだぞ」
「えっと…良かったですね。まぁ、本当は石谷さんもアナタを信頼してるんですよ」
「余計なことを言うな関沢!」
「ひっ!すみません…」
関沢がこっそりと元祐に話してるが、聞こえたのか石谷が大声で怒鳴った。
「ただし、見て写真だけだ!落ちてるもんは拾うんじゃねぇぞ!」
「分かってるって」
などと約束してトラテープをくぐって現場に行くと、そこには腕が引きちぎられて腹部が喰い破られたような死体があった。
「ひでぇな…まるで喰われた感じで」
呟くながらも元祐はタブレットで死体や周辺を撮影。それから石谷は、あることを口に出した。
「どうせ、お前の事だから絶対に首を突っ込むのは分かってるから教えとくけど…さっき分かったことがあるんだ」
「分かったこと?」
それから授業が終わって下校するももこ達は、これからどうするのか話し合った。
「さてと、研究所に行くか元祐さんのところに行くかどうする?」
「んなこと言ってもな?」
「そもそも、また殺人が起きたみたいですし」
みやこはスマホで殺人事件のニュースを知る。
「あ~あ、あの探偵ちゃんと調べてるか不安だぜ」
「調べてるよ、ちゃんと」
「「「えっ!?」」」
いつの間にか3人の後ろに元祐が立っていた。
「とにかく調べまくって、被害者について分かったことがあるんだ」
「それって本当!早く教えて!」
「おい……ちゃんと報酬は貰うっての忘れてるのか?」
ももこにせがまれて呆れながらも調べたことを話す。
「どうやら一昨日のと今回の被害者は、半グレだって事だよ」
「半グレってなに?」
「ヤクザとかの暴力団に所属していない犯罪集団。かなりヤバくて危険な連中さ」
石谷が言ってた2つの死体の共通点が、じつは両方とも半グレだったと発覚。
「俺も知ってるぜ。半グレは色々と犯罪事件を起こしてるとかで…被害者が結構いるって」
「じゃあ…もしかして犯人は、その半グレに酷い目にあった人って事?」
「まだそこまでは分かんないけど…とにかくもっと調べなくちゃな」
とりあえず調査が終わりとなって、事務所に戻った元祐がネットや今までのデータで被害者の事を調べた。デスクには吸い殻やビールの缶が散乱しながらも、とにかく調べ続ける。
「なんとか…共通点がわかったが、あとはどんな繋がりが肝心だ」
とにかく今ある情報で調べる元祐。
次の日。今日は休日なのでももこ達は事務所にやってきた。
「どうも、元祐さん!」
「おお、来てくれたか!」
「それで何かわかったのか?」
「少しな…とりあえず中へ」
さっそく3人を中に入ると、ソファーに座らせてようやく調べたことを話した。
「それじゃあ話すとするが…じつは殺された半グレ2人は所属していたグループこそ違うが、あるグループと敵対していた」
「敵対していたグループ?」
「矢焔っていう組織でな。なんか恐喝や詐欺に暴力をやっているらしくて、ほかの半グレを吸収しようとしているらしくてよ」
「じゃあ、その組織がドーパントを?」
「だろうな」
話を聞いたももこ達は、その矢焔という組織が一番怪しいと確信してきた。
「おまけに、警察からもらった情報によれば…2つの事件の前に林の中で人の腕が発見されたらしいが、これも関係あるみたいだ」
すると元祐が説明をここで終わると立ち上がる。
「どこ行くの?」
「この先は、危険だからな…お前たちはもう帰ってろ」
「えーーーそんな…協力してるのに」
「とにかく危険だから帰れ!」
3人に怒鳴りつけた。当然、ももこ達はビクッと固まって元祐は外に出るとバイクに乗って走り出す。
それから元祐はしばらくして矢焔のアジトらしき廃ビルにやってきた。物陰に隠れて覗き込むと、そこには何人かの見張りがいるのがわかる。
「…まずはどうするっかな?」
「やっぱり忍び込むのが一番かな?」
「でも、とても怖い人達がたくさんいますわ?」
「ちゃんと計画練らないとな?」
「たしかにって、あれ?!」
するといつの間にかももこ達がガールズの姿でいたことに驚く。
「お前ら、どうしてどうやってここに!?」
「そりゃあ、もちろんこうして変身して来たの」
元々ガールズに変身するにはピーチの叫び声でやるものだけど、ユートニウムの改良でいつでも変身できるようになった。なので変身して元祐を追いかけてここまで来たらしい。
「あのなぁ、お前達がヒーローなのは分かるけど…ここからは大人の探偵の仕事!!」
「アタシたちだって、それなりに修羅場をくぐってきたのよ!手伝わせなさいよ!」
「お前達じゃあ刺激が強すぎるからダメだって言ってんだ!」
「おい…」
「なんだよ。こっちは忙し……」
誰かが声をかけてきたので後ろを振り向くと、人相の悪そうなチンピラが立っていた。
「さっきから大声出して」
「なにしてんだ?」
おまけにいつの間にか数人いて、鎖やら鉄パイプやらを持っているのもいる。
「だから…言ったろ。危険だって」
大量の冷や汗をかいて両手を上げて降参のポーズをとる元祐に、3人も一緒に両手を上げた。
そして4人は一番広いところに連れて行かれると、そこにはたくさんのヤバそうな連中がゴロゴロいて、とくに真ん中のソファーに座る髪を染めて派手なジャンパーを着たリーダー格の男。
「一体うちに何しに来たんだアンタらは?」
「あの…アナタがリーダー?」
「如何にも、俺がボスの永島だ。ガールズさん」
矢焔のボス、永島がガールズに向けて言う。これにはなんとなく恐怖を感じるガールズだったけど、元祐が口を開いた。
「突然のアポなし訪問で悪いと思っているけど、聞きたいことがあってね」
「…なんだ?」
「じつは最近、おたくらと敵対しているグループが殺されてるって話知ってる?」
「ああ、知ってるぜ。誰だか知らねぇが、嬉しい限りだぜ」
この話を聞いて永島は嬉しそうにする。それから元祐の話が続いた。
「そうか……じゃあ、近頃なにかを手に入れたってことは?」
「なにかって?」
「たとえば、買ったみたいな」
「別に~~~」
臆せずに話し続ける元祐の姿に、ガールズはちょっと驚く。
「スゴイ、こんな怖い人達を前にして堂々と…」
「あんなに緊張弱い性格な筈ですけどね」
「こりゃあ、俺達以上に修羅場をくぐって来たんだな」
これにはブロッサム達もちょっと元祐の見る目が変わる。
「なるほどね…じゃあ、話は済んだし帰るとするかな」
「え?もう帰るの?」
「当然だ」
そのまま帰ろうとしたが
「待て!」
だが、永島の言葉と一緒に数人のメンバーが取り囲む。
「ちょっと、話が終わったなら帰らせなさいよ!」
「そうはいかねぇな…ここに来たからには簡単には帰さねぇのがうちのモットーだしよ。それに」
「それ…に?」
「せっかくだから、スーパーヒロインとの遊んだりもしたいしな」
少し舌を出して舐めるしぐさの永島に、嫌悪感が出て鳥肌が出すガールズ達。
「だから言ったろ。危険だって」
「何ごちゃごちゃ言ってんだよ!あっ?」
手下でチンピラの1人がナイフを持って元祐に向かって怒鳴ってきた。
「……ふっ!」
「おわっ!?」
だけど、いきなり元祐が殴るフリをすると、そのチンピラがちょっと驚く。だが、その瞬間に元祐はそのチンピラの足を引っかけて転ばせた。
「バーカ」
「「「テメェ!!」」」
他のチンピラが3人同時に襲い掛かったが、元祐は軽くかわしながらも2人にパンチを与えたり、ジャンプしてキックをお見舞い。すると後ろから鉄パイプを振り下ろしたが、素早くかわして腕をつかむとぶん投げた。
「元祐さん、スゴイ…」
「本当はあんなに強いとは」
「驚きだぜ」
予想以上の元祐の強さにガールズも驚くが、彼女達も活躍していた。ブロッサムがヨーヨーでチンピラたちを捕らえて、バブルスはシャボン玉でチンピラ達の視界を防いで転ばせて、バターカップがハンマーで叩いてチンピラ達を気絶させる。
「クソ…お前ら、なにやってんだ!」
永島は次々とやられていく部下を見て苛立ち怒鳴り上げたが、隣にいた男が持っていた鎖を捨てる。
「ん?松田何やってんだ。お前も早く!」
「分かってるよ…もちろんやるつもりさ」
松田という男は口からよだれを出しながら右腕をまくり上げると、ポケットからガイアメモリを取り出した。
「が…ガイアメモリ!?」
「えっ!あれが?!」
まさかここでついにメモリを持っている奴がいて驚く元祐達。
「お前…それは?」
「これを使って、うちの邪魔になるグループの奴らを襲ってたんだけど…なぜかとても腹が減るから喰ってたんだ」
『IRON』
メモリについてあるスイッチを押すと音声が流れる。
「まぁ、一石二鳥でよかったよな!」
そして松田は右腕にメモリを差し込むと全身がゴツゴツと鉄で出来た怪人、アイアンドーパントに変身した。
「なっ!?」
「化け物!?」
アイアンになった松田の姿に驚く永島と手下達。
「あっ、アイツは!?」
「あの時出会った…」
「モンスター!」
もちろん、ガールズもあの時の怪人のアイアンが出たことに驚愕した。
「イヒヒヒヒ!これを使うと、本当にスゲェ力が湧いてくんだけど…もう、ガマンの限界だ!」
「はっ…ぐへっ!!?」
そう言いながらアイアンは永島をぶん殴って吹っ飛ばす。
「まっ、松田!ボスに何を!?」
「もう関係ねぇ!暴れて暴れて、喰ってやる!」
すると落ちてたパイプや鎖が宙に浮くと、チンピラにめがけて襲い掛かってきた。逃げ出すチンピラ達だが、さらに鉄骨とかも襲い掛かってやられてしまう。この光景にガールズ達はさらなる恐怖が襲う。
「まさか…あれがあそこまでヤバい奴だったなんて」
するとガールズ達の腰につけられたケミカルアナライザーのコンパクトが鳴ったので、手に取って開けるとユートニウム達が通信してきた。
『ガールズ!君達が四藤さんの所に行くっていたから心配になったけど、どうしたんだい?』
「博士!じつは元祐さんの推理したどおりにドーパントが?!」
ブロッサムが暴れまくるアイアンの姿をコンパクトを通して見せた。
『パパ!いや、博士…あれがドーパント!?』
『ああ、噂は本当だったのか!』
ケンもユートニウムも初めてドーパントを見て度肝を抜く。
「だけど、なんで人を食べるなんて恐ろしいことを…」
バブルスがアイアンが人を食べているところを思い出していると元祐が歩きながらしゃべりだす。
「それは多分、アイツは鉄の記憶のドーパント。その名の通り、鉄を操る事ができるみたいだ」
「鉄を?」
「そしてきっと、メモリの副作用で自分の中の鉄分が消費すると思う」
『なるほど、だから人間を食べていたのか』
『血には鉄分が入ってるから、エネルギー補給というわけですね』
アイアンの人食いの理由に納得するユートニウムとケンだが、元祐はとにかく暴れるアイアンに近づく。
「お?最初の喰われたいのはお前か」
「いや、俺は喰われるつものはないよ」
タバコを吸いながらかっこつけて返事をする元祐に、ガールズ達は慌てる。
「ちょっと、なにやってるの!?」
「早く逃げてください!」
「殺されるぞ!」
なんとか止めるようにと叫ぶガールズ達だが、元祐はタバコを吸い終わりながら言葉を返す。
「心配するな。俺は殺されない」
すると元祐が懐から取り出したのは右側に何かを装填させるスロットがあって、左側はレバーと2つのボタンがあるベルト。
「べ…ベルト?」
そのベルトを腰に装着すると、次に銀色のメモリを取り出す。
『ELEMENT』
「変身!」
そう叫びながら元祐はメモリにあるスイッチを押すと、右側のスロットに装填してレバーを動かす。
『ELEMENT』
すると体に風が纏って姿が変わった。全身が緑のスーツとアーマーで包まれて、胸アーマーには【Wind】の文字が刻まれて頭部にはEの文字が上向きになった姿の戦士。
「なっ、なんだあれ…」
「姿が変わりました!」
『しかもメモリを使って!』
『う~~む、謎だ』
この予想以上の展開に驚きを隠しきれない4人だけど
「ヒーロー!まさにあれはヒーローよ♪」
ももこ改めブロッサムはヒーローものが大好きなので、変身した元祐の姿に大興奮。
「お前は…」
「仮面ライダーエレメント」
変身した元祐は仮面ライダーエレメントと名乗った。
「それじゃあ、アンタの罪を知れ」
元祐による事件の捜査と仮面ライダーの変身です。次回は戦闘になりますのでよろしく。